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どういうことだか朝食を作ることになった。それは別に構わない。だが、本職であるローガンが気を悪くしているのではないか、他の使用人の方はどう思ったか。そんなことが気になっている。
夕食が終わった後、別室に移動して男性陣はお酒、私とお義母様はお茶を飲んだ。少々酔いが進んだ長兄のフリッツ様が赤いお顔をされながら仰った。
「ライラは本当に品の良い食べ方をするね」
は?何を仰るのだろうか。と、私は驚いてお茶のカップを落としそうになった。
「王侯貴族でも滅多にいないよ」
しかしフランツ義兄様は尚もそんなことを仰り、グラスを飲み干した。
「僕もそう思いましたよ」
と、次兄のリアム義兄様も仰る。
「散々、貴族のご令嬢と食事をする場にいましたけど、ライラ以上のご令嬢には巡り会えませんでしたね」
「全くだ。あいつらの喋る内容ときたら、人の悪口と自分の自慢話。知ってるか?女性が女性を褒めるときは貶しているんだぞ」
「あぁ、若々しくてお綺麗ですねは、若造りしすぎなんだよ、クソババアって意味だよね」
「そうだ、そちら様の領地は景色が綺麗ですねは、田舎すぎてクソ面白くねぇんだよって意味だ」
フランツ義兄様とリアム義兄様のお話は本当だろうか。お酒のせいか盛り上がっているけど、嫌に具体的なのは何かあったせいではないか。かなり気になるが、私が口を挟める状況ではない。
「ライラ、少し外の空気でも吸いにいかないか」
お義兄様たちの話にも加わらず、静かにグラスを握っていただけのジョセフ様が手を差し伸べてくれた。誘われるままに私はその手を取った。
外は月が出ていて意外に明るい。ジョセフ様の背中を追いながら、私は外の空気を楽しんでいた。気持ちの良い夜だ。
クルーソン家の方々は本当にいい人たちだ。家族で食事をするという機会があまりなかったから、とても楽しかった。私もこのご家族の一員になれるのだろうか。そう思うと、心が温かくなるのを感じた。
「うるさかっただろう」
お義兄様たちのことだろうなと思ったが、曖昧に微笑んだ。確かにうるさかった。でも聞いていて心地よい会話だった。それを表現する言葉が見つからなくて、私はただ微笑んでしまった。
「でもあれが家族なんだ、俺の」
月に照らされているジョセフ様がわずかに笑っているように見える。ジョセフ様はとてもいい人だ。言葉は少なく、表情もあまり変化がないけれど、その分嘘がないと思う。だから信頼できるのだ。
「俺たちも家族になる」
ジョセフ様に言われると何だか特別なことのように思えた。元々は知らない人だった。王命により決められた結婚。思いつきのように言われて決まってしまったことだ。
「王命だから断ることはできない。それはわかってる。でも確認しておきたい」
目の前に立つジョセフ様を私は見た。こんな風に2人きりになったことはなかった。こんな風にジョセフ様を見ることはなかった。彼は私をただ見つめている。その瞳に何か大きな決意があるとわかる。
「ライラは本当に俺でいいのか。王命であることはこの際なかったことにして、本当の気持ちを聞いておきたい」
王命でなかったら、そんなこと想像することもできない。不敬罪に相当する。でも王命がなかったとして、ただジョセフ様と巡り合っていたら。私はどうしていただろう。
何の取り柄もない私だ。王命でなければ、私なんてジョセフ様の隣に立つことは許されない。ジョセフ様こそ、他の女性の方が良かったに違いない。でもそのことを知りたくない。ジョセフ様は嘘を言わない人だろう。本当は他の人が良かったと言ってほしくない。
「私は・・・」
何と言うのが正しいのだろうか。何を言うべきなのだろうか。本当の気持ち。そんなことは分かっている。ジョセフ様と出会えて幸運でした、ジョセフ様と結婚できることは私にとって僥倖です。心の中ではいくつも言葉が浮かぶのに、それを口にすることが躊躇われた。そのことを口にしたらジョセフ様はどう思うのだろう、そんなことが思い浮かんでしまう。
「ジョセフ様!」
そのとき使用人の1人が走ってきた。何やら手紙を持っている。
「緊急事態です!」
彼から手渡された手紙を読むとジョセフ様の顔つきが変わった。
「出かけなくては!」
「え?結婚式はどうされるのです?」
「そんなことは後だ!」
そんなこと、という言葉が思いの外大きく聞こえた。
「ライラ、事件が起きた。行かなくてはいけない」
