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冬の澄んだ朝の空気を吸い込みながら、佑奈は佳子の家のインターホンを押した。ピンポーン、という軽やかな電子音の後、ほどなくして扉が開かれる。
「おはよう、佑奈!」
玄関に姿を現した佳子は、期待に満ちた表情で佑奈を迎え入れた。そしてすぐに、彼女の姿を見て目を見開く。
「ねえ、それ……」
「あ、これ? 前に佳子がくれた服。今日、せっかくだから着てこようと思って」
柔らかいニットのセーターに、シンプルなプリーツスカート。佳子が選んでくれた服は、いつもより少しだけ大人っぽくて、でも佑奈の雰囲気にもよく馴染んでいた。そんな姿を見て、佳子はぱっと頬を染める。
「すっごく似合ってる……。あげてよかった」
「えへへ、ありがとう」
照れくさそうに笑う佑奈に、佳子もつられるように微笑む。そんな穏やかな雰囲気のまま家に上がり、荷物を置いて一息ついたところで、佳子が思い出したように提案する。
「ねえ、まずはお風呂に入らない? 朝からさっぱりしたほうが気持ちいいし」
「うん、いいよ」
二人は浴室の脱衣所へと向かい、それぞれ服を脱ぎ始める。しかし、そこで佳子の動きが止まった。
「……ちょっと、佑奈」
「ん?」
佳子の視線が、佑奈の胸元に向かう。そして、わずかに困ったような表情を浮かべた。
「また……大きくなってない?」
「えっ?」
言われて思わず胸を見下ろす。確かに最近、下着が少し窮屈に感じることがあった。しかし、あまり気にしていなかったので、あえて買い替えずにいたのだ。
「ちょっと待って、サイズ合ってる? なんか、きつそうに見えるけど」
「……かも」
「やっぱり! もう、無理して小さい下着使い続けるのよくないよ! ちゃんと自分に合ったのをつけなきゃ、形崩れたり、締め付けすぎて血行悪くなったりするんだから」
まるで母親のように説教を始める佳子に、佑奈は少し困ったように笑う。
「でも、サイズが大きくなると……高くて……」
「じゃあ、私が買ってあげる!」
「えっ?」
あまりにも即決だったので、佑奈は思わず目を瞬かせる。
「だって、佑奈のためだもん。放っておけないし、それに……その、私が選びたいの」
「選びたい……?」
「い、いいでしょ! サイズ測って、ぴったり合うのを見つけてあげるから! お金は気にしないで!」
佳子は妙に力を込めてそう言った。佑奈はその真剣な表情を見つめ、少しだけ頬を赤らめる。
「……うん。じゃあ、お任せしようかな」
「よしっ!」
意気込む佳子に、佑奈はくすっと笑った。
そして、そのまま二人は湯気の立ちこめる浴室へと向かう。朝日が柔らかく射し込む大波多家の浴室は、一坪以上ある広さに加え、大理石を模したパネルで作られた床と壁が光を反射して優雅な空間を演出していた。佑奈は思わず目を見開き、
「うわぁ……お風呂ってこんなに広いものなの?」
思わず驚嘆の声を上げた。佳子はそんな佑奈の様子に満足げに微笑む。
「えへへ……佑奈の家でさ、密着して入るのも私は好きだけど、今日はその……のんびりしてよ」
と、佳子が浴槽を指しながら言う。
「そうだ、洗いっこしよう」
佳子がシャワーヘッドを持って、佑奈の背後に立つ。佑奈は振り向いて自分でやるよと遠慮するが、佳子は頑として聞かず佑奈を風呂椅子に座らせた。
「いいの。私がやりたいだけだから。……ほら、お湯かけるから目を閉じて」
佳子はそう言いながら、水を出し始める。すぐにほどよい温度になり、佑奈の髪を濡らす。ボトルからシャンプーを出し、泡立ててから佳子は優しい手つきで佑奈の髪を洗い始める。
