帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人

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第9章 世界での新たな展開

9.5 アンノウン対策の始動

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 ハヤトは新日本会の幹事長水田と共に長期政権を築いている篠山首相に女房役の大泉官房長官、さらに1年前に交代した西田防衛大臣に対してアンノウンに関して説明している。

「お忙しい時間を割いていただき大変恐縮です。これは、本来防衛省から挙げてくるべき話で、我々の会から提議することは異例のこととは承知しています。しかし、今回の話は魔法に深く係わっておりますし、魔法がらみの話については、わが会のハヤト会長が一人者であることは明らかであります。
 しかも、会長がその魔力でかのアンノウンに接触していますので、この話をさせていただきます」
 水田から皮切りの話があった。

「うん、かまわない。防衛大臣から大体の話は聞いて、我々も心配していたところだ。むしろ現状では、最も事態を飲み込んでいる君たちの話を聞きたい」
 官房長官が応じる。

「ではまず、西田防衛大臣はどのような話をされたかお聞きしたいのですが?」
 水田が防衛大臣に聞く。
「うん、私からはリストを示して、わが国でのアンノウンの発見事例を説明して、これがわが国のみの現象でないことも申しあげた。さらに、それがハヤト君の探知によると魔力によって駆動されているらしいこともね。今日、その件で航空自衛隊が主催して会議が開かれていることも話をしました」

 西田の答えに応じてさらに水田が言う。
「ありがとうございます。私どもの日本新生紀会では、昨日この件について討議しました。その結論は、このアンノウンは現時点においては、明確な敵意を持ったものとして扱うべきであり、そう考えると極めて深刻な脅威であります。なにより、彼らは自由に我々の国土の上空に出没することができるのですから、彼らが例えば爆撃という手段を持っていれば、我々にそれを防ぐすべはないのです。
 その上に、世界中に出没している数からしても、明らかに極めて大きな規模であると考えられます。従いました、この件は安全保障上の危機として、深刻に受け止めるべき問題であり、わが国は総力を挙げて取り組むべきです」

 聞いていた首相以下の2人は深く頷く。
「正直に言って、この件に対しては戸惑っているというのが、私の正直なところだ。ここでは、なにより、そのアンノウンの乗員の心理を感じ取ったという、ハヤト君のその時の受けた印象を聞きたい」
 篠山首相が言うのにハヤトが応じる。

「はい、ではまずアンノウンの機体自体の構造を探りましたでその説明からしましょう。まず、アンノウンは、魔法を感じ取れる私からすれば非常に目立ちます。全く意識していなくとも、200㎞程度でしょうか、そのくらいの距離になれば気が付きます。
 また、機の大きさはすでに報告されたようですが、その容量の1/4程度を使ったマナを圧縮したタンクがありますね。また、その機の中に探査の意識が入り込むには相当な抵抗があって、私はそれを押しのけて入り込めますが、自衛隊の水井君は無理だったようです。

 その機の中には地球の航空機で必要な操縦装置らしきものはなく、また武器らしいものもありません。したがって、たぶん乗員の魔力によって操縦し、さらに攻撃は、いわゆる魔法によって行うのだろうと思います。乗員は、強い魔力を持つ人型の一人と、小さな猿のような魔力のある従者ですね。
 彼らは私の探査のための意識の機内への侵入に気が付いて非常に驚き、私が彼らの意識を探ろうとすると必死に抵抗しました。結局、私も表層の意識しか探れませんでしたが、そのパニックの中でその乗員は、従者と一緒に時元の壁を越えて呼びかけ、そのアンノウンの機はすぐにぷっつりと消えてしまいました」

 水田はすでに聞いた話であったが、他のメンバーはそれを聞いてどう考えていいかわからない様子であった。2~3呼吸の後、大泉官房長官がハヤトに問いかける。
「ハヤト君、表層の考えというのはどういうものだったかな?」

「はい、まず無意識のうちに自分の立場を明かしていました。その乗員は、自分の民族というか国家の中での特権階級ですね。さらにその国家はいわゆる帝国であり、多くの異民族や国を従えている存在です。従って、この地球という彼にとっての異世界は、彼にとっては当然征服されるべき存在であるということです。
 また、自分と同じような存在、つまりアンノウンの乗員は極めて数が多いようで、私が探った彼はその一員であることを誇りに思うとともに、大勢の一人であることを忌々しくも思っていました。たぶんその数は、数万でなく数百万でもなく、数十万ですね」

「数十万!」
 ハヤトの言葉に西田が小さく叫ぶ。それを聞きながらハヤトは話を続ける。

「さて、蛇足ですが、その彼には配偶者と子供がいて、彼なりに愛しく思っているようですね。その意味では人間と変わらないと言えます。問題は、その乗員のその時点で行っているプロセスが、極めて手慣れたものであるようであることです。
 まず発見した異世界を徹底的に探り、その結果に基づいて十分に準備を行ったうえで、その世界の中心になる数地域を破壊占領して、拠点を作るようですね。そして、その拠点をもとに屈服を迫るようです。ちなみに、あのアンノウンには母艦があり、母艦ごとに異世界からの侵入点を作っているようです。現在動員されている母艦は18です」

