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番外編【年齢について考える】14怪しい電話(大鷹視点)
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紗々さんは今日、ジムの無料体験に行っている。だから家にはオレ一人である。一人だからと言って、特にやることもなかったオレは、自分の部屋でスマホをいじっていた。
【今年のバレンタインはどうしますか?もし、今年もみんなで作るのなら、材料は揃えますよ】
しかし、スマホに通知された一件のメッセージにより、オレは一人の時間を強制的に失うことになった。
メッセージは守君からだった。そういえば、もうそんな時期である。ここ数年は守君たちと手作りお菓子を作り、それぞれ最愛の人に渡している。守君は千沙さん、弟の亨は李江さん、大輔さんはきらりさん。そしてオレは紗々さん。
【2月に入ってから材料を揃えてもいいですけど、今日、たまたま他の物を買いにスーパーに来たので、ついでに材料も揃えてしまおうかと思って。毎年、バレンタインの材料を買っているスーパーにいます】
メッセージを読むと、なんと紗々さんが無料体験に行ったジムが入っているスーパーに守君がいるということだった。さらに運の悪いことが続く。
【おお、ちょうどいい。実は俺も今、そのスーパーにいるんだけど、俺もそろそろバレンタインのお菓子、どうしようかと思っていたところだ。守は今、どの売り場にいる?】
【ものすごい偶然だな。オレもきらりのお使いでそっちのスーパーに行こうと思っていたところだ。今日はお客様感謝デーで、カード会員は5%オフだしな】
何てことだ。毎年バレンタインで集まっている男3人が、紗々さんのいるスーパーに集まることになってしまった。別に悪い男たちではないが、紗々さんに積極的に会わせたい男たちでもない。それにもし、彼らと紗々さんが出会ってしまったら、彼らはオレのあることないことを紗々さんに吹き込みそうだ。
ちなみにこのメッセージはグループメッセージで送られてきた。毎年、このメンバーでバレンタインのお菓子作りをしているので、グループを作って、そこでいろいろやり取りをしている。守君に最初に返事をしたのは弟の亨だった。そして次に返事をしたのが大輔さんだ。
既読を着けてしまったので、オレも返事をしなくてはならない。さて、どのような返事が妥当だろうか。オレは特に買うものはないが、このまま3人と紗々さんが出会うのを見過ごすわけにはいかない。
【守君ばかりに迷惑をかけられないから、オレもそっちに行くよ。直ぐに準備するから、食品売り場で待っていてくれないかな?】
守君に返事をして、オレはすぐに紗々さんに電話をかける。メッセージで彼らが居ることを伝えてもいいが、それでは見ない可能性もある。電話をすれば、確実に彼らと会うのを避けられる。スマホの時計を確認すると、紗々さんがジムに向かってから、1時間以上経っている。今頃は体験も終わって、買い物をしているだろう。
こうしてオレは紗々さんに電話かけるのだった。
『もしもし』
紗々さんは着信後、すぐに電話に出てくれた。
「もしもし、紗々さんですか?ジムの体験は終わりましたか?ジムがスーパーの中にあると聞いていたんですけど、僕もそこのスーパーで買いたいものが見つかりまして」
『なるほど』
「なので、今からそちらに向かうので、たぶん20分くらいでそちらに着けると思います。僕がそちらに着くまでの間、申し訳ないですが、スーパー内で時間を潰してもらってもいいですか?」
結局、オレは紗々さんに守君たちがスーパーにいることを伝えなかった。その代わりに、自分がそちらに向かうことを伝えた。
『私は別に構いませんけど、わざわざ大鷹さんがスーパーに来なくても、欲しいものを言ってくれれば、私が買って帰りますよ』
「ううん……。それはちょっと」
『下着なら、別に恥ずかしくないですよ。サイズとメーカーを話してくれれば、買いますよ』
紗々さんはオレがスーパーに行くことを不思議がっていた。そして、オレのあいまいな返答が誤解を生んでしまった。さすがに下着は自分で買いたい。
