中二病ドラゴンさんは暗黒破壊神になりたい

禎祥

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第六章 俺様、東方に行く

27、こんな奴らだったか?

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 さて、いよいよ決戦の日、なのだが……正直、襲撃があるかもとかそんな事どうでもいい! ってくらい俺は舞い上がっている!!
 夜も明けきらないうちから叩き起こされ迎えの馬車に乗せられた時は虫の居所も悪かったのだが、全て吹き飛んだ。何故なら!
 今俺の目の前には白い清楚なドレスに身を包んだルシアちゃんが微笑んでいる。普段のルシアちゃんも可愛らしいが、用意された衣装を着て化粧を施されたルシアちゃんは色気も三割増しで。天使ですか? 天使でしたね。ありがとうございます!!

「何だか、露出が多くて恥ずかしいです……」
『よく似合っているぞ』

 肩を抱きながら頬を染めて身を縮めるルシアちゃんの何と可愛らしいこと。あのロリコン王に見せたら絶対ダメだ。
 身支度と軽食が終わり謁見の間に案内されると、すでにそこには正装したエミーリオ達が待っていた。エミーリオは王城で見た兵士達と同じような白いいかにも軍服って感じの衣装にヒラヒラのマント。騎士みたいだな……って、そういや騎士だった。普段はおかんっぽいからすぐ忘れちゃう。
 アルベルト達は燕尾服っぽいデザインで鮮やかな青色に白い刺繍の入った服を着ている。ドナートだけ同じデザインで橙色の衣装だ。正直似合っていない。

 日本だと正装っていうと黒が多いけど、黒が禁忌とされているこの世界では白が高貴な人間を表し、身分の上から順に黄色、橙、赤、緑、青、茶色なんだと。
 日常生活の場だとあまり気にされていないそうだが、それでも白い服を着ている人はほとんど見なかった。教皇とルシアちゃん、おっとり国王くらいだろうか。


「おお……なんと美しい。戦いの前でなければ、このまま結婚式と行きたいところなのだが」

 入ってきたロリコン王はルシアちゃんを見るなりそう宣って、ルシアちゃんの手の甲にキスをしようとする。が、当然それを許す俺ではない。
 わざとらしくロリコン王の腕に止まるふりをしてキックをかます。が、あまり体勢を崩すことができなかった。腕を千切らないよう手加減してやったからに違いない。こんなロリコンのレベルがそこらの冒険者以上だなどとあるはずがない。チラっと鑑定した時にレベル58とか見えたけど何かの見間違いだよ、うん。

『ルシアが美しいのは当然であろう。聖女だからな。そんなことより、勇者だ』
「うむ、すでに出立の支度はできておるぞ。入ってくるが良い、勇者たちよ!」

 扉が開き、武装した集団が入ってくる。皆一様にモンスターの前では何の意味もなさそうな、無駄にキラキラした白銀の鎧に白銀の額当て、白銀のマントに身を包んでいる。
 出てきた集団の顔は、クラスメイトであるはずなんだが、全く記憶にないな。高貴な暗黒破壊神たるもの、下民の名前や顔など覚える必要が無かったのだから仕方ない。
 顔立ちや年恰好、黒髪といった特徴でまず間違いなく日本人だろうと判断するしかない。1号がここにいればハッキリわかるのに。

「紹介しよう。彼らがわが国の召喚に応えてくれた異界の勇者たちだ」

 端からクドウ、コンドウ、ミドウ……と自己紹介していく。ドウで終わる名前があまりにも多くて覚えられない。ああ、そうだ。始業式の日にもドードー鳥なんてぼんやり思ってた記憶があったな。つぅかそのせいで覚えられなかったんじゃないか?
 それにしても、どいつもこいつも名前を名乗りはしたが、無表情でどこ見てるかもわからないような虚ろな目をしている。こんな奴らだったか?


「――ちょうど時間のようだな。聖女ルシアよ、名残惜しいが暫しお別れだ。勇者たちよ、しっかり務めに励むように」
「「「はいっ!」」」

 あれ? 本気でこいつらこんな素直な奴らだったか? と考える暇もなく、ロリコン王に真面目な顔で送り出された。
 城門前は既に多くの貴族達が両脇で小さな国旗を振って「勇者万歳」「聖女万歳」と叫んでいる。正直俺は? とも思わなくもないが。

 あ、俺この光景知ってる。正月恒例の駅伝だ。
 6人ずつで乗り込んだ馬車は、人々に見送られながらゆっくりと進む。万歳を叫びながら旗を振る人々に、貼り付けたような笑顔で手を振り返す俺達に白い紙吹雪が降り注ぐ。
 これから襲撃が起こることなど想像もできないくらい平和な光景だ。


 だが――

「何が勇者だ! この人殺しめ! 死ね!」

 もう少しで貴族街を抜ける、という地点。予想していた第一の襲撃地点で、突然それは起きた。
 ゆっくりとはいえ走る馬車の前に飛び出し、大振りのナイフを震える両手で握りながらこちらを睨みつける女性。言葉がハッキリしているし対話ができるかも? と思い前に出たが、少し遅かった。

「お願い、こいつらを皆殺しにする力をちょうだい!」

 そう叫ぶや否や、急激な変化が女性に訪れる。美しかった頬は裂け鋭い牙が並び、爪は伸び触れた地面を容易く抉った。
 それを見た観衆から悲鳴が幾重にも飛び出し、周囲は大混乱に陥った。
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