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六章 金の神殿
121. 私の魔法使い
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彼は何が起こったのか、理解出来なかった。
エルフの戦士に勝てるやつなど、いない。
それを決闘代理人にしただけで、勝利は決まっていたはずだった。
なのに、王族を狙った凶行犯? 勝手にあのエルフがやったことなのに?
フランク子爵もその令息も、あっという間に近衛騎士に捉えられてしまう。
彼は何が起こったのか、理解出来なかった。
獲物を仕損じ、蹴り飛ばされる。
そこまではまあいい、同族が居るのなら、そういうこともあるだろう。
だが。
彼は地面に落ちている、己の左腕を見つめた。
痛みはない。浴びせられた浄化と回復の薬の所為だろう。出血もない。
――――斬られた感覚もなかった。
「不思議なものだ。其方のような娘ごが、顔色も変えず殺気も流さず、こうも見事に人を斬るとは」
「こんな堂々と王族を狙うなんて、エルロンド王国はリーン王国に戦争でも仕掛けるつもり?」
銀鎧の剣士は、ようやくまともにエステラの顔を見た。
黒いフードの隙間から、緑と紫の瞳が垣間見れる。
「その瞳、ハーフの娘であったか。なるほど……それにその左目の色……まさか」
銀鎧の剣士はルシンとエステラを見比べた。
「其方ら王弟殿の子達だな。傷モノの方はこの国で任務に失敗して死んだと思ったが、まさかあの傷を癒す者が居たのか」
「そんな話しどうでもいいから……」
「そうだったな。この国に戦争でも仕掛ける気か、だったな」
銀鎧の剣士は残った右手に魔力を込めた。
「戦争ではない、占領だ。この国を我が国の物とするのだ!」
召喚の魔法陣から、死の狼が三体現れた。
「結界は任せたから、お兄ちゃん」
ルシンが頷くのを確認して、エステラもフードを脱ぎ捨てる。
極淡い金と真珠光沢を纏った半透明の髪が、ふわりと風に流れる。
そして長く尖った耳。
「まさか、純血だと?!」
エステラは右手を高く上げて相棒を呼んだ。
「ヒラ!」
キラリとヒラが現れ、八枚羽根を広げる。そして死の狼の穢毒を消し去り、エルフの呪縛から解き放った。
そして本来の姿を取り戻した三体の狼は、ヒラに頭を下げて恭順の意を示したのだ。
「まさか……死の狼がただの魔狼に……?! これは……!!」
エルフの剣士は呆然としている。
もう片方の腕も、地に落ちていたからだ――
ルシンは面倒くさそうに、エステラが切捨てたエルフの腕を拾う。
「綺麗にくっつけることも出来るわよ。もちろん、貴方の態度次第だけど」
エステラはニッコリと笑った。
そしてマグダリーナはセドリック王に語りかけた。
「王よ、このエルロンドの貴族は単独で我が国に乗りこみ、王族を弑し国を乗っ取るつもりでいたようです」
「左様か」
セドリック王は、両手を無くしたエルフの剣士を見る。
「さて我が国は、エルロンド王国をどうすべきか」
王はマグダリーナを見た。
「マグダリーナ・ショウネシー子爵よ。五分与えよう。其方の魔法使いと相談して良い故、其方らなら、どうするか答えよ」
五分?! どうして王様いつもそんな無茶振りするの?!
マグダリーナは慌ててエステラの所に行く。
「どうする? 国的には黙って済ます訳に行かないけど、人とお金使って戦争しても、うちには旨味が無いのよね。エルロンドって森林資源しかないんでしょう?」
「なんか他にいい所ないの? エルロンド」
エステラもルシンに縛られてるエルフの剣士に聞くが、相手もまさかそんな事を聞かれると思っておらず、言葉をなくす。
「あわわ五分経っちゃう……とりあえず」
マグダリーナとエステラはあーだこーだと話し合って、無理矢理話をまとめた。
「どうだマグダリーナ・ショウネシー子爵よ、話しは纏まったか?」
「はい」
「話して見よ」
マグダリーナは深呼吸した。
「まず、私の魔法使いの力を借りることを大前提としてですが、エルロンド王国を乗っ取ろうと思います」
「ほう、してどの様に」
「エルロンド王国全体を結界で囲み、エルフが勝手に出られないようにします。その際、エルロンド王国の奴隷は全て自由にし、望む国があればそこへ移しましょう。そして現在エルフ達が住む場所から彼らを追い出し、更にそこにも結界を張って中に入れなくします。その後、人の住まう街全体を上下水の整った、清潔な都に作り変えます。女神教の神殿を建て、リーン王国に忠誠を誓い女神教の信徒となったものだけ、新しい環境下で暮らせるようにします。そこに新たな王を据えるかどうかは、陛下や宰相様達の采配に任せます」
「ではショウネシーの魔法使いよ、今直ぐに出来るのは、どこまでだ?」
「国を作り変える前段階の、エルロンドの都を更地にするところまでです。その後どういう都を作って行くかは、詳しい調査と王のお考えも有るかと思うので」
セドリック王は、ニヤリと笑った。
「では成してみよ」
エルフの戦士に勝てるやつなど、いない。
それを決闘代理人にしただけで、勝利は決まっていたはずだった。
なのに、王族を狙った凶行犯? 勝手にあのエルフがやったことなのに?
