【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎

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赤い糸の契り

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光の中から現れた赤い糸。

誰もがその光景に息を呑んだ。

「…赤い糸の、契り…」

セシルがポソりと呟いたのを聴き逃さなかった。
そう、これはセシルと話していた赤い糸の契り。
顕現したのだ、それが。

「は……?なんで、あんたが…」

ユウ君も戸惑いを隠せない様子で、俺から流れ出ている赤い糸に釘付けになっている。

でもこの赤い糸、先が何にも繋がっていない。
どういう事だろう。

頭を廻らせようとした時、俺は思い出した。

このゲームのタイトルは、

赤い糸の先を決めるのは本来主人公だ。
でも今は、決めるのは……俺なんだ。


「……はぁー……」

深呼吸、一つ。
詠唱なんて覚えてない。
だから俺の言葉で、この糸の先を繋いでみせる。


「俺は…俺は、ユウ君みたいに主人公じゃない。ただのモブだ。……でも!アルを想う気持ちは誰にも負けない!今この片想いを終わらせたい、アル…アルバートと、生きていきたい!」

弛んでいた糸が、絡み付くように薬指に纏う。

「こんな俺だけど、誰よりも貴方を愛してます!…だから、アル!俺と一緒に…生きてください!!」

叫ぶように、咆哮にも似た声でアルへと言葉を向けた。
光の中、見つめたアルの表情が…なんて言えばいいんだろう。
嬉しい、のかな。

アルの手が俺の左手に触れる。

「…私がリオしか見えてないのは、知っているだろう?主人公とかはよく分からないけど、リオと一緒で、ずっと待ってたんだよ。私と…一緒に生きて、リオ」

糸が、俺達の周りを舞う。ゆらゆらと。
アルの左手の薬指に、俺の赤い糸が絡んだ。
結ばれる糸。

嗚呼、嬉しい。
まるで全てがアルと繋がったような感覚に陥る。

光がだんだんと弱くなり、赤い糸は見えなくなってしまった。
その代わり、俺の左手の薬指に指輪が現れた。
アルも同様のようで、左手の薬指に指輪がある。

「これが、契りの証…?」
「そのようだね」

ただの指輪に見える。外そうとしてみるけど、……、…外れない。

「外れないじゃん!?」
「契りってそういう事だからね」

アルの呑気な返しに、文句の一つでも言ってやろうと視線を向けると。
…それはもう、愛しそうに指輪を見ていた。
今更ながら恥ずかしくなってきた。


「そんな…、なんで、なんでモブのあんたなの…?」

ちょっと忘れてたごめん。
ユウ君は膝から崩れ落ちてしまい、表情は絶望の色を浮かべている。

というか、俺公開告白した…?

「まあ分かってたけどな?」
「そうですね、リオ先輩は殿下しか見てなかったですから」
「リオと殿下が…、リオがあんな告白するなんて…」

各々言いたい放題である。

「…ユウ君」
「なに、笑いたければ笑いなよ。別に僕は王子の事好きな訳じゃなかったし。……主人公って立場に胡座かいてたって、笑えよ」

ユウ君は自暴自棄になっていた。
彼はこう言ってるけど、本当に好きじゃなかったんだろうか。
…どちらにしても、もう俺とアルは契りを結んでしまった。
もし彼を好きだったとしても、遅いのだ。

「ユウ君、ユウ君はいつ、気付いたの?…その、主人公だって…」
「…、さあ、いつだったかな。気付いたら周りに皆が居て、それがアカツナの世界の人達だった。……推しは、アルバートだったよ」

…やっぱり。
俺はぎゅ、と左手を握り隠した。

「…ごめん…」
「謝んな。…まぁ…僕も悪かったよ、酷いことしようとして。…なんで攻略対象が全員あんたに向いたのか分からないけど」

確かに、そこだけは今でも謎だ。
普通なら主人公であるユウ君に気持ちがいくはず…なのになんで俺だったんだろう。

「もういいよ。センセ、僕何かしらペナルティ受けるんでしょう?一応一国の王子の婚約者に無体働いたことになるんだろうし」
「あ、嗚呼…そうだな。その事について少し話をしようか」

そう言ってレオ兄はユウ君を連れて行ってしまった。
最後にレオ兄に目で訴えてみたけど…伝わったかな?

「俺らも出るか」
「そうですね。先輩、僕たち先に外に出てますね」

今度はユーリ、セシルと続いて扉の外に出て行った。
ご丁寧に扉まで閉めて…。


俺とアルは二人きりになった。
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