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「彼女はもう“誰かのもの”だ。」
レオンの声が、低く、静かに響いた。
その一言が、庭園の空気を一瞬で張りつめさせた。
鳥のさえずりすら止み、ただ風の音だけが残る。
エドワードは笑わなかった。
ただ、ゆっくりと私に視線を戻した。
「……リリアーナ、お前は本当にこの男のものになったのか?」
(なった、なんて――)
言葉が喉でつかえる。
レオンの指が私の手首を強く掴む。
その力は、まるで「答えるな」と言わんばかりに。
「彼女に問いかける権利が、貴殿にあるとでも?」
レオンの声が鋭く響く。
「殿下。彼女を手放したのは貴方だ。
その責任は、取り返しのつかないものだと理解しているはずだろう」
「……ああ、理解している」
エドワードは目を伏せ、苦く笑った。
「俺は愚かだった。
だが、いまの彼女を見て……後悔しないわけがない」
「後悔で人は救えない」
「それでも伝えなきゃならなかった」
二人の言葉がぶつかる。
私はただ、間に立って息を詰めるしかなかった。
「……もう、やめてください」
震える声で言った瞬間、レオンの手が少し緩んだ。
私はその隙に一歩下がる。
「どちらのためにもなりませんわ。
私のせいで争うなんて――滑稽ですわね」
エドワードが一瞬、悲しそうに笑う。
「そう言えるところが、やっぱりお前らしい」
「リリアーナ」
レオンが、低く名を呼んだ。
「俺はもう、二度と君を誰にも渡す気はない。
それを“争い”と呼ぶなら、喜んで戦おう」
彼の金の瞳が、獣のように光っている。
思わず息を呑んだ。
彼は“守る”というより、“奪う”覚悟をしている目をしていた。
その夜。
屋敷の部屋に戻った私は、鏡の前でひとり静かに立っていた。
(私は……なにを望んでいるの?)
レオンに守られる安心感は確かだ。
彼はいつだって私の味方で、誰よりも私を見てくれる。
けれど――その愛は、時に重くて、息苦しい。
(あの人に、また心を乱されるなんて)
エドワードが見せたあの表情。
後悔と悲しみと、どうしようもない愛情。
それを見た瞬間、心の奥に眠っていた何かが、確かに動いた。
「……忘れたはずだったのに」
呟きが夜気に溶ける。
そのとき、扉をノックする音がした。
「リリアーナ。入っていいか?」
低く響く声――レオンだ。
私はため息をついて答えた。
「どうぞ」
レオンが部屋に入ると、わずかに眉をひそめた。
「まだ起きていたのか。……眠れないのか?」
「ええ、少し考え事をしていましたの」
彼は私の前に立つと、そっと手を伸ばして頬を撫でた。
その仕草はやさしいのに、どこか圧がある。
「殿下の言葉を、まだ気にしているのか」
「……気にしていません」
「嘘だ」
レオンの声が、囁くように低くなる。
「君の瞳はいつも正直だ。
俺を見るときより、あの男の話をするときの方が、揺れている」
「そんなこと――!」
否定しようとしたが、喉が詰まる。
彼はゆっくりと距離を詰め、私の腰に手を回した。
「……君が誰を思おうと、構わない。
でも俺の隣にいる限り、他の男に心を許すことは許さない」
「レオン様……それは、束縛ですわ」
「そうだ。俺は君を束縛したい」
言葉に詰まる。
その瞳には、激しい愛と、底知れぬ恐れがあった。
――まるで、私を失うことが世界の終わりであるかのように。
「……君を愛している。
けれど、それ以上に君を“所有したい”と思ってしまう」
囁かれた言葉が、胸を締め付ける。
「そんな愛し方、間違ってますわ……」
「それでもいい」
レオンの唇が、私の額に触れた。
一瞬、身体がこわばる。
だけど、拒めなかった。
その熱は、寂しさの隙間に入り込むように優しかったから。
(私、どうして……)
彼が離れたあと、私はその場に立ち尽くした。
レオンの背中が部屋を出て行くと、急に静寂が戻る。
けれど、心の中は嵐のようだった。
翌朝。
私は侍女から、ある噂を耳にした。
「王太子殿下――つまりエドワード様が、リリアーナ様の件で王に直談判なさったとか……」
「……なんですって?」
「王太子殿下は、貴女を王宮付きの相談役として呼び戻したいそうです。
“過去に誤解があったため、改めて正当な立場を与えたい”と」
まさか――と思った。
だが、すぐに胸がざわつく。
それは単なる名目だ。
