お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏

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第106話 南方への視察04

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ロロシュさんとシュルツがもう直ぐラフドッグ入りする。
その前までに何処まで古代遺跡を詰められるか。

焦りは無い。続きは南西の視察が始めてからでも良いのだから。

謂わばこれはエクストラクエスト。
やらないより断然やった方が良いクエスト。きっと後々が楽になる。

満を持して飛び込んだ5層。

そこはサーペントの巣窟だった。
あの時の海蛇もここから水竜様が連れ出してくれた物。あれは贈り物だったんだ。

海上では雑魚だった。しかし海の中では相手に部が有る。
全て捕えようと邪な考えは捨てる。

全速で駆け泳ぎ、出会い頭に頭部を粉砕。横を向いた者は横腹から貫いた。

乱暴にドリンクを飲み下しながら数時間。
8割程の数を駆逐した。

横穴からの増援。何匹増えようと今の私の敵じゃない。

反転して増援部隊を屠る。倒しながら下穴を探った。

残存が1割を切った所で、拾える物を拾い尽くし発見した下穴に突入した。


6層目。

敵の名はデブルペント。サーペントの上位種。
敵影多数。相手に取って不足無し。

サーペントが海蛇ならデブルは海大蛇。
尾までの長さが約2倍。太さが約1.5倍。

鱗は黒ずみ斑模様が全身に浮かんでいた。

サーペントとは比べ物にならない威圧感。生かして置いては先には進んではいけないと、私の本能が訴えた。

「さあ行くわよソラリマ!」
『御意。血は無いが血が騒ぐぞ』

ポセラの密槍にソラリマを重ね合わせ、更に10倍に延長し聖魔混合で炎属性を上乗せ付与。

敵の総数は13匹。密集陣形を取り始めた。

立ち並ぶ壁の各所の大口が大きく開いた。

上層の個体の進化版。水属性の進化先は氷。
氷漬けなら先日嫌と言う程味わった。

予測通りに異常な冷気が口から溢れ出した。
それが凝縮され集積。相手の放出と同時に突撃を敢行。

双方長期戦は望んでいない。
ならばこの一撃で倒し切る。

大きく渦巻き轟く冷線を真正面から切り裂いた。

凍り付く両腕。ソラリマに付与した炎を増大させ爆発させて解凍を施す。

第二波が放たれる寸前。私の突進が僅かに優り、壁の中央に大穴を打ち開けた。

分裂したデブルを近場の個体から突き斬り刻み付けた。

数分後には決着。

目の前には13個の分断遺骸が浮遊していた。

金角で解体と回収。そこまでして一息。
ソラリマを戻して水分補給。

先日砕いてしまった氷の上位魔石も補填出来た。
最上を目指すならサンプルは多いに越した事は無い。

視界が確保出来るまで岩場の影で休息を取った。


休憩しながら双眼鏡で7層を覗いた。
最後の敵は1体。尋常ではない大きさ。

何者かは解らないが推定100mは有る。
何かの集合体?個体だとすると凶悪だ。

ダンジョンで言う主。その存在に身震いした。
この私が震えている…。

視界がクリアになるに連れ、下への穴は簡単に見付かった。休憩をしていた場所の近くに見えた。

人工的な扉もキーを差し込めるオブジェクトも6層には見当たらない。なら下の7層の更に下の階が在る。

下の敵は門番。

自分を覗いて魔力残量を見た。残り6800。
これが余裕有りと見るかは門番の姿を確認してから判断しよう。

余力を残して使えるのは6000。
お腹がたぷたぷになるまでドリンクを飲み、余裕マージンを確保した。

一撃勝負か即時撤退の2択。



膝を叩いて気合いを入れ直し、慎重に7層に忍び込んだ。

敵が背を見せている所に出られた。
それは巨大な亀の姿。背の甲羅の上に紫の苔状の物体を蓄えていた。

亀がこちらの光に気付くよりも前。
私が双眼鏡を構えるよりも前。

紫の苔が私を認識した!

