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罪を重ねる
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天使の力と記憶を取り戻した俺は、人では扱う事の許されない『飛翔』の力を使い、とある女神が待つ場所へと向かった。
そこはかつて都市グラースオルグと言われた場所であり、同時に厄災が生まれた場所であった。その都市の名を取り、厄災グラースオルグとなった化物は、世界の三分の一を人が住むのを許されない死の大地に変えた。
その場所で待つ女性の上空に到達すると、文字で出来たような、もしくはトンボの羽のような透き通った翼の角度を変え、地上にゆっくりと降り立つ
そこには長い茶色の髪を揺らし、白のロングドレスを身にまとう美しい女性の姿
『女神サーナ』
元俺の創造主であり、母親ともいえる存在がそこで待っていた。あの時と姿が全く変わらず、その場にいた。
俺が地上に降りたつと、その閉じられていた目がゆっくりと開かれ、その閉じられていた唇も開かれた
「記憶を‥‥取り戻したのですね」
声を発したサーナだが、その視線は下を向き、俺を見てはいない。表情は曇っていた
「うん、まあ‥‥」
「「‥‥」」
互いに何か言おうとするのだが、その後が続かない。
かつての自分の子として、そして助けられなかったという負い目と。
かつての自分の母として、そして様々な思い
双方複雑な思いがあり、何も話せなかった。
互いに沈黙したまま時間が過ぎるが、その時何となくこの言葉が合っているのではないだろうか? と思い、口を開く
「ただいま‥‥でいいのかな?」
自分で言ってなんだが、何となく照れ臭くなり、苦笑いを浮かべる
俺がそう言った時、下を向いていたサーナの視線がハッとしたように俺を見る。茶色の瞳が揺れ俺を見据えた。
サーナは何かを求めるように少しだけ震えるその手を俺に伸ばしてくる。以前二度サーナに触れられ魔法を抜かれた事があり、本来なら警戒すべきだが、俺はその場から動かなかった。
伸ばされたその手は俺の頬を触れ優しく撫でる
「ああ‥‥ネクター‥‥、私の愛しい我が子」
今回魔法を抜かれる事は無く、俺の頬を撫でた手はそのまま俺の背中に回される。
あの時、サーナの胸くらいの身長しか無かった俺だったが、今の俺はサーナよりも大きくなっていた
「ごめんなさい、あなたを守れませんでした」
後ろに回したサーナの手に少しだけ力がこもる
「うん‥‥」
そう言われてもあの時は俺にだって責任がある。好き勝手やっといて最後は人の手によって命を絶たれてしまった。
あの時は体も子供だったが、心もそれに伴い未熟で自分勝手な存在だった。
サーナが人の子ばかり気にしているように感じた俺は、サーナの注意を引こうと自らの魂を削り、次々と地上に魔法陣を敷いた。
その結果が力が無くなり、人に討たれ、そして世界に厄災を振りまいた
後ろに回したサーナの手の力がゆっくりと弱まり、俺から体を離して行く。背中に回したサーナの手はそのまま俺の腕を触るように移動し、そのまま俺の両手を包むように握る
「ごめんなさいネクター」
サーナの今日二度目の謝罪、それは別の意味での謝罪だった
「あなたにこんな事をさせようとしている母を‥‥許してください」
これから俺にさせようとしている事に対する謝罪
「うん」
俺にはもう決心はついている、迷いはもう無い
サーナは俺の両手を包み込むように握ったまま、俺の顔をずっと見ていた。そして名残惜しそうにゆっくりとその手の力を弱めていく。
徐々に俺の手から離れていく手の途中、指先で少しだけ力が入ったように感じた。それはサーナにはまだ躊躇いと後悔があるように俺は感じた。
ゆっくりと触れていた手を離し、そのまますーっと後ろに下がっていく
「‥‥これから何をすればいいか分かってますね?」
「うん」
「母はユーサリーによって創造されたので、ユーサリーを守らなければいけません━━」
3度目の謝罪
「━━だから‥‥手加減は出来ません、ごめんなさい」
