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ヴォルテーヌ家から帰宅したその夜。何時も通り食事を済ませて、留守番していたシャルロット達に報告がてら雑談をした。それも、終わると各自部屋に戻り就寝をする。
「じゃあ、お休み」
フィオナを部屋まで送り届け、扉を閉めようとすると袖を引っ張られた。
「フィオナ?どうかした?」
「……あ、あの」
彼女は、俯きながらモジモジとする。だが袖は確りと掴んで離さない。何か言いたい事があるのだろうが、恥ずかしくて言えないのだろう。
「うん、どうしたの」
ヴィレームはフィオナが言えるまで、のんびりと待つ事にする。もしこれがフィオナじゃなく、別の女性だったなら早く要件を言う様に急かすか、さっさと踵を返すかの二択だ。だが、愛しい彼女の為ならば何時間だって、いや何日だって待てる自信がある!
「も、もう少しだけ……側にいて、くれませんか」
消え入りそうな声だが、ヴィレームの耳には鮮明に響いた。聞き間違えでなければ今、側にいてくれないかと言われた……⁉︎
ヴィレームは生唾を呑む。
「すみません、やっぱり……迷惑ですよね」
何も返事をしないヴィレームに、彼女は落胆した様に項垂れた。
「迷惑なんかじゃないよ。寧ろ君がそんな風に思ってくれてるなんて、嬉しいな」
内心かなり歓喜し興奮していたが、冷静を装いそう告げると、彼女は安堵のため息を吐いた。
部屋の中へ入ると、分かってはいたが邪魔者が二匹いた。シビルとフリュイだ。ヴィレームはシビルに目配せをすると、彼女はやれやれと言う感じの表情をしてフリュイをつまみ上げ退出した。こう言う時、憎たらしい程飼い主に似ていると感じる。生意気だ。
「隣、座ってもいいかな」
「はい」
恥ずかしそうに頷く彼女は、やはり可愛い……まずい、口元が緩んでしまう……。
ヴィレームはニヤけるのを抑えつつ、ベッドに座るフィオナの横に腰を下ろした。
「……」
「……」
その後、フィオナは俯き加減で黙り込んでしまった。おかしい。世間では女性が男性に『側にいて』などと言われたらこれは間違いなく、誘っていると言っても過言ではない筈……昔、読んだ本に書いてあった。
だが今この状況は、甘い雰囲気と言うより、明らかに気不味い空気が流れている……おかしい。
もしかしてまた何か失態でもしてしまっただろうかと、ヴィレームは内心頭を抱えた。
「ヴィレーム様」
不意に名前を呼ばれ、身体がビクリとなる。実に情け無い……。
「う、うん?」
「私……ヴィレーム様の事が……好きです」
ヴィレームは目を見張る。
「フィオナ……」
「怖かった。ヴィレーム様がミラベルを選ぶんじゃないかって、思ったら怖くて、どうしようもなくて……。ヴィレーム様が『分かりました』そう仰った瞬間、消えてしまいたいって、思ったんです。ヴィレーム様はそんな方じゃないって分かってるのに、怖くて、怖くて、堪らなくて、不安で私、どうにかなってしまいそう……お願いします、私の事、捨てないでくだ……ヴィレームさまっ⁉︎」
彼女が全て言い終える前に、ヴィレームは彼女を掻き抱いた。我慢ならなかった。徐に仮面を外し、その素顔を確認する。大きな瞳に涙を沢山溜め込んでいた。自分の不甲斐なさ情けなさを思い知らされる様だ。
彼女を不安にさせているのは紛れもなく自分だ。配慮が足りなかった。
「フィオナ」
彼女の頬を優しく撫でると、身体をピクリとさせた。本当に、可愛くて愛おしいと思う。涙を浮かべる姿は、欲情的にすら見える。
「ヴィレーム、さま……っ」
彼女から目を逸らす事なく、そのまま口付けた。ゆっくりと味わう様に口付ける。頭が痺れて、身体が疼く。以前も感じたが、なんて甘美なのだろうか……。そして味わっても味わっても、まるで足らない。ヴィレームは夢中になって口付けた。
フィオナは瞳を伏せ、次第に身体の力が抜けていく。それをヴィレームは支える。
翌朝、ヴィレームはフィオナの眠る隣で目を覚ました。
「じゃあ、お休み」
フィオナを部屋まで送り届け、扉を閉めようとすると袖を引っ張られた。
「フィオナ?どうかした?」
「……あ、あの」
彼女は、俯きながらモジモジとする。だが袖は確りと掴んで離さない。何か言いたい事があるのだろうが、恥ずかしくて言えないのだろう。
「うん、どうしたの」
ヴィレームはフィオナが言えるまで、のんびりと待つ事にする。もしこれがフィオナじゃなく、別の女性だったなら早く要件を言う様に急かすか、さっさと踵を返すかの二択だ。だが、愛しい彼女の為ならば何時間だって、いや何日だって待てる自信がある!
