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頂きますと。そんな挨拶をしてから食事を始めると、僕としてはやはり驚くことが一つ。
一応たまに遊ぶ相手もいたりするから、自分と同じ年頃の相手がどの程度食べるのか、そんな何となくといった感覚はあったのだけれど。
「えっと。よくそんなに食べられるね。」
思えば食事の時に自分から話しかけるなんていつ以来だろう。
「君が少なすぎるだけかなって、そう思いたいけど。」
「昼ご飯とか、休みの時にたまに一緒にご飯くらい行くけど、そこまでじゃないかな。」
遠慮するそぶりは見えた物の、祖母が足りない事に気が付いたのか、既にお茶碗の中身は二回目の物が入っているし、煮物の小鉢も取り換えられている。
僕は既に箸をおいてから5分ほどたっているけど、彼女の右手にはまだしっかりと箸が持たれている。
「よく食べるのは良い事ですよ。」
「うん。」
「その、太ったりは気にするんですけど。」
「体を動かせばいいだけですから。」
「えっと、キミは本当にそれだけでいいの。さっきまで外、歩いてきたんでしょ。」
どうやら彼女が起きたのは僕が思うよりも早かったらしい。
「うん。いつもより少し食べたかも。」
「そうですね。」
「えっと、じゃああのお弁当。」
「様子は聞いていましたから。ほとんど、あなたが食べたでしょう。」
「その、ありがとうございます。」
祖母は初めからそう言ったつもりで用意していたらしい。
そうであれば、味付けが濃かったりというのも、僕よりは彼女だったり、他の人が好む味付けにしてあったのだろう。
そしてそうだとしたら、今並べられている料理は、僕が好きとそう思うものに寄せてあるのかもしれない。
「ばーさんは。味付け、もう少し濃いほうが良いの。」
「いいえ。私はこっちに慣れていますから。」
「そうなんだ、でも、ありがと。」
「あなたのお母さんも、同じ塩加減でしょう。」
「うん。」
恐らく、どこか違うけど似ている、そう感じる部分はそこなのかもしれない。
細かなところは違うけど、根っこは同じ。そんな感じ。
「料理、お上手ですよね。」
「長く続けているだけですから。」
彼女の言葉にも祖母は、そうしていつものように軽く返す。
「そういえば、えっと、先輩なんだっけ。ばーさんの頃って、どんなことしてたの。」
「今とそんなに変わらないかもしれませんね。ただ。」
そうして、祖母が初めて見る、そんな表情を浮かべる。
「あの頃は学校の屋上に、日が沈んだ後皆で集まって。小さな望遠鏡で。それで十分楽しめましたから。」
「そっか。」
その話は、彼女から少し聞いた。
街の明かり、それがあると難しい、つまりそいう事なのだろう。
変わってしまった。彼女が一人で、自分の望遠鏡を持って。祖母の通っていた学校が何処かは知らないけど、そうしなければいけないほど難しくなった、それが分かるから寂しいのだろうか。
「ただ、昔に比べて調べ物は簡単でしょうね。」
変わらない表情で、でも楽しそうに祖母が話す。
「あの頃は今ほど便利ではありませんでしたから。ちょっとしたことを調べるのにも、図書館に行って本を探して。大変な物でしたよ。」
「へー。」
「でも、記録、すごくしっかり纏まってましたよ。」
「それこそ皆であれこれ知恵を出して纏めましたから。ただ、今から見れば間違いも多かったでしょう。私の時代の物は。」
「そうなんだ。ばーさん。それ分かった時に直そうとか思わなかったの。」
その言い方だと、今は気が付いている、その様にも聞こえる。
「思わなかったといえば嘘になりますけど。それこそ控えは今も残っていますからね。」
「残してるんだ。」
「楽しかった時、それを思い出すときに、やはりあると思い出しやすいですからね。」
そういって祖母が少し考える様なそんなそぶりをしてから、僕の疑問に応えてくれる。
「ただ、治すのは後輩に任せようかな、そう考えたんですよ。」
「そうなんだ。」
「ええ。先輩でも間違えている事が有る、それでいいかなと。」
「えっと。」
「だって、私たちよりもっとえらい学者の方でもたくさんの間違いがあったんですもの。
それなら、間違いがあって当たり前。それでいいでしょう。」
何となく、分かるような、分からないような。
ただ、彼女にもそんな話はされた。天文学者は間違いが見つかったら喜ぶのだと。
「だって、その時の私たちは、私たちで頑張って、その成果ですから。
あってる、間違ってる。そうではなくてそれを残した、その事が大事だったんですから。」
「そういうものなんだ。」
「ええ。少なくとも、あの時の私たちが出来る事、それはやって、それで間違っていたなら良いではないですか。
それも楽しく懐かしい思い出ですよ。」
話を聞いても、分かるような、分からないような。
多分僕は祖母の持っている控え、それを見たところで何が書いてあるかも分からないだろうし。
じゃあ、祖母が納得してるなら、それ以上は良いよね。そう納得してしまう。
表情は相変わらず不思議ではあるけど、話している声は楽しそうなんだから。
ただ、その話を聞いて、楽しそうではない相手がいる。