創造された者は、創造主には逆らえない。自らが創造主を傷つけないよう、そして創造主を傷つけようとする者には敵対する
「分かってる」
後ろに手を回し、背中に背負っていた大剣を抜き取り、剣全体に魔力を這わせそれを正面に構えた。それと同時に俺の背には『飛翔』の魔法である透明な羽が現れる
「‥‥いきます」
サーナのその言葉を発した瞬間、高速で後方に飛び、俺はサーナに向かい飛び大剣を振りかぶる。
突如俺の体にビリッとした痺れが走る、創造主が創造した物に行使できる『威圧』の効果が発動する。だがそれはそれまで何度かサーナから受けて来た『威圧』の威力は無かった。
当然サーナは手を抜いている訳ではない、今まで俺から魔法を抜いた時に使った『威圧』と変わらない、でも俺を拘束するような力は無かった。
理由は‥‥サーナが俺から魔法を抜いたことが原因だろう。あの時は俺に対する嫌がらせだと思っていたが、今はその理由を知っている。
ユーサリーに俺が見つかるのを遅らせる事と、この時の為に『威圧』の効果を減少させる目的だったのだろう
ネクターだった俺は魂を削り、地上に魔法陣を敷いた。質量的な魂の減少により、創造主であるサーナとカネオンの俺に対する支配の力が減少する結果となった。魔法陣を敷けば敷くほど二人の俺に対する力は弱まった。
あの時二人に対し終始反抗していたのはその為だろう‥‥ほぼ完全に支配から抜け出していたと思う。そして、いまの俺の魂はサーナにより魔法を抜かれた結果殆ど中身が残っていない、多少の干渉はあるが支障は全く無かった
サーナは左右にぶれるように高速で移動しつつ、魔法ではなく魔力そのものを俺に放つ。それに対し俺も魔力自体を放ち互いに相殺させ、接近、手に持つ大剣を振るう。
二度三度と‥‥大剣を振るが、サーナはギリギリの所で躱し魔力を放出し反撃をしつつも回避行動に移る。俺はそれを同じく魔力で相殺するが、これを繰り返していればその内、俺の魔力のが底をつく。
絶対的な魔力量ではサーナには勝てないのだ、だが俺には神々には無い力を持っている
魔力で吹き飛ばそうとするサーナの攻撃に対し、俺はグラースオルグの力を発動させた。いかなる攻撃も通用せず、神という存在自体を飲み込むグラースオルグの力を‥‥。
左腕から生えた赤黒い存在は、正面で盾のように展開し、サーナの放つ魔力を吸収し、己の力に変える。
そうなってしまえば、サーナに攻撃の手段はもう無い、攻撃する事も接近する事も負けに繋がる。俺の攻撃に対し、回避するために魔力を放ち、高速で移動するサーナ。
存在自体、俺と比べ物にならない程高位の存在であるが、相性が悪すぎた。
魔力を這わせた大剣は徐々にサーナ届くようになり、そして━━
「あ!」
大剣はサーナの胴を貫き、そのまま大地に落とした。瞬間土埃が舞い、光を遮り辺りを一瞬だけ暗闇に変える。
徐々に飛散する土埃で明るさを取り戻し、俺の大剣で貫かれているサーナの姿がそこに現れる
「‥‥見事です、ネクター」
胴を貫かれているとは思えない程、いつもと変わりない顔でサーナが俺の名を呼ぶ
「うん‥‥」
サーナの胴を貫いている大剣を握る俺の手が震える、果たして本当にこれでよかったのか? という思いが全力で頭の中を駆け巡るが、そんな事を考えている時間は俺には残されていない
「直ぐにでも断罪者が現れるでしょう、どうすべきかは分かっていますね?」
まだ戦えるだろうが、サーナは動く事は無かった
「ああ‥‥全部分かっている」
震える両手を大剣から離そうとするが、指が固まって動かない。それを少しずつ剥がすように大剣から指を離した。
そして右腕にグラースオルグの力を纏わせ、サーナの胸に重ねる。ズブズブと沈むように右腕はサーナの体内に入って行った。
グラースオルグの力でサーナの女神の力を吸収するのではなく、サーナの女神としての核を引き抜くために使う。
もうこうなってしまっては後戻りはできない‥‥もうやるしかないのだ。でもここで右手に宿る感触を離しさえすれば‥‥
「ごめんなさいネクター、あなたにこんな事をさせてしまって‥‥私は‥‥酷い母です。あなたを私の復讐の道具に━━」