 ハヤトは再度言葉を切ると、首相以下は頭を抱え込んだ。
「うーん、それは。確かに深刻だ。ハヤト君はわかっていることはそれだけかね」
 大泉官房長官が俯いていた顔を上げてハヤトに問い、ハヤトが応じる。

「いえ、まだ少し悪い話が………。これも注目すべき点ですが、私がそれを探り出した後に日本には2回アンノウンが出現していますが、それらはすでに私が接触したことの対策がされていました。具体的には、バリヤーが明らかに強化されており、力押しでは破れませんでした。実際には、破る方法はありますが、それは今回試しませんでした。
 この点で、アンノウンの対応能力は非常に高いことは覚悟すべきです。それから、現在行われているアンノウンの情報収集は、おおむねあと半年といったところだと思います。それから、その情報に基づく準備に半年、1年後には侵攻は始まると考えるべきだと思います」

しばしの沈黙が下りた。
「うーん。わかった。宇宙からの侵略という話はSFで沢山あったが、異世界からの侵略か。それで、日本新世紀会の提言はどういうことかね?」

 首相がその沈黙を破った。それに対して水田が答える。
「日本の戦時体制への移行です。今現在アンノウンに対抗する技術が、日本とアメリカにしかない現状で、一方のアメリカの製造業が壊滅状態に近いことから、アンノウンの帝国世界に対抗する兵器供給は、わが国が大半を担うことになるでしょう。
 これはその生産を担う人材の質を考えた場合に、処方がほぼ国民全員に行きわたっているという現状を踏まえると、妥当な線だと思います。しかしながらそのためには、いわゆる国際社会に対して、その生産を支える物資の供給を要求する必要があります。とは言え、世界へのそうした説得は一筋縄にはいかないと思います。

 したがって、国際社会はどうあれ、わが日本に関しては、自らを守れる十分な体制をすぐにでも整える必要があります。そのあたりの全体的な計画を策定する必要があり、わが会では陽電子頭脳を使ってその計画の策定に入っております。これらの機材については、一部政府の了承の必要があるところを我々の独断で使わせていただいていますが、これについては追認いただきたいと思っています」

「うん、それは判った。どういうところに話を通す必要があるか教えてほしい。対処しておく」
 大泉が答え、水田が続ける。

「はい、ありがとうございます。それから、これも大変重要なことですが、たぶん、相当数の人々が拉致されて、情報を取られており、さらにその上で我々のマスコミの報道は傍受・解析されていると思った方がよろしいと思います。当然、彼らがわが日本が彼らに対抗できる武器を製造していることを知れば、当然早めに攻撃を集中してくるでしょう。
 従って、我々がどういう準備をしているか、マスコミが報道しないようにする必要があります。この情報管制は、現在日本にとってはデリケートであり、極めて対処が難しい問題ですので、どうするか、AIを使って検討し、一応の結論を得ました」

 言葉を切った水田に対して、出席者は確かに難しい問題だと同意しながら次の言葉を待つ。
「産業のシフトによって、人材の大幅な配置転換と、資金・資器材の大規模な用途転換を実施するためには、経済・産業界の同意が必要です。さらに、先ほど言った情報コントロールを行うためには、マスコミ界の同意が同様に必要です。ハヤト会長の話に、その時期が1年後とあったように、遅かれ早かれ戦端を開くことになる1年後には、情報は開示することになります。
 したがって、1年と時間を限って、この関係の発信を厳禁した状態での国を挙げての準備が必要になるわけです。ですから、まずやるべきことは、各企業・組織それぞれまで網羅した1年間の行動計画の策定です。これには、着手はしていますが、1ヶ月は要すると思います。

 ですので、その間に先ほど挙げた対象の企業等のトップへの周知が必要です。それと、マスコミ、つまり新聞を含めた出版、テレビ・ラジオ・インターネットのすべての発信施設に検閲システムを仕掛ける必要があります。
 出版は別として、これは一定のキーワードの文言が発信されようとしたときには、自動的に別の言葉に入れ替わるようなシステムを発信装置に仕掛けることです。技術自体は難しいものではありませんが、いずれにせよその所有組織の了解を得る必要があります」

 水田の言葉を聞きながら俯いていた首相が、水田が言葉を切ると顔を挙げて言う。

「うーむ、わかった。我々政府は、人々に事実を明かしての公的に呼びかけはできないのだね。秘密裏に政府が軍備を大拡張するなど、まさにマスコミの餌食の話だなあ。これは、国会での討論もできないな。しかし、秘密は必ず漏れるし、その場合に備えて、しかるべき立場のものには、事情は知らせないとしょうがないだろう。野党の議員もつんぼ桟敷に置けないだろうね。これは、しかし難しい話だな」