「いえ、下着ではないです。と、とりあえず、今すぐ向かいます。あと……」
僕が着くまで、食品売り場の特に製菓コーナーには近づかないでください。
誤解を解きつつ、守君たちと出会わないように釘をさしておく。ひとまず、食品売り場にさえ近づかなければ、会う確率も大幅に減るはずだ。そこで、オレからの電話は終了する予定だった。そこに予想外の声がオレと紗々さんの電話に割って入ってきた。
『おおたかっちからの電話でしたか。おおたかっち、ご無沙汰しています!紗々先輩をいつもお世話しております!』
「河合江子……」
まさか、河合江子と紗々さんが会っていたとは。つい、低い声が出てしまう。河合江子は楽しそうな声で言葉を続ける。
『それでですねえ、今日、運命的に紗々さんとスーパー内で出会いまして。私は休みの日に紗々さんに会えて嬉しかったのに、紗々さんったら、酷いこと言うんです!』
『あ、あの、違うんですよ。本当に偶然、スーパーで会っただけで』
河合江子が紗々さんと出会ったのは運命的とか言っているが、それはあり得ない。紗々さんも否定している。まったく、今日はなんていう偶然が続く日だ。
『先輩が私に個人情報だから、今日、何を買いに来たのか、教えてくれないんですよ。私と紗々先輩って、とおっても仲良いイイと思っていたのに、違ったんですかねえ』
「紗々さんが違うと言ったら、違うと思いますよ」
とりあえず、心の中で深呼吸して返事する。オレの機嫌が悪くなったことに気付いた紗々さんが再度、河合江子の言葉を否定する。
『あの、大鷹さん、ぐ、偶然、スーパーで会っただけですよ。約束していたわけではありませ』
「それは当たり前です。はあ、仕方ないです。今からそちらに向かいます。ちょうどお昼になりますから、今日のお昼はそこで食べましょう。飲食店もありますから」
すでにお昼に近い時間となっていたので、ついでにスーパー内の飲食店でお昼をたべることに決めた。オレが一緒ならば、守君たちと会っても、オレが彼らの会話に目を光らせればいいので、変なことは言わないはずだ。
『はあ』
『それって、私もご同伴していいってことですよね?まさか、私のことをハブるなんて、しないで』
「あとあと面倒なんで勝手にどうぞ。紗々さん、ではまた後で」
『わかりました』
おまけで河合江子もついてくるが、彼女はダメと言って聞くような女ではない。オレは電話を切って、急いでスーパーに向かう支度を始めた。
【今年のバレンタインはどうしますか?もし、今年もみんなで作るのなら、材料は揃えますよ】
しかし、スマホに通知された一件のメッセージにより、オレは一人の時間を強制的に失うことになった。
メッセージは守君からだった。そういえば、もうそんな時期である。ここ数年は守君たちと手作りお菓子を作り、それぞれ最愛の人に渡している。守君は千沙さん、弟の亨は李江さん、大輔さんはきらりさん。そしてオレは紗々さん。
【2月に入ってから材料を揃えてもいいですけど、今日、たまたま他の物を買いにスーパーに来たので、ついでに材料も揃えてしまおうかと思って。毎年、バレンタインの材料を買っているスーパーにいます】
メッセージを読むと、なんと紗々さんが無料体験に行ったジムが入っているスーパーに守君がいるということだった。さらに運の悪いことが続く。
【おお、ちょうどいい。実は俺も今、そのスーパーにいるんだけど、俺もそろそろバレンタインのお菓子、どうしようかと思っていたところだ。守は今、どの売り場にいる?】
【ものすごい偶然だな。オレもきらりのお使いでそっちのスーパーに行こうと思っていたところだ。今日はお客様感謝デーで、カード会員は5%オフだしな】
何てことだ。毎年バレンタインで集まっている男3人が、紗々さんのいるスーパーに集まることになってしまった。別に悪い男たちではないが、紗々さんに積極的に会わせたい男たちでもない。それにもし、彼らと紗々さんが出会ってしまったら、彼らはオレのあることないことを紗々さんに吹き込みそうだ。
ちなみにこのメッセージはグループメッセージで送られてきた。毎年、このメンバーでバレンタインのお菓子作りをしているので、グループを作って、そこでいろいろやり取りをしている。守君に最初に返事をしたのは弟の亨だった。そして次に返事をしたのが大輔さんだ。