彼が望んでいるのは、私の“立場”ではなく――“私自身”。
「……そんな話、受けられるはずがありませんわ」
「ですが王命になれば……」
侍女の言葉に、私は言葉を失った。
その日のうちに、レオンが部屋に飛び込んできた。
「聞いた。――あの男、とうとう公の場で動いたな」
レオンの表情は怒りに満ちていた。
「リリアーナ。王命であっても、行くな」
「でも、逆らえば……あなたの国との関係に影響が出ますわ」
「そんなもの、どうでもいい」
レオンは机を叩いた。
「俺にとっての最優先は、君だけだ!」
その声に、胸が揺れる。
でも――彼のその言葉が、逆に怖かった。
「……もし王命に背けば、あなたが責められます。
そんなの、私……嫌ですわ」
「じゃあどうしろと言う?」
レオンが声を荒げた。
「殿下の前に戻って、また苦しむつもりか?」
私は沈黙した。
レオンの怒りが、本当は“恐れ”から来ていることを、知っていたから。
「リリアーナ」
彼が一歩近づき、そっと囁く。
「……君をどんな手を使っても守る。
だから、俺から離れないでくれ」
その言葉に、胸が締め付けられた。
けれど――
そのとき、扉の向こうから別の声が響いた。
「リリアーナ嬢に、王命の伝達を」
扉を開けると、王宮の使者が立っていた。
手には金の封蝋が押された文書。
「王太子殿下の要請により、明日、王宮にお越しいただきますよう」
レオンの表情が固まる。
私も、息を呑んだ。
(……もう、逃げられない)
使者が去ったあと、レオンは私の肩を掴み、低く言った。
「行くのか?」
「……行かなければ、きっとあなたにも被害が及びますわ」
「そんなこと、構わない!」
「でも私は構います!」
思わず叫んだ。
「あなたを危険に巻き込みたくない!」
その瞬間、レオンの手が緩む。
彼は苦しげに目を伏せた。
「……君は、いつも自分より他人を守ろうとする」
「それの、何がいけないのですか」
「――それが、俺を狂わせるんだ」
レオンの声はかすかに震えていた。
彼は私の頬を包み込み、静かに囁いた。
「殿下の前に行くなら……約束してくれ。
どんなことがあっても、俺の名前を忘れないで」
その言葉が、胸に深く突き刺さる。
私はそっと彼の手に触れ、微笑んだ。
「……忘れるわけがありませんわ」
だがその夜。
一人になった私の心は、まるで嵐のように乱れていた。
エドワードの悔恨、レオンの狂おしい愛。
どちらも、私の心を強く引き裂いていく。
(このままでは、誰かが壊れる……)
それでも、翌日の朝。
私は王宮行きの馬車に乗った。
そして、その後ろを――
ひとりの男が、静かに馬で追っていた。
金の瞳を、燃やしながら。
レオンの声が、低く、静かに響いた。
その一言が、庭園の空気を一瞬で張りつめさせた。
鳥のさえずりすら止み、ただ風の音だけが残る。
エドワードは笑わなかった。
ただ、ゆっくりと私に視線を戻した。
「……リリアーナ、お前は本当にこの男のものになったのか?」
(なった、なんて――)
言葉が喉でつかえる。
レオンの指が私の手首を強く掴む。
その力は、まるで「答えるな」と言わんばかりに。
「彼女に問いかける権利が、貴殿にあるとでも?」
レオンの声が鋭く響く。
「殿下。彼女を手放したのは貴方だ。
その責任は、取り返しのつかないものだと理解しているはずだろう」
「……ああ、理解している」
エドワードは目を伏せ、苦く笑った。
「俺は愚かだった。
だが、いまの彼女を見て……後悔しないわけがない」
「後悔で人は救えない」
「それでも伝えなきゃならなかった」
二人の言葉がぶつかる。
私はただ、間に立って息を詰めるしかなかった。
「……もう、やめてください」
震える声で言った瞬間、レオンの手が少し緩んだ。
私はその隙に一歩下がる。
「どちらのためにもなりませんわ。
私のせいで争うなんて――滑稽ですわね」
エドワードが一瞬、悲しそうに笑う。
「そう言えるところが、やっぱりお前らしい」
「リリアーナ」
レオンが、低く名を呼んだ。
「俺はもう、二度と君を誰にも渡す気はない。
それを“争い”と呼ぶなら、喜んで戦おう」
彼の金の瞳が、獣のように光っている。
思わず息を呑んだ。
彼は“守る”というより、“奪う”覚悟をしている目をしていた。
その夜。
屋敷の部屋に戻った私は、鏡の前でひとり静かに立っていた。
(私は……なにを望んでいるの?)