俺は思い切りサーナの体から女神としての核を抜いた。
これから起こる事が怖いという気持ちが表に出て来たのと、それ以上サーナに言わせるのが怖かったからだ。
核を抜かれたサーナは、プツリと糸の切れた操り人形のようにその体から力を失った
「あ‥‥」
目の前には、先程まで言葉を発していたサーナが横たわる
「‥‥‥‥はぁはぁはぁはぁはぁ」
呼吸が激しくなり自分でもコントロールできない程の震えが体を襲う
「や‥‥やってしまった‥‥」
もう自分の中には後悔しかない、かつての母を殺してしまったという後悔が胸を激しく揺さぶる
創造された者は創造主の意思には逆らえない‥‥。
その創造主の一人であるサーナが消滅したことにより、その創造主の意思自体が今、失われてしまった。
俺は自分の意思で行動していたと思っていたが、それは殆ど間違いであったと実感させられた
「俺は‥‥取り返しの‥‥」
そう言いかけた時
『だーからやめておけって言っただろう? 言わんこっちゃない』
脳内に直接語り掛けてくる存在、カネオンの声が頭に響く
「うるさい! 話しかけて来るな!」
周りには俺ともう器だけになってしまったサーナしかいないが、声を荒げ怒鳴る
『おー怖い怖い、まあやっちまったもんは仕方ないが、もう止めにしないか? 今からでも間に合うと思うぞ?』
「黙れ! 俺の前にその存在を現すな!」
『はいはい分かったよ、お父さんは引っ込みますよー』
「くっ‥‥クソジジイがぁ!!」
腹立たしい声を頭から消すように大声で悪態をつくが、カネオンの存在はもう既に無かった
「そうだ、俺はやらなければならないんだ。最後まで、やらなきゃ」
先ほどまでの迷いや恐怖は何故かすっかりと無くなっていた。俺は、俺がすべきことをやるだけだ
サーナを貫いている大剣を抜き背中に背負う
その時高速で近づいてくる気配を感じた
「やっぱり来るよな‥‥」
高速で飛来する者は
「母上ぇぇぇぇぇ!!!!」
発狂していると思えるほどの声を上げ、サーナの側に居た俺に対し、炎を纏ったその腕で薙ぎ払うようにその腕を振るう。
俺はそのまま後方に飛んだ
高速で飛来してきた人物は、銀髪の髪を持つ女性の姿をした断罪者(ネクター)だった
そこはかつて都市グラースオルグと言われた場所であり、同時に厄災が生まれた場所であった。その都市の名を取り、厄災グラースオルグとなった化物は、世界の三分の一を人が住むのを許されない死の大地に変えた。
その場所で待つ女性の上空に到達すると、文字で出来たような、もしくはトンボの羽のような透き通った翼の角度を変え、地上にゆっくりと降り立つ
そこには長い茶色の髪を揺らし、白のロングドレスを身にまとう美しい女性の姿
『女神サーナ』
元俺の創造主であり、母親ともいえる存在がそこで待っていた。あの時と姿が全く変わらず、その場にいた。
俺が地上に降りたつと、その閉じられていた目がゆっくりと開かれ、その閉じられていた唇も開かれた
「記憶を‥‥取り戻したのですね」
声を発したサーナだが、その視線は下を向き、俺を見てはいない。表情は曇っていた
「うん、まあ‥‥」
「「‥‥」」
互いに何か言おうとするのだが、その後が続かない。
かつての自分の子として、そして助けられなかったという負い目と。
かつての自分の母として、そして様々な思い
双方複雑な思いがあり、何も話せなかった。
互いに沈黙したまま時間が過ぎるが、その時何となくこの言葉が合っているのではないだろうか? と思い、口を開く
「ただいま‥‥でいいのかな?」
自分で言ってなんだが、何となく照れ臭くなり、苦笑いを浮かべる
俺がそう言った時、下を向いていたサーナの視線がハッとしたように俺を見る。茶色の瞳が揺れ俺を見据えた。
サーナは何かを求めるように少しだけ震えるその手を俺に伸ばしてくる。以前二度サーナに触れられ魔法を抜かれた事があり、本来なら警戒すべきだが、俺はその場から動かなかった。
伸ばされたその手は俺の頬を触れ優しく撫でる
「ああ‥‥ネクター‥‥、私の愛しい我が子」
今回魔法を抜かれる事は無く、俺の頬を撫でた手はそのまま俺の背中に回される。
