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先生2人のアピール合戦に耐えきれず、私はアメリアさんと王宮に向かった。とはいえ王宮にも違うアピールをしてくる人がいる。
「リサ!待ちかねたぞ」
満面の笑みで迎えてくださる国王陛下。お仕事ご苦労様です。とりあえずはリクライニングチェアの残りを作ろう。さっさと作ってとっととお暇して、家でゆったり寛ごう。私はせっせとリクライニングチェアを作る。慣れてきたのか最初に比べて簡単に出来上がるようになった。
ずらりと並んだリクライニングチェア。どこかの家具屋みたいで、見ていると圧巻である。でもこれに座って会議なんて出来るのだろうか。不安は残るが、国の代表の会議なんて経験していないのでよくわからない。
仕事は終わったので帰ろうかと思っていたのだが
「リサ、これは何だ」
陛下はそう言って私の目の前に魔法石を差し出した。それはダン様に渡したものだ。砂利のようなクズ石をまとめてみたら一つになってしまったもの。
「・・・石・・・ですね」
バカみたいだが、我ながら間抜けな返答だった。
「・・・石・・・だな」
答える陛下も間抜けな言い方だった。
「お二人とも。何をおっしゃってるのですか!」
ダン様が私たちの会話を聞いて勢いよく話し出す。
「いいですか。小さな石を集めて大きな石にするなんて、今の今まで聞いたことがありません。リサがどうやってそれをやったか、それはもうどうでもいいのです。だってリサですから」
ダン様、いくらなんでもひどくないですか?だってリサですからって、そんな投げやりな言い方。悲しいじゃないですか。思わずウルウルとした目でダン様を上目遣いで見たつもりだが、おそらく睨んでしまったようだ。一瞬ダン様が怯んでいたが、すぐに陛下に向き直る。
「とにかく、この石はすごいです。今まで王宮に非常用に保管されていた魔法石の上をいきます。最大級に魔力が込められている魔法石です」
へー、そうなんですか。言葉にはしなかったけど、心の中で棒読みで返答する。正直言って魔法石と言われてもよくわからないし、最大級に魔力が込められてなどと言われても特に感想がない。せいぜいよかったですね、と答えるくらいだ。
それは陛下も同じなのかもしれない。ダン様が興奮したように捲し立てていても、陛下は微動だにせずただ聞いているだけだった。だから私もダン様の言葉を聞いているだけだった。
「そうか」
しばらく経ってから陛下が口を開いた。私は次に何をおっしゃるのか神妙に言葉を待った。それはダン様も同じだろう。どこかワクワクした様子で口元が緩んでいるのがわかった。
陛下はやや俯いて眉間に皺を寄せ、何かを呟いている。何か重大なことを考えているようだ。
「そうですよね、陛下」
その様子を見てダン様が話を続けた。
「これはすごいことですよ。今まで何の価値もなく捨てるしかできなかったクズ石を集めれば、最大級の魔法石ができるのですから。これを解析すればどれだけの研究ができるでしょうか。我が国がどこの国よりも先を行くことが約束されたようなものです」
ダン様は本当に嬉しそうに話している。それを見ていると私もなんだか嬉しくなってきた。おにぎり作るみたいな感じでギュッとやっただけだけどね。人に喜んでもらえるのはやっぱり嬉しいものだ。
「・・・ケーキは外せないな」
陛下の小さな呟き。え?なんて?聞き間違いかと思ってもう一度陛下の言葉を待った。ダン様も呆然と陛下を見ている。ケーキ?ケーキって言った?景気?刑期?契機?計器?