「行ってらっしゃいませ」
私は丁寧に頭を下げた。ジョセフ様は仕事が大事なのだ。結婚よりも。私よりも。当然だ、彼の仕事は国を護ることなのだ。一瞬ジョセフ様の顔が歪んだように見えたけど、それはよく見えなかったことにした。
夕食が終わった後、別室に移動して男性陣はお酒、私とお義母様はお茶を飲んだ。少々酔いが進んだ長兄のフリッツ様が赤いお顔をされながら仰った。
「ライラは本当に品の良い食べ方をするね」
は?何を仰るのだろうか。と、私は驚いてお茶のカップを落としそうになった。
「王侯貴族でも滅多にいないよ」
しかしフランツ義兄様は尚もそんなことを仰り、グラスを飲み干した。
「僕もそう思いましたよ」
と、次兄のリアム義兄様も仰る。
「散々、貴族のご令嬢と食事をする場にいましたけど、ライラ以上のご令嬢には巡り会えませんでしたね」
「全くだ。あいつらの喋る内容ときたら、人の悪口と自分の自慢話。知ってるか?女性が女性を褒めるときは貶しているんだぞ」
「あぁ、若々しくてお綺麗ですねは、若造りしすぎなんだよ、クソババアって意味だよね」
「そうだ、そちら様の領地は景色が綺麗ですねは、田舎すぎてクソ面白くねぇんだよって意味だ」
フランツ義兄様とリアム義兄様のお話は本当だろうか。お酒のせいか盛り上がっているけど、嫌に具体的なのは何かあったせいではないか。かなり気になるが、私が口を挟める状況ではない。
「ライラ、少し外の空気でも吸いにいかないか」
お義兄様たちの話にも加わらず、静かにグラスを握っていただけのジョセフ様が手を差し伸べてくれた。誘われるままに私はその手を取った。
外は月が出ていて意外に明るい。ジョセフ様の背中を追いながら、私は外の空気を楽しんでいた。気持ちの良い夜だ。
クルーソン家の方々は本当にいい人たちだ。家族で食事をするという機会があまりなかったから、とても楽しかった。私もこのご家族の一員になれるのだろうか。そう思うと、心が温かくなるのを感じた。
「うるさかっただろう」
お義兄様たちのことだろうなと思ったが、曖昧に微笑んだ。確かにうるさかった。でも聞いていて心地よい会話だった。それを表現する言葉が見つからなくて、私はただ微笑んでしまった。
「でもあれが家族なんだ、俺の」
月に照らされているジョセフ様がわずかに笑っているように見える。ジョセフ様はとてもいい人だ。言葉は少なく、表情もあまり変化がないけれど、その分嘘がないと思う。だから信頼できるのだ。
「俺たちも家族になる」
ジョセフ様に言われると何だか特別なことのように思えた。元々は知らない人だった。王命により決められた結婚。思いつきのように言われて決まってしまったことだ。
「王命だから断ることはできない。それはわかってる。でも確認しておきたい」
目の前に立つジョセフ様を私は見た。こんな風に2人きりになったことはなかった。こんな風にジョセフ様を見ることはなかった。彼は私をただ見つめている。その瞳に何か大きな決意があるとわかる。
「ライラは本当に俺でいいのか。王命であることはこの際なかったことにして、本当の気持ちを聞いておきたい」
王命でなかったら、そんなこと想像することもできない。不敬罪に相当する。でも王命がなかったとして、ただジョセフ様と巡り合っていたら。私はどうしていただろう。
何の取り柄もない私だ。王命でなければ、私なんてジョセフ様の隣に立つことは許されない。ジョセフ様こそ、他の女性の方が良かったに違いない。でもそのことを知りたくない。ジョセフ様は嘘を言わない人だろう。本当は他の人が良かったと言ってほしくない。
「私は・・・」
何と言うのが正しいのだろうか。何を言うべきなのだろうか。本当の気持ち。そんなことは分かっている。ジョセフ様と出会えて幸運でした、ジョセフ様と結婚できることは私にとって僥倖です。心の中ではいくつも言葉が浮かぶのに、それを口にすることが躊躇われた。そのことを口にしたらジョセフ様はどう思うのだろう、そんなことが思い浮かんでしまう。
「ジョセフ様!」
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「え?結婚式はどうされるのです?」
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「行ってらっしゃいませ」
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