泡にはならない/泡にはさせない

――やっと見つけた、オレの『運命』……のはずなのに秒でフラれました。――

 明るくてお調子者、だけど憎めない。そんなアルファの大学生・加原 夏樹(かはらなつき)が、ふとした瞬間に嗅いだ香り。今までに経験したことのない、心の奥底をかき乱す“それ”に導かれるまま、出会ったのは——まるで人魚のようなスイマーだった。白磁の肌、滴る水、鋭く澄んだ瞳、そしてフェロモンが、理性を吹き飛ばす。出会った瞬間、確信した。

「『運命だ』!オレと『番』になってくれ!」
 衝動のままに告げた愛の言葉。けれど……。
「運命論者は、間に合ってますんで。」
 返ってきたのは、冷たい拒絶……。

 これは、『運命』に憧れる一途なアルファと、『運命』なんて信じない冷静なオメガの、正反対なふたりが織りなす、もどかしくて、熱くて、ちょっと切ない恋のはじまり。

 オメガバースという世界の中で、「個」として「愛」を選び取るための物語。
 彼が彼を選ぶまで。彼が彼を認めるまで。
——『運命』が、ただの言葉ではなくなるその日まで。
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