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第百二話 駄々こね王子
しおりを挟む魔王討伐に向けた旅は最悪の形で始まった。
世界を救うのが目的なはずなのに我が儘王子のお守りをさせられている。
これでは自分の強化などできやしない。
ギルドに討伐報告をしに行った後、宿を取る事になった。
すると我が儘王子はまたしても無茶を言い始める。
「よし!では最上級ホテルに泊まるとするか」
「待て待て待て待て待ってください!そんな金どこにあるのですか!?お金持ってるのですか?」
今の質問は流石に失礼だっただろうか?
だが、最上級ホテルは最低でも金貨10枚はする。
平民はあまり泊まらない所で、貴族や大商人が観光の際に泊まることが多い。
平民の平均年収が凡そ金貨30枚だから、どれだけ高価なホテルなのか想像がつくだろう。
「金なんて僕は持ってきていない。だが、この間父上からお前達は報奨金を受け取っていただろう?折角沢山金があるのだ。パーッと使おう」
「いやいやいや!あれは僕達の個人お金ですからパーティーとして使うわけにはいきません!それに宿にそこまでのお金はかけられません。出来るだけポーションとかのアイテムや装備にお金を使うべきです!」
そうやって訴えかけたが、どうやら心に響かないようだ。
「僕に普通の宿に泊まれというのか!」
そりゃあこの旅に参加する以上今までみたいな暮らしは出来ないだろう。
毎日高級ホテル暮らしなんて出来るはずがない。
「ダメだ!最上級ホテルにするぞ!」
結局僕達は金貨15枚もする高級ホテルに泊まる事になった。お金も出させられた。
ストレスしかたまらない……
仕方なく高級ホテルに泊まろうとすると王子が一人用の部屋を要求してきた。
ただでさえ高いのにそれぞれの部屋なんか用意してられない。
僕とエルナとクリフは同じ部屋で……
という流れになったら今度は
「僕だけ除け者にする気か!?」
と怒ってきた。
面倒くさいが僕とエルナは一緒の部屋で、クリフと王子は1人部屋になった。
「ごめんクリフ、こんな風になって……」
「大丈夫です。気にしないでください」
王子はホテルに荷物を置くと、高給料店がある場所へと向かっていった。
因みに金貨10枚たかられた。本当にいい加減にしてほしい。
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