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第六章 俺様、東方に行く
26、前哨戦と行こうか。
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「ええぃ、先ほどから黙って聞いていれば! 畜生の分際で陛下に意見するなど! 襲撃があるなんてデマを言って陛下から金品を更に巻き上げようというつもりか!」
突然の怒声に、謁見の間が一瞬沈黙に包まれる。
明日の祝典の警備関係の段取りを打ち合わせようって時に、難癖をつけてツカツカと詰め寄ってきたのはタイラーツの豚領主に負けず劣らずの樽型体型をしたおっさんだった。
は? 金品を巻き上げる? 警備の話が何故そうなる?
「控えよ。陛下の御前であるぞ」
「控えるのはこ奴らです! だいたい、本当に聖女だかわかったもんじゃない! 聖女を騙り勇者を連れ出せば金品だけ持って逃げ出すに決まってる!」
はぁぁぁぁぁぁ?! 何だこのおっさん!
宰相の制止も聞かずにルシアちゃんが偽物だの、都合が悪くなれば俺をけしかけて王を暗殺するつもりだだの、何の根拠もないことを言いたい放題。おまけにこの謁見を見守ってる他の貴族たちも「そうだそうだ」とか無責任に騒ぎ出している。
国王の前で喧嘩売ってくるとかいい度胸してんじゃねぇか。
ねぇこいつ殺して良いかな? 良いよね? もうこいつ黒の使徒ってことで。はい、俺の敵決定。
明日の決戦の前哨戦と行こうか。
「鎮まれ」
あまりにも腹立たしいそいつに飛び掛かろうとした時、喧騒の中でも良く通る声が俺を抑えた。王様だ。
王様の発言に気付いて、騒いでいた奴も全員その場で押し黙る。
「デシデーリオ伯爵、聖女が聖女でないという根拠は?」
「そ、それは……」
伯爵と呼ばれた樽豚野郎が言葉に困りルシアちゃんを睨みつける。
聖女に証拠が必要ってんなら、俺が傍にいるってことが証明だよ馬鹿野郎。俺はルシアちゃんの肩に乗り樽野郎を睨み返す。
「こ、こんな子供が聖女であるはずがありません。聖女とはもっと、勇者の横に立ち共に戦える者を指すのです」
「……私は女神様の寝所にて修練を積みました。そして女神様より聖女であると認められたのです。それに、ここまでも数多のモンスターと戦って参りました。後ろで守られるだけの子供ではありません」
「つまり戦えると?」
「ええ」
周囲の視線が突き刺さるのに負けじとルシアちゃんが堂々とした態度でそう答える。
と、何がおかしいのか突然樽伯爵が笑いだした。
「ッハハハハ! ボロを出したな! 聖女はセントゥロの王女だ。王女が戦えるはずがない! ……いや、子供ではないと言ったな。確かにその体つきだ。肉体の方はもう男を知っているということか。この阿婆擦れめ。王に取り入り、竜の威光で以て王位を簒奪するつもりか」
「やめよ。……もう良い。伯爵、其方の論拠は破綻しておる。彼女は正真正銘セントゥロの王女である。ならば聖女で間違いはなかろう。謁見の妨げとなる。デシデーリオ伯爵、退室せよ。追って沙汰を伝える。それまで屋敷で謹慎しているように」
ルシアちゃんが顔を赤くして胸を隠すように身体を抱き蹲ってしまった。
呆れた様子で樽伯爵を下がらせる王様。やっぱり、この人は信用しても良いんじゃないか? ……と思ったけど、やっぱりこのおっさんルシアちゃんの胸ばっか見てやがんな。
「ふむ……伯爵が失礼をしたな。ところで……貴女のように魅力的な女性であれば、誘惑されたら拒めないであろうな。私には正妃がいない。暗黒破壊神討伐などという危険な旅は止め、私という枝に止まってはくれないか? 天使よ」
な、何だこのおっさん。突然ルシアちゃんを口説き始めたぞ?!
言われたルシアちゃんもポカンとした顔してるじゃないか! ああ、そんな顔してるルシアちゃんも可愛いなぁ!
「いいえ、暗黒破壊神は聖女と聖竜、勇者が三位一体とならねば倒すことができません。私の身を案じてくださるのは嬉しいですが、陛下の正妃にはなれません」
暗黒破壊神を倒さねば人類に待っているのは絶望ですよ、とルシアちゃんが言葉を選びながらやんわりと断る。
が、それで諦める国王ではない。
「そうか。ならば聖竜よ、必ず聖女を守り生きて戻れ。そして、戦いが終わったその時こそ私の妻に」
周囲がざわつく。
この王様に奥さんがいないのは本当なようで、宰相なんて涙を流しながら陛下がついに女性に興味を、とか言っている。
いくらルシアちゃんが可愛いからって、成人もしていないルシアちゃんを口説くなんて、このロリコンめ! もうこいつはロリコン王と呼ぼう。女性に興味がなかったって、幼女にしか興味がないんだろ! そうに違いない!
信用するなんて前言撤回! こいつは絶対ルシアちゃんに近づけちゃいけない危険人物だ!!
