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隔離・監視
しおりを挟む「おい、ダン」
「なんですか?」
「ちょっと来てくれ、ペンダ! 帰るのはちょっと待ってくれ」
俺はダンという、マルド収容所の職員だ。
マルド収容所、別名要塞マルドとも言われている、大陸西部のマルドに建てられ、堅固堅牢、高くて分厚い壁で囲われており侵入はおろか、脱出は不可能とされている。
このマルドが収容所として機能して以降、脱獄者はゼロ、ハルツールで最も厳重な収容所でもある。
ここには凶悪な犯罪者から死刑囚、マシェルモビアの手に負えないような捕虜、そして‥‥あまり言いたくは無いが、政治的な人物の隠れ家的な存在でもある。
俺が夜勤専属のペンダと引継ぎを交わし、今日の仕事に取り掛かろうとしたとき、ペンダと共に上司に呼ばれた。
「ペンダすまない、ちょっと話があるそこに座ってくれ」
「どっこいしょっと」
小さな会議室に呼ばれ、これまた小さな安い皮の椅子に腰を下ろす、ここにいるのは俺と上司、そしてペンダだ。
上司との話し中は、仕事を少しの間さぼれるからいいけど、ペンダは辛そうだな‥‥
ペンダはもう目がほとんど空いておらず、眉毛を上に吊り上げることで少しだけ視界を確保していた。
「ふあぁぁぁぁっ‥‥なんでしょうか? 話って」
「ああ、今日の昼からここに変わったお客が来ることになった」
かわった客?
「中央移転門からなんだがな、グースが送られてくるらしい」
「「‥‥」」
「それでその担当を、お前たち二人に頼みたい」
「何が来るんですって?」
「グースだ」
「‥‥グースって、あの子供のころ母親に言われるアレですか?」
「グースですか‥‥懐かしいですねー、いい子にしないとグースに食われるとかよく言われましたよ、あの‥‥自分眠いんで、そういうのはまた今度でいいですか?」
「まてまて! 今度じゃない今日来るんだよ」
「でもグースって‥‥本物だったら、俺らじゃどうにもできないですよ」
「そう言われたんだ、俺にもよくわからないんだよ、でもな、大人しいグースらしい」
「‥‥何ですか? 新種の動物かなんかですか?」
「グースを受け入れてほしいって言われただけなんだ、それ以上は聞くな情報を漏らすな、だと、これはここにいるお前たち二人だけにしか言っていないからな、俺を含めたら3人だけしか知らない、他の奴らには絶対に言うなよ、多分あれだ‥‥性格に難のあるお偉いさんの子とかそんなのだろう、部屋も『貴賓室』指定だったし」
「ああ、そういう‥‥」
◇◆
で、そいつは来た
5人の護衛を引き連れて、護衛と言ったのはその5人は軍人だった、だから護衛だと思った
護衛の割には何か怯えてるな、そんなにこいつは危ない奴なんだろうか? まぁ、グースって言われてるくらいだからな、性格的に危ない奴なんだろ。
・・・・・・・
と、思っていたがそうではなかった。かなり気さくな奴だった
「実は俺、今まで黙っていたことがあってね‥‥パナンが嫌いなんですよ」
ハヤトと言われたその男は、こことは違う世界から来たらしい、嘘くさいが、心が病んでいる奴かもしれないから仕方がない、ここにはたまにそんな奴も来ることがある、追及しないでおいてやろう。
「この世界の人たちは、何であんなに甘党なんですかね? 甘いものに甘いシロップとか、食う物食う物全部スイーツじゃないですか」
召喚者であり、先行隊への仮入隊中だったらしい、で、急にグースとか言われてここに連れてこら れたとか「ところでグースって何ですか?」と聞かれたから
「子供を躾けるために出す名前だ」
と答えたら「何だ、なまはげか」と言ってきた。
なまはげ?