あの時、サーナの胸くらいの身長しか無かった俺だったが、今の俺はサーナよりも大きくなっていた
「ごめんなさい、あなたを守れませんでした」
後ろに回したサーナの手に少しだけ力がこもる
「うん‥‥」
そう言われてもあの時は俺にだって責任がある。好き勝手やっといて最後は人の手によって命を絶たれてしまった。
あの時は体も子供だったが、心もそれに伴い未熟で自分勝手な存在だった。
サーナが人の子ばかり気にしているように感じた俺は、サーナの注意を引こうと自らの魂を削り、次々と地上に魔法陣を敷いた。
その結果が力が無くなり、人に討たれ、そして世界に厄災を振りまいた
後ろに回したサーナの手の力がゆっくりと弱まり、俺から体を離して行く。背中に回したサーナの手はそのまま俺の腕を触るように移動し、そのまま俺の両手を包むように握る
「ごめんなさいネクター」
サーナの今日二度目の謝罪、それは別の意味での謝罪だった
「あなたにこんな事をさせようとしている母を‥‥許してください」
これから俺にさせようとしている事に対する謝罪
「うん」
俺にはもう決心はついている、迷いはもう無い
サーナは俺の両手を包み込むように握ったまま、俺の顔をずっと見ていた。そして名残惜しそうにゆっくりとその手の力を弱めていく。
徐々に俺の手から離れていく手の途中、指先で少しだけ力が入ったように感じた。それはサーナにはまだ躊躇いと後悔があるように俺は感じた。
ゆっくりと触れていた手を離し、そのまますーっと後ろに下がっていく
「‥‥これから何をすればいいか分かってますね?」
「うん」
「母はユーサリーによって創造されたので、ユーサリーを守らなければいけません━━」
3度目の謝罪
「━━だから‥‥手加減は出来ません、ごめんなさい」
創造された者は、創造主には逆らえない。自らが創造主を傷つけないよう、そして創造主を傷つけようとする者には敵対する
「分かってる」
後ろに手を回し、背中に背負っていた大剣を抜き取り、剣全体に魔力を這わせそれを正面に構えた。それと同時に俺の背には『飛翔』の魔法である透明な羽が現れる
「‥‥いきます」
サーナのその言葉を発した瞬間、高速で後方に飛び、俺はサーナに向かい飛び大剣を振りかぶる。
突如俺の体にビリッとした痺れが走る、創造主が創造した物に行使できる『威圧』の効果が発動する。だがそれはそれまで何度かサーナから受けて来た『威圧』の威力は無かった。
当然サーナは手を抜いている訳ではない、今まで俺から魔法を抜いた時に使った『威圧』と変わらない、でも俺を拘束するような力は無かった。
理由は‥‥サーナが俺から魔法を抜いたことが原因だろう。あの時は俺に対する嫌がらせだと思っていたが、今はその理由を知っている。
ユーサリーに俺が見つかるのを遅らせる事と、この時の為に『威圧』の効果を減少させる目的だったのだろう
ネクターだった俺は魂を削り、地上に魔法陣を敷いた。質量的な魂の減少により、創造主であるサーナとカネオンの俺に対する支配の力が減少する結果となった。魔法陣を敷けば敷くほど二人の俺に対する力は弱まった。
あの時二人に対し終始反抗していたのはその為だろう‥‥ほぼ完全に支配から抜け出していたと思う。そして、いまの俺の魂はサーナにより魔法を抜かれた結果殆ど中身が残っていない、多少の干渉はあるが支障は全く無かった
サーナは左右にぶれるように高速で移動しつつ、魔法ではなく魔力そのものを俺に放つ。それに対し俺も魔力自体を放ち互いに相殺させ、接近、手に持つ大剣を振るう。
二度三度と‥‥大剣を振るが、サーナはギリギリの所で躱し魔力を放出し反撃をしつつも回避行動に移る。俺はそれを同じく魔力で相殺するが、これを繰り返していればその内、俺の魔力のが底をつく。
絶対的な魔力量ではサーナには勝てないのだ、だが俺には神々には無い力を持っている
魔力で吹き飛ばそうとするサーナの攻撃に対し、俺はグラースオルグの力を発動させた。いかなる攻撃も通用せず、神という存在自体を飲み込むグラースオルグの力を‥‥。
