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変わり始めた物語【R-18】
しおりを挟む指輪を嵌めた。冷たい手はすぐに離れていく。初めて会ったリオールはひどく華奢で、発育の悪い子どもだった。白いヴェールを捲り、顔を合わせる。
「————————ッ」
「……?」
あの日だ。結婚式。リオールを抱き寄せたかったが、少し立ち位置を近寄らせただけで怪訝そうな顔をされる。生きている。彼の手は緊張のせいか冷たかった。物言わぬ死体でも、木の下に埋められた彼でもない。ここにいた。
流れに任せ、番契約を結んだ。抗えないながらだ。いや、きっと、ここで抗ったら彼はもっと最悪を歩むことになる。俺も死んだはずだ。でも彼がここにいる。息を吸い込んだ。リオールの匂いがした。眉を寄せる。手を伸ばしたら離れがたくなるに違いない。
再び会った彼は、どこか違った。複雑そうな顔をよくする。いや、こちらの罪悪感のせいか。アルバはなるべく家にいないようにしていたから、細かい変化を見ていないのかも知れない。部下をつけて報告させているが実際に見てはいないため、分からないのか。
以前は何処の派閥にも属さなかったのが、公爵家の反感を買い、簡単に闇に葬られた。公爵家に抗うのであれば、より大きな力を借りなくてはいけない。王子とは前々からの知り合いだった。最期にナイフを投げ入れたのも王子の慈悲である。
「俺の頭が悪いのは、オメガのせいですか。何でも貴方のいうことに従うのは、オメガのせいですか」
オメガのフェロモンを浴びたのは久しぶりで、くらくらと頭が揺れる。リオールのフェロモンは、理性を焼き切るのに十分過ぎた。疼く八重歯を、口元を覆い隠した。
オメガのせいかって、知らない。お前が可愛いのもオメガのせいか。頭は悪くないけど教育の機会が与えられなかったのはオメガのせいかも知れない。知るわけがない。何で俺のいう事を聞いてしまうのか。知らない。どんなつもりで首を掻き切ったのか、どんな気持ちだったのか、どんな顔で死んだのか、俺は知らない。
リオールの手を握った。番のいう事は聞いてしまう強制力があるのだろうか。そうであるのならば、番でいてはいけない。バースについての研究はそれほど進んでおらず、未知であることも多い。番解除を望むならやってやりたい。
避妊はきちんとした。それだけだった。リオールがまだ未通である事なんか忘れて、久しぶりのフェロモンに酔っていた。処女穴はキツく絡み付いてきて、ぬかるむ穴は滑りが良く、余裕なくあげる嬌声は甘く重く痺れるほどの興奮をもたらした。腰を絶え間なく動かし、子種を蒔く畑を耕す。唇を吸い上げ、舌を絡めて、指先を握り、腕の中に閉じ込めた。こんな事をしてはならなかったと、一度目の射精で思い出した。
「…………」
瞳を閉じてぐったりと横たわる姿に、息があるかを確かめた。胸が上下していたため、生きてはいるのだと分かって安堵した。体を抱き締め、腕の中に入れた。心臓が動いている。息をしている。自由に生きる、と言ってくれた。ほろりと、目から熱いものが溢れる。肩口に額を押し付ける。
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