ジ・エンドブレイカー

アックス☆アライ

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第一章 とても不思議な世界

21話 煽られる不安②

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 立派な建物の中に入ると、そこは広い空間によって作られるホールになっていた。
 ホールは出入り口から向かって奥と左側面に十分なスペースを確保した形で仕切られており、その仕切りの向こう側では、同じ制服を着こんだ人達が忙しく動き回っていた。
 よく見れば、彼らの大多数があの桑の葉の様な異形葉紋の入るフード付きの襟巻の様な物を身に着け、その腰にアトラスを携帯しており、一目で魔導士の類である事が日々喜の目にも分かった。

 「日々喜、こっちだよ」

 ホールの中央で同じ制服を着こんでいる女性の魔導士と話していたマウロは、建物内部の騒々しさに目を奪われていた日々喜に声をかけた。

 「ハイ、日々喜。久しぶりね」

 駆け寄る日々喜に、その女性魔導士は話しかける。

 「こんにちは、パルルさん。お久しぶりです」
 「覚えていてくれたのね。嬉しいわ」

 声を掛けられ初めてその人物が、モンスターの出現騒ぎが起きてから、フォーリアムの館に出入りしていたイバラ領に駐在する憲兵の一人パルル・ルルーシュである事に日々喜は気が付いた。

 「日々喜。頼むから傍から離れないでくれよ。それ以外、君はうまくやっているんだからね」
 「ごめんなさい」

 改めて釘を刺すマウロ。

 「外で子供達と遊んでいたんですって? 心配してステーション中を探し回っちゃったわよ」

 パルルはそんなフォーリアムの魔導士達のやり取りを見て笑いながら話すと、フェンネル達が待つ応接室へ案内する為、ホールにある階段を先導し始めた。
 日々喜はステーション内の一階を見下ろしながら階段を上り始める。
 パルルがステーションと呼んでいるこの施設は、イバラに駐在する憲兵達の詰所としての機能を備えていた。
 上から見る限りでは、ホールの構造は銀行か市役所の相談窓口の様な構造になっており、街の住民達が、仕切りを挟んで憲兵達と何かを相談している様子が見て取れた。

 「騒々しいでしょ? 最近は何時もこんな感じなんだけど、今日は方面部長もお見えになっているし、特別忙しくしているのよ」

 珍しそうに人の動きに注目している日々喜にパルルが解説をした。

 「最近はか、モンスターの調査の件でか?」
 「そうよ」

 パルルはそう言うと、二階にある扉を開き二人を通す。扉の先は長い廊下となっており、窓から射し込む陽の光によって先まで見通す事ができる。
 パルルが扉を閉めると、ホールの騒々しさから結界が張られた様に静まり返った。

 「実は、例のゴブリン達。森から出て、この街にまで来る様になってしまったの」
 「街にまで? 被害が出ているのか?」
 「窓口の騒ぎを見たでしょ。大半はゴブリンの報告よ。家の中で食べ物が無くなったとか、皿や鍋が盗まれたとか、そんな話ばかり」
 「ゴブリンを直に見た者はいたのか?」
 「街の子供達が何度か見ているわ。それどころか、捕まえてステーションに連れて来るのよ。あの手のモンスターは、子供達の方が見つけるのも捕まえるのも上手なのよね」
 「おいおい、危ないな。ウチでは被害者が出ているんだぞ」
 「ちゃんと注意しているわよ。それに、貴方の所の見習いの子を襲ったのは他のモンスターだったでしょ」

 パルルの言う通り、ゴブリン程度であれば人間の脅威にはなり得ない。マウロは納得した様に頷くと、他のモンスターについての質問をし始めた。

 「……例の白蛇は?」
 「尻尾も掴めていないわ。森の調査は進めているんだけど。でも、安心して頂戴。ゴブリン達もそうだけど、どうやらあれらは他所から来たものらしいから」
 「そこまで分かったのか?」
 「ええ、だから森に定着する前に駆除してしまえば問題は解決するはず」
 「そうか、それは朗報だ。ルーラーが不在な今、正直、不安に感じていたんだよ」

 マウロは安堵した様に言葉を着いた。しかし、その言葉にパルルは無言を返した。丁度、一つの扉の前で立ち止まり思いつめたように動こうとしない。

 「パルル? どうした?」
 「え!? ええ、そうね。ルーラーについても詳しくは説明があると思うわ」

 そう言うと、パルルはその扉をノックして開いた。
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