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第十一話 顔合わせ
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後から知ったことだが、風俗にかかるお金は一回で銀貨数枚。金貨1枚に銀貨100枚の価値があるそうなので、私が宿の主人に言った予算は銀貨700枚分ということになる。だから彼は思ったのだろう。私は奴隷を買おうとしていると。
そう、私が訪れた店は風俗店ではなく奴隷販売の店だったのだ。どうにも私の顔にニヤつきがあったのか、ばっちり性奴隷専門店に通されてしまった。この世界では、権力者の男性に囲われている女性が、他の妾と肌を重ねることが多々あるらしく、女性同士で性行為が行われることは一般的らしい。この辺の知識は商売人として上流階級とも接点のあったクレアから、言葉として聞いたり能力で得たりした知識だ。
「と、いうことです」
今、私はことの顛末をレリエとステラに話し終えたところだ。勿論、傍らにはクレアもいる。書類への記名がまだとは言え、お金は払ったし個人的に気に入ったというのもあって、大声に驚いて現れた狐顔といくつか話をし、正式にクレアを買い取ったのだ。
「分かりました。では、クレアさん。宜しくお願いします」
「……クレア」
「ん?」
「クレアで……いい」
人見知りなのだろうか、レリエとステラに対して緊張している様子のクレア。ちなみに、あの店で一度だけ“楽しんで”きているので私に対しては、たどたどしさこそ残るが、心を開いてくれているように思える。まぁ、ご主人様という呼び方は治らなかったが。……それはそれで興奮するので構わないが。
「じゃあクレア、あたしはステラ。よろしくね」
「はい」
クレアは決して無愛想ではない。無表情でもない。やはり緊張が大きいのだろうか。それとも、何かしら心に傷を抱えているのだろうか。
「そういえば、結局ステラにもこの旅の目的を話していないんだよね。レリエ、話してあげて」
「分かりました」
私がレリエに頼むと、レリエは自分が魔王討伐を目的に旅をしていることを告げた。ステラもクレアも驚きを隠しきれていない。それもそうか。二人には悪いことをしたなぁ。一般人を巻き込むには、危険な旅すぎるもの。レリエが話し終えると、
「へぇ。アンタら、そんな大それたこと考えてたのか。面白い。やってやろうじゃん!」
「わたしはご主人様に従います」
今度は私が驚いた。ステラの反応は予想と真逆と言える。面白そう、そんな風に言われるなんて。クレアは……まぁ、予想の範疇だろう。言いそうだったし。
「では、クレアにも戦闘の経験をしてもらいます」
「ハンドメイスの経験なら……」
「明日の予定も決まりですね」
三人になった旅の仲間。これから、どんな毎日になるんだろう。
翌朝、私たちはトルキガの商店街でクレアのためにハンドメイスを購入した。また、クレアの格好も奴隷っぽい低品質な服だったから、胸元にフリルが着いたブラウスに、緑色のチェック柄が可愛いキュロット、それから武器を吊すための革ベルトも購入した。
「可愛いよ、クレア」
「ご、ご主人さま……」
口数こそ少ないがクレアのふんわりとした雰囲気はまるでアイドルだった。まぁ、鈍器を佩いているアイドルは流石に物騒ではあるが。両親が盗賊に殺害され、性的に乱暴された後に奴隷商館へ売られたらしいクレアが、いつか満面の笑みを見せてくれると私は信じている。それに……クレアは両親をすごく誇りに思っていた。だから自分のお店が持てる日がくれば……。少し柄にもなく真剣なことを思った。
この旅の後なんて、まだ考えたこともなかったのに。クレアの加入は、私の意識をけっこう変えてくれたようだ。
ーーおまけーー
ユール 魔力量
火:26 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0
水:44 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0
風:44 ?:0 空:22 ?:0 ?:0
土:18 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0
―能力習熟度―
一般常識:★★★★★★☆☆☆☆
魔術知識:★★★★★★★☆☆☆
裁縫技術:★★★★☆☆☆☆☆☆
歴史知識:★★★★★★★☆☆☆
短剣技能:★★★★☆☆☆☆☆☆
短槍技能:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
メイス技:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
金銭感覚:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ユ「★はないけど、新しい技能が追加されたね」
