下出部町内漫遊記

月芝

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065 レッドクィーン出現!

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「つ、つかれたぁ。もうクタクタだよぉ」

 拠点の控室にて。
 帰還するなり、わたしは備えつけのソファーにバタリと倒れ込んだ。

「こうも出動が続くと、さすがにちょっとな」

 ジンさんは自身の肩を揉んだり、首をグリグリ回したりしている。
 ヤダ、人体模型ってばちょっと気持ち悪い。あと元から体はカチコチだから、どうやってもほぐれないだろうに。
 えっ、気分の問題。
 ほぉー、さいですか。

「手数と火力が足りん。そのくせアリの数は増える一方じゃ。あと、やはりそれがしは剣か槍が欲しいのぉ」

 装備の手入れをしつつ、カクさんがぼやく。
 そうなのだ。
 出動することすでに四度にも及んでおり、あらわれるデカアリの群れはわらわら増える一方。
 対してこちらは、支給された初期装備の他には、銃座のあるジープのみ。

 どれだけ敵を倒しても経験値も入らなければ、レベルアップもしないし、もちろんアイテムも入手できない。
 ブロックランドはゲームっぽいけどゲームじゃない。あるいはそういうゲームなのかもしれないけれど、なんにせよシンドイことだけは確か。

 ジープのおかげで移動手段と機動力はあるけれど、攻撃手段が限られている。
 ぶっちゃけ手札も手数もぜんぜん足りてない。そのため囲まれて数で押されたら、たちまち窮地に陥るのだ。
 一度なんて本当に危なかった。四階建てのビルに追い込まれて、籠城をするハメになったのだから。
 デカアリどもときたら、屋根でも壁でも電線の上でもおかまいなしに突き進んでくるものだから、こちらは「キャアキャア」上を下への大騒ぎにて、とにかく忙しいったらありゃしない。おかげですっかりクタクタだ。

  〇

 パトランプが回って、五度目のサイレンが鳴り響く。
 わたしたちが嘆息にて重たい腰をあげようとしたところで、スピーカーからトンデモナイ情報が流れてきた。

『ガーガー……南西の工場跡地が敵群に占拠された模様。なお大型個体の存在が確認されている。おそらくはレッドクィーンとおもわれる』

 レッドクィーン、赤の女王さま。
 デカアリどものボスである。
 そしてこれがいるかぎりデカアリどもとの戦いは終わらない。なぜなら彼女がせっせとアリどもをこさえては、ブロックランドの平和を脅かし続けているから。
 とはいえだ。
 敵のアジトに突っ込んで、ボスの首を獲れとか、ムチャ振りにもほどがある!
 多勢に無勢、戦力差は明らかにて、いったいどうしろと?

「えっと、コンテニューってあるのかな?」

 できればその場で復活して継続できるタイプをわたしは所望する。
 最悪なのが、ステージの最初からやり直しのやつ。あれは精神的にキツイ、心が折れる。

「たぶんな。もっとも残機が百あってもクリアできなさそうだが」

 ジンさんが淡々と悲しいことを言った。

「この光線銃とやらは使い勝手がイマイチだのぉ。スポンジガンの方がよかったわい」

 カクさんは武器への不満を口にしている。
 それについてはわたしも同意見だ。

「チチチ、なんにせよ、まともにやっても勝ち目はなさそうだねえ」

 たしかにその通りなんだけど、司令官代行の一枝さんは身もフタもない。
 わたしたちが頭を抱えていたら、続けてこんなアナウンスが聞こえてきた。

『ガーガー……なお、レッドクイーンの弱点は後頭部にある青い部位である。では諸君の健闘を祈る』

 攻略の糸口をくれたことには感謝する。
 けど、だったら新しい武器のひとつでも用意して欲しかった。
 というのが、わたしの率直な気持ちである。
 どうやら現状の手持ちでどうにかやりくりをして、レッドクィーンを倒すしかないらしい。

 う~ん、第五の試練ってば何気に難易度高くない?


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