最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域

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最終話 最弱スキルも9999個集まれば最強だよね

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「あれは西暦2999年、日本……いや、世界中でまだ魔法が信じられていなかった時代の事………私はこの星とは違う地球という星で生まれたのです。私が生まれた頃は魔力というものがあまり認知されておらず、一部の馬鹿が妄言を言っていると思われていました。大人になった私はNAZAという機関の宇宙飛行士になります。ある時、新しく惑星を発見したので調査しようという話になったのです。事前に調べたところ我々地球人が生存できる環境である可能性が高いと分かり、無人探査機が送られました。すると、近くまでの写真は撮れましたが肝心の惑星内での写真は一切撮れなかったのです………



「どういう事だ?故障か?」

「クッソ!折角大量の資金を使って調査したというのに全てパーだ!」

「いや、待て。なんだこれは!?惑星全体の写真でなんだかよく分からないものが写ってるぞ?」

「本当だ!……これは一体……火を吐く鳥?」



これがきっかけで私達は魔力について見直しがされました。それから更に数年後になるのですが、アメリカのある男が魔法を使うことに成功したのです。これによって私達の地球でも魔法というものが広まっていきました。研究は進んでいきましたが、更に素晴らしい魔法を使うには?となった所……件の惑星を調査するのが手っ取り早いという結論が出たのです。でも無人探査機は意味が無い。というわけで宇宙飛行士である我々がこの星に送られてきたのです。ですがここでとんでもないことに気づきました」

「……それは一体?」


「この星での空気中にある魔力量が地球より遥かに高い事です。乗組員は私以外の全員が魔力量に耐え切れず死んでしまいました。私は偶々適性があったようです。通信機もこの距離では届かないし、地球から迎えがくる様子もない。以来、この星でひっそりと暮らしているのですよ」

「……帰りたいんですか?地球に」

「ええ、でも無理でした。ここに来た時に使った宇宙船は全く役に立たなくなりましたし、あったとしてもここから地球まで96億km以上離れています。それだけの燃料はもうありません。元々かなりギリギリの燃料だったのに……」

……96億kmか…縮地を使っても無理だな。でもあの方法を使えば!

「話を聞いていただきありがとうございます。誰にも話せなかったので初めて人に話せてなんだかスッキリしました。これで諦めも……」

「あの!……もしかしたら…もしかしたらなんですけど行けるかもしれません」

「えっ!……いや、そんな馬鹿な。だってこの星の科学技術はとても地球には及びませんし、魔法も精々転移くらいしか使えない。その転移も一度行った場所限定ですから」

「詳しい話は内緒ですが、行けるかもしれないです。少し時間を貰えませんか?」 

「はい、好きなだけどうぞ」

僕は一度王都に戻り、エルナを連れてきた。

「こんにちは。えーと……勇者エルナです」

「これはこれは、どうもこんにちは勇者様」

「今日はエルナに頼みがあって連れてきたんだ」

「なんでも言ってください!」

「その……僕が狂化を使うから、それをリラックスで制御して欲しいんだ」

「構わないですけど……何故です?」

「狂化を使えば全てのステータスが伸びる。つまり魔力量も増えるから縮地の射程距離も伸びて地球まで届くってわけだ」

「ええ!いくらなんでもそれは……」

「行ける。計算したら多分行けた」

「そもそも!それが成功したとしてもケインは狂化の効果が切れるわけですから戻ってこれなくなりますよ!?」

「うん。だから帰ってくるのに手こずると思うけど…なんとかして帰ってくるよ」

「はぁ……本当に……初めて会った時から変わりませんね。分かりましたよ…リラックス!」

「よし!このまま僕の手に捕まってくださいタナカさん!」

「良いのですか?帰れなくなっても……」

「だから、構いませんよ。そもそも帰るつもりですから。地球に帰りたいんでしょう?」

「はい……そ、それじゃあお願いします」

「では行きますよ……」

僕は全魔力を込めて馴染みのあのスキルを使った。
最弱で……でも集まれば最強な…



「縮地!」








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