ここマルド収容所には貴賓室と呼ばれる独房がある、独房と言ってもあの狭い独房ではなく、『貴賓室』と呼ばれるだけあって、中は超豪華だ、食事は美味く部屋は広く外からの差し入れなんかも自由だ。
唯一駄目なのが酒のみ、元々ここは超お偉いさんのための独房であり、独房生活に不自由しないようにと作られた、偉い奴は罪を犯しても偉い奴ってことだ。
要望があれば娼婦なんかも呼べる、その時は監視の奴はもちろん席を外す。
ハヤトと言われた男に
「なんなら女を用意しようか?」
と聞いてみたことがあったが
「俺はもう世界一の女を抱いたことがあるんで、他のパナンの抜け殻みたいな女には興味ないんですよ」
と言われた、本当に世界一の女を抱いたのか、それにしてもパナンの抜け殻とは‥‥
他にも色々な話をハヤトは話してくれた、自分のいた隊で4人も戦死したと、その隊員達の性格など
「まず、生き残った人でタウロンって人がいて、最初口数がものすごく少なかったから、大人しい人かなと思ってたけど、人見知りだったみたいで、俺が入った当初は、いつも一言で話を終わらせるような人だったのが、慣れてきたら二言とか話すようになってきたんですよ。
でね、不思議君でもあって、大人になった時、思い出したら恥ずかしくて死にたくなるくらいの、恥ずかしいセリフを平気で言ってくるんですよ、恥ずかしい人ですよね」
「もう一人の生き残った人は女の人で、ニーアって言うんです、ザルなんですよ、3度のパナンより酒が好きって人でね、たぶんあれですね、口の次に来る器官が胃じゃなくて尿道ですね、口から直で尿道ですよ、で、その人に命を握られていてね、必死でゴマを擦ってましたよ、その人がいなかったら世界一のイイ女を抱く回数が激減していたでしょうね、ほんと感謝してますよ」
ハヤトは笑いながら、それでいて少し懐かしそうな顔をして話してくれるが、実際には笑ってはいなかった、言葉に抑揚が無くただ単調に、感情無く、そして冷たい、話し続けていないとどうにかなってしまう、そう思わせるような‥‥
「カナル隊長はですね、都合が悪くなるとすぐ忘れたって言うんですよ、まったく困った人ですよ、冷静沈着をモットーにしてたみたい何ですが、直ぐにボロをだしていましたね」
「隊の中で一番身長と声がでかいオリバーって人は、とにかく声がデカい、ただそれを気にしていたみたいで、洞窟の中に入った時は一切声を出していませんでしたね、声が響きすぎるからでしょうね」
「隊で一番のお調子者のブライは、とにかく風俗好きでしたね、休暇を貰ったらそのまま直行みたいでしたよ」
生存していた隊員の話より明らかに短い、悲しそうな眼をしてるな‥‥まだ仲間だった隊員のことを余り思い出したくないのだろう、あともう一人亡くなった隊員がいたな
「世界一の女性ミラは、髪の毛が絹のように細く滑らかで、日の光に反射してキラキラと光るんです、これがまた美人でね、パッチリした目にちょっとだけプックリとした唇で笑った顔は大輪の花のようで、声は聞いていると力が抜けるくらいいい声なんです」
そう言ってハヤトは服の上から胸の辺りにある物を掴んでいる、首からチェーンが見えることからネックレスか何かだろう
世界一の女性か‥‥ハヤトの大事な女性だった人か、なるほど一緒の隊だったのか‥‥それが‥‥
「それでですね、胸は巨乳という訳ではないんですがね手から少しはみ出すくらいでしょうか? 形がものすごくよくてね、きめが細かい肌なんです、先の方はキレイなピンク色で‥‥」
ん? あれ? 長いというか特徴とか言っていいのか?
「お尻は女性特有の丸形でねそれを後ろから‥‥」
‥‥
「最初は戸惑っていたみたいなんですけど、慣れてくると自分からしてくれるようになって‥‥」
ゴクリ‥‥
「って感じで、とっても素敵な女性だったんです、手の皮は厚かったですけど」
「あ、あぁ、そうなんだ‥‥」
‥‥素敵な女性‥‥そういえばウチの嫁も昔は‥‥いや! 今でも十分素敵だ‥‥今夜あたりちょっとだけ頑張ってみようかな‥‥
◇
ハヤトはとても不思議な奴だった、室内でトレーニングをしていたり、俺が渡した小説を読んでいたり
今ハルツールで流行りの物語の本、つまり小説となると、世代でかなり異なる、生命の契約前か、契約後か、契約が切れたあとかで大きく違う。
契約前の場合、男は自身が大活躍するような心躍る冒険物、女はやたらと男によって来られる逆ハーレム物、ここ一年ほど前からだろうか? 過去から来た竜騎士が逆ハーレムに加わるという設定がちらほら出て来たらしい
契約中の人間、つまり俺も含む者達には男女問わず、契約期間がやたらと伸びるという話が流行りだ、50年ではなく何やら不思議な力で千年、二千年ほど寿命が延びあれこれするという物
契約が切れたあとの人には、昔は凄かったシリーズだ、男物は陰ながら若い物を見守りここぞという場所で陰ながら助けるという話、女物は老婆だった女性が、自分が若かった頃に化け若い男をたぶらかすという話だ
ハヤトは契約が切れた人用の、昔は凄かったシリーズを読むことが多かった
「んー? 浪漫ですかね」
とか言っていた
前に俺が昼食のため席を外したことがある、俺の仕事は監視となっているが、貴賓室に入るような人間にはあまり監視は必要ない、本人たちが自身の保護や、ただの一時しのぎだということが分かっているから、それにこの独房では不自由はしないしな、つまり形だけの監視だ。
「 うわぁぁぁぁ! 」
昼食から戻ってきたとき、口から心臓が飛び出るかと思った、ハヤト一人しかいないはずの独房に、小さい子供が3人、ハヤトと円陣を組んだようにうな垂れて座っていたからだ。
「あぁ‥‥すいませんね、俺の召喚獣なんですこれ、気分があまり良くないんでこいつらに面白いことでもやらせようと思ったんですけど、さっきからこれなんですよね‥‥ホント戦闘以外は使えない奴らですよ」
と言ってハヤトは右にいた子供に丸めた紙屑を投げる
パサッ、と音がして子供の頭に当たる、するとその子供は紙屑を拾った、その時初めて子供の顔を見た
うわっ! なんだあの顔、おっさんじゃないか! というか3人とも同じ顔、気持ち悪い!