フランク子爵もその令息も、あっという間に近衛騎士に捉えられてしまう。
彼は何が起こったのか、理解出来なかった。
獲物を仕損じ、蹴り飛ばされる。
そこまではまあいい、同族が居るのなら、そういうこともあるだろう。
だが。
彼は地面に落ちている、己の左腕を見つめた。
痛みはない。浴びせられた浄化と回復の薬の所為だろう。出血もない。
――――斬られた感覚もなかった。
「不思議なものだ。其方のような娘ごが、顔色も変えず殺気も流さず、こうも見事に人を斬るとは」
「こんな堂々と王族を狙うなんて、エルロンド王国はリーン王国に戦争でも仕掛けるつもり?」
銀鎧の剣士は、ようやくまともにエステラの顔を見た。
黒いフードの隙間から、緑と紫の瞳が垣間見れる。
「その瞳、ハーフの娘であったか。なるほど……それにその左目の色……まさか」
銀鎧の剣士はルシンとエステラを見比べた。
「其方ら王弟殿の子達だな。傷モノの方はこの国で任務に失敗して死んだと思ったが、まさかあの傷を癒す者が居たのか」
「そんな話しどうでもいいから……」
「そうだったな。この国に戦争でも仕掛ける気か、だったな」
銀鎧の剣士は残った右手に魔力を込めた。
「戦争ではない、占領だ。この国を我が国の物とするのだ!」
召喚の魔法陣から、死の狼が三体現れた。
「結界は任せたから、お兄ちゃん」
ルシンが頷くのを確認して、エステラもフードを脱ぎ捨てる。
極淡い金と真珠光沢を纏った半透明の髪が、ふわりと風に流れる。
そして長く尖った耳。
「まさか、純血だと?!」
エステラは右手を高く上げて相棒を呼んだ。
「ヒラ!」
キラリとヒラが現れ、八枚羽根を広げる。そして死の狼の穢毒を消し去り、エルフの呪縛から解き放った。
そして本来の姿を取り戻した三体の狼は、ヒラに頭を下げて恭順の意を示したのだ。
「まさか……死の狼がただの魔狼に……?! これは……!!」
エルフの剣士は呆然としている。
もう片方の腕も、地に落ちていたからだ――
ルシンは面倒くさそうに、エステラが切捨てたエルフの腕を拾う。
「綺麗にくっつけることも出来るわよ。もちろん、貴方の態度次第だけど」
エステラはニッコリと笑った。
そしてマグダリーナはセドリック王に語りかけた。
「王よ、このエルロンドの貴族は単独で我が国に乗りこみ、王族を弑し国を乗っ取るつもりでいたようです」
「左様か」
セドリック王は、両手を無くしたエルフの剣士を見る。
「さて我が国は、エルロンド王国をどうすべきか」
王はマグダリーナを見た。
「マグダリーナ・ショウネシー子爵よ。五分与えよう。其方の魔法使いと相談して良い故、其方らなら、どうするか答えよ」
五分?! どうして王様いつもそんな無茶振りするの?!
マグダリーナは慌ててエステラの所に行く。
「どうする? 国的には黙って済ます訳に行かないけど、人とお金使って戦争しても、うちには旨味が無いのよね。エルロンドって森林資源しかないんでしょう?」
「なんか他にいい所ないの? エルロンド」
エステラもルシンに縛られてるエルフの剣士に聞くが、相手もまさかそんな事を聞かれると思っておらず、言葉をなくす。
「あわわ五分経っちゃう……とりあえず」
マグダリーナとエステラはあーだこーだと話し合って、無理矢理話をまとめた。
「どうだマグダリーナ・ショウネシー子爵よ、話しは纏まったか?」
「はい」
「話して見よ」
マグダリーナは深呼吸した。
「まず、私の魔法使いの力を借りることを大前提としてですが、エルロンド王国を乗っ取ろうと思います」
「ほう、してどの様に」
「エルロンド王国全体を結界で囲み、エルフが勝手に出られないようにします。その際、エルロンド王国の奴隷は全て自由にし、望む国があればそこへ移しましょう。そして現在エルフ達が住む場所から彼らを追い出し、更にそこにも結界を張って中に入れなくします。その後、人の住まう街全体を上下水の整った、清潔な都に作り変えます。女神教の神殿を建て、リーン王国に忠誠を誓い女神教の信徒となったものだけ、新しい環境下で暮らせるようにします。そこに新たな王を据えるかどうかは、陛下や宰相様達の采配に任せます」
「ではショウネシーの魔法使いよ、今直ぐに出来るのは、どこまでだ?」
「国を作り変える前段階の、エルロンドの都を更地にするところまでです。その後どういう都を作って行くかは、詳しい調査と王のお考えも有るかと思うので」
セドリック王は、ニヤリと笑った。
「では成してみよ」
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