「うん、決めた。やはりケーキにしよう」
陛下が顔を上げてもう一度はっきりと言った。
「リサ、ケーキだ。休憩の時はケーキがよかろう」
清々しいまでの笑顔で言ってのける陛下。ダン様は一瞬気が抜けた顔をしたが、すぐに変化する。
「魔法石ですよ、最大級の魔力の魔法石なんですよ。今までにないくらいの石なんですよ」
「うん、そうだ。魔法石だ」
陛下の言い方がまるで子どもを相手にしているみたいで、流石にダン様が気の毒になってくる。
「そんなことより休憩しよう。リサ、美味しいケーキを用意してくれ」
何がそんなことよりなんだ。と、思ったが陛下に逆らうこともできない。私は黙ってケーキについて考えることにした。
「リサ!待ちかねたぞ」
満面の笑みで迎えてくださる国王陛下。お仕事ご苦労様です。とりあえずはリクライニングチェアの残りを作ろう。さっさと作ってとっととお暇して、家でゆったり寛ごう。私はせっせとリクライニングチェアを作る。慣れてきたのか最初に比べて簡単に出来上がるようになった。
ずらりと並んだリクライニングチェア。どこかの家具屋みたいで、見ていると圧巻である。でもこれに座って会議なんて出来るのだろうか。不安は残るが、国の代表の会議なんて経験していないのでよくわからない。
仕事は終わったので帰ろうかと思っていたのだが
「リサ、これは何だ」
陛下はそう言って私の目の前に魔法石を差し出した。それはダン様に渡したものだ。砂利のようなクズ石をまとめてみたら一つになってしまったもの。
「・・・石・・・ですね」
バカみたいだが、我ながら間抜けな返答だった。
「・・・石・・・だな」
答える陛下も間抜けな言い方だった。
「お二人とも。何をおっしゃってるのですか!」
ダン様が私たちの会話を聞いて勢いよく話し出す。
「いいですか。小さな石を集めて大きな石にするなんて、今の今まで聞いたことがありません。リサがどうやってそれをやったか、それはもうどうでもいいのです。だってリサですから」
ダン様、いくらなんでもひどくないですか?だってリサですからって、そんな投げやりな言い方。悲しいじゃないですか。思わずウルウルとした目でダン様を上目遣いで見たつもりだが、おそらく睨んでしまったようだ。一瞬ダン様が怯んでいたが、すぐに陛下に向き直る。
「とにかく、この石はすごいです。今まで王宮に非常用に保管されていた魔法石の上をいきます。最大級に魔力が込められている魔法石です」
へー、そうなんですか。言葉にはしなかったけど、心の中で棒読みで返答する。正直言って魔法石と言われてもよくわからないし、最大級に魔力が込められてなどと言われても特に感想がない。せいぜいよかったですね、と答えるくらいだ。
それは陛下も同じなのかもしれない。ダン様が興奮したように捲し立てていても、陛下は微動だにせずただ聞いているだけだった。だから私もダン様の言葉を聞いているだけだった。
「そうか」
しばらく経ってから陛下が口を開いた。私は次に何をおっしゃるのか神妙に言葉を待った。それはダン様も同じだろう。どこかワクワクした様子で口元が緩んでいるのがわかった。
陛下はやや俯いて眉間に皺を寄せ、何かを呟いている。何か重大なことを考えているようだ。
「そうですよね、陛下」
その様子を見てダン様が話を続けた。
「これはすごいことですよ。今まで何の価値もなく捨てるしかできなかったクズ石を集めれば、最大級の魔法石ができるのですから。これを解析すればどれだけの研究ができるでしょうか。我が国がどこの国よりも先を行くことが約束されたようなものです」
ダン様は本当に嬉しそうに話している。それを見ていると私もなんだか嬉しくなってきた。おにぎり作るみたいな感じでギュッとやっただけだけどね。人に喜んでもらえるのはやっぱり嬉しいものだ。
「・・・ケーキは外せないな」
陛下の小さな呟き。え?なんて?聞き間違いかと思ってもう一度陛下の言葉を待った。ダン様も呆然と陛下を見ている。ケーキ?ケーキって言った?景気?刑期?契機?計器?
「うん、決めた。やはりケーキにしよう」
陛下が顔を上げてもう一度はっきりと言った。
「リサ、ケーキだ。休憩の時はケーキがよかろう」
清々しいまでの笑顔で言ってのける陛下。ダン様は一瞬気が抜けた顔をしたが、すぐに変化する。
「魔法石ですよ、最大級の魔力の魔法石なんですよ。今までにないくらいの石なんですよ」
「うん、そうだ。魔法石だ」
陛下の言い方がまるで子どもを相手にしているみたいで、流石にダン様が気の毒になってくる。
「そんなことより休憩しよう。リサ、美味しいケーキを用意してくれ」
何がそんなことよりなんだ。と、思ったが陛下に逆らうこともできない。私は黙ってケーキについて考えることにした。
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