そいつらは甲羅の上で分裂と結合を繰り返し、隣同士で身を擦り合わせ…ライトの光とは別の光源を発散し出した。

下段、霊亀。あの巨体が霊亀?
背中の苔、サウザメンティス。

苔の全てが別個体。全部で何万匹居るんだろう…。

鑑定が終わった直後。亀が振り返る前に苔が電撃を発電放射。加えて紫の蔦を触手状にして発散。

私は層の底面に着地すると同時に転移した。
自宅のリビングスペースに。



身体中が痺れ、槍を手放しその場に倒れ込んだ。

直ぐにスタンが駆け寄って来た。
「ビリビリする。感電してるのか。フィーネしっかりしろ」

「…7層の敵。鬼強いよ、スタン…」

マントの耐性を超える電撃を受けたとゴロゴロしながら説明した。

「マントより上。最低でもバッグの耐性並みに引き上げる装備が要るわ」

「だな。取り敢えずライトをオフして竜人化を解いてくれ。
まだかなり帯電してる。恥ずかしいかもだが俺が風呂に入れるぞ」

「任せる。エッチな事は控えてね」
「何言ってんだ!」本気で怒られた。

「ごめんちゃい」

スタンは無言でお姫様抱っこで私を運び、お風呂に入れてくれた。介護ですねこれは。

感電すると身体に全く力が入らない…。
勉強になりました。




---------------

1万越えの対魔力を貫通する自然の発電現象。
ソラリマの無効化とも無関係。

「耐性を上げるだけじゃ不安だなぁ。自家発電を完全無効化出来る道具か防具を装備しないと」
「そだねー」

まだ上手く力が入らないのか、腕を振り何度も手指の開閉を繰り返しながら、醤油で焼いた蛇肉をモグモグ。

「発電される前に一撃、で行きたいとこだったけど。苔が取り付いてたのが霊亀だった」

遺跡の7層で見たと言う主と思われる敵の構造を話してくれた。

「両方同時に倒さないと厳しそうだな」
「半端に甲羅を割るとカーネギさんの盾みたいに直ぐに復活しちゃいそう。苔が集合体じゃなくて集積体だったら核も無数に在るし。更に蔦の触手攻撃。激ムズぅ」

高難度のシューティングだな。

「何にせよ。冷静に撤退したのは正解だ」
「うん。我ながら良い判断だった。暫くあの7層は帯電してるだろうから行かない。てか行けない」

「視察に行きながら各地で対策道具を探そう」

避雷針、集雷器、何でもいいから見付けてやる。
落雷が多い地方になら必ず何かある筈だ。

「悔しいなぁもう。よし!切替えて行こう。
ロロシュさんたち明日にはラフドッグ入りするでしょ。何時頃に行く積もりなの?」

「2日位間空けて合流しようかと。あっちの視察邪魔しちゃ悪いし。シュルツの本格的な勉強の場を潰すのもね」
「そっかぁ。そうだね。あの子の自立心も養ってあげないと。なら今夜は沢山飲もう。パーッと忘れたい」

「お、じゃあお摘まみ作ろうか。メニューは何が良いでしょうお嬢さん」
「じゃあ…混合肉のハンバーグと。燻製の野菜亜たっぷりポトフではどうでしょう」

クワンが空かさず。
「何かお刺身は無いですか?」

「いいね。確か…真鯛がまだ2匹ある。今夜はその3品でプチ残念会とリベンジしてやるぞ会だ」
「なーにそれ」クスクス笑われた。やっぱ笑顔が一番だ。
「フィーネは座ってて。何か本読んでてもいいし」
「ありがと。甘えちゃいます!」
「クワッ」

