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貴方の愛は望めない
しおりを挟む目を覚ました。うとうとと目を開けると近くにはアルバがいた。小さな声で目が覚めたかと問われた。体の火照りはまだあるものの、もう発情はおさまっていた。アルバに水の入ったコップが手を渡され、こく、と喉を鳴らす。アルバの低く落ち着く声に、リオールは目を閉じた。
「無理させちゃいかん。おまえさんのデカい図体を見ろ」
「……いいから診察してくれ。例のもの、持ってきただろうな」
「はいはい。分かっとるよ」
年老いた医師にリオールは脈と熱を測られた。ぼんやりした頭で、今の自分の状況を把握する。点滴でヒートの間なかなか取れていなかった栄養が取らされている。
「微熱じゃな。汗かいたまま寝たのではないか」
「……気を付けさせる」
アルバの手が額に当たる。ぱちぱちと暖炉の薪が爆ぜる音が聞こえていた。アルバがベッドに腰掛け、リオールの手を握った。リオールもぼんやりとその手を握り返した。
「意識もちゃんとしとるな。ヒート明けじゃからそばにいてやりなさい」
「分かってる」
ふんわりと香る番の優しい匂い。リオールは目を閉じようとした。アルバが肩を叩くためもう一度目を開ける。
「口を開けろ」
「…………ぁ」
口の中に薬を入れられ、また水を飲むようにコップが渡された。こくん、と水を飲んだ。いいこだ、と褒められて、リオールはこくりと頷いた。
「いいのか。お前さん、跡継ぎを作らなきゃならんのだろう」
「いいや。子どもなんかいらない」
リオールはぼんやりと今飲まされた薬が避妊薬なのだと思った。そろそろと腹の上に手を当てる。ついぞ一度も自分の子どもを抱くことはなかったなと過去を想う。薬を飲まされたのは初めてだから、何かいつもと違ったのかも。子どもがいたら、大切にしてもらえたのかもな。
「ゾッとする」
アルバの冷たい声に、リオールは目を閉じた。無駄か。この後、聖人と番うなら邪魔になるだろうしな。要らないとされた子どもの先行きなんて、自分と同じだ。手段を問わずにアルバを引き留めて、大事にしてもらいたいなんて。俺と自分の母親が重なる。俺なんて産まなければよかったのに。
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