『王よ、冗談はそのくらいに。言われずともルシアは当然守る。俺様の聖女だからな。ところで、肝心の勇者はどうした? 何故姿を見せん?』
「う、うむ。勇者たちはまだ支度が整っていなくてな。明日祝典の前に紹介するとしよう」
わざと「俺様の」を強調して言ってやったらちゃんと牽制だと気付いたようで、冷たい殺気のようなものをビシビシと感じる。こいつ、諦めてねぇな。
無理矢理話題を元に戻したことで、襲撃されるとしたらどの地点か、どこを警戒するかなど色々話し合うことができた。
打ち合わせが終わり退室する際に再度ルシアちゃんを口説こうとするロリコン王だったが、当然ルシアちゃんに触れるのを許す俺ではない。
しかし、宰相のあの喜びよう……ここに来た時同様、すべてが終わったら婚姻の段取りがされてそうで恐ろしいな……。
突然の怒声に、謁見の間が一瞬沈黙に包まれる。
明日の祝典の警備関係の段取りを打ち合わせようって時に、難癖をつけてツカツカと詰め寄ってきたのはタイラーツの豚領主に負けず劣らずの樽型体型をしたおっさんだった。
は? 金品を巻き上げる? 警備の話が何故そうなる?
「控えよ。陛下の御前であるぞ」
「控えるのはこ奴らです! だいたい、本当に聖女だかわかったもんじゃない! 聖女を騙り勇者を連れ出せば金品だけ持って逃げ出すに決まってる!」
はぁぁぁぁぁぁ?! 何だこのおっさん!
宰相の制止も聞かずにルシアちゃんが偽物だの、都合が悪くなれば俺をけしかけて王を暗殺するつもりだだの、何の根拠もないことを言いたい放題。おまけにこの謁見を見守ってる他の貴族たちも「そうだそうだ」とか無責任に騒ぎ出している。
国王の前で喧嘩売ってくるとかいい度胸してんじゃねぇか。
ねぇこいつ殺して良いかな? 良いよね? もうこいつ黒の使徒ってことで。はい、俺の敵決定。
明日の決戦の前哨戦と行こうか。
「鎮まれ」
あまりにも腹立たしいそいつに飛び掛かろうとした時、喧騒の中でも良く通る声が俺を抑えた。王様だ。
王様の発言に気付いて、騒いでいた奴も全員その場で押し黙る。
「デシデーリオ伯爵、聖女が聖女でないという根拠は?」
「そ、それは……」
伯爵と呼ばれた樽豚野郎が言葉に困りルシアちゃんを睨みつける。
聖女に証拠が必要ってんなら、俺が傍にいるってことが証明だよ馬鹿野郎。俺はルシアちゃんの肩に乗り樽野郎を睨み返す。
「こ、こんな子供が聖女であるはずがありません。聖女とはもっと、勇者の横に立ち共に戦える者を指すのです」
「……私は女神様の寝所にて修練を積みました。そして女神様より聖女であると認められたのです。それに、ここまでも数多のモンスターと戦って参りました。後ろで守られるだけの子供ではありません」
「つまり戦えると?」
「ええ」
周囲の視線が突き刺さるのに負けじとルシアちゃんが堂々とした態度でそう答える。
と、何がおかしいのか突然樽伯爵が笑いだした。
「ッハハハハ! ボロを出したな! 聖女はセントゥロの王女だ。王女が戦えるはずがない! ……いや、子供ではないと言ったな。確かにその体つきだ。肉体の方はもう男を知っているということか。この阿婆擦れめ。王に取り入り、竜の威光で以て王位を簒奪するつもりか」
「やめよ。……もう良い。伯爵、其方の論拠は破綻しておる。彼女は正真正銘セントゥロの王女である。ならば聖女で間違いはなかろう。謁見の妨げとなる。デシデーリオ伯爵、退室せよ。追って沙汰を伝える。それまで屋敷で謹慎しているように」
ルシアちゃんが顔を赤くして胸を隠すように身体を抱き蹲ってしまった。
呆れた様子で樽伯爵を下がらせる王様。やっぱり、この人は信用しても良いんじゃないか? ……と思ったけど、やっぱりこのおっさんルシアちゃんの胸ばっか見てやがんな。
「ふむ……伯爵が失礼をしたな。ところで……貴女のように魅力的な女性であれば、誘惑されたら拒めないであろうな。私には正妃がいない。暗黒破壊神討伐などという危険な旅は止め、私という枝に止まってはくれないか? 天使よ」
な、何だこのおっさん。突然ルシアちゃんを口説き始めたぞ?!
言われたルシアちゃんもポカンとした顔してるじゃないか! ああ、そんな顔してるルシアちゃんも可愛いなぁ!
「いいえ、暗黒破壊神は聖女と聖竜、勇者が三位一体とならねば倒すことができません。私の身を案じてくださるのは嬉しいですが、陛下の正妃にはなれません」
暗黒破壊神を倒さねば人類に待っているのは絶望ですよ、とルシアちゃんが言葉を選びながらやんわりと断る。
が、それで諦める国王ではない。
「そうか。ならば聖竜よ、必ず聖女を守り生きて戻れ。そして、戦いが終わったその時こそ私の妻に」
周囲がざわつく。
この王様に奥さんがいないのは本当なようで、宰相なんて涙を流しながら陛下がついに女性に興味を、とか言っている。
いくらルシアちゃんが可愛いからって、成人もしていないルシアちゃんを口説くなんて、このロリコンめ! もうこいつはロリコン王と呼ぼう。女性に興味がなかったって、幼女にしか興味がないんだろ! そうに違いない!
信用するなんて前言撤回! こいつは絶対ルシアちゃんに近づけちゃいけない危険人物だ!!
『王よ、冗談はそのくらいに。言われずともルシアは当然守る。俺様の聖女だからな。ところで、肝心の勇者はどうした? 何故姿を見せん?』
「う、うむ。勇者たちはまだ支度が整っていなくてな。明日祝典の前に紹介するとしよう」
わざと「俺様の」を強調して言ってやったらちゃんと牽制だと気付いたようで、冷たい殺気のようなものをビシビシと感じる。こいつ、諦めてねぇな。
無理矢理話題を元に戻したことで、襲撃されるとしたらどの地点か、どこを警戒するかなど色々話し合うことができた。
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