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ジョセフ様がいなくなり、部屋には私とメイリンだけが残された。
「申し訳ございません。数々の失礼、お詫び申し上げます」
メイリンは震えながら頭を下げる。
「お嬢様に掃除をさせるなど」
婚姻前だからお嬢様と呼ばれるのは仕方がないが、それほどの人間ではないことは自覚している。現にお嬢様であれば、掃除に手を出したりはしないだろう。
「気にしないでください、それよりお食事はどうなりますか」
食事について聞くなど卑しいにも程がある。だがこの状態で気になるのは、ここではどうやって生活していくかだ。
使用人がいないのだからできる人間がやるべきであろう。おそらくメイリンが食事を作ることになるのか。それとも誰か通いの料理人でもいるのか。
「申し訳ございません、すぐにお支度を致します」
そう言うとメイリンが頭を上げ歩き出した。腰に手を当てている。
「メイリン、腰が痛いのではなくて?」
はっとした目で彼女が私を見据える。
「大丈夫?少し休んでいて、私がやるから」
考えたら、メイリンたちも超特急でここまで来たのだ。私より早く着くためには相当の無理をしたはずである。急な話すぎて用意も満足にできなかったであろう。渋る彼女を抑え、私はメイリンたちの住む方の家に行った。
よくよく聞けば、隊員の人の食事は彼らが作るとのこと。食事の用意も部隊の職務になるそうなので、私とセオ夫妻のみ用意すればよかった。食材も近くから毎日支給されるそうである。部隊は体が資本なので食材はケチられていなかった。そんなわけで大量の食材が用意されていた。
「できました!」
と、準備した料理は年寄り2人と女の私の3人で食べるには量がありすぎた。取り替えごっこの時、使用人の食事を作らされたことが何度もある。使用人には若い人も多く、人数も20人以上いた。その癖があったことと、そこにあった鍋がとても大きいものだったため、私は何も考えずに大量の料理を数種類も作ったのだ。食材を全部使って構いません、と言われたからということもある。
料理を見たセオは、すぐにジョセフ様をお呼びされたようだ。
「これは・・・」
さすがに驚いたのか、ジョセフ様はしばらく瞬きもしないで料理を眺めていた。どうしよう、と私は不安になった。食べ切れない料理を作るなど経済観念のない人間だと暴露したようなものだ。しかもこれは個人の食材ではない。部隊の食材でもある。いわば税金で支給されたもの。横領などと思われないだろうか。
「ありがたく頂戴しよう」
ようやくジョセフ様が口を開いた。
「おいっ」
おそらく外にいるだろう人間に声をかける。
「はっ」
返事があり、数人の隊員が中に入ってきた。
「すげぇ・・・」
「うまそう・・・」
「料理が用意されてるなんて有難い」
「今日の隊長のシゴキは一段とキツかったからな」
小声ではあるが、彼らの言葉は本音と受け止めた。美味しそうと言われて嬉しかった。今まではそんなことなかったからだ。取り替えごっこ中、使用人は私にお礼を言うことはなかった。雇い主が使用人に礼を言うことはないからである。褒めるのではなく注意する、それが使用人への接し方なのだと彼らは言った。両親を見ていると確かにそうだったので納得していた。
「隊員の分も頂戴させていただく」
メイリンとセオも加わり、料理が運ばれていく。その様子を見ていたら、確かに作りすぎだった。大丈夫だろうかと少々心配になって、何となくジョセフ様を見ると少しだけ微笑んでいるように見えた。
「申し訳ございません。数々の失礼、お詫び申し上げます」
メイリンは震えながら頭を下げる。
「お嬢様に掃除をさせるなど」
婚姻前だからお嬢様と呼ばれるのは仕方がないが、それほどの人間ではないことは自覚している。現にお嬢様であれば、掃除に手を出したりはしないだろう。
「気にしないでください、それよりお食事はどうなりますか」
食事について聞くなど卑しいにも程がある。だがこの状態で気になるのは、ここではどうやって生活していくかだ。
使用人がいないのだからできる人間がやるべきであろう。おそらくメイリンが食事を作ることになるのか。それとも誰か通いの料理人でもいるのか。
「申し訳ございません、すぐにお支度を致します」
そう言うとメイリンが頭を上げ歩き出した。腰に手を当てている。
「メイリン、腰が痛いのではなくて?」
はっとした目で彼女が私を見据える。
「大丈夫?少し休んでいて、私がやるから」
考えたら、メイリンたちも超特急でここまで来たのだ。私より早く着くためには相当の無理をしたはずである。急な話すぎて用意も満足にできなかったであろう。渋る彼女を抑え、私はメイリンたちの住む方の家に行った。
よくよく聞けば、隊員の人の食事は彼らが作るとのこと。食事の用意も部隊の職務になるそうなので、私とセオ夫妻のみ用意すればよかった。食材も近くから毎日支給されるそうである。部隊は体が資本なので食材はケチられていなかった。そんなわけで大量の食材が用意されていた。
「できました!」
と、準備した料理は年寄り2人と女の私の3人で食べるには量がありすぎた。取り替えごっこの時、使用人の食事を作らされたことが何度もある。使用人には若い人も多く、人数も20人以上いた。その癖があったことと、そこにあった鍋がとても大きいものだったため、私は何も考えずに大量の料理を数種類も作ったのだ。食材を全部使って構いません、と言われたからということもある。
料理を見たセオは、すぐにジョセフ様をお呼びされたようだ。
「これは・・・」
さすがに驚いたのか、ジョセフ様はしばらく瞬きもしないで料理を眺めていた。どうしよう、と私は不安になった。食べ切れない料理を作るなど経済観念のない人間だと暴露したようなものだ。しかもこれは個人の食材ではない。部隊の食材でもある。いわば税金で支給されたもの。横領などと思われないだろうか。
「ありがたく頂戴しよう」
ようやくジョセフ様が口を開いた。
「おいっ」
おそらく外にいるだろう人間に声をかける。
「はっ」
返事があり、数人の隊員が中に入ってきた。
「すげぇ・・・」
「うまそう・・・」
「料理が用意されてるなんて有難い」
「今日の隊長のシゴキは一段とキツかったからな」
小声ではあるが、彼らの言葉は本音と受け止めた。美味しそうと言われて嬉しかった。今まではそんなことなかったからだ。取り替えごっこ中、使用人は私にお礼を言うことはなかった。雇い主が使用人に礼を言うことはないからである。褒めるのではなく注意する、それが使用人への接し方なのだと彼らは言った。両親を見ていると確かにそうだったので納得していた。
「隊員の分も頂戴させていただく」
メイリンとセオも加わり、料理が運ばれていく。その様子を見ていたら、確かに作りすぎだった。大丈夫だろうかと少々心配になって、何となくジョセフ様を見ると少しだけ微笑んでいるように見えた。
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