異世界陸軍活動記

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召喚 凶鳥

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「いい!? あれだけはダメ! 人が見ている前では絶対召喚しちゃ駄目よ!」

 肩に指が食い込むほど掴みかかられ、そこに痛みが走る。いつものナタルさんとは違う彼女は、血走らせた目に涙を溜め、叫ぶように言ってきた。

 

 3体目となる召喚獣は召喚することを禁止された。




 ◆



「面白い物を見せてもらったよ、次も頼むよー」

 軍施設内、召喚施設でコスモの撮影会の疲れでぐったりした状態俺に、ナタルさんがにこやかに話しかけてくる、

 変形ペガサスのことが気に入ったらしく、キレイな召喚獣だったねーとか、乗って飛んでみたいなーとか、ご機嫌の様子だった。

「それにしてもあれだね、ハヤトは白い色の召喚獣が好きなんだねぇ」

「そんなことはないけど」

「次はどんな白い召喚獣をだすのかなぁ?」
 少しからかうような口調で聞いてくる

「いや・・普通の出すよ、で?次の召喚獣はどんなの?」

「『ニュンター』火・水・風・土・氷の5属性の魔法を操る、パナンの実2個分くらいの大きさでぇ、生活にとっても役に立つのぉ」

「・・・・・生活だけ?それだけなの?さっきのとの落差が凄いんだけど」

「でも便利よぉ、まぁ、そんなに力は強くないんだけどー、いつでもどこでも水を出せるしぃ、土づくりも出来るから農家の人にも人気あるし、手続きが簡単で、許可が下りれば一般人にも契約できるの、契約に成功するかは別として」

「一般人でも契約出来るんだったらさー、ミャマーは最初、こっち連れてきた方が良かったんじゃないの?ポッポよりも先に」

「ハヤトはその時もう6っつの属性魔法が契約出来ていたんでしょ?『ニュンター』を持っていても仕方がないって思ったんじゃない?『イデラム』の魔法陣の使用だったらミャマーの権限でも使用できるけど、今行く『ニュンター』はその時許可が下りてなかったし」

「それで俺が契約してもあまり意味のない召喚獣なのに、何で行くの?」

「向こうの人が、是非にぃって」

「ふーん」





「はーい、着いたよー」

 到着したところは、以前『防病の契約』をした宗教施設の建物だった

「ここかぁ」

「前来たこと覚えてる?「彼はとても興奮してたよ」ってミャマーが言ってたけどぉ」

「初めての不思議体験だったからねよーく覚えてるよ4年ぶりだね」

 
 車を降り建物の扉を開ける、俺とナタルさんに気付いたのか、以前見たような人がニコニコしながら近づいてきた
「お待ちしておりましたよナタル」

「今日はよろしくお願いします司祭」

 司祭と呼ばれた人は頷いたあとこちらを見る
「そちらはハヤトですね?またお会いすることが出来ましたね」
 
 「また」ということはやっぱり
「契約する時、隣にいた人ですよね?」

「ええ、あの時は退院直後ということもあって弱々しい感じをうけたのですが、すっかり元気になられたようで」

「ここの魔法陣のおかげです」

「女神さまが授けてくださった魔法陣が、あなたのお役にたてて私も嬉しく思います、あれほど興奮された方は今までいませんでしたので、私もよーく覚えています」
 
 ナタルさんがチラチラこちらを見てニヤついている。

「じ、じゃー契約の方お願いします」

「はい、こちらです」
 ナタルさんの視線から逃げるように、案内された方についていく、

 防病の魔法陣とは反対方向の部屋に通され、目の前には召喚独特の黄色い色の魔法陣があった。魔法陣自体は、軍事施設の魔法陣と違いとても小さい

 壁に映し出される映像には、丸形で小さく目のパッチリとした不思議な生き物だった、体中毛だらけで、手足がなく空中でフワフワしている。

 ペットにしたい見た目だなぁ、浮いてるし・・今回も飛行系?か、これで契約出来たら3体とも飛ぶことになるね、「お前の召喚獣全部飛んでるな」とか言われそう、まぁいいけど。
 
 今回はちゃんとしなくちゃな、地球の生き物とか出さないようにしないと、ただ・・・5じゃなくて6属性あった方が便利な気がするけどなぁー。
 俺自身が6属性使えるからなー、力の弱い召喚獣と契約出来てもねー

 ここの魔法陣の契約を許可してくれた人はポッポのことを知って、ならウチの魔法陣からも変わった召喚獣が出てくるのだろうか?ってな感じで興味本位で許可してくれたと思う。
 でも残念!  
 普通、極々普通の召喚獣を出させてもらいますよー。

 
 魔法陣に触れ魔力を流す、魔法陣が光り今回も成功だ、魔法陣の中に黄色の煙が充満していく。小さな魔法陣なので出てくるのも小さな召喚獣、そう思っていた。

 煙が晴れ、視界に写ったのは魔法陣からはみ出すほど大きい、透明な3本の茶色い鳥の足だった。

 ん、ん?

 視線を上に向ける、その先には赤を基調とした透明な鳥型の召喚獣、しかも大きい! どことなくフェニックスににている、胸の部分が黄色と白、翼の付け根が青、翼の先が水色をしている、どの部分も透けて見える、
 空気に色がついているようだが部分によって少し違う、赤の部分は炎のように揺らぎ、黄色の部分は若干スパークしているように見えるなど。
 
 また全く違う姿なっちゃった、何がいけないのか‥‥‥‥

 名前は‥‥‥あ‥ああ「イッキ」‥‥‥‥じゃ駄目か? うーん‥足が三本だから

 手を差し出すと召喚獣は首をもたれる、身長は5メートルくらいだろうか? 部屋ギリギリだ

『力を欲す、召喚獣よ共に立ち我と契約を果たせ、ヤタ!』

 日本の神話に出てくるヤタガラスから取り、「ヤタ」に決めた
 
 名を付けられ、無事に契約を果たした召喚獣は、光の粒となり手のひらの魔法陣に吸い込まれる

「終わりました」
 振り返るとそこには、顔の血がすべて引いたように真っ青の顔の司祭がその場にへたり込んでいた。
 隣にいるナタルさんは同じように青い顔で、少し身を引いたようにのけぞり固まっていた。

「えーと・・・何です?」

 俺の言葉で我に返ったのか急に掴みかかってきたナタルさんが、目を見開き、まるで怒鳴り散らすように

 「いい?! あれだけはダメ、人が見ている前では絶対駄目よ!!」

 いつもの間延びするような言い方のナタルさんではなく、まるで別人のような変わりように驚く。完全に出来る女モードに入っている

「司祭!」

「は、はい!」
 腰が抜けたんだろう、まだ立つことはできないらしい、急に呼ばれ驚いたが返事はできるようだ、

「分かっているとは思いますが、このことは‥‥‥‥」

「わ、わ、分かっています!こんなことは公表出ることではない!」 
 焦っているような、怯えているようなそんな感じが出ていた
「このことは!どうかこのことは!」
 懇願するような司祭に

「ええ、誰にも言ったりはしません、もちろん上の方の報告にも載せることはありません」
 ナタルさんの言葉に司祭は少しだけ安心したような顔をする

 
 それほど変なもの召喚した?



◇  



 契約に来た時とは違い施設を出るときはまるでお通夜のようだった、俺とナタルさんは無言で司祭はずっと下を向いたままだった、
 なんであの時ナタルさんはあの言い方をしたのか『絶対駄目!』よほどのことだったのか、不安になっているとナタルさんから話をしてくれた。

「あのねぇーあの時ああ言ったのはねー」
 いつものナタルさんの話し方に戻った
「ものすごく縁起の悪い鳥に瓜二つだったからよー」

「縁起って具体的には?」

「『ヒュケイ』っていう名前の鳥でね、私も撮影された物でしか見たことがないんだけどー、都市部ではまず見なくてねー、緩衝地帯やその周辺、戦争がある所に出没して、そこで死んだ人間を食べるのよねー、
 余裕があれば死んだ仲間の遺体を回収できるけどぉ、混戦とかになると遺体の回収も出来ない状態になるでしょー? そうすると戦っている目の前で仲間が食べられるとか‥‥‥‥まあ、そういうこともあるから嫌われているの、中にはまだ生きている人を食べようとするヒュケイもいるとか、
 兵士の間では物凄い恐れられている鳥なのー、『ヒュケイ』が出ると必ず仲間に犠牲が出るからって、
「凶鳥」「死鳥」とか呼ばれているヒュケイがー、あの魔法陣から出てきたとしたらほかの人はどう思うかしらぁ」

 女神を祀る神聖な施設で、そんな物が出てきたとしら・・・あの司祭の動揺具合も頷ける。

「あの施設自体も不吉ってことになるでしょうね、呪われてるとか」

「あそこだけじゃなくぅ、ハヤト自身もそう思われるからね、お願い」

「呼ばないし、誰にも話さないよ」




 俺が今回『カーネロ』『ニュンター』の契約をするのは、もう周囲に知れ渡っていたので、もしかしたら次も変わった召喚獣が!と期待していた人達からの問い合わせなどが、両施設に殺到した。

 軍施設の方はそのまま公表したが、女神を祀る施設の方はそのまま公開するわけにはいかず、偽の情報を流した、互いに打ち合わせした情報だが最終的に決まったのが、
 「物すっごいカラフルな3本脚の鳥」だった、間違っては無いが・・うん! 間違ってない!

 その2つの情報に俺の召喚獣に興味がある人達はご満悦だったらしい、

 そしてその頃から俺はこういう風に呼ばれるようになっていた




「おもしろ召喚者」と
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