「……気持ちいい」
佑奈がぽつりとつぶやくと、佳子はふふっと笑った。頭皮をほぐすように洗い、ほどなくして再びシャワーで泡を流す。
「交代だね」
佑奈も同じように佳子の髪を洗う。佑奈より長い髪を丁寧に洗い、浴槽に入らないよう簡単にまとめ上げる。
「はうぅ……」
お湯はぬるめに設定されていて、ゆっくりと体を芯から温めていく。気の抜けた声を出す佑奈に、佳子が微笑む。浴槽は二人が向き合っても余裕があるほどに広かった。
「あのね、佑奈……おねがいがあるの」
まったりとした無言の時間がしばらく続いた後、おずおずといった様子で佳子が口を開いた。
「ん? 何?」
「その……佑奈の胸、触ってみたい」
「……え?」
思わぬ言葉に、佑奈は固まる。しかし、佳子は真剣な表情のまま続ける。
「だ、だって、どんな感じなのか……確かめてみたくて。私とは全然違う大きさだし、その……抱きしめてもらった時とか、ずっと気になってたの」
「そ、そうなんだ……でも、恥ずかしいな。そんな、真正面から言われちゃうと……」
恥じらうように腕で胸元を隠す佑奈だが、隠しきれていないしむしろ柔らかさを強調するような形になってしまう。
「お金は後で払うから!」
「は?」
あまりにも突拍子もない言葉に、佑奈は呆れたようにため息をつく。しかし、次の瞬間には、くすっと微笑んでいた。
「……お金なんていらないよ」
「え?」
「だって、佳子が下着を買ってくれるんでしょ? じゃあ、それのお礼に」
そう言って、佑奈は少しだけ腕を開いた。
「好きにしていいよ」
佳子の頬が、みるみるうちに赤くなる。
「ほ、本当に!? いいの!?」
「うん。でも、ほどほどにね?」
「……わ、わかった!」
そう言って、佳子はそっと手を伸ばす。熱い湯気の中、二人の距離はゆっくりと縮まっていった——。
「おはよう、佑奈!」
玄関に姿を現した佳子は、期待に満ちた表情で佑奈を迎え入れた。そしてすぐに、彼女の姿を見て目を見開く。
「ねえ、それ……」
「あ、これ? 前に佳子がくれた服。今日、せっかくだから着てこようと思って」
柔らかいニットのセーターに、シンプルなプリーツスカート。佳子が選んでくれた服は、いつもより少しだけ大人っぽくて、でも佑奈の雰囲気にもよく馴染んでいた。そんな姿を見て、佳子はぱっと頬を染める。
「すっごく似合ってる……。あげてよかった」
「えへへ、ありがとう」
照れくさそうに笑う佑奈に、佳子もつられるように微笑む。そんな穏やかな雰囲気のまま家に上がり、荷物を置いて一息ついたところで、佳子が思い出したように提案する。
「ねえ、まずはお風呂に入らない? 朝からさっぱりしたほうが気持ちいいし」
「うん、いいよ」
二人は浴室の脱衣所へと向かい、それぞれ服を脱ぎ始める。しかし、そこで佳子の動きが止まった。
「……ちょっと、佑奈」
「ん?」
佳子の視線が、佑奈の胸元に向かう。そして、わずかに困ったような表情を浮かべた。
「また……大きくなってない?」
「えっ?」
言われて思わず胸を見下ろす。確かに最近、下着が少し窮屈に感じることがあった。しかし、あまり気にしていなかったので、あえて買い替えずにいたのだ。
「ちょっと待って、サイズ合ってる? なんか、きつそうに見えるけど」
「……かも」
「やっぱり! もう、無理して小さい下着使い続けるのよくないよ! ちゃんと自分に合ったのをつけなきゃ、形崩れたり、締め付けすぎて血行悪くなったりするんだから」
まるで母親のように説教を始める佳子に、佑奈は少し困ったように笑う。