やたらと気持ち悪い顔が3人、
紙屑を拾った小人は、今度は自分の右手にいる小人にポーンと紙屑を投げる、当たった小人また右にいる小人にポーンと投げた、最後に当たった小人は、紙屑を拾い今度はハヤトに向かって‥‥
「パァァァァン!」
‥‥全力で投げやがった、丸めた紙屑のはずなのに中々いい音がする
すると、投げた小人はまた座り4人とも同じ格好でうな垂れる
そういえば‥‥変わった召喚獣を出すやつがいるとか聞いたな‥‥こいつのことだったのかな。
◇
「貴賓室に届け物?」
「はい、これですねお願いします」
昼食を食べ終わり仕事に戻ろうとしたとき、そう言われて女性職員から荷物を預かる、それはハヤトへの届け物だった、ソレを持って貴賓室に向かう
「ねぇ看守さん、結構長くここに入ってますけど、俺の立場って相当アレなんですかね?」
貴賓室に着いた時ハヤトにそう言われた、ここに来てから2か月過ぎたが、彼はいまだに感情の起伏が無い、話はよくするが、それ以外は虚ろな目をし部屋の壁を見ていることが多い
「グースの事か? そんなの言われても誰も信じないぞ、2か月ほどお前の事を見て来たけど、俺には普通の人にしか見えないしな、まぁちょっと変わっているけど、それに本当にマズイ立場だったらこの部屋にはいないからな」
「へー2か月もここにいたのか‥‥あの‥‥仲間の葬式とかどうなりましたかね」
ずっとここに入っていたからハヤトは仲間の葬式にも出られなかった
「こっちにその情報は無いが、2カ月もすればもう終わっているだろう」
「そうですか‥‥、ずっと考えていたんですけどね、二人の生き残った仲間とか、中央の移転門に居た時の、他の人達の俺に対する対応っていうんですかね、何かこう‥‥異様に怯えたり、近づきたくないような、関わらないようにしているような、こう‥‥不幸を振りまく者、って感じで見られていたんですよね」
ハヤトの目が半分だけ閉じられるのをここからでも確認できた、俺はハヤトが来てからの事を思い出してみる。
「んー、そうか? 俺からして見れば、お前は俺に幸運を持って来てくれたぞ」
「幸運?」
少し訝しげにこちらを見てくる
「ああ、お前のおかげで妻が妊娠したよ、3人目だ、夫婦仲もそれで良くなったしな」
「‥‥?‥‥それって俺に関係あるんでしょうか?」
「ああ、大いにあるぞ、そんな幸運を運んできたお前に、今度は俺が荷物を運んできたぞ」
そう言ってハヤト宛ての荷物を渡す
「俺に?」
「ああ」
ハヤトは荷物を解き中を確認する
「手帳と、メモかな?」
「へぇ、なんて書いてあったんだ?」
「んー『この日記は確認のため中を拝見しましたが、ご家族よりもあなたの方が渡すのに適切と判断しました、女性隊員二人以外、中を確認していませんのでご安心してください』ですって」
「へー日記か、お前のか?」
「さぁ?」
パラパラと日記をめくるハヤトは
「‥‥ミラのだ」
この時、ここに来て初めてハヤトの言葉に抑揚があったように思える、その日記をゆっくりと開き、それに目を落とした。
ハヤトはページが進むにつれ、ここに来てから初めてほほ笑むような顔を見せた
「‥‥ふふっ」
「ふっ、どうした? 急に笑って」
「いや、初めて二人だけで出かけた時、かなり短いスカートを履いてきたんですよね、俺、ガン見してたのがバレてたみたいですね」
「そりゃぁ、ガン見してたらバレるだろうな」
「ただ、見てるだけで手を出さないのが腹が立ったとか」
「手を出させようとしてたのか、狙われてたってことだな」
「そうですねぇー、そういえばやたらと際どい服を毎日着てたなぁー」
そう言って、ニコニコしながらハヤトは日記を眺めていた
「あら?」
「どうした?」
「初めて二人でホテルに泊まった時、我慢できなくて抱きかかえて部屋まで走ったんですよ、その時彼女が俺の胸に顔を埋めて顔を隠していたんですよね、恥ずかしさでそうしていると思って、さらに興奮したんですけど、‥‥実際は笑ってたみたいですね、『やったぜ!』って書いてるし‥‥黒いな、なんて黒い女なんでしょうね」
