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――あの夜、彼の腕の中で眠ってから、私はずっとおかしい。
心臓が四六時中忙しなく動いて、顔が熱くなる。彼の指先や低い声を思い出すだけで、胸の奥がじんわり甘く疼く。
翌朝。
目を覚ますと、そこには彼がいた。
まだ眠そうな瞳で、けれど私の顔を見てふっと笑う。
「おはよう。……よく眠れた?」
「……っ、はい。あの、その……」
思わず視線を逸らす。
彼の髪は寝癖で少しだけ跳ねているのに、それすら絵になるのがずるい。
そして――何より、距離が近い。顔を上げたら触れてしまいそうなほどの距離感で、まるで逃がす気がないみたいに私の肩を抱いていた。
「ん? 照れてる?」
「……っ、べつに……」
否定したつもりが、声が上ずってしまった。
その反応が面白いのか、彼は唇の端を上げてさらに近づいてくる。
「そういうところ、ほんと可愛い」
「~~~っ!」
耳元で囁かれて、背中に電流が走る。心臓が痛いほど跳ねて、呼吸が浅くなる。
「今日は一日、君と一緒にいたい。ダメ?」
「……ダメ、じゃないです」
「よかった」
ほっと息をついた彼の表情が、なんだか反則的に優しい。
この人は、私の中の理性を簡単に崩してしまう。
午前中は、彼の提案で街へ出かけた。
手を繋ぐのは当たり前。信号待ちでも、少し人混みでも、彼は自然に私を自分の方へ引き寄せてくれる。
すれ違う女性たちの視線が彼に集まるのが分かって、胸の奥がちくりとした。
「……モテますね」
「ん? 君の前でそんなこと言われても嬉しくないな」
「事実です」
「でも、俺が見てるのは君だけ」
さらりと言われて、足が止まりそうになる。
どうしてこんな言葉を恥ずかしげもなく口にできるんだろう。
カフェで休憩しているとき、ふと彼の指が私の手の甲をなぞった。
「……落ち着くんだよな。こうして触れてると」
「……」
心臓が、甘く溶けてしまいそうだった。
夕方、帰り道。
彼の部屋に寄ることになった。
――もちろん、ただの口実だと分かっている。
私も、断る理由が見つからなかった。
玄関を入った瞬間、背中から抱きしめられる。
「今日一日、我慢してたの分かる?」
低く掠れた声に、全身が熱を帯びる。
「……わ、分かりません」
「じゃあ、分からせてあげる」
そう言って、頬に落とされるキスは軽くて、でも底に熱があった。
何度も、何度も。
私が息を整える暇もなく、彼は唇を離さない。
ソファに腰を下ろした途端、彼が膝の上に私を抱き上げた。
「……あの、こういうの……」
「嫌?」
「……嫌じゃないです」
「よかった」
その瞬間、彼の腕が強くなり、唇がまた重なった。
キスは最初よりも深く、甘く、心まで蕩けさせる。
彼の指が髪を梳き、背中をなぞるたびに、体の奥が熱くなる。
「君は、俺のものでしょ」
囁かれて、頷くしかできなかった。
頷いた途端、彼はまた笑って、額に口づけを落とす。
「……ずっと、離さない」
その言葉が、甘く、少しだけ怖くて――でも、嬉しくてたまらなかった。
心臓が四六時中忙しなく動いて、顔が熱くなる。彼の指先や低い声を思い出すだけで、胸の奥がじんわり甘く疼く。
翌朝。
目を覚ますと、そこには彼がいた。
まだ眠そうな瞳で、けれど私の顔を見てふっと笑う。
「おはよう。……よく眠れた?」
「……っ、はい。あの、その……」
思わず視線を逸らす。
彼の髪は寝癖で少しだけ跳ねているのに、それすら絵になるのがずるい。
そして――何より、距離が近い。顔を上げたら触れてしまいそうなほどの距離感で、まるで逃がす気がないみたいに私の肩を抱いていた。
「ん? 照れてる?」
「……っ、べつに……」
否定したつもりが、声が上ずってしまった。
その反応が面白いのか、彼は唇の端を上げてさらに近づいてくる。
「そういうところ、ほんと可愛い」
「~~~っ!」
耳元で囁かれて、背中に電流が走る。心臓が痛いほど跳ねて、呼吸が浅くなる。
「今日は一日、君と一緒にいたい。ダメ?」
「……ダメ、じゃないです」
「よかった」
ほっと息をついた彼の表情が、なんだか反則的に優しい。
この人は、私の中の理性を簡単に崩してしまう。
午前中は、彼の提案で街へ出かけた。
手を繋ぐのは当たり前。信号待ちでも、少し人混みでも、彼は自然に私を自分の方へ引き寄せてくれる。
すれ違う女性たちの視線が彼に集まるのが分かって、胸の奥がちくりとした。
「……モテますね」
「ん? 君の前でそんなこと言われても嬉しくないな」
「事実です」
「でも、俺が見てるのは君だけ」
さらりと言われて、足が止まりそうになる。
どうしてこんな言葉を恥ずかしげもなく口にできるんだろう。
カフェで休憩しているとき、ふと彼の指が私の手の甲をなぞった。
「……落ち着くんだよな。こうして触れてると」
「……」
心臓が、甘く溶けてしまいそうだった。
夕方、帰り道。
彼の部屋に寄ることになった。
――もちろん、ただの口実だと分かっている。
私も、断る理由が見つからなかった。
玄関を入った瞬間、背中から抱きしめられる。
「今日一日、我慢してたの分かる?」
低く掠れた声に、全身が熱を帯びる。
「……わ、分かりません」
「じゃあ、分からせてあげる」
そう言って、頬に落とされるキスは軽くて、でも底に熱があった。
何度も、何度も。
私が息を整える暇もなく、彼は唇を離さない。
ソファに腰を下ろした途端、彼が膝の上に私を抱き上げた。
「……あの、こういうの……」
「嫌?」
「……嫌じゃないです」
「よかった」
その瞬間、彼の腕が強くなり、唇がまた重なった。
キスは最初よりも深く、甘く、心まで蕩けさせる。
彼の指が髪を梳き、背中をなぞるたびに、体の奥が熱くなる。
「君は、俺のものでしょ」
囁かれて、頷くしかできなかった。
頷いた途端、彼はまた笑って、額に口づけを落とす。
「……ずっと、離さない」
その言葉が、甘く、少しだけ怖くて――でも、嬉しくてたまらなかった。
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