「おっしゃる通り難しい話です。しかし、わが会の計算では、1年後に事実彼らが侵攻を開始した時には、さっき言った準備ができれば、わが国は、ほぼ100%守れ、占領されることはありません。しかし、残念ながら施設や人々への被害は完全には無くせません。相当な被害は覚悟する必要がありますね。

 また、国際的な協力がない場合、80%位の人口に当たる国々は占領されるでしょう。国際的な協力が理想通り行った時には、抵抗の段階ではっきり言って数千万人の人的被害は出ますが、占領される国はなく相手を追い返せると計算されています。
 さらにもし、情報がすぐにでも漏れて、彼らが侵攻を前倒して、例えば2か月後にわが国に攻撃を集中した場合、わが国は大被害を受けたうえで占領されます。その後、世界も抵抗しなければすんなり占領されることになりますが、抵抗すれば大被害の後に占領されます。情報封鎖の重要性をわかっていただけますか?」

 首相の話にハヤトが淡々と応じる。それに対して、首相以下の閣僚は顔色を変え、官房長官がせき込んで言う「そ、それほどの相手かね?」

「そうです。相手は地球レベルの国をたぶん10以上征服してきた世界です。現時点では、わが国とアメリカのもっている、重力エンジンの機動力を発揮する以外の軍備では全く歯が立ちません。さらに、敵の戦力は極めて膨大です。ある程度は質で対抗するとしても、どうしても、それに対抗する量の装備を建造して人々が使えるようにする必要があります。また、そのいくつかは今から開発する必要はありますが」
 ハヤトが、言い聞かせるように丁寧に答える。

 2日後、非公開のアンノウン対策会議が、開かれた。
 日本政府の全閣僚、経済産業団体・マスコミ団体・学術団体・学校関係組織の正副の長、それに加えてアメリカの日本大使とデニーズ国防長官他の随員、台湾の日本大使・劉国防長官(台湾はすでに日本と正式な国交を結んでいる)他の随員が出席している。

 アメリカ・台湾の防衛大臣の入国は完全に秘密である。250人にもなる出席者に対し、司会を務めた大泉官房長官から秘密厳守の必要性が説かれたうえで、日本新世紀会の水田から先日の首相以下への説明と同様な内容が資料を駆使して説明された。

 さらに、ハヤトは全員が魔法の処方済みの出席者に対して、自分がアンノウンの乗員から受けた印象と、読み取れた内容を念波で伝える。それを受けた皆は、自分たちの感性からすれば、邪悪と感じるその乗員の異質な個性に恐怖し、そうした彼が、地球全体を征服して、その支配下に置くことを当然と感じていることに恐怖した。
 そのような、被征服民に対して一片のシンパシーもない存在の支配下に置かれることが、どういう意味を持つか、このことを感じざるを得なかった。

 その会議の場に集まった人々は、様々な立場と考え方を持っているが、念波で示された事実と感じる外はない相手には、流石に平和裏に共存できるとのお花畑の考えを持つものは居なかった。だから、これらの人々は、水田が言うように、日本が自らと地球を守るために戦時産業体制に入ることについては、全員がその必要性を認めた。

 しかし、それを秘密にして行うことについては、様々な異論が出た。代表的なものは新聞協会会長のY新聞の会長の矢代純也であった。
「こうした存在が出没することになった以上、また、その侵略の意図が明らかである以上、それに対する防衛のために、いわば戦時産業体制を構築する必要性は判りますし、我々も協力します。しかし、それをその行動の主体を担う人々に秘密にしたままというのは、実体的に不可能なのではないかと思います。

 確かに、わが国を含めた地球の状態が監視されていることは、それなりに的確にアンノウンが飛行していることから、その可能性は高いでしょう。さらに、確かに日本が世界の中心になって、その準備に入っていることが分かった場合には、準備不十分な状態で早い時期の集中攻撃を受ける可能性が高いことも理解できます。
 しかし、そうであっても、人々にその意義を理解してもらって、高い意欲でその防衛のための行動に励んでもらう方法がないものでしょうか」

 それは誰しもが思うことであったので、会場に沈黙が落ちた。それを破ったのは、ハヤトであった。
「新聞協会会長の矢代さんの言われるのはもっともなことです。AIを使っての我々の検討でも、おっしゃった面が問題になりました。実は解決策はないことはないのです。一つは暗号化することですね。彼らは、まず間違いなく人々を拉致してその知識を吸収しています。
 ですから、言語体系についてはすでに主要なものは吸収しているでしょう。しかし、暗号で通信すればまず理解はできないはずです。また、かれらの通信形態は魔法的に図化を主体にして言葉を混ぜて使っているようです。その意味で、紙への印刷媒体というものの存在は感じ取れませんでしたので、印刷物は監視していない可能性は高いと思います。
 ですから、通信により情報をやり取りする場合には暗号を用い、あとは紙に書いた印刷物ですね。ただ、画像は一発で内容が伝わりますので禁物です」

 その言葉に、矢代や、週刊誌や月刊誌の業界代表の顔がいっぺんに明るくなった一方で、放送業界の人々の顔が曇った。
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