米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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王都で会った男は胡散臭さ全開

王都で会った男は胡散臭さ全開⑧

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 姿を現したアレックスは、レースやリボンでゴテゴテに飾り立てられていた。彼の金髪の巻き毛は、一ヶ月半前に比べてかなり伸びているし、元々甘ったるい印象の顔は、さらにフニャフニャになっている。
 その姿は、勇者のイメージから程遠い。

(アイツもしかして、ずっと城でダラダラしてたんじゃ……?)

 マリはアレックスを上から下までジロジロ観察し、首を傾げる。

「おお、勇者よ! 一昨日の夜会で、食べすぎて腹を壊したと聞いたが、もういいのか?」

「やぁ!! 国王陛下! もう腹具合はバッチリだよ」

 国王とアレックスは親しげにハグする。そしてマリ達客人に気を遣う事なく何やかんやと話し続ける。五分くらいは待っただろうか? ヒールを履いた足に痛みを感じ出した頃に漸く本題に入った。

「アレックスよ、喜べ!! 漸くお前に勇者らしい活躍の機会を与えてやれるぞ!」

「本当かい!? 暇でどうにかなりそうだったから嬉しいよ! で、何をやればいいんだい??」

「巨大クジラを討伐してもらうっ」

 イライラし始めていたマリが、堅い口調で口を挟むと、アレックスは一度飛び跳ね、こちらを向いた。

「マリ! 久し振り! 生きててくれて嬉しいよ!」

 気付いてないフリをしているのかと思ったが、この様子だと本当に眼中に無かったみたいだ。

「相変わらず大袈裟だね。色々あったけど、他の人と協力し合ったりしたから何とかなったよ」

「この世界に来てからも色々な苦労があったんだろうけどさ! それ以前に君はヤバい状況だったんだよ! 宮廷魔法使いが、君をこの世界に召喚する時、失敗しちゃったらしくて、てっきり死んだもんだと思ってたんだ」

 軽い口調で話されるが、聞き捨てならない。

「失敗って何!? 私達死にかけてたわけ??」

 王様の前だという事も忘れ、声を荒げると、先程から壁側に突っ立っていた老人がユルリと進み出てきた。

「左様でございます」

 頭からくるぶしまでスッポリと覆う黒いローブを着ていて、何だか影の様な男だ。マリの召喚に関係したんだろうか?

「……選定者様、申し訳ございません。私が貴女様を召喚したのですが、アレックス様の世界とこちらの世界が繋がった瞬間、ギックリ腰で倒れてしもうたのです。つまりですね、私が開けた次元の通路に貴女達は閉じ込められたはずで……、生存は絶望的だとばかり……。こうして生きておられるのは、まさに奇跡としか言えませぬ。貴女には特別な力がお有りなのでしょう」

 老人は感慨深げに訳の分からない事を言い、マリに祈るように手を合わせた。
 この人物が、アレックスの言う宮廷魔法使いなのだろう。召喚失敗は腹が立つものの、老人に弱いので責められない。

「まさか、ギックリ腰のせいで、死にかけるとは……。もしかして私達、特殊なキャンプカーに乗っていたから助かったのでしょうかね?」

「うーん……、謎」

 後ろに居るセバスちゃんが、独自の考察をしてくれるが、マリは召喚の仕組みなんか全く分からないので、答えようがない。

「まぁ、生きてたんだからいいいじゃないか! 結果オーライってね! それよりも、マリ。ちゃんと役割を果たしておくれよ。選定者って言うんだっけ? 君が僕に特別な力を付与してくれるって聞いたぞ!」

「あー、たぶん出来ない」

「なんだって!?」

「昨日ちょっと聞いただけだから、あまり理解してないけど、選定って、私が四柱の神々と仲良くならないと出来ないんだってさ。それに__勇者ってアンタだけじゃないよね??」


 マリはアレックスから視線を外し、左隣に立つグレンの顔を見上げた。さっきから置物の様にジッとしていた彼は、静かな眼差しで、マリを見下ろす。

「悪いけどアレックス、私、まだアンタを選ぶなんて決めてない」

 驚愕の表情を見せるアレックスは、マリが彼を選ぶと疑ってなかったのだろうか?
 そんな彼にニヤリと笑う。

 勝手に何もかも決めつけられたくなんてない。都合の良い奴だと思われたくない。
 マリには選ぶ権利がある。

 それを示してやる為にここまで来たのだ。


「力を見せてよ。真の勇者として相応しいのかどうか、私が判断してあげる! それと、今日をもってアンタとの婚約は破棄って事で!!」

 アホ面を晒すアレックスに、面と向かって言い切ると、胸の中が驚く程スッキリした。
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