「も、もう少しだけ……側にいて、くれませんか」
消え入りそうな声だが、ヴィレームの耳には鮮明に響いた。聞き間違えでなければ今、側にいてくれないかと言われた……⁉︎
ヴィレームは生唾を呑む。
「すみません、やっぱり……迷惑ですよね」
何も返事をしないヴィレームに、彼女は落胆した様に項垂れた。
「迷惑なんかじゃないよ。寧ろ君がそんな風に思ってくれてるなんて、嬉しいな」
内心かなり歓喜し興奮していたが、冷静を装いそう告げると、彼女は安堵のため息を吐いた。
部屋の中へ入ると、分かってはいたが邪魔者が二匹いた。シビルとフリュイだ。ヴィレームはシビルに目配せをすると、彼女はやれやれと言う感じの表情をしてフリュイをつまみ上げ退出した。こう言う時、憎たらしい程飼い主に似ていると感じる。生意気だ。
「隣、座ってもいいかな」
「はい」
恥ずかしそうに頷く彼女は、やはり可愛い……まずい、口元が緩んでしまう……。
ヴィレームはニヤけるのを抑えつつ、ベッドに座るフィオナの横に腰を下ろした。
「……」
「……」
その後、フィオナは俯き加減で黙り込んでしまった。おかしい。世間では女性が男性に『側にいて』などと言われたらこれは間違いなく、誘っていると言っても過言ではない筈……昔、読んだ本に書いてあった。
だが今この状況は、甘い雰囲気と言うより、明らかに気不味い空気が流れている……おかしい。
もしかしてまた何か失態でもしてしまっただろうかと、ヴィレームは内心頭を抱えた。
「ヴィレーム様」
不意に名前を呼ばれ、身体がビクリとなる。実に情け無い……。
「う、うん?」
「私……ヴィレーム様の事が……好きです」
ヴィレームは目を見張る。
「フィオナ……」
「怖かった。ヴィレーム様がミラベルを選ぶんじゃないかって、思ったら怖くて、どうしようもなくて……。ヴィレーム様が『分かりました』そう仰った瞬間、消えてしまいたいって、思ったんです。ヴィレーム様はそんな方じゃないって分かってるのに、怖くて、怖くて、堪らなくて、不安で私、どうにかなってしまいそう……お願いします、私の事、捨てないでくだ……ヴィレームさまっ⁉︎」
彼女が全て言い終える前に、ヴィレームは彼女を掻き抱いた。我慢ならなかった。徐に仮面を外し、その素顔を確認する。大きな瞳に涙を沢山溜め込んでいた。自分の不甲斐なさ情けなさを思い知らされる様だ。
彼女を不安にさせているのは紛れもなく自分だ。配慮が足りなかった。
「フィオナ」
彼女の頬を優しく撫でると、身体をピクリとさせた。本当に、可愛くて愛おしいと思う。涙を浮かべる姿は、欲情的にすら見える。
「ヴィレーム、さま……っ」
彼女から目を逸らす事なく、そのまま口付けた。ゆっくりと味わう様に口付ける。頭が痺れて、身体が疼く。以前も感じたが、なんて甘美なのだろうか……。そして味わっても味わっても、まるで足らない。ヴィレームは夢中になって口付けた。
フィオナは瞳を伏せ、次第に身体の力が抜けていく。それをヴィレームは支える。
翌朝、ヴィレームはフィオナの眠る隣で目を覚ました。
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