左腕から生えた赤黒い存在は、正面で盾のように展開し、サーナの放つ魔力を吸収し、己の力に変える。
そうなってしまえば、サーナに攻撃の手段はもう無い、攻撃する事も接近する事も負けに繋がる。俺の攻撃に対し、回避するために魔力を放ち、高速で移動するサーナ。
存在自体、俺と比べ物にならない程高位の存在であるが、相性が悪すぎた。
魔力を這わせた大剣は徐々にサーナ届くようになり、そして━━
「あ!」
大剣はサーナの胴を貫き、そのまま大地に落とした。瞬間土埃が舞い、光を遮り辺りを一瞬だけ暗闇に変える。
徐々に飛散する土埃で明るさを取り戻し、俺の大剣で貫かれているサーナの姿がそこに現れる
「‥‥見事です、ネクター」
胴を貫かれているとは思えない程、いつもと変わりない顔でサーナが俺の名を呼ぶ
「うん‥‥」
サーナの胴を貫いている大剣を握る俺の手が震える、果たして本当にこれでよかったのか? という思いが全力で頭の中を駆け巡るが、そんな事を考えている時間は俺には残されていない
「直ぐにでも断罪者が現れるでしょう、どうすべきかは分かっていますね?」
まだ戦えるだろうが、サーナは動く事は無かった
「ああ‥‥全部分かっている」
震える両手を大剣から離そうとするが、指が固まって動かない。それを少しずつ剥がすように大剣から指を離した。
そして右腕にグラースオルグの力を纏わせ、サーナの胸に重ねる。ズブズブと沈むように右腕はサーナの体内に入って行った。
グラースオルグの力でサーナの女神の力を吸収するのではなく、サーナの女神としての核を引き抜くために使う。
もうこうなってしまっては後戻りはできない‥‥もうやるしかないのだ。でもここで右手に宿る感触を離しさえすれば‥‥
「ごめんなさいネクター、あなたにこんな事をさせてしまって‥‥私は‥‥酷い母です。あなたを私の復讐の道具に━━」
俺は思い切りサーナの体から女神としての核を抜いた。
これから起こる事が怖いという気持ちが表に出て来たのと、それ以上サーナに言わせるのが怖かったからだ。
核を抜かれたサーナは、プツリと糸の切れた操り人形のようにその体から力を失った
「あ‥‥」
目の前には、先程まで言葉を発していたサーナが横たわる
「‥‥‥‥はぁはぁはぁはぁはぁ」
呼吸が激しくなり自分でもコントロールできない程の震えが体を襲う
「や‥‥やってしまった‥‥」
もう自分の中には後悔しかない、かつての母を殺してしまったという後悔が胸を激しく揺さぶる
創造された者は創造主の意思には逆らえない‥‥。
その創造主の一人であるサーナが消滅したことにより、その創造主の意思自体が今、失われてしまった。
俺は自分の意思で行動していたと思っていたが、それは殆ど間違いであったと実感させられた
「俺は‥‥取り返しの‥‥」
そう言いかけた時
『だーからやめておけって言っただろう? 言わんこっちゃない』
脳内に直接語り掛けてくる存在、カネオンの声が頭に響く
「うるさい! 話しかけて来るな!」
周りには俺ともう器だけになってしまったサーナしかいないが、声を荒げ怒鳴る
『おー怖い怖い、まあやっちまったもんは仕方ないが、もう止めにしないか? 今からでも間に合うと思うぞ?』
「黙れ! 俺の前にその存在を現すな!」
『はいはい分かったよ、お父さんは引っ込みますよー』
「くっ‥‥クソジジイがぁ!!」
腹立たしい声を頭から消すように大声で悪態をつくが、カネオンの存在はもう既に無かった
「そうだ、俺はやらなければならないんだ。最後まで、やらなきゃ」
先ほどまでの迷いや恐怖は何故かすっかりと無くなっていた。俺は、俺がすべきことをやるだけだ
サーナを貫いている大剣を抜き背中に背負う
その時高速で近づいてくる気配を感じた
「やっぱり来るよな‥‥」
高速で飛来する者は
「母上ぇぇぇぇぇ!!!!」
発狂していると思えるほどの声を上げ、サーナの側に居た俺に対し、炎を纏ったその腕で薙ぎ払うようにその腕を振るう。
俺はそのまま後方に飛んだ
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