【完結】番になれなくても

加賀ユカリ

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ツイノベVer.

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αに溺愛されるβの話

アルファとベータは中学時代からの友人であり、高校でクラスが分かれても交流は続いていた。平凡な見た目で、能力も一般的なβである自分に対し、アルファは「好きだ」と告白してくれた。
ベータは「自分じゃ釣り合わない」と答えたが、アルファの気持ちは変わらなかった。何度も告白を繰り返すアルファに、ベータは少しずつ自分の気持ちに素直になろうとしていた。



ある日、2人はショッピングモールに出かけた。
ベータは帰り道にアルファへ告白しようと心に決めていた。しかし、その機会はある出来事をきっかけに奪われてしまう。

ショッピングモールを歩いていると、大勢の人とすれ違った。ふと、アルファが立ち止まったことにベータは気づく。アルファの周りに異様な空気が漂い、彼がひとりの少年をじっと見つめて固まっている。ベータはすぐに悟った。

『アルファが運命の番を見つけた』と。

これまで何度も考えてきた『アルファの運命の番』。どんな相手でも、運命の番に敵わないことをベータは知っていた。
(運命の番と一緒にいるアルファなんて見たくない……)
そう思った瞬間、アルファがベータに駆け寄ってきたが、ベータはその場から逃げ出してしまった。

家に帰ったベータは、布団に潜り込んで泣き続けた。



数日後、アルファがベータ宅を訪ねてきた。 ベータは数日間、一度も外に出ず、アルファからの着信も無視し続けていた。だが、アルファは「ベータが出てくるまでここにいる」と言い張る。

泣きはらした顔をアルファに見せるのは嫌だったが、このままじゃ近所迷惑になると思い、ベータはようやく姿を現した。
ベータがドアを開けた瞬間、アルファはベータの顔を見て驚いた顔をしていたが、すぐにベータを強く抱きしめた。そしてベータに不安な思いをさせたことを謝罪する。

「恋人でもないのに謝罪なんておかしいだろ」
「ベータは恋人じゃなくても、こんな顔になるくらい俺のことを想ってくれるの?」
「……うるさい」
アルファはベータの泣き顔にそっと唇を重ね、抱きしめながら「ある喫茶店に来て欲しい」と告げた。

ベータは身支度を整え、アルファに連れられて喫茶店に向かった。
そこには2人の男がいた。ひとりは見覚えのある顔──忘れようもない、アルファの運命の相手であるΩだった。
ベータは思わず身体を固くし、その場から動けなかった。
(なんでアルファの運命の相手がここにいるんだ……)
(やっぱり2人は……)
(でもアルファは俺のこと……)
ベータの頭の中は混乱でぐちゃぐちゃだった。
すると、もうひとりの男が「まだこの男に説明してないのか」と責める口調で言った。“運命の番”が慌ててその男をなだめる。
“運命の番”はとても愛らしい容姿をしていた。

ベータが思わず見とれていると、“運命の番”が口を開いた。
「あの……ベータさん、単刀直入に言います。僕はアルファさんと番になるつもりはありません」
「え…」
ベータは“運命の番”の顔をまじまじと見てしまった。

「僕はαくんという恋人がいて、僕が18歳になったら番になろうって約束してるんです」
「……そう、なんですか」
「だから……ベータさんには誤解して欲しくなくて」
「その方が“αくん”、なんですか?」
ベータが尋ねると、隣の男がうなずいた。

「そうだ。俺がαで、Ωの恋人だ。ほんと何の説明もせずに連れてきたんだな」
「俺が説明するより直接会う方がいいだろう」
アルファはそう言って、ベータをそっと自分のそばに引き寄せた。
「そういう言葉足らずなところが、今回のことを招いたんだろ!」
「俺はベータに順を追ってきちんと説明したかったんだ。そんなことも分からないのか」
「うるせぇ!」
「ちょっとαくん!やめてよ!」
“運命の番”が慌てて仲裁に入る。 α同士が揃うとダメらしい。

「とにかく、僕はアルファさんと番にならない。それをベータさんに伝えたかったんです」
「それは……分かりました」
「僕たちは隣県に住んでいるので、会うこともないと思います」
「あの……Ωさんに聞きたいことがあって」
「なんですか?」
「Ωさん……アルファってどんな匂いがしますか?」
「え!?」
周囲の人間が一斉に吹き出した。

「おい!こいつΩになんてこと聞くんだ?常識がないのか?」
「ベータ、なんでそんなこと……」
「アルファはいい匂いがしますか?」
「ベータ……」
ベータの突拍子もない質問にも“運命の番”は真剣に答えてくれた。
「……そうですね。正直アルファさんはいい匂いがします。抑制剤を飲まないと呑み込まれてしまう感じでしょうか?」
「俺はβなのでアルファのフェロモンが分かりません。運動した後は普通に臭いし……」
「ベータ……!?」
「ベータさん……」
「アルファに相応しいのは、こういうΩさんみたいな人なんでしょうね。今後もこの気持ちはなくならないと思う」
「……」
「だけど、アルファの隣にいるのは俺がいい。この気持ちは誰にも負けない」
「ベータさん!」
「Ωさん、ありがとうございました。Ωさんのおかげで自分の気持ちを整理できた気がします」

アルファと共に二人を見送った後、並んで歩いた。
「ベータ、その……」
「アルファはほんと趣味が悪いと思う。こんな面倒くさいβを選ぶなんてさ」
「好きになったんだから仕方ない。俺、ベータを手放す気はないから」
「俺はβだしアルファを幸せになんて出来ないかもしれない」
「……」
「だけど、そうだったとしても…俺はアルファのそばにいたい」
「俺も……。ベータ、俺の恋人になってくれますか?」
「よろしくお願いします」
2人は恋人として幸せに暮らし始めた。
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みんなの感想(1件)

小池 月
2025.07.12 小池 月
ネタバレ含む
2025.07.12 加賀ユカリ

ご感想ありがとうございます!

わ〜嬉しいです!ドキリとしてもらえたなら書いた甲斐がありました☺️
更衣室でのシーンは、αの貴斗とβの和樹との違いを意識して書いたので個人的にもお気に入りなんです!「気持ち悪い」という言葉は少し強いように思いますが、貴斗に対してそう思ってしまう和樹の気持ちもある意味現実的かな〜と。

こちらこそお読みいただきありがとうございました!

解除

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