下出部町内漫遊記

月芝

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075 最終決戦! 序

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 地にはデカアリどもがたくさん這いまわっている。
 空には麦わら帽子のような形をした小型のUFOらが、これまたたくさん飛び交っている。
 さらなる天空にはデデンと、こちらを見下ろすようにして超大な円盤が居座っている。
 ときおりシュバッと光線が閃く。
 母船からの攻撃だ。
 容赦なく地を切り裂き、その一撃にて家やビルなどがまとめて倒壊した。
 デカアリと小型のUFOらも手当たり次第に攻撃をくり返している。

 吹き荒れる破壊の嵐、どこもかしこも敵だらけ!

 敵の母船が降臨したことにより、ブロックランドは廃墟と化しつつあった。
 そんな戦場を駆けずり決死の抵抗を続けていたのは、我ら下出部防衛隊である。
 だがしかし、敵はあまりにも多く、かつ強大であった。

「くっ、このこのこのこのぉ」
「う~む。次から次へと湧いてきおる。これではキリがないのぉ」

 新生ニンバのコクピットから、わたしとカクさんは敵の母船をうらめしげにジロリとにらむ
 そうなのだ。
 片っ端からデカアリや小型UFOを倒しているのに、数がちっとも減らない。
 母船から次々に増援が降下してくるせいだ。じゃんじゃん補充されてしまうのでモグラ叩き状態にて、少しも楽になりゃしない。それどころかジリジリと追い詰められている。ただでさえ劣勢だというのに……

「やはりザコをいくら叩いてもムダのようだな。こうなれば母船を直接狙うしかない」

 とは、これまた新造されたジープを駆るジンさん。

「でもどうやって? たとえ飛行機やロケットを作っても、きっと途中で撃ち落とされちゃうよ」

 いまは瓦礫の物陰に隠れながらあちこちを転戦することで、どうにか敵勢からの包囲を逃れている。
 敵の陣営は厚い。
 もしも空の上にあがれば、たちまち小型UFOらに群がられて、よってたかってボコられることになるだろう。母船からの迎撃もあるのにちがいあるまい。
 たとえ新生ニンバが空を自在に飛べたとて、これを突破するのは至難であろう。

「……ミユウの言う通りだろうな。だから空にはあがらない。代わりに地から狙い撃つ。そのための準備をいまからする。ふたりは完成までの時間を稼いでくれ」

 ジンさんが超長距離から母船を攻撃できる兵器を用意するとのこと。
 現状をかんがみるに、どうやらそれしか方法がなさそうだ。
 だからわたしとカクさんは、ジンさんを信じて敵の目を引きつけるべく、わざと派手に動いては敵陣へと突っ込んでいった。

  〇

 ドンッ! ドンッ! ドンッ!

 連続して火を噴いたのは、新生ニンバが手にしている大型のライフルっぽいの。一角怪獣ゴジマデとの戦いで大破した大砲の代わりに用意した武器だ。単発だが貫通力があるので当たればデカい。一発でガシャン、小型のUFOをバラバラのブロック片にする。

 わたしたちの銃撃を受けて小型のUFOが次々と墜落していく。
 でも空の方にばかり気をとられていたら危ない。
 地上からはデカアリどもが迫ってくる。

「ムッ、左右から同時にくるぞミユウ!」
「まかせて!」

 攻撃担当のカクさんの指示により、ロボットの制御を担当しているわたしは、すかさずレバーを下げてグッとペダルを踏み込む。
 とたんにギュルギュルギュル――激しく回転したのは足下につけた車輪だ。新生ニンバは急速後退することで横からのデカアリの突撃を回避する。
 これにより突っ込んできたデカアリ同士はガッチンコ、頭をぶつけて悶えることになった。
 そこへ素早く再接近した新生ニンバが振るったのは警棒である。
 これも新しく作った武器で、ふだんはコンパクトに縮んで持ち運んでいるが、いざという時にはジャキンとのばせる優れモノ。

「ちぇすとぉーっ!」

 気合いもろともカクさんが叩きつけた警棒がクリーンヒットして、デカアリを二体まとめて撃破した。
 ばかりか余勢を駆っては、近くにいた敵勢をも蹴散らす。
 やはりカクさんはこうした近接戦闘の方が好みらしく、乱戦気味にもかかわらずイキイキしている。

 とはいえ、いかに奮闘しようとも多勢に無勢だ。
 五分、十分、十五分と経過するほどに、こちらもちょいちょい被弾しては、装甲が削られつつあった。疲労もみるみる溜まっていく。

「えぇい、ジンのヤツはなにをモタモタやっているのか」

 獅子奮迅の活躍をみせていたカクさんも、かなり息があがってきた。骨格標本の限界は近い。
 それでも意地で戦い続け、戦闘継続時間が三十分を越えたところで、ついに――

「カクさん、あれを見て」

 合図の照明弾がひゅるるるる~、パァン。
 先に気づいたのはわたしだった。
 ようやく準備が整ったらしい。

「そうとわかればここにもう用はない。行くぞミユウ」
「オーケイ」

 というわけで、ポチッとな。
 コロンコロンとばら撒かれたのは小樽みたいなモノたち。
 これこそが新生ニンバを作るときに、ついでにこさえた細々としたモノにて、その正体は煙幕弾である。

 プシュウゥゥゥゥゥ。

 勢いよく噴き出された大量の煙によって、周囲はたちまちもうもうと灰色の煙に包まれた。
 どさくさにまぎれて、わたしたちはすたこらさっさ。
 合流すべくジンさんのもとへと急ぐ。


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