乙女ゲーの世界に聖女様として召喚されたけど興味がないので妹に譲ります

ゆずぽんず

文字の大きさ
10 / 10

共通バッドエンド①「君は愚か」

しおりを挟む
「取り敢えず地下へ…!」


道は来る時に覚えておいた。迷わずに地下に向かう姉は後ろを振り向かず走っていた。
「待って!止まって!」と後ろからアレンの声がする。
心臓がうるさいくらい鳴っている。怖いと思う自分がいる。捕まれば処刑だろう。


「!」


すぐ横のドアが開き、腕が引っ張られる。手で口を塞がれ、ドアが閉まる。「んー!んー!」ともがく姉の目の前には侍女達の姿が。なんで、どうしてと青ざめる。捕まってしまった、逃げないと、と姉は抵抗する。
侍女達は目を黒くして言う。


「これが偽物の聖女様?」
「そうよ、守り人様と王様が話しているところを見たわ」
「今回の聖女様は偽物ですって、どういうことかしら」


やめて!離して!と姉は力いっぱい抵抗するが数人の力に敵わない。一人、侍女が包丁を構える。それを見た姉は青ざめて抵抗する。


「殺しておかないと」
「守り人様はお優しいからきっと殺せないんだわ」
「神聖な聖女様を騙るなんて悪魔よ」


ぐさり、と喉を刺される。
何度も何度も、腹や心臓を刺され、血が部屋を侍女達を赤く染めていく。
次第に感覚の無くなる指先と出せなくなる声。視界が暗くなり姉は動かなくなった。





「お姉ちゃん?」


目が覚めたチカは隣に姉がいないことに気がつくと不安で部屋を見渡したが、いない。
「お、お姉ちゃん、どこ?」と恐る恐るドアを開く。すると兵士と思わしき格好をした男性二人が忙しなく去っていった。その時、「おいおい、聖女様が殺されたってまじかよ」「いや偽物だろ?」と会話が聞こえた。
え?とチカが声を漏らす。


「あーあ、やっちゃったよねえ」
「!り、リオ…」
「おはよー、妹ちゃん。お姉ちゃんのところに行きたい?」
「へ?」


あれ、い、生きてる…?そうだよね、さっきのは聞き間違いだよね、とチカは嫌な予感は見なかったことにしてリオについていく。
リオに連れられた場所はとある部屋だった。侍女の休憩室らしい。人が集まっていてそれを縫うように前に行くようにリオに押される。すると先に来ていたアレンが彼女に気づいた。


「あ!チカちゃん、見たらダメだよ」
「え、?」


アレンをそう言われても視界に入ってきてしまった。見慣れた姉の制服のスカートの端。思わず止まりかける背中をリオが押す。
どくんどくんと心臓が嫌な音を立てる。

現れたのは姉の死体だった。
無数の刺された体と床に散らばる大量の血。


「おね、お姉ちゃん…」


よろよろ、とチカが姉に近づいていく。力なく姉の横に座るとチカのスカートの裾が血で染まり始める。
「なんて事を…」と頭を抱えるアレンの声はチカの耳に入らない。
揺らしても動かない愛おしい姉にチカはうわあああと涙を流して彼女を抱きしめた。


「いやあああああああ!!!!お姉ちゃん!!!いやあああー!!!」






???


「おやおや、もう死んでしまったのか。どうやら選択肢を間違えてしまったようだね。次はもう少し上手くやろうね」


???
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。

木山楽斗
恋愛
平民であるフェルーナは、類稀なる魔法使いとしての才を持っており、聖女に就任することになった。 しかしそんな彼女に待っていたのは、冷遇の日々だった。平民が聖女になることを許せない者達によって、彼女は虐げられていたのだ。 さらにフェルーナには、本来聖女が受け取るはずの報酬がほとんど与えられていなかった。 聖女としての忙しさと責任に見合わないような給与には、流石のフェルーナも抗議せざるを得なかった。 しかし抗議に対しては、「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」といった心無い言葉が返ってくるだけだった。 それを受けて、フェルーナは聖女をやめることにした。元々歓迎されていなかった彼女を止める者はおらず、それは受け入れられたのだった。 だがその後、王国は大きく傾くことになった。 フェルーナが優秀な聖女であったため、その代わりが務まる者はいなかったのだ。 さらにはフェルーナへの仕打ちも流出して、結果として多くの国民から反感を招く状況になっていた。 これを重く見た王族達は、フェルーナに再び聖女に就任するように頼み込んだ。 しかしフェルーナは、それを受け入れなかった。これまでひどい仕打ちをしてきた者達を助ける気には、ならなかったのである。

