帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人

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第2章 防衛への係わり

2.1 ミサイル防衛、日本の対策

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 10時の会合には、駐屯地からは司令官の天野陸将補、副司令官の矢野1佐に香川2佐、及び風間1尉とハヤトの付き人と化した安井が出席し、防衛研究所から何と所長の合田に加え、広田主任研究官他3名が出席している。防衛研究所の所長が訪問するのに司令官が出席しないわけにはいかないのだ。

 メーカーのエンジニアも呼ぶと言う話があったが、万が一に情報が漏れてはということで、防衛省内部の者に限っている。最初に、天野司令官から話があった。
「今日は、私どものお願いに所長までわざわざご足労頂きありがとうございます。今日の協議がそれにふさわしい意義あるものになればと願っております。とりあえず、この度の状況を当駐屯地の計測班長の香川2佐から説明してもらいます」

 それを受けて、香川からハヤトを呼んだ経緯、魔法の室内実験、衛星を監視しながらのハヤトによる中国の衛星の探知とカメラに係る操作について説明があり、付け加えて今朝の固体燃料に対する実験結果も開示された。次いで、風間の手でその後30分ほどかけて室内の大画面に魔法及び、監視室内、さらに今朝の実験のビデオが映され個々に説明があった。

 防衛研究所側は、所長以下茫然としている。
 しかし、1分ほどして所長の合田がようやく再起動してしゃべり始める。
「うーん、これだけのものを見せられれば信じざるを得ないが、いやあ今日来てよかったよ。広田君たちだけ来て、帰って報告されたら『嘘を言うな』と怒鳴りつけたところだ」

 それから、姿勢を正し続ける。
「つまり、その二宮ハヤト君が1000㎞の彼方のミサイルでも衛星でも検知して、その探知した対象の一定以下の太さの配線だったら引きちぎることもできるし、固体燃料だったら発火させることが出来るということですね?」

「ええ、でもそれはマップ機能を使った場合で、狙いをつけて探知をする場合には倍くらいに距離は伸びるようです。また、それは大気圏内の話で、宇宙空間はマナの濃度がさらに低いせいか、静止衛星軌道くらいまで探知が可能ですね。昨夕と今朝、やってみてわかったのですが」
 ハヤトが補足する。

「うーん、静止軌道というと、広田君、高度は3万6千㎞位だったか?」
 合田所長がうなり聞く、その質問に広田が答える。
「そうですね。35,786km、もう完全な宇宙空間です」

「静止衛星もエマージェンシーに備えて様々な切り離し用の炸薬を備えているから、それすら軌道を外す、結局機能を失わせることができるのか。まさに人間兵器だな」

 合田の言葉に、ハヤトが苦笑いして反論する。
「そういう言い方は有難くはないですね。もっとも異世界ラーナラではまさにそうでしたが」

「うん、これは失礼なことを言った。謝ります。何しろあなたは、政府から絶対ということで要求されている課題を、わが防衛省が総力を挙げても達成できないところを個人としてこなしてくれるのだから、あなたに足を向けて寝ることはできない思いですよ」
 合田が真面目な顔で言って頭を下げる。

 さらに合田は広田に指示する。
「では広田君、持ってきたミサイル関係の資料を出して、まずざっと説明し、さらに時間がかかっても二宮さんに理解してもらうまで説明してください。多分、何日か通う必要があるかな」

 その後、プロジェクターを使って、持ってきた自衛隊のミサイルに加え同盟国のものの詳細図、さらにロシアや中国のミサイルの想定図等の説明が2日間かけて行われた。会議での説明の後、駐屯地の司令官及び副司令官に研究所の所長は、ミサイルの説明から抜けて、額を集めて防衛省内部及び政府への対応を話し合った。

 その結果を受けて、その日の内に制服組トップの角田統合幕僚長を訪問して2人で状況の説明を行った。余りにとんでもない話に、幕僚長も戸惑ったが2人の主要幹部が緊急としてわざわざ訪問して話をしていることが、冗談などであるわけがない。