「でも、サイズが大きくなると……高くて……」
「じゃあ、私が買ってあげる!」
「えっ?」
あまりにも即決だったので、佑奈は思わず目を瞬かせる。
「だって、佑奈のためだもん。放っておけないし、それに……その、私が選びたいの」
「選びたい……?」
「い、いいでしょ! サイズ測って、ぴったり合うのを見つけてあげるから! お金は気にしないで!」
佳子は妙に力を込めてそう言った。佑奈はその真剣な表情を見つめ、少しだけ頬を赤らめる。
「……うん。じゃあ、お任せしようかな」
「よしっ!」
意気込む佳子に、佑奈はくすっと笑った。
そして、そのまま二人は湯気の立ちこめる浴室へと向かう。朝日が柔らかく射し込む大波多家の浴室は、一坪以上ある広さに加え、大理石を模したパネルで作られた床と壁が光を反射して優雅な空間を演出していた。佑奈は思わず目を見開き、
「うわぁ……お風呂ってこんなに広いものなの?」
思わず驚嘆の声を上げた。佳子はそんな佑奈の様子に満足げに微笑む。
「えへへ……佑奈の家でさ、密着して入るのも私は好きだけど、今日はその……のんびりしてよ」
と、佳子が浴槽を指しながら言う。
「そうだ、洗いっこしよう」
佳子がシャワーヘッドを持って、佑奈の背後に立つ。佑奈は振り向いて自分でやるよと遠慮するが、佳子は頑として聞かず佑奈を風呂椅子に座らせた。
「いいの。私がやりたいだけだから。……ほら、お湯かけるから目を閉じて」
佳子はそう言いながら、水を出し始める。すぐにほどよい温度になり、佑奈の髪を濡らす。ボトルからシャンプーを出し、泡立ててから佳子は優しい手つきで佑奈の髪を洗い始める。
「……気持ちいい」
佑奈がぽつりとつぶやくと、佳子はふふっと笑った。頭皮をほぐすように洗い、ほどなくして再びシャワーで泡を流す。
「交代だね」
佑奈も同じように佳子の髪を洗う。佑奈より長い髪を丁寧に洗い、浴槽に入らないよう簡単にまとめ上げる。
「はうぅ……」
お湯はぬるめに設定されていて、ゆっくりと体を芯から温めていく。気の抜けた声を出す佑奈に、佳子が微笑む。浴槽は二人が向き合っても余裕があるほどに広かった。
「あのね、佑奈……おねがいがあるの」
まったりとした無言の時間がしばらく続いた後、おずおずといった様子で佳子が口を開いた。
「ん? 何?」
「その……佑奈の胸、触ってみたい」
「……え?」
思わぬ言葉に、佑奈は固まる。しかし、佳子は真剣な表情のまま続ける。
「だ、だって、どんな感じなのか……確かめてみたくて。私とは全然違う大きさだし、その……抱きしめてもらった時とか、ずっと気になってたの」
「そ、そうなんだ……でも、恥ずかしいな。そんな、真正面から言われちゃうと……」
恥じらうように腕で胸元を隠す佑奈だが、隠しきれていないしむしろ柔らかさを強調するような形になってしまう。
「お金は後で払うから!」
「は?」
あまりにも突拍子もない言葉に、佑奈は呆れたようにため息をつく。しかし、次の瞬間には、くすっと微笑んでいた。
「……お金なんていらないよ」
「え?」
「だって、佳子が下着を買ってくれるんでしょ? じゃあ、それのお礼に」
そう言って、佑奈は少しだけ腕を開いた。
「好きにしていいよ」
佳子の頬が、みるみるうちに赤くなる。
「ほ、本当に!? いいの!?」
「うん。でも、ほどほどにね?」
「……わ、わかった!」
そう言って、佳子はそっと手を伸ばす。熱い湯気の中、二人の距離はゆっくりと縮まっていった——。
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