僕はそちらに意識を向けなきゃと、そう考えてしまうから。
一応たまに遊ぶ相手もいたりするから、自分と同じ年頃の相手がどの程度食べるのか、そんな何となくといった感覚はあったのだけれど。
「えっと。よくそんなに食べられるね。」
思えば食事の時に自分から話しかけるなんていつ以来だろう。
「君が少なすぎるだけかなって、そう思いたいけど。」
「昼ご飯とか、休みの時にたまに一緒にご飯くらい行くけど、そこまでじゃないかな。」
遠慮するそぶりは見えた物の、祖母が足りない事に気が付いたのか、既にお茶碗の中身は二回目の物が入っているし、煮物の小鉢も取り換えられている。
僕は既に箸をおいてから5分ほどたっているけど、彼女の右手にはまだしっかりと箸が持たれている。
「よく食べるのは良い事ですよ。」
「うん。」
「その、太ったりは気にするんですけど。」
「体を動かせばいいだけですから。」
「えっと、キミは本当にそれだけでいいの。さっきまで外、歩いてきたんでしょ。」
どうやら彼女が起きたのは僕が思うよりも早かったらしい。
「うん。いつもより少し食べたかも。」
「そうですね。」
「えっと、じゃああのお弁当。」
「様子は聞いていましたから。ほとんど、あなたが食べたでしょう。」
「その、ありがとうございます。」
祖母は初めからそう言ったつもりで用意していたらしい。
そうであれば、味付けが濃かったりというのも、僕よりは彼女だったり、他の人が好む味付けにしてあったのだろう。
そしてそうだとしたら、今並べられている料理は、僕が好きとそう思うものに寄せてあるのかもしれない。
「ばーさんは。味付け、もう少し濃いほうが良いの。」
「いいえ。私はこっちに慣れていますから。」
「そうなんだ、でも、ありがと。」
「あなたのお母さんも、同じ塩加減でしょう。」
「うん。」
恐らく、どこか違うけど似ている、そう感じる部分はそこなのかもしれない。
細かなところは違うけど、根っこは同じ。そんな感じ。
「料理、お上手ですよね。」
「長く続けているだけですから。」
彼女の言葉にも祖母は、そうしていつものように軽く返す。
「そういえば、えっと、先輩なんだっけ。ばーさんの頃って、どんなことしてたの。」
「今とそんなに変わらないかもしれませんね。ただ。」
そうして、祖母が初めて見る、そんな表情を浮かべる。
「あの頃は学校の屋上に、日が沈んだ後皆で集まって。小さな望遠鏡で。それで十分楽しめましたから。」
「そっか。」
その話は、彼女から少し聞いた。
街の明かり、それがあると難しい、つまりそいう事なのだろう。
変わってしまった。彼女が一人で、自分の望遠鏡を持って。祖母の通っていた学校が何処かは知らないけど、そうしなければいけないほど難しくなった、それが分かるから寂しいのだろうか。
「ただ、昔に比べて調べ物は簡単でしょうね。」
変わらない表情で、でも楽しそうに祖母が話す。
「あの頃は今ほど便利ではありませんでしたから。ちょっとしたことを調べるのにも、図書館に行って本を探して。大変な物でしたよ。」
「へー。」
「でも、記録、すごくしっかり纏まってましたよ。」
「それこそ皆であれこれ知恵を出して纏めましたから。ただ、今から見れば間違いも多かったでしょう。私の時代の物は。」
「そうなんだ。ばーさん。それ分かった時に直そうとか思わなかったの。」
その言い方だと、今は気が付いている、その様にも聞こえる。
「思わなかったといえば嘘になりますけど。それこそ控えは今も残っていますからね。」
「残してるんだ。」
「楽しかった時、それを思い出すときに、やはりあると思い出しやすいですからね。」
そういって祖母が少し考える様なそんなそぶりをしてから、僕の疑問に応えてくれる。
「ただ、治すのは後輩に任せようかな、そう考えたんですよ。」
「そうなんだ。」
「ええ。先輩でも間違えている事が有る、それでいいかなと。」
「えっと。」
「だって、私たちよりもっとえらい学者の方でもたくさんの間違いがあったんですもの。
それなら、間違いがあって当たり前。それでいいでしょう。」
何となく、分かるような、分からないような。
ただ、彼女にもそんな話はされた。天文学者は間違いが見つかったら喜ぶのだと。
「だって、その時の私たちは、私たちで頑張って、その成果ですから。
あってる、間違ってる。そうではなくてそれを残した、その事が大事だったんですから。」
「そういうものなんだ。」
「ええ。少なくとも、あの時の私たちが出来る事、それはやって、それで間違っていたなら良いではないですか。
それも楽しく懐かしい思い出ですよ。」
話を聞いても、分かるような、分からないような。
多分僕は祖母の持っている控え、それを見たところで何が書いてあるかも分からないだろうし。
じゃあ、祖母が納得してるなら、それ以上は良いよね。そう納得してしまう。
表情は相変わらず不思議ではあるけど、話している声は楽しそうなんだから。
ただ、その話を聞いて、楽しそうではない相手がいる。
僕はそちらに意識を向けなきゃと、そう考えてしまうから。
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