レ「はい。クレアさんから教えてもらう技能になります」
ス「金銭感覚かぁ。値切りスキルみたいなものか?」
ク「そう……です」
ユ「賑やかになってきたねぇ」
そう、私が訪れた店は風俗店ではなく奴隷販売の店だったのだ。どうにも私の顔にニヤつきがあったのか、ばっちり性奴隷専門店に通されてしまった。この世界では、権力者の男性に囲われている女性が、他の妾と肌を重ねることが多々あるらしく、女性同士で性行為が行われることは一般的らしい。この辺の知識は商売人として上流階級とも接点のあったクレアから、言葉として聞いたり能力で得たりした知識だ。
「と、いうことです」
今、私はことの顛末をレリエとステラに話し終えたところだ。勿論、傍らにはクレアもいる。書類への記名がまだとは言え、お金は払ったし個人的に気に入ったというのもあって、大声に驚いて現れた狐顔といくつか話をし、正式にクレアを買い取ったのだ。
「分かりました。では、クレアさん。宜しくお願いします」
「……クレア」
「ん?」
「クレアで……いい」
人見知りなのだろうか、レリエとステラに対して緊張している様子のクレア。ちなみに、あの店で一度だけ“楽しんで”きているので私に対しては、たどたどしさこそ残るが、心を開いてくれているように思える。まぁ、ご主人様という呼び方は治らなかったが。……それはそれで興奮するので構わないが。
「じゃあクレア、あたしはステラ。よろしくね」
「はい」
クレアは決して無愛想ではない。無表情でもない。やはり緊張が大きいのだろうか。それとも、何かしら心に傷を抱えているのだろうか。
「そういえば、結局ステラにもこの旅の目的を話していないんだよね。レリエ、話してあげて」
「分かりました」
私がレリエに頼むと、レリエは自分が魔王討伐を目的に旅をしていることを告げた。ステラもクレアも驚きを隠しきれていない。それもそうか。二人には悪いことをしたなぁ。一般人を巻き込むには、危険な旅すぎるもの。レリエが話し終えると、
「へぇ。アンタら、そんな大それたこと考えてたのか。面白い。やってやろうじゃん!」
「わたしはご主人様に従います」
今度は私が驚いた。ステラの反応は予想と真逆と言える。面白そう、そんな風に言われるなんて。クレアは……まぁ、予想の範疇だろう。言いそうだったし。
「では、クレアにも戦闘の経験をしてもらいます」
「ハンドメイスの経験なら……」
「明日の予定も決まりですね」
三人になった旅の仲間。これから、どんな毎日になるんだろう。
翌朝、私たちはトルキガの商店街でクレアのためにハンドメイスを購入した。また、クレアの格好も奴隷っぽい低品質な服だったから、胸元にフリルが着いたブラウスに、緑色のチェック柄が可愛いキュロット、それから武器を吊すための革ベルトも購入した。
「可愛いよ、クレア」
「ご、ご主人さま……」
口数こそ少ないがクレアのふんわりとした雰囲気はまるでアイドルだった。まぁ、鈍器を佩いているアイドルは流石に物騒ではあるが。両親が盗賊に殺害され、性的に乱暴された後に奴隷商館へ売られたらしいクレアが、いつか満面の笑みを見せてくれると私は信じている。それに……クレアは両親をすごく誇りに思っていた。だから自分のお店が持てる日がくれば……。少し柄にもなく真剣なことを思った。
この旅の後なんて、まだ考えたこともなかったのに。クレアの加入は、私の意識をけっこう変えてくれたようだ。
ーーおまけーー
ユール 魔力量
火:26 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0
水:44 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0
風:44 ?:0 空:22 ?:0 ?:0
土:18 ?:0 ?:0 ?:0 ?:0
―能力習熟度―
一般常識:★★★★★★☆☆☆☆
魔術知識:★★★★★★★☆☆☆
裁縫技術:★★★★☆☆☆☆☆☆
歴史知識:★★★★★★★☆☆☆
短剣技能:★★★★☆☆☆☆☆☆
短槍技能:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
メイス技:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
金銭感覚:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ユ「★はないけど、新しい技能が追加されたね」
レ「はい。クレアさんから教えてもらう技能になります」
ス「金銭感覚かぁ。値切りスキルみたいなものか?」
ク「そう……です」
ユ「賑やかになってきたねぇ」
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