ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ

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十三章 女神の塔

257. ダーモットのステータス

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「えー、ここまで辿りつくと、戦闘の有無に関係なく、女神様から自己鑑定能力が授かりまーす。あ、これも女神教に属するものだけの特典です。旦那様からご自身のステータスを公開しても良いと許可をいただいておりますので、今、放送画面にも表示出来るようにしますねー」

 マゴーはタブレット魔導具で、タップタップ作業を始めた。
 その間ダーモットは、マイペースに一階層でもいでおいた果実を食べている。

「こちらが旦那様のステータスになりまーす」

【名前】ダーモット・ショウネシー
【種族】人族(34)
【職業】ショウネシー領貴族長
【レベル】65
【体力】743/750
【魔力】343/360
【攻撃力】420(+20)
【防御力】460
【敏捷性】240
【魔法】風魔法 身体強化魔法 防御魔法 索敵魔法 収穫魔法
【習得スキル】剣術SS  騎獣術SS  槍術A  弓術A  拳闘術S  速読S  忍耐EX  直感A
【常時スキル】自動回復(小)  魔法収納A
【◼️◼️スキル】王の力
【ギフト】妖精のいたずら 二番目の休息
【称号】熊殺し 神獣の友達 血塗れクラッシャーショウ(救国の英雄)



◇◇◇



「あああァアアぁぁ??!!」
「きゃあああああ!!!」

 突然背後から奇声が聞こえて、マグダリーナも悲鳴をあげた。

「ちょっと、びっくりさせないでよエデン! エステラに言いつけるわよ」
「ンなことより、ダーモットのこのステータスはなんだ?」

 マグダリーナは、まだバクバク言っている心臓を落ち着ける為に、深呼吸した。

「剣術SSって……ダーモット父さん、強かったんだ……」
「なんだか全体的に数字の桁が違いますの……」
 ライアン達も驚いてるが、エデンはそこじゃナイと首を振った。

「エルフェーラの剣の気配がしたんで、こっちに来てみたらこれだ。なんでダーモットに【権能スキル】がある? しかもこれはエルフェーラのだ」

 ダーモットの読めないスキル名は、どうやら【権能スキル】だったらしい。

「は?」
「え?」
「うそ……」

「お父さま、エルフェーラ様の生まれ変わりなんですか……?」

 マグダリーナ、ライアン、レベッカが呆然とする中で、アンソニーが、ズバリそのものの質問をする。

「そんなことは、俺が聞きたい。ダーモットが帰ってきたら、さっそくセレンに鑑定させるぞ!」
「ええ!?」
 そう言われても、マグダリーナはあの麗しく、優雅なエルフェーラ様と、ダーモットの間に共通点などさっぱり見つけられず、何かの間違いとしか思えなかった。



◇◇◇



 マグダリーナ達が困惑していた所、視聴者達も困惑していた。

『レベル65って、強いのか?』
『剣術SSってあるから、強いんじゃないか?』
『伯爵一度も剣術使ってなくない?』
『手ぶらだったな』
『いやこの取得スキル、熟練の騎士並みなんじゃないか?』
『リーン王国最強の、辺境伯騎士団にいてもおかしくない』
『血塗れクラッシャーショウ』
『なんだあの称号』
『まさか、あののんびりした伯爵の二つ名??』
『まさか……』

 因みに括弧付きの称号と権能スキルに関しては、一般視聴者には見えないようだ。

「さて、ここからが難易度高くなるらしいけど、一旦街に出て、装備屋でも見てくるかな?」
「そうですねー、でも情報冊子の推奨レベルだと、旦那様なら二十階層まで行けますよ?」
「普通に考えると、ダンジョンはパーティ組んで攻略するものなんだよ。私は今単独だからねぇ……あんまり時間もかけたら、子供達も心配するし、とりあえず、昼までに行ける所に行ってやめにしよう」
「はーい」

 そうしてダーモットは、四階層への階段を登った。

 四階層は人型の魔物、ゴブリンが出てきた。だが、剣を抜いたダーモットは、まさしく風のような速さで殲滅してしまう。
 防具も付けず、剣一本で危なげなく魔物を倒していく姿は痛快で、階層が上がるたびに、興奮した視聴者からの投げレピも増えた。

 そして結局、十階層まで行ってしまったのだ。



◇◇◇


 十階層を攻略し終わったダーモットは、町の食堂で昼食を食べて、軽く武器屋や装備屋を回り、お土産用に屋台の食べ物を買い込む。最後に噴水の女神像に祈りを捧げて配信を終わらせた。
 その間、マゴーが巧みに、まだ町ができて三日目だから町民を募集していること、今回のドロップ品は、リオローラ商団かショウネシー冒険者ギルドの魔法通販で販売されることを宣伝する。

 因みにスキルの卵石は、全てダーモットがその場で割って使用した。



◇◇◇



「ダーモットはまだ帰ってないの?!」
 配信終了後、早速ドーラ伯母様がカレンと一緒にやってきた。

 マグダリーナ達は、居間からサロンに移動して、ドーラとカレンを迎えた。

「……多分、あと三十~四十分ほどかかるかと……」
 マグダリーナは、配信が終わった時間から逆算して答えた。

「マゴーを連れて行ってるのに、なにゆっくりマゴー車で帰ってくるつもりなのかしら。そういうところは、相変わらずだわ」

 ケーレブが紅茶とお菓子を配膳する。紅茶はダンジョンドロップしたもので、花のような香りと共に、渋みが少なくとろりとした甘みを感じる、飲みやすくて上品質とわかるものだ。

「申し訳ございません、マグダリーナ様。配信をお止めすることができませんでした」
「ケーレブのせいじゃないわ」

 マグダリーナの言葉に、ドーラも同意した。

「ダーモットはいつも、事前に相談せずに行動しちゃうのよ。貴方達も、振り回されないように注意しなさいね」
「それは、注意で防げますの?」
 首を傾げるレベッカに、ドーラは首を振って、ため息を吐いた。
「無理ね~」
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