熊肉と蛇肉多目のハンバーグと燻製ポトフ。鯛のお刺身を有りっ丈作って水入らずの宴会をした。

余りは明日の朝にでも食べればいいさ。

しっかし魔物の肉でステが上昇してただなんて驚きだ。気の所為かと思ってたぜ。

自己研鑽との併用で補助として捉えよう。これに頼るのは危険だ。ドーピングと同じで身を滅ぼさないように。




---------------

キツめのトレーニングで朝食を盛り盛り食べて今日も元気一杯。何しよか。

「今日は俺、山葵植えられそうな場所探して来ようかと」
「私は虫除けのお香と日用品のお買い物」
「クワ」フィーネの肩に乗った。

寂しい限りだがしゃーなし。


俺はソプランを誘って。マッサラから北の山を目指すと伝え出発し…。
「え?そんな遠くに行くの。だったら私も行くよ」

「麓の渓谷まで飛ぶから直ぐだよ。地形を確認して来るだけさ。心配無い無い。普通の野獣は居るかもだけど」
「むぅ。じゃあいい」

あの場所はあんまし見せたくないし。


本棟に行き、ソプランに声を掛けた。
「外に出るのか?準備するからちょっと待ってくれ」
15分程食堂でお茶をして待ち。合流して速攻飛んだ。

シュルツとセルダさんを救い、始めて魔人を討伐した渓谷に来た。
「行き先告げてから飛べや!」
「ごめんごめん。早くしないとフィーネが来たいって言い出しそうで」

「…ここか。まあこれは見せたくないか」
「そう」

渓谷はあの時のまま風化して腐敗臭は僅かに臭う。が点々とする遺体は場所を変えずに白骨化していた。

「降りて掃除でもすんのか?」
「下には降りない。お祈りして山の上。この河の源流辿ろうって思って」
「そか」

膝を着いて胸に手を当て祈る。人質も野盗も関係無く、全ての御霊に捧ぐ。

「じゃ行こうか」
「源流見て何すんだ」

「山葵を植えられる場所探し。山葵はデリケートでさ。
源流に近い清流じゃないと上手く育たないんだ」
「へぇ。あれが」

獣道や岸壁を登りながら。

この河を下ればロルーゼ領に入る。方角的には真東に延びている。上流はロルーゼとマッハリアを隔てる大山脈を迂回して北西方向へ延びていた。

マッハリア方面に差し掛かるようならパス。

対岸の木陰に熊の親子が見えた。案の定威嚇されたが距離があるので無視無視。

「ビッグベア見た後だと可愛く見えるな」
「無益な殺生は駄目だぜ」
「やらねえよ」

山の中腹辺りで昼休憩。作って来た鯨餡掛け弁当を提供。
「これがアローマの言ってたやつか。鯨なんて図鑑でしか見たことねえよ」
「俺も生では見てない。フィーネが素潜りで獲ってその場で解体して来たし」

「ホント何でも獲っちまうんだな」
「自慢の嫁です」

「何処探しても居ねえぜ」


弁当を片しながら山の上を見上げた。
「まだまだ先は長そう…」
「おい。何か、雲行き怪しくねえか?」

「え?雨期明けたのに。山間だからかな」
山の天候は変化し易い物。それはどの世界でも共通項?

「本降りになったら帰るよ。行けるとこまで行こう」
「今日は濡れる気分じゃねえし」

登って行く毎に、空は鈍よりと黒く変化…。
「雲の流れが早いなぁ」
「不自然な気が…」

小さな滝の脇を登り切った所で視界が開けた。

南は快晴。東西も同じ。遙か北マッハリア方面も快晴。
真上北だけが真っ暗。
「誰か雨乞いでもしてるのかな」
「雨乞い…ねえ」

暫く方々眺めているとソプランが。
「あの東の崖の上。何人か人居るんじゃね?」
と言われたので望遠鏡を取出し覗いて見た。

5人の黒尽くめが輪になって天に向かって謎のダンスをしている風景が飛び込んで来た。
「めっちゃ怪しい集団」
ソプランに望遠鏡を渡した。
「…マジで雨乞いかよ」

何事かを聞いてみようとなり、崖を裏手に回り込んで駆け上がった。

5人はこちらに気付かず躍り続けていた。

「こんな所で雨乞いですか?」

目が合った瞬間に絶句。かと思えば全員短剣を抜刀。
「は?」
戸惑っていると隣のソプランが双剣を抜き放った。

「ソプラン待ちで」
交戦直前で5人を捕縛し、崖から宙に浮かせた。

「ま、待ってくれ!」
「命乞いすんなら抜刀すんじゃねえ!!」

「まあまあ。俺の事知ってるぽいね。何してるのか正直に話さないと。もっと上から落とすよ?」
脅し文句に2名がお漏らし。汚い…。ロープ洗わなきゃ。

リーダーらしき人物が。
「クインケ様からの依頼で。運河を増水させて、モーゼス領に打撃を与えよと…」
モーゼス…。との名は、前世スタプ時代に最初にお世話になった下流貴族だ。

「モーゼスって、ウインケル家の?」
「知ってるのか?」
「ちょっとだけ」クインケは聞いた事ないな。

「そうです」

全員ロルーゼの人間で依頼を受けただけだと言い張り、雨期明け直後の異常気象の所為にして下流