そう言いながらもハヤトは楽しそうに、それでいて懐かしそうにしていた、ハヤトは日記の場面を所々教えてくれた。
・・・・・
「ここで終わりですね」
そう言って寂しそうにする、終わりということはそれ以降は書かれていない、それは彼女が亡くなったから、そして何も書いていないページをパラパラとめくっていき、最後のページで手を止めた
「ん?」
「他に何か書いていたか?」
「‥‥遺書‥‥でしょうか‥‥」
兵士の中には常に遺書を持ち歩いている、もしくは、あらかじめ用意している者もいる、彼女もそのうちの一人だったんだろう
静かに‥‥最後のページを見ていたハヤトは、暫くじっと見ていたが、その目には涙が溢れ出し、日記の最後のページにポタポタとシミを作る
そして静かに声を上げ泣き出した
「ミラ‥‥」
最後のページに残された遺書は、多分ハヤトへの最後の言葉だったんだろう
俺は静かに席を立ち、その場を離れた
・・・・・・・・・・
一時間位してからだろうか? 落ち着いたころ合いを見計らい、俺は貴賓室に戻る、そこには日記を大事そうに持ちながら、キラキラと淡く光るペンダントを眺めていたハヤトがいた。
「本当はこういうのは駄目なんだけどな」
そう言って俺はこっそり飲もうと、隠しておいた酒を出す
「今日はちょっと飲まないか?」
そう言うとハヤトは、赤く腫れた目をしながら笑って頷いた
この日から、ハヤトには感情が戻ってきたと思う、よく笑うようになったし前よりも彼と打ち解けるようになった。
あの日記の最後のページ、そこには何が書いてあったかは知らないが、ハヤトが前に進むことが出来るような内容が書かれていたのだろう。
◇
そしてハヤトが来てから三か月が過ぎた頃、ようやく彼の監視が解かれることになった。
つまり出所だ。
「じゃーなハヤト、元気でやれよ」
ここを出ていくその日、俺とペンダは彼を見送るため収容所の外まで見送りに出ていた。
ペンダも眠そうなのを我慢して帰らずにいたのだ、ペンダもハヤトとは色々話をしていたらしく、親しげだった。
「ダンとペンダも元気でね」
手を振り最後の挨拶を交わす、ここに来た時とは違い迎えに来た護衛の人は3人だけだった、そしてハヤトを乗せた車は収容所から離れていった。
ハヤトが帰った今、俺の仕事は通常の犯罪者などの独房などになる、貴賓室の場合はかなり楽だったのに通常の仕事になるとちょっと面倒だ。
ただし、貴賓室でも相手によるけど‥‥
ペンダが帰り支度をし、俺が仕事に戻ろうとしたとき
「おい! ダン、ペンダ、変な戦闘の映像が流れているぞ!」
他の職員が俺たちに言ってきた
「戦闘の映像? 報道の番組で流れていのか?」
「いや、変なんだ全部の番組で流れているんだ」
「全部で?」
事務所へ行き、俺が部屋に入った時は、何やら眩しいくらいに映像から光が出ていた
「うわっ、なんだこれ」
一瞬だけだったが光ったあと、映像にはさっきまでここにいたハヤトが映し出されていた
「あれ、ハヤト?」
すると、ハヤトの周りに赤黒い霧のようなものが纏わりついていき、異形の姿へと形を変えていた、そしてその姿から放たれた物はすべてを飲み込み消し去った。
その映像を見ていた職員全員が、言葉を発することが出来ないでいた、さっきまで映像に映し出された人間がココにいたからだ。
おかしいことに、ただの映像で彼がもうここにはいないのにもかかわらず、ここにいる職員は恐ろしいまでの恐怖を感じていた。
それはダンも同じ、心臓が恐ろしいくらい鼓動を上げ、そして体が震えている
「グ、グースだ‥‥‥‥」
ペンダは尻もちを付き、目からは涙が溢れている
俺もすぐに分かった、あれはグースだと、最初グースと言われたが、信じてはいなかった。
もしかしたら俺はあの時、喰われていたかもしれない、そう思うと‥‥‥‥
「た、助かった‥‥」
それが俺の本心だった
ウエタケ・ハヤトの映像は、厳重に管理されていたにもかかわらず、映像は流出した。
この日、ハルツール国ほぼすべての国民がこの映像を視聴することになった。
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