キスから始まる異世界ハーレム冒険譚

楠富 つかさ

文字の大きさ
12 / 29

第十二話 ニシェクへ

しおりを挟む
 朝から三人の美少女たちの唇を貪り、昼間から風俗店へ足を向ける。超生きていて良かったって思う。風俗のお姉さま方の話を聞くだけで楽しいし、一般常識とはまた違った知恵を能力なしで手に入れられる。そう、花唇へのキスではなく陰唇にするキスの技術。プロをもぐったりさせる情熱的な交わりを済ませて宿に戻ると、今度はステラとクレアを相手に戦闘訓練。
 回復魔法を使える仲間がいない私たちなので、使うのはそれぞれの武器を模した木の棒。レリエの提案で相手の唇を奪ったら勝ちという私得な訓練内容になっている。確かに、常にやる気MAXで挑めるから効率が素晴らしくいい。
 それが終わると皆でお風呂に入ったり宿のご飯を食べたりして過ごして、夜は夜でお楽しみ。訓練で疲れた二人を先に寝かせて、レリエと二人っきりですごす。あ、そうそう。この寝かすという行為は深読みしてください。
 なにせ、夜ですから。クレアを迎えてから二部屋取るようにして、レリエと二人だけの時間を過ごす夜。

「お姉ちゃん、明日は次の町に出発しようと思うんです」
「そう……だね。そろそろ進まないとね」

 ここに来て5日ほど経った。今も魔王が人々を苦しめているかもしれない。そう思うと……自分の欲に溺れた日々を恥ずかしく思う。自分の欲求くらい律せないとね。

「次はどこに行くの?」
「聖都アリジャスへ行こうかと」

 聖都アリジャスはこの世界で信仰されている女神ハートロードを祀る宗教の総本山だ。場所はトルキガの北門から街道を進み、聖なる森と言われているホーランセ大森林を抜けた先だ。

「宗教の街に何かあるの?」
「はい。アリジャスの聖図書館に行けば、魔王の歴史について何か手がかりがあるのではと思っています。それに……シスターたちは回復の魔法を得意としています。そういった仲間を作れれば、この先の旅もぐっと楽になると思うんですよ」

 そっか。レリエ……そこまで考えてくれているんだ。そうなると私の願望を言うのは少しはばかられるかな。でも……やっぱりレリエと私の間に遠慮とかいらないはず。

「でもね、その前にそのぉ……」

 宗教都市ともなれば、シスター姿の女の子たちが沢山いそうだけど。

「私、ニシェクにも行ってみたい」
「なんでです?」

 ベッドで横になっているから、首を傾げるということはしないが、目に疑問の色を浮かべるレリエ。

「私、ギルドを作りたいの!」
「ギルド、ですか?」

 ギルドという仕組みを私は、風俗のお姉さま方から聞いた。レリエはその存在をきちんと理解していない。

「ほら、レリエが参加していた物流もきっとギルドと関係あると思うんだ」
「あ、なるほど」

 現代世界でいう会社のシステムをギルドは持っている。それに、ギルドを作れば異世界人である私の身分証明ができるはず。

「それにね、自分のお金は自分で稼いでみたいんだ」

 クレアを買ったのも、風俗に通ったのも、全てレリエのお金でだ。これ以上迷惑かけたくないし、それに向こうでもバイトをしてみたいと思っていたから……。

「わがまま、かな?」
「そんなことないです! 元々は私がお姉ちゃんを召喚したのが最大のわがままです。お姉ちゃんの行動は全然わがままなんかじゃないです!」

 枕に乗った頭を小刻みに横に振るレリエ。月明かりに照らされた銀髪が一房、顔にかかる。それを優しく戻しながら、レリエを撫でる。

「じゃあ、ニシェクに行こうか」
「はい!」

 トルキガとニシェクは近い位置にある。だから、ギルドの支部はニシェクに置かれている。トルキガはその分、商業施設が充実しているのだ。

「おやすみなさい」

 就寝直前のキスを交わして、私たちは眠りについた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...