追放聖女の再就職 〜長年仕えた王家からニセモノと追い出されたわたしですが頑張りますね、魔王さま!〜

三崎ちさ
恋愛
メリアは王宮に勤める聖女、だった。 「真なる聖女はこの世に一人、エミリーのみ! お前はニセモノだ!」 ある日突然いきりたった王子から国外追放、そして婚約破棄もオマケのように言い渡される。 「困ったわ、追放されても生きてはいけるけど、どうやってお金を稼ごうかしら」 メリアには病気の両親がいる。王宮で聖女として働いていたのも両親の治療費のためだった。国の外には魔物がウロウロ、しかし聖女として活躍してきたメリアには魔物は大した脅威ではない。ただ心配なことは『お金の稼ぎ方』だけである。 そんな中、メリアはひょんなことから封印されていたはずの魔族と出会い、魔王のもとで働くことになる。 「頑張りますね、魔王さま!」 「……」(かわいい……) 一方、メリアを独断で追放した王子は父の激昂を招いていた。 「メリアを魔族と引き合わせるわけにはいかん!」 国王はメリアと魔族について、何か秘密があるようで……? 即オチ真面目魔王さまと両親のためにお金を稼ぎたい!ニセモノ疑惑聖女のラブコメです。 ※小説家になろうさんにも掲載

私を陥れたつもりのようですが、責任を取らされるのは上司である聖女様ですよ。本当に大丈夫なんですか?

木山楽斗
恋愛
平民であるため、類稀なる魔法の才を持つアルエリアは聖女になれなかった。 しかしその実力は多くの者達に伝わっており、聖女の部下となってからも一目置かれていた。 その事実は、聖女に選ばれた伯爵令嬢エムリーナにとって気に入らないものだった。 彼女は、アルエリアを排除する計画を立てた。王都を守る結界をアルエリアが崩壊させるように仕向けたのだ。 だが、エムリーナは理解していなかった。 部下であるアルエリアの失敗の責任を取るのは、自分自身であるということを。 ある時、アルエリアはエムリーナにそれを指摘した。 それに彼女は、ただただ狼狽えるのだった。 さらにエムリーナの計画は、第二王子ゼルフォンに見抜かれていた。 こうして彼女の歪んだ計画は、打ち砕かれたのである。

聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来
恋愛
サイヒ・レイラン・フワーラはカカン王国の公爵令嬢であり国の安寧を護る【聖女】であった。 婚約者はカカン国の王太子ローズ。 だがローズが愛しているのはサイヒの双子の姉のマーガレットであった。 そしてマーガレットもまたローズに恋心を抱いていた。 シスコンのサイヒは自らの【聖女】の能力をマーガレットに授け、自らはローズとの婚約を白紙に戻し、マーガレットとローズとの婚約を結ばせる。 慈愛溢れるマーガレットと妹の様に大切にしてくれたローズが自分の存在のせいで苦しまないよう、サイヒは自ら国を出る事を決意する。 そしてサイヒが第2の人生を送ろうと決めた場所は隣国の皇太子の後宮であった。 【聖女】の力を渡したと言ってもサイヒの法力は0.5%程減っただけ。 法力だけでなく魔力も宿す【賢者】としての能力をこれからは隠すことなく気のままに生きる事を決めたサイヒ。 自国じゃないならはっちゃけても良いですよね? サイヒは【賢者】としての能力を思う存分奮ってこれからの生活をエンジョイすると意気込むのであった。 ※世界観は大陸の西が中世ヨーロッパ風・東がアジア風です。  舞台となる帝国は大陸のど真ん中なのでどっちの要素も良い感じに混じっています。 題名が変わりました(*- -)(*_ _)ペコリ 6/18 HOTランキング1位。    ランキング3位。    読んでくださった皆様のおかげです。    感謝感謝です(人''▽`)ありがとう☆ 7/25  【聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケである兄は国王の小姓となって王都復興を目指しますー】が始まりました。  このお話の1000年前のカカン国の話です。  良かったらそちらも覗いてみて下さいね(*- -)(*_ _)ペコリ  7/29  聖女が今日もウザいですー男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたーが始まりました。  こちらの物語とリンクております。  その内アチラのキャラがこちらに出演する予定です。  サイヒの友人がわりとサイヒの事を呟いていたりします。 4/17  新連載【顔を焼かれ妹に荒野に捨てられた公爵令嬢、力を得て皇太子の護衛として王国へと帰還する】と話がリンクしています。  良ければそちらも覗いてやって下さい(*- -)(*_ _)ペコリ 5/15  本編完結といたしました。  姉の名前を”マーガレット”に変更しております。  本編は完結しましたがお話はまだ続いております。 2022/10/19  2章始まりました。  良ければまたお付き合いください。

【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。

氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。 聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。 でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。 「婚約してほしい」 「いえ、責任を取らせるわけには」 守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。 元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。 小説家になろう様にも、投稿しています。

【完結】私は聖女の代用品だったらしい

雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。 元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。 絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。 「俺のものになれ」 突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。 だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも? 捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。 ・完結まで予約投稿済みです。 ・1日3回更新(7時・12時・18時)

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

処理中です...