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第十三話 狩り
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トルキガとニシェクを繋ぐニシェルキガ街道を私たち四人は歩いている。この街道、いくら整備されているとはいえ、魔物もでる。私もいよいよ、槍を構えて魔物と対峙している。
「ご主人様、お気をつけて」
同じく中衛であるクレアが声をかけてくれた。クレアもこのメンバーに少しずつ馴染んでくれて……とか言っている場合じゃないか。前衛を務めるステラが討ち漏らした狼っぽい魔物に槍を突き出す。喉元に槍の穂先が刺さった魔物はそのまま動かなくなり、霧散した。この世界の魔物は魔王の魔力によって形成されている為、すぐに消失してしまうのだ。だがしかし、
「コイツ、どうすんだ?」
「犬歯を剥ぎ取ってください」
それは純粋な魔王の魔力のまま絶命した時だけ。人間側の攻撃によって魔力に不純物が混じると霧散しなくなるのだ。これを活用して魔物の素材を剥ぎ取っているのだ。この辺は旅商人であったクレアの知識から引用している。
「さぁ、進もうか」
街道沿いに進み数時間でニシェクに着いた。ニシェクは工業都市ということもあり、工場が軒を連ね煙突も何本か見られる。この世界でも石炭が採れるらしくって、それらを使って製鉄をしたり、まだ実用化はされていないけれど蒸気機関みたいなものもあるらしい。いつか鉄道で旅が出来る日もくるかもしれない。暇そうにしていたおじさんにギルドの場所を聞き出し、向かってみると。
「酒場、みたいだね」
外観はウェスタンなバーに近く、木製のゲートを構えている。意を決して中に入ると、酒場みたいという印象は強まった。いくつかのカウンターと丸テーブル。大きな樽。受付と書かれたカウンターでお姉さんに意気揚々と話しかける。
「すみません、ギルドを作りたいのですが……」
私がそう言うと、告げられたのは残酷な事実。
「ギルド結成は奴隷を除く五人のメンバーが必要。見たところ、人数足りてないし、帰りな」
ギルドは簡単に作れると思っていた。なのに……。私が中途半端な知識を得て思い付いたせいで皆に無駄足をさせちゃって……。
「ごめんね、レリエ。ステラもクレアも……戻ろう」
クレアは奴隷だからメンバーは2人足りない。本当に不甲斐ない。私のわがままで無駄足をさせてしまった。
「大丈夫ですよ、また来ましょう? 一度来た場所じゃないと転移出来ないんですから、来た意味はあったんですよ。ほら、お姉ちゃん、泣かないでください」
レリエの転移術で私たちはトルキガまで移動するのだった。
「ご主人様、お気をつけて」
同じく中衛であるクレアが声をかけてくれた。クレアもこのメンバーに少しずつ馴染んでくれて……とか言っている場合じゃないか。前衛を務めるステラが討ち漏らした狼っぽい魔物に槍を突き出す。喉元に槍の穂先が刺さった魔物はそのまま動かなくなり、霧散した。この世界の魔物は魔王の魔力によって形成されている為、すぐに消失してしまうのだ。だがしかし、
「コイツ、どうすんだ?」
「犬歯を剥ぎ取ってください」
それは純粋な魔王の魔力のまま絶命した時だけ。人間側の攻撃によって魔力に不純物が混じると霧散しなくなるのだ。これを活用して魔物の素材を剥ぎ取っているのだ。この辺は旅商人であったクレアの知識から引用している。
「さぁ、進もうか」
街道沿いに進み数時間でニシェクに着いた。ニシェクは工業都市ということもあり、工場が軒を連ね煙突も何本か見られる。この世界でも石炭が採れるらしくって、それらを使って製鉄をしたり、まだ実用化はされていないけれど蒸気機関みたいなものもあるらしい。いつか鉄道で旅が出来る日もくるかもしれない。暇そうにしていたおじさんにギルドの場所を聞き出し、向かってみると。
「酒場、みたいだね」
外観はウェスタンなバーに近く、木製のゲートを構えている。意を決して中に入ると、酒場みたいという印象は強まった。いくつかのカウンターと丸テーブル。大きな樽。受付と書かれたカウンターでお姉さんに意気揚々と話しかける。
「すみません、ギルドを作りたいのですが……」
私がそう言うと、告げられたのは残酷な事実。
「ギルド結成は奴隷を除く五人のメンバーが必要。見たところ、人数足りてないし、帰りな」
ギルドは簡単に作れると思っていた。なのに……。私が中途半端な知識を得て思い付いたせいで皆に無駄足をさせちゃって……。
「ごめんね、レリエ。ステラもクレアも……戻ろう」
クレアは奴隷だからメンバーは2人足りない。本当に不甲斐ない。私のわがままで無駄足をさせてしまった。
「大丈夫ですよ、また来ましょう? 一度来た場所じゃないと転移出来ないんですから、来た意味はあったんですよ。ほら、お姉ちゃん、泣かないでください」
レリエの転移術で私たちはトルキガまで移動するのだった。
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