 直ちに、本部の主要幹部が呼ばれて対応が話し合われた。結果として、幕僚長角田がまとめを述べた。
「では、我々制服組とやるべきことは、まずその二宮君の能力、それも現在最も緊急なミサイルを撃墜が実際に可能か否かを実験によって確かめるということだ。
 そのため、距離的にここから概ね1000km南の父島の航空自衛隊の基地で12式対艦誘導弾の試射を行って、それを撃墜できるかどうかを実験することだな。ちなみに、その誘導弾の飛翔時間はどのくらいのかな?」

「大体15分です。しかし、当然試射のためには関係機関への周知が必要ですから、実施は3日後が最短ですね」
 別の幹部が言い、角田が続ける。

「わかった。一応事務次官と大臣には耳に入れておくよ。ところで、実験の結果二宮君の能力が実証され、1000㎞彼方のミサイルが魔法を使って撃墜できることが判ったとき、我々制服組として現在の緊迫した対KT国情勢にどうそれを生かすか、またその後に続くと考えられる中国の脅威にどう生かすか。
 正式には後日じっくり考えて揉む必要がある。しかし、ここで論点を整理するために予備的に話し合っておきたい。まず統合戦略担当官の滋賀2佐、君の考えを話してくれ」

 滋賀2佐は、32歳防大卒のエリートだが、アメリカへの留学やNATOへの出向を経験しており、そこで非常に高い評価を得て、視野が広い戦略家として次代の自衛隊を担うと目されている。滋賀は少し苦笑して口を開いた。

「わたしも魔法能力の軍事的な評価などというテーマはとても考えつかなかったし、それを真面目に考える羽目になるとは思わなかったですね。しかし、その二宮ハヤト君には是非早急に合いたいと思っています。なぜなら、その能力は彼個人が持つもので、知られている限り彼しか使えないわけですから、彼の信頼性が極めて重要になるからです」

 それから、表情を引き締めて続ける。
「先ほど天野陸将補が言われた二宮氏の持つ能力が事実として、彼が我々に協力してくれるとすれば、少なくともKT国の核の脅威は無いに等しいですね。ただ、300発実戦配備しているとされるノドンについては関東には届かないものでかつ通常弾であっても、100%の迎撃は無理である以上、我が国の脅威としてとどまります。
 しかし、もともとKT国は我が国の脅威として大きなものではありませんでした。世界の最貧国で燃料や食料の調達もままならない軍隊が、いかにその肉体的能力を磨いてみても知れています。その脅威は、いわばやけくそで自分の死と引き換えに核などで他に被害を与える意思を見せていると言うだけです。
 それに、とりわけ『人命大事病』にかかっている日本などがおびえているわけです」

 その言葉に出席者が苦笑いするのを見て滋賀は続ける。
「しかし、中国は別です。かの国のGDPはごまかしがあるにせよ、長期間経済力が伸びていない我が国の1.5倍はありますし、国の強権でいかなることも出来ます。兵器の質、操縦者の練度に差があるにせよ、かの国の軍備は量的にはすでに我が国を大きく上回っていますから、正面から殴り合えばまあ互角でしょう。
 しかし、彼らには我が国に対する絶対的なアドバンテージとしての核誘導弾がある。

 それは、アメリカの核の傘で防げるということになっていますが、誰しも自分の危険を冒してまで、他を守ろうとすることはない可能性が高いのは皆さんもご承知の通りです。
 私は、結果的に核で日本列島が大被害を受けても、その結果に対してアメリカは報復がしないと判断しています。なぜなら、自分の被害を甘受して報復して中国を荒廃させるだけで何も利益がないからです。それよりは、それを種に相手から搾り取った方がよほど利に叶います。またそれを中国も知っています」

