乙女ゲーの世界に聖女様として召喚されたけど興味がないので妹に譲ります

ゆずぽんず

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嘘つきはお前

「やあ、もう約束は破るの?」


いたのはリオだった。壁にもたれかかって人懐こい笑顔を向けられる。「っ!」と姉はしてやられた、と顔を歪める。
最初から信じていないのは分かりきっていたことなのに。監視するつもりの人間から目を離すわけがなかった。
舐めていたのだ、彼らを。
リオが一歩近づいてくる。


「俺、耳いいんだ~。妹ちゃん、一緒にいよって言ってたのに約束破るんだ」
「…部屋の中の声も聞こえるんだ。とてもいい耳をお持ちで」
「えへへ~、それほどでも」


姉は後ろ手でドアを閉める。
考えろ、この状況を打破する方法を…!と冷や汗が流れる。


「早速聞くけど部屋から出てどうするつもり?この城から抜け出す?でもそしたら城に忍び込んだ理由がわからないな~」
「忍び込んだ理由?私は召喚されたんだよ」
「それも虚偽の可能性があるでしょ?これ以上下手なことされると城の治安にも関わるしさ、殺しておこっかなって」
「…」


もう何言っても無駄かと一瞬諦めそうになる。
治安というのは先程の侍女達の態度だろう。彼女たち姉妹の噂が立ち始めているのだ。
しかし諦めてはいけない。自分の死を無駄にしてはいけない。こんなところで死ねない。
死ぬ時は妹が聖女様だと証明した上で死ななければ。
姉はふっと笑った。


「嘘だったらどうする?私が聖女様という可能性も残ってる。ここで私を殺せば貴方が処罰される」
「よくこの状況で言い返せたね。まあそうだけどさ~、じゃあ殺すのは妹ちゃんの方にしようかな」
「!…脅し?」
「じゃあ今から何しようとしてたか教えてくれる?」


姉の背には壁、その壁に手をつくリオは未だに人懐こい笑顔を貼り付けている。
その貼り付けられた笑顔を不快に思いつつも姉はそれに対して突っ込まなかった。
すると足音が聞こえてきた。


「リオ!何してるの?」
「あ!アレン!あのさ~」


アレンがやってきたのだ。彼の手には本が数冊あった。流石に二人はまずいと思った姉はリオをつき飛ばしてアレンがやってきた方向とは逆の方へと走り出した。
アレンは驚いて声を上げる。


「え!ちょ、!」
「いった~!もう、アレンが話しかけるから!」
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