結婚したくない腐女子が結婚しました

折原さゆみ

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番外編【年齢について考える】15土曜日を振り返る

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「なんで、その場に私を呼んでくれなかったんですかあ!」

 休み明けの月曜日。私は昼休憩中に梨々花さんに詰め寄られていた。相変わらず、お昼休憩は私と河合さんと梨々花さんの3人一緒だったが、河合さんが土曜日のことを面白おかしく梨々花さんに話すものだから、こうなってしまった。

 私の隣に河合さん、正面に梨々花さんが座ってお昼を食べていたのだが、話を聞いた梨々花さんが机に身を乗り出して、私たちに迫ってきたのだ。

「そうだよねえ。やっぱり、その反応になるよねえ。ごめんね。次があったら、絶対呼ぶから」

「呼ばなくて結構です。そもそも、次なんてないですから」

 大鷹さんからの電話が終わったあと、私は彼のいいつけを守り、食品売り場には近づかず、雑貨売り場でジムに使うウエアや水筒、靴を入れる袋、シューズ袋を探していた。河合さんは宣言通り食品売り場に向かい、いったん、私たちはそこで解散した。

 その後、予定通りに大鷹さんがやってきて合流。そのまま和やかに買い物を続け、スーパー内の飲食店で昼食を取って帰る。それが私と大鷹さんの理想のスーパーでの過ごし方だった。

 理想は理想でしかなかった。

「倉敷先輩の旦那さんの親戚なんて、会ってみたいに決まっているじゃないですか!しかも、バレンタインに手作りお菓子を最愛の女性たちに毎年あげているって、彼らに愛される女性たちはなんて幸せ者なんでしょう!」

 梨々花さんが興奮気味に語っているが、確かに世間的に見れば、バレンタインというイベントは、日本では女性から男性にチョコを贈るのが一般的だ。それが男性から女性に渡すというだけでもてはやされる。土曜日は守君の提案で彼らがスーパーに集まり、そこに私が鉢合わせてしまったというわけだ。河合さんの手引きによって。

「それでそれで、江子先輩は彼らと会って、彼らを倉敷先輩のところに連れて行ったんですよね?」

「まあね。こんな面白い偶然ないからね。おおたかっちが会わせたくなかった人たちは一目見てわかったよ。大輔さんはきらりさんの旦那さんだから面識あったし、亨君もなんとなくだけどおおたかっちの面影あるしね。守君はまあ、一緒にいたから同類かなって。これはもう、神が彼らを紗々先輩の元に導けというお告げにしか見えなかったね」

「あのですね、大鷹さんは会わせたくなかったと言っていましたよ。それなのに、河合さんのせいで大変だったと怒っていました」

 まさかの偶然が偶然を呼び、結局、私たちは河合さんの導きにより、出会ってしまった。そして、その大人数でお昼まで一緒に食べることになってしまったのだ。

「色々話せて、私はとっても楽しかったですけどね」

「あの場でよくあんなに口が回りましたよね。感心しました」

 私、大鷹さん、大鷹さんの弟の亨君、千沙さんの息子の守君、きらりさんの夫の大輔さん。私たちは大鷹さんの親戚というくくりで何度も会っていて面識があるが、河合さんは違う。大鷹さんの元カノジョだったとはいえ、彼らとは縁がなかったはずだ。それなのに、なぜか私よりも饒舌に話し、その場を盛り上げていた。

「紗々先輩はあの男たちの中にいたことを誇るべきでした。なんたって、おおたかっちを筆頭にイケメンばかりが集まっていたのですから!その中に、なんと私と先輩二人だけが女性だったんですよ。ああ、だから、先輩は私に感謝するべきですよ。あの中の紅一点にならずに済んだことを」

「確かに、言われてみればそうですね。江子先輩が居なかったら、倉敷先輩の独断ハーレム状態になっていた、ということですもんね。ナイスフォローです、江子先輩!」

「はあ……」

 まったく、彼女達と話していると、疲れてしまう。とはいえ、梨々花さんのいうことも一理ある。もし、河合さんがいなかったら、あの場は私だけが女性で周りからの冷たい視線が私に集中していたことだろう。会話についていくので必死で気付かなかったが、周りから見たら、さぞ羨ましい状況に見えただろう。私はまったく望んでいなかったが。

「でも、河合さんが守君たちを連れてこなかったら、あんなことにならなかったのでは?」

「あれ、気付きました?」

 土曜日の守君たちとの遭遇で、先週の退勤後の更衣室での電話の件は、彼女達はすっかり忘れてしまっていた。かくいう私も、ジムに入会したことを彼女達に言うことなく、お昼が終わってしまった。それほどまでに土曜日のアレは強烈な出来事だった。
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