 滋賀が一旦言葉を切ったが、これに対しては、我が意を得たという風に頷く者、そうじゃないだろうと顔をしかめる者に2分される。それを見渡して滋賀は続ける。
「しかし、彼らが簡単に日本を核攻撃できないのは、これもまた我が国が技術に優れ、世界一の海外資産、さらに住民としてのレベルの高い人々を破壊し殺すことは彼らにとって利益がないからです。さらに、この方が大きいのですが、日本人をそうやって虐殺した彼らを世界は必ず排除します。
 いかに独裁の中国政府と言えども、指導者は馬鹿ではありませんから、よほど追い詰められないと実際には核を使いません。しかし、脅しには使えますし、それはさっき言った、『人命大事病』にかかっている日本人には大変有効です」

 再度、間を取りさらに滋賀の話は続く。
「その意味で、その能力が証明された場合の二宮氏の存在は、中国のミサイルに対してもほぼ完全な抑止力になります。しかし、ここで考える必要があるのは、彼の存在をどう取り扱い、どうその能力を生かすかということです。つまり、彼とその能力の存在を明らかにするのか、隠すのかということが非常に重要になります。
 このあたりと、わが自衛隊がどう有効に役立てるか、彼の能力が本当だったという前提で少し議論しませんか」

 問うように皆を見渡して滋賀の話は終わった。それを受けて、清水海上幕僚長が口を開く。
「まず、二宮君といういうなれば決定的な兵器が、唯一無二の存在であることが問題であり、それが本当に兵器だったら警護を厳重に大事にしまっておけますが、若い人間だということが更なる問題です。つまり、完全な警護は出来ないということですから、彼の存在とその意味を外部に漏らしたら、まずアメリカも含めて弾道弾を持った世界中の国から狙われるでしょう」

「そうだな。確かに彼の存在を明かすことで出来ないな。隠し通すことも難しいが、やるしかないだろう」
 角田統合幕僚長が同意するのに、滋賀がつけ加える。

「その通りですが、一方そうして隠し通すためには、研究所でなにか画期的な兵器を開発したとする必要があるでしょう。たとえば、それは有効範囲の極めて広い電磁発生器であるとかであれば、実際の効果に合っているのではないでしょうか。そうやって、世界の目をそらしてそちらに注目させるということです。
 その場合の新兵器は当然大々的に発表し、今度KT国が日本列島を越えて弾道弾を飛ばせば、全て撃墜すると言えばよろしいでしょう。そして、その有効範囲や具体的なことは防衛機密ということで全て伏せておけるでしょう。ただ問題は、米軍がかならず技術の開示を求めてきますが、それに対する対処ですね」

 清水がうなって、考えながら言う。
「うーん、それはそうだ。またアメリカからの技術開示の要求は拒否しにくいぞ。大体が自衛隊の兵器体系は全て米軍由来だからな。どうだ、こういうのは?異世界人からもらったというのだよ。それが、科学的な機器に見えれば、魔法で撃ち落とすというより信ぴょう性があるのではないかな。
 そして、それは唯一無二のもので、分解は固く止められているのでできないとすれば、絶対渡せないという説明にもなる」

 海上幕僚長のこの案に滋賀はいささか驚いた。自分にもいい案が無くて困っていたところであり、清水の案を聞けばその頭の柔らかさに自分もまだまだ及ばないところがあると痛感した。また、考えてみればこれは真実にかなり近い答えであり、米軍にしてみればそうした兵器が唯一無二であり、かつ防御にしか使えないというものであれば、自分たちのためには危険が及ぶ可能性は無いわけで特段不利益にはならない。

 その後、しばらくの議論の後に角田幕僚長が結論を出し、最終的に防衛研究所に対応を迫る。
「わかった、突飛ではあるが、比較的真実に近いなかなか面白いアイデアであるし、どうもそのような答えしかないようだな。ちなみに、合田さん、それらしい装置はできるでしょうか?」

 合田は、そう言われるのを覚悟して皆の議論の間考えていたが、統合幕僚長の問いに力強く頷く。
「実際にそのような能力を求められたら困りますが、ダミーでしたらそれらしいものは出来ますよ。しかし、製作には1週間は欲しいですね」

