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私から婚約者を奪った妹の幸せは、すぐに終わりを迎えた…彼に期待したあなたが悪いのよ?
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以前から、妹が私の婚約者を好きな事は知っていた。
でもまさか、こんな形で彼を奪おうとするとは…。
彼の留守中に尋ねて来た妹に馬車に押し込められ、山の中へと連れて来られた私は、そこに置き去りにされてしまったのだ。
『考え直した方が良いわ。じゃないとあなたは─』
『お姉様は、失踪したという事にしておくわ。私は彼と幸せになるの…その為に消えてよ!』
あの子はそんな事を言っていたけど…あなたの幸せは、すぐに─。
※※※
ついにお姉様を追い出したわ!
彼に愛されてもないのに、婚約者の座に収まり…本当に目障りだった。
そもそも、あんな地味な女は彼には不釣り合いよ。
美人と評判の、この私じゃないと。
彼だって、婚約者にするなら美しい君の方が良かったと言ってくれてるのよ─?
「おや、来てたのか。…あいつはどうした?」
「ここを出て行ったみたいです、私が来た時にはもう…。でも、いいじゃありませんか。どうせお姉様とは別れるつもりだったんでしょう?」
「まぁ、確かにな。」
そして彼はあっさりそれを受け入れ、私を傍に置いてくれた。
彼には、以前からお姉様には浮気相手が居て、あなたの事など本当は愛していないと吹き込んでおいたから…それが功を奏したわね─。
しかし…私の幸せは、すぐに終わりを迎えた。
領主である彼は、異世界から巫女を召喚する儀式に立ち会い…その巫女が余りに美しく、すぐに自身の婚約者にしてしまったのだ。
そして、私の事などすっかり目に入らなくなり…今では私は、屋敷の外にある物置小屋に追いやられてしまったのだ。
こんななずじゃなかったのに…。
私は、一生彼に愛されて生きて行く予定だったのに。
その時…私の頭の中に、お姉様のある言葉が浮かんだ。
『彼に美しいと言われ舞い上がってるみたいだけど…彼に期待をしてはいけないわ。彼を選んでも、あなたはの幸せは続かない。』
あの時は、お姉様が嫌味で私にそんな事を言ってると思ったけど…お姉様自身、彼に期待をしていない素振りがあった。
もしかして、お姉様はこうなる事を知ってて─!
※※※
「…それで、自ら彼の家を出て来たの?」
「だって…このままじゃ使用人にされそうな感じだったし。それに、彼があの女を愛する所を傍で見ているのは、とても耐えられない!」
そう言って、妹は私に泣きついて来た。
「…だから言ったじゃない。あの人はね、より美しい女を自分の傍に置きたい…そういう欲望を常に抱えた男なの。私は以前から彼との婚約が決まって居て…彼を間近で見て来たからよく分かるの。それに…彼があの異世界の巫女を選ぶと言うのは、前々から聞いていたから。」
「…え?」
「私の幼馴染は、その神殿で神官をしていてね…今度巫女を召喚する事になったが、その巫女と領主が結ばれると神官長が神託を受けた…そう私に教えてくれてたの。」
「…だからお姉様は、彼にそこまで執着してなかったのね。」
「そうよ。そしてあなたにも、彼の事は忠告したのに…全く聞かないから。」
本来妹には、名家のご子息の婚約者が居たのだ。
なのにそれを自ら破棄し、私から彼を奪い取ったのだ。
まぁ、結局はすぐに見捨てられてしまったけれど。
「…私が勝手に婚約破棄した事で、お父様は怒って親子の縁を切ると言ってるし、当然彼の家には居られない。それに、元婚約者に復縁を迫ってもあっさり拒否されて…。もう、お姉様しか頼れないの!お願い、私をここに住まわせて!?」
「お断りよ。」
「何で!?この屋敷に一人で住んでるんじゃ…?」
「違うわ。ここには、もうすぐその幼馴染の彼が越して来るの。そして私たちは、婚約する予定だから。」
私に忠告してくれた幼馴染は、実は幼い頃から私が好きだったそうだ。
でも私が婚約してしまい、一度は諦めたものの…今回の巫女の訪れにより、私が婚約者と結ばれない事を知った。
そして彼から話を聞いた私は、以前から婚約者の女癖に悩んで居た事もあり、婚約破棄を告げるつもりでいた。
そうなったら…私は、幼馴染の気持ちに応えようと考えて居たのだ。
「まぁ…婚約破棄を告げる前に、あなたが私を連れ出してしまったけどね。でもおかげで、手間が省けたわ。私の危機を祈りの中で知った幼馴染は、すぐに私を迎えに来てくれて…その後私たちは、こうして結ばれる事となった。」
「そんな…お姉様だけ幸せを掴んで、ズルい~!」
妹はその場に崩れ落ち号泣したが…後悔してももう遅いのだった。
そしてどこにも行き場を無くした妹は、自ら田舎にある修道院に入ったが…あんな怠け者で飽き性な子に、修道女が務まるのかしらね。
でも、今度こそ私の幸せを邪魔されたくないし…その為には、そこでせいぜい頑張って貰うしかないわね─。
でもまさか、こんな形で彼を奪おうとするとは…。
彼の留守中に尋ねて来た妹に馬車に押し込められ、山の中へと連れて来られた私は、そこに置き去りにされてしまったのだ。
『考え直した方が良いわ。じゃないとあなたは─』
『お姉様は、失踪したという事にしておくわ。私は彼と幸せになるの…その為に消えてよ!』
あの子はそんな事を言っていたけど…あなたの幸せは、すぐに─。
※※※
ついにお姉様を追い出したわ!
