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第4章
第83話:永遠の明日
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翌朝。
ベランダの向こう、リーゼンの街並みは朝靄に包まれ、黄金色の朝日がゆっくりと霧を溶かしていた。
室内には、淹れたてのコーヒーの香ばしい匂いと、焼き上がったばかりのパンの香りが満ちている。
セシルは、上掛けを一枚羽織り、ベランダの手すりに寄りかかって、新しく始まる一日の気配を深く吸い込んだ。
ふと自分の左手を見ると、アルヴィスが贈ってくれた、もう一つの銀の指輪が光っている。指を動かすたびに感じるその重みが、今の自分が何者でもない「愛される男」であることを教えてくれる。
背後から、音もなく大きな温もりが近づき、セシルの腰を包み込んだ。
「……おはよう、セシル。まだ少し、空気が冷えますよ」
アルヴィスの低い、安らぎに満ちた声。
彼はセシルを背後から抱きしめ、その肩に顎を乗せた。セシルを包み込む大きな手、その薬指には、昨夜セシルが贈った指輪がしっかりと嵌められている。
「おはよう、アルヴィス。……ううん、君がこうしてくれているから、全然寒くないよ」
セシルは幸せを噛みしめるように、アルヴィスの腕に自分の手を重ねた。
二つの銀の輪が重なり合い、朝日に反射して眩しく輝く。
五年前の自分に、教えてあげたい。
絶望の底で、魔力を奪われ、すべてを失ったと思っていたあの日。あれは終わりではなく、本当の「人生」の始まりだったのだと。
偽りの黄金の王座よりも。
飾られた嘘の奇跡よりも。
今、この男の腕の中で、自分の手で稼いだお金で買った指輪を嵌め、誰かのために薬を作る。この泥臭くも愛おしい毎日が、何よりも尊い奇跡なのだ。
「セシル。……愛しています。昨日よりも、そして明日よりも、今、私の腕の中にいる貴方を」
「……僕もだよ、アルヴィス。愛している。……さあ、朝ごはんを食べたら、お店を開けよう。……今日はベティさんの息子さんの診察があるし、新しいハーブの仕分けもしなきゃ」
セシルが振り返り、アルヴィスの首に腕を回して、優しく微笑む。
アルヴィスは、その愛おしさに耐えかねたように、セシルの額に誓いの口づけを落とした。
嘘のない家。
愛する人の隣。
かつての「聖王」は、今、一人の「薬師」として、そして一人の「愛される男」として、輝かしい未来へと一歩を踏み出す。
二人の物語は、これからも続いていく。
朝日の昇る、この穏やかなリーゼンの街で、永遠に。
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背後から、音もなく大きな温もりが近づき、セシルの腰を包み込んだ。
「……おはよう、セシル。まだ少し、空気が冷えますよ」
アルヴィスの低い、安らぎに満ちた声。
彼はセシルを背後から抱きしめ、その肩に顎を乗せた。セシルを包み込む大きな手、その薬指には、昨夜セシルが贈った指輪がしっかりと嵌められている。
「おはよう、アルヴィス。……ううん、君がこうしてくれているから、全然寒くないよ」
セシルは幸せを噛みしめるように、アルヴィスの腕に自分の手を重ねた。
二つの銀の輪が重なり合い、朝日に反射して眩しく輝く。
五年前の自分に、教えてあげたい。
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飾られた嘘の奇跡よりも。
今、この男の腕の中で、自分の手で稼いだお金で買った指輪を嵌め、誰かのために薬を作る。この泥臭くも愛おしい毎日が、何よりも尊い奇跡なのだ。
「セシル。……愛しています。昨日よりも、そして明日よりも、今、私の腕の中にいる貴方を」
「……僕もだよ、アルヴィス。愛している。……さあ、朝ごはんを食べたら、お店を開けよう。……今日はベティさんの息子さんの診察があるし、新しいハーブの仕分けもしなきゃ」
セシルが振り返り、アルヴィスの首に腕を回して、優しく微笑む。
アルヴィスは、その愛おしさに耐えかねたように、セシルの額に誓いの口づけを落とした。
嘘のない家。
愛する人の隣。
かつての「聖王」は、今、一人の「薬師」として、そして一人の「愛される男」として、輝かしい未来へと一歩を踏み出す。
二人の物語は、これからも続いていく。
朝日の昇る、この穏やかなリーゼンの街で、永遠に。
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