レオンに守られる安心感は確かだ。
彼はいつだって私の味方で、誰よりも私を見てくれる。
けれど――その愛は、時に重くて、息苦しい。
(あの人に、また心を乱されるなんて)
エドワードが見せたあの表情。
後悔と悲しみと、どうしようもない愛情。
それを見た瞬間、心の奥に眠っていた何かが、確かに動いた。
「……忘れたはずだったのに」
呟きが夜気に溶ける。
そのとき、扉をノックする音がした。
「リリアーナ。入っていいか?」
低く響く声――レオンだ。
私はため息をついて答えた。
「どうぞ」
レオンが部屋に入ると、わずかに眉をひそめた。
「まだ起きていたのか。……眠れないのか?」
「ええ、少し考え事をしていましたの」
彼は私の前に立つと、そっと手を伸ばして頬を撫でた。
その仕草はやさしいのに、どこか圧がある。
「殿下の言葉を、まだ気にしているのか」
「……気にしていません」
「嘘だ」
レオンの声が、囁くように低くなる。
「君の瞳はいつも正直だ。
俺を見るときより、あの男の話をするときの方が、揺れている」
「そんなこと――!」
否定しようとしたが、喉が詰まる。
彼はゆっくりと距離を詰め、私の腰に手を回した。
「……君が誰を思おうと、構わない。
でも俺の隣にいる限り、他の男に心を許すことは許さない」
「レオン様……それは、束縛ですわ」
「そうだ。俺は君を束縛したい」
言葉に詰まる。
その瞳には、激しい愛と、底知れぬ恐れがあった。
――まるで、私を失うことが世界の終わりであるかのように。
「……君を愛している。
けれど、それ以上に君を“所有したい”と思ってしまう」
囁かれた言葉が、胸を締め付ける。
「そんな愛し方、間違ってますわ……」
「それでもいい」
レオンの唇が、私の額に触れた。
一瞬、身体がこわばる。
だけど、拒めなかった。
その熱は、寂しさの隙間に入り込むように優しかったから。
(私、どうして……)
彼が離れたあと、私はその場に立ち尽くした。
レオンの背中が部屋を出て行くと、急に静寂が戻る。
けれど、心の中は嵐のようだった。
翌朝。
私は侍女から、ある噂を耳にした。
「王太子殿下――つまりエドワード様が、リリアーナ様の件で王に直談判なさったとか……」
「……なんですって?」
「王太子殿下は、貴女を王宮付きの相談役として呼び戻したいそうです。
“過去に誤解があったため、改めて正当な立場を与えたい”と」
まさか――と思った。
だが、すぐに胸がざわつく。
それは単なる名目だ。
彼が望んでいるのは、私の“立場”ではなく――“私自身”。
「……そんな話、受けられるはずがありませんわ」
「ですが王命になれば……」
侍女の言葉に、私は言葉を失った。
その日のうちに、レオンが部屋に飛び込んできた。
「聞いた。――あの男、とうとう公の場で動いたな」
レオンの表情は怒りに満ちていた。
「リリアーナ。王命であっても、行くな」
「でも、逆らえば……あなたの国との関係に影響が出ますわ」
「そんなもの、どうでもいい」
レオンは机を叩いた。
「俺にとっての最優先は、君だけだ!」
その声に、胸が揺れる。
でも――彼のその言葉が、逆に怖かった。
「……もし王命に背けば、あなたが責められます。
そんなの、私……嫌ですわ」
「じゃあどうしろと言う?」
レオンが声を荒げた。
「殿下の前に戻って、また苦しむつもりか?」
私は沈黙した。
レオンの怒りが、本当は“恐れ”から来ていることを、知っていたから。
「リリアーナ」
彼が一歩近づき、そっと囁く。
「……君をどんな手を使っても守る。
だから、俺から離れないでくれ」
その言葉に、胸が締め付けられた。
けれど――
そのとき、扉の向こうから別の声が響いた。
「リリアーナ嬢に、王命の伝達を」
扉を開けると、王宮の使者が立っていた。
手には金の封蝋が押された文書。
「王太子殿下の要請により、明日、王宮にお越しいただきますよう」
レオンの表情が固まる。
私も、息を呑んだ。
(……もう、逃げられない)
使者が去ったあと、レオンは私の肩を掴み、低く言った。
「行くのか?」
「……行かなければ、きっとあなたにも被害が及びますわ」
「そんなこと、構わない!」
「でも私は構います!」
思わず叫んだ。
「あなたを危険に巻き込みたくない!」
その瞬間、レオンの手が緩む。
彼は苦しげに目を伏せた。
「……君は、いつも自分より他人を守ろうとする」
「それの、何がいけないのですか」
「――それが、俺を狂わせるんだ」
レオンの声はかすかに震えていた。
彼は私の頬を包み込み、静かに囁いた。
「殿下の前に行くなら……約束してくれ。
どんなことがあっても、俺の名前を忘れないで」
その言葉が、胸に深く突き刺さる。
私はそっと彼の手に触れ、微笑んだ。
「……忘れるわけがありませんわ」
だがその夜。
一人になった私の心は、まるで嵐のように乱れていた。
エドワードの悔恨、レオンの狂おしい愛。
どちらも、私の心を強く引き裂いていく。
(このままでは、誰かが壊れる……)
それでも、翌日の朝。
私は王宮行きの馬車に乗った。
そして、その後ろを――
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