彼に愛されてもないのに、婚約者の座に収まり…本当に目障りだった。
そもそも、あんな地味な女は彼には不釣り合いよ。
美人と評判の、この私じゃないと。
彼だって、婚約者にするなら美しい君の方が良かったと言ってくれてるのよ─?
「おや、来てたのか。…あいつはどうした?」
「ここを出て行ったみたいです、私が来た時にはもう…。でも、いいじゃありませんか。どうせお姉様とは別れるつもりだったんでしょう?」
「まぁ、確かにな。」
そして彼はあっさりそれを受け入れ、私を傍に置いてくれた。
彼には、以前からお姉様には浮気相手が居て、あなたの事など本当は愛していないと吹き込んでおいたから…それが功を奏したわね─。
しかし…私の幸せは、すぐに終わりを迎えた。
領主である彼は、異世界から巫女を召喚する儀式に立ち会い…その巫女が余りに美しく、すぐに自身の婚約者にしてしまったのだ。
そして、私の事などすっかり目に入らなくなり…今では私は、屋敷の外にある物置小屋に追いやられてしまったのだ。
こんななずじゃなかったのに…。
私は、一生彼に愛されて生きて行く予定だったのに。
その時…私の頭の中に、お姉様のある言葉が浮かんだ。
『彼に美しいと言われ舞い上がってるみたいだけど…彼に期待をしてはいけないわ。彼を選んでも、あなたはの幸せは続かない。』
あの時は、お姉様が嫌味で私にそんな事を言ってると思ったけど…お姉様自身、彼に期待をしていない素振りがあった。
もしかして、お姉様はこうなる事を知ってて─!
※※※
「…それで、自ら彼の家を出て来たの?」
「だって…このままじゃ使用人にされそうな感じだったし。それに、彼があの女を愛する所を傍で見ているのは、とても耐えられない!」
そう言って、妹は私に泣きついて来た。
「…だから言ったじゃない。あの人はね、より美しい女を自分の傍に置きたい…そういう欲望を常に抱えた男なの。私は以前から彼との婚約が決まって居て…彼を間近で見て来たからよく分かるの。それに…彼があの異世界の巫女を選ぶと言うのは、前々から聞いていたから。」
「…え?」
「私の幼馴染は、その神殿で神官をしていてね…今度巫女を召喚する事になったが、その巫女と領主が結ばれると神官長が神託を受けた…そう私に教えてくれてたの。」
「…だからお姉様は、彼にそこまで執着してなかったのね。」
「そうよ。そしてあなたにも、彼の事は忠告したのに…全く聞かないから。」
本来妹には、名家のご子息の婚約者が居たのだ。
なのにそれを自ら破棄し、私から彼を奪い取ったのだ。
まぁ、結局はすぐに見捨てられてしまったけれど。
「…私が勝手に婚約破棄した事で、お父様は怒って親子の縁を切ると言ってるし、当然彼の家には居られない。それに、元婚約者に復縁を迫ってもあっさり拒否されて…。もう、お姉様しか頼れないの!お願い、私をここに住まわせて!?」
「お断りよ。」
「何で!?この屋敷に一人で住んでるんじゃ…?」
「違うわ。ここには、もうすぐその幼馴染の彼が越して来るの。そして私たちは、婚約する予定だから。」
私に忠告してくれた幼馴染は、実は幼い頃から私が好きだったそうだ。
でも私が婚約してしまい、一度は諦めたものの…今回の巫女の訪れにより、私が婚約者と結ばれない事を知った。
そして彼から話を聞いた私は、以前から婚約者の女癖に悩んで居た事もあり、婚約破棄を告げるつもりでいた。
そうなったら…私は、幼馴染の気持ちに応えようと考えて居たのだ。
「まぁ…婚約破棄を告げる前に、あなたが私を連れ出してしまったけどね。でもおかげで、手間が省けたわ。私の危機を祈りの中で知った幼馴染は、すぐに私を迎えに来てくれて…その後私たちは、こうして結ばれる事となった。」
「そんな…お姉様だけ幸せを掴んで、ズルい~!」
妹はその場に崩れ落ち号泣したが…後悔してももう遅いのだった。
そしてどこにも行き場を無くした妹は、自ら田舎にある修道院に入ったが…あんな怠け者で飽き性な子に、修道女が務まるのかしらね。
でも、今度こそ私の幸せを邪魔されたくないし…その為には、そこでせいぜい頑張って貰うしかないわね─。
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