既読を着けてしまったので、オレも返事をしなくてはならない。さて、どのような返事が妥当だろうか。オレは特に買うものはないが、このまま3人と紗々さんが出会うのを見過ごすわけにはいかない。
【守君ばかりに迷惑をかけられないから、オレもそっちに行くよ。直ぐに準備するから、食品売り場で待っていてくれないかな?】
守君に返事をして、オレはすぐに紗々さんに電話をかける。メッセージで彼らが居ることを伝えてもいいが、それでは見ない可能性もある。電話をすれば、確実に彼らと会うのを避けられる。スマホの時計を確認すると、紗々さんがジムに向かってから、1時間以上経っている。今頃は体験も終わって、買い物をしているだろう。
こうしてオレは紗々さんに電話かけるのだった。
『もしもし』
紗々さんは着信後、すぐに電話に出てくれた。
「もしもし、紗々さんですか?ジムの体験は終わりましたか?ジムがスーパーの中にあると聞いていたんですけど、僕もそこのスーパーで買いたいものが見つかりまして」
『なるほど』
「なので、今からそちらに向かうので、たぶん20分くらいでそちらに着けると思います。僕がそちらに着くまでの間、申し訳ないですが、スーパー内で時間を潰してもらってもいいですか?」
結局、オレは紗々さんに守君たちがスーパーにいることを伝えなかった。その代わりに、自分がそちらに向かうことを伝えた。
『私は別に構いませんけど、わざわざ大鷹さんがスーパーに来なくても、欲しいものを言ってくれれば、私が買って帰りますよ』
「ううん……。それはちょっと」
『下着なら、別に恥ずかしくないですよ。サイズとメーカーを話してくれれば、買いますよ』
紗々さんはオレがスーパーに行くことを不思議がっていた。そして、オレのあいまいな返答が誤解を生んでしまった。さすがに下着は自分で買いたい。
「いえ、下着ではないです。と、とりあえず、今すぐ向かいます。あと……」
僕が着くまで、食品売り場の特に製菓コーナーには近づかないでください。
誤解を解きつつ、守君たちと出会わないように釘をさしておく。ひとまず、食品売り場にさえ近づかなければ、会う確率も大幅に減るはずだ。そこで、オレからの電話は終了する予定だった。そこに予想外の声がオレと紗々さんの電話に割って入ってきた。
『おおたかっちからの電話でしたか。おおたかっち、ご無沙汰しています!紗々先輩をいつもお世話しております!』
「河合江子……」
まさか、河合江子と紗々さんが会っていたとは。つい、低い声が出てしまう。河合江子は楽しそうな声で言葉を続ける。
『それでですねえ、今日、運命的に紗々さんとスーパー内で出会いまして。私は休みの日に紗々さんに会えて嬉しかったのに、紗々さんったら、酷いこと言うんです!』
『あ、あの、違うんですよ。本当に偶然、スーパーで会っただけで』
河合江子が紗々さんと出会ったのは運命的とか言っているが、それはあり得ない。紗々さんも否定している。まったく、今日はなんていう偶然が続く日だ。
『先輩が私に個人情報だから、今日、何を買いに来たのか、教えてくれないんですよ。私と紗々先輩って、とおっても仲良いイイと思っていたのに、違ったんですかねえ』
「紗々さんが違うと言ったら、違うと思いますよ」
とりあえず、心の中で深呼吸して返事する。オレの機嫌が悪くなったことに気付いた紗々さんが再度、河合江子の言葉を否定する。
『あの、大鷹さん、ぐ、偶然、スーパーで会っただけですよ。約束していたわけではありませ』
「それは当たり前です。はあ、仕方ないです。今からそちらに向かいます。ちょうどお昼になりますから、今日のお昼はそこで食べましょう。飲食店もありますから」
すでにお昼に近い時間となっていたので、ついでにスーパー内の飲食店でお昼をたべることに決めた。オレが一緒ならば、守君たちと会っても、オレが彼らの会話に目を光らせればいいので、変なことは言わないはずだ。
『はあ』
『それって、私もご同伴していいってことですよね?まさか、私のことをハブるなんて、しないで』
「あとあと面倒なんで勝手にどうぞ。紗々さん、ではまた後で」
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