 このようなことに決まり、防衛研究所では大車輪でその秘密兵器を作る一方で、父島での実験の準備が進められた。一方で、ハヤトは約1日半でミサイルの構造を基本的に理解し、安田が貸与されたパソコンにそれらのデータを読み込んだので、ミサイル関連の当面必要な仕事は終えた。

 4日目の朝、安井と一緒に食事の後、士官用のカフェテリアでくつろいでいると、迷彩戦闘服姿の水藤秀樹2尉が同じ服を着た2人を連れて現れ、ハヤトに声をかける。
「やあ、おはようございます。二宮さん」

「ああ、年下の私に敬語を使うのは止めてください。ハヤトでいいですから。まあ、良ければ座ってください」
 ハヤトが言うが、まず水藤は連れてきた2人を紹介する。

「では、ハヤト君と呼ばしてもらうよ。こちらは体錬班長の村上3佐で、もう一人はその補佐をしている吉村2尉です」
 村上は中肉中背だが引き締まった体つきの30代後半で、吉村は長身で骨ばっているが筋肉はしっかりついている。いずれもきびきびした動作で、まず村上から話しかけ、椅子を引き寄せてハヤトの正面に座る。

「失礼する。では我々も座らせてもらおうか」
 さらに村上は続ける。
「水藤君から、君が指導してくれるという身体強化の訓練の実施について、打ち合わせをさせてもらいたい」

 ハヤトが頷いて「いいですよ。お待ちしていました」そう言うのを聞いて続ける。
「実は、君も聞いているかと思うが、君が指導した狭山第2中学校で、いろんな競技の世界記録が出たということで、すでに日本のみならず世界的な大騒ぎになり始めている。
 君の名前は出ていないが、時間の問題でいずれはもれるだろうね。それはそれとして、私たちは中学生が世界記録を連発したというそのトレーニング法が知りたい。是非この駐屯地、さらには全自衛隊に導入したい。いつからそのトレーニングは始められるかな?」

 それに対してハヤトが答える。
「うーん。いずれは中学校に指導を迫る相手に私も指導をしなくてはならないでしょうね。しかし、この駐屯地でやっているミサイル関係の件である程度方向が出るまでは、ちょっと私が表にでるのはまずいでしょう。私が考えてもやばいと思うくらいだから、自衛隊からもちょっとしばらく我慢と言う話になるはずです。
 ですから、暫くは一種の治外法権のこの駐屯地に留まるのが無難なので、今日からでも訓練を始めてもいいですよ。効率の良いやり方としては、魔力の強い人をまず集めて、彼らの身体強化を行った後はかれらに訓練をさせることですね。
 ただ、年齢は40歳以下でないと効果は期待できないので、35歳以下ということで線引きをしたいですね。魔力の強い人は私が選びますので、35歳以下の人をまず集めてください。何人位になるのですか?」

「この駐屯地には1万人位所属しているが、大体半分だな。何しろ我が陸自の平均年齢は35歳だからね。全員をいっぺんには無理だが、1000人位ずつ集めるよ。今日の午後13時に中央グラウンドにできるだけ集める」

 その日の午後、1200人位が集まり約8%の100人が選ばれ、2日をかけて5200人の内から全員で480人が選定されたが、彼らは、ハヤトの指導の下で2日の内には全員が身体強化をできるようになった。さらに、彼らはハヤトの助力の下で1週間以内に、ほぼ対象の隊員の全員の身体強化が出来るようにしたため、駐屯地は約5000人のトレーニング・ジャンキーに占領されてしまった。

 なお、村上3佐は年齢制限を超えていたが、無理やりトレーニングに入り込み、身体強化が出来るようになっている。こうして年齢制限を超えて、身体強化が出来るようになった者が1000人近くおり、脳筋とささやかれる自衛隊員らしいとハヤトは思うのであった。
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