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天使であり断罪者
しおりを挟むグラースオルグとは
太古の昔、大陸西部の中央にあった都市「グラースオルグ」で誕生したその個体は、大陸中央を西から東にかけ横断した厄災である。
以降「ソレ」は誕生した都市の名前をそのまま取り「グラースオルグ」と呼ばれることになる、グラースオルグが通った後は、草木も残らず喰われ、消滅した。
グラースオルグによって大陸中央の都市はすべて壊滅したと言われている。
当時建国したばかりのハルツール、マシェルモビアそして、他の国々が結束し200人からなる勇者を送りグラースオルグを足止めした。
人は女神にも助けを求め、女神はそれに応じ断罪者をグラースオルグに当てた。
女神サーナの子で天使、そして断罪者でもある『ネクター』と、人の勇者200人で協力し最後は天使ネクターがとどめを刺しグラースオルグを討伐した、その際、人の勇者200人は誰一人帰ってこなかった。
これで落ち着くかと思われたが、グラースオルグが通過した大陸中央に、魔物が出現することになる、グラースオルグが誕生した西側の魔物は強力な力を持っており、東に向かうにつれ、魔物の力も弱くなっている。
中央は復興不可能とも言われ、後に、大陸深部と言われるようになった。
ハルツールとマシェルモビアが、停戦協定を結んだ時、女神に願い中央の移転門を撤去し、緩衝地帯にすることに両国が賛成したのも、このことが大きい
またグラースオルグは、『グース』とも呼ばれ、悪い子はグースに食べられるなどと、躾けの際にもよく使われる、あとグースには浅ましいなどの誹謗中傷としての意味合いも含まれている。
パタン、と本を閉じる
「なるほど」
学校で歴史書を読んでいた俺は、うーん、と唸る
収容所から学校に戻った時、今までとは打って変わり、俺に対し皆怯えるような目で見てくるようになった。
そしてすべての生徒、教職員たちから避けられるようになった、あんなに慕ってくれていた欧米ズにも‥‥
「す、すいません‥‥」
と、話しかけても逃げるように去って行かれる、授業も全て俺だけ自習になる、剣技の先生も
「わ、悪いけどもう‥‥無理なんだ‥‥」
いつでもかかってこい! と言っていた先生も、まるで化け物を見るような目で見て来た
俺が収容所から出た日、カナル隊の戦闘の映像が全ての番組で放送され、皆その映像を見たらしい、その放送は強制的に割り込まれたようで、いわゆる電波ジャック?
実際に俺も後になって見た、自分ではあの時分からなかったが、ああなっていたのか‥‥、赤黒い霧が俺に纏わりついて全てを覆った時、赤黒く、やけにおどろおどろしい姿の鎧に変わった、顔には般若のようなお面のような物が付いていた。
ただ‥‥その姿を見ても、俺にはハッキリ言って何故、あんなに他の人が怯えているのか分からなかった。
ただ一つ分かったのは、「逃げろ」と言ってくれた人はカナル隊長だった。
・・・・・・・
あの日、俺はニーアとタウロンに刀を向けられ、こっちに来るなと叫ばれ続け、その場に立ち尽くすことしかできなかった。暫くして落ち着いた二人に、一定の距離を保ちこれからどうするかを話し合った。その時ですら二人は刀を手放さなかった。
本来ならその場にとどまり、10日程歪みを監視する予定だったが、戦闘終了後、歪みは跡形もなく消失していた、『任務続行不可能』としタウロンが一番近いキャンプに対し救助要請、しかしオーガがまた出てくる可能性もあり、ニーアの癒しの魔法で治療し、二人が歩ける状態になった所で、移動を開始することに決定した。
まだ二人が動けない間、俺は遺体の回収、そして敵の遺体からタグを回収した、こんな奴らのタグまで回収しなければならないのが悔しかった
死亡した相手の『収納』は開けることが出来ないので、棺桶が一つ足りなくなる、生きている人間が3人、つまり棺桶が3に対し遺体が4、俺はミラの遺体を、タウロンは隊長を、ニーアはブライの遺体を収納し、申し訳ないがオリバーは氷魔法で凍らせ、復活したコスモに縛り付けて運ぶことになった。
1日ほど歩いたところで、一番近くにいた部隊が救助に来てくれ、その際オリバーは棺桶に入れることが出来た。
それがあの日の出来事、そして今、俺の首には、ミラに送ったネックレスが掛かっている、ニーアが発見し俺に渡してくれた、そのネックレスは数か月たった今でも、ゆっくりとキラキラと光っている
◇
全ての授業において自習になったものの、遊んでいたわけではない、自分がまだ使えていない魔法の習得、歪みなどの調査や、隊長に言われた『潜伏・隠蔽』解除の仕方など
その他にも、あの時相手の刀を折った際、日本刀の雷雲に大きなヒビが入りその修復、そして改修を施す、相手の刀を運よく破壊できたのはいいが、やはり強度が足らずヒビが入ってしまっていた。 そこで新しく改修したのが刀の峰の部分
「安心されよ峰打ちじゃ」
とかで使われる刀の後ろの部分全体に、溝を掘り魔鉱石を流し込む、その峰から刃の部分まで何十・何百本の細い溝を両面に彫り、そこに一本一本、丁寧に魔鉱石を流す。
出来上がった物に魔力を流すと、前回と同じ、刃先にうっすらと魔力が流れるのにプラスして、今回の改修で峰の部分からも刃先に魔力が流れるようになり、魔力の刃が刃先から飛び出るようになった。
飛び出た魔力の刃の幅は約15センチほど、そして何故だか刀の切っ先から伸びる魔力も20センチから30センチに伸びた、これにより魔力を流した時の刀の長さも変わった。
溝を掘りまくったせいで、刀自体は強度が落ちたと思う、しかし、魔力で切るということだけに特化させたため、魔力を流した時はよほどのことが無い限り強度は関係なくなるだろう、ただし金属は駄目
その結果だが、かなりの魔力保持者でないと扱えなくなった、まぁ、扱えるのは俺と同じ召喚者ぐらいだろう。
名前は‥‥雷雲・改でいいか
◇
今日は何をするか‥‥
誰にも相手にされない日々が続き、卒業まであと1ヵ月を切った。季節感の無いこの世界は、はっきり言って一年が意外に長く感じる、毎日自習だったおかげで剣技は停滞している、ただし魔法や鍛冶に力を入れることが出来た。
魔法は以前ミラと一緒に買った、魔法大辞典に載っている契約している分の魔法を習得、そして、その魔法の改良もした。
鍛冶に至っては武器のさらなる改良と、『合成』『付与』の魔法を使い、自身の防具も作ってみた。
動きが制限されている鎧の部分を削り、そして取り外し、頑丈で魔力を通す糸を使った布を充てる、そこに『付与』魔法で『硬化』『耐壁』を掛ける、これで更に体に『耐壁』魔法を掛けた時、二重で掛かることになる。
兜も改良、視界が悪かった部分を大幅に切り取り、額の所に天然の魔石を使ったアンテナを作る、どっかのロボットの隊長機みたいだが、これは実際に『探知』を使う者がやっていたりする。
こうすることで『探知』系の魔法の距離が伸びるのだ、その分魔力の消費が激しくなる、ただし、それは使い続けた場合だ。
他の者がこの装備を着た者を見たら
「そんな装備で大丈夫かな?」
と心配されるだろう、それぐらいの軽装になる
「大丈夫です、問題ないです」
と言えるくらい大丈夫だと思う、なぜなら前回のマシェルとの戦闘で俺は防御力よりも、『探知』能力の方が大事だとことごとく思い知らされたから、そしてそのための用意もしてある。
◆◇
さてさて、今俺のいる場所は魔法の訓練場、来た時、先に来ていた生徒は蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
そんな事よりも今日することについてだ、正直やりつくした感が強く、最近では戦闘に全く関係ないことをしていたりする、昨日は人型の炎を作っていた。
名はファイヤーマン、それを動かしたりして遊んで‥‥イヤ訓練していたのだ、意外と魔法自体も形を自由に変えられるみたいで結構楽し‥‥訓練になる
さて、今日は何マンを出そうか‥‥と考えていたら、オールバックの欧米ズの一人、ドルバが訓練場に現れた、ドルバは俺を見た瞬間
「あっ‥‥」
と声を出し顔を青くした、多分他の生徒が逃げたのを気づかずに入ってきたのだろう、うっかりさんだな、何もしないから早く移動しな。
それはさておき、そんな事は今更俺には関係ない、それより今日のマンを決めないと‥‥と考えて居た時だった。
「やっと見つけたよ」
頭の上の方から声がした、見上げると、そこには空中に浮かんでいる青年が一人
「君が新しいグラースオルグだね、初めまして僕はネクター、天使でありそして君を殺すために生まれた断罪者だよ」
空中に浮かんでいる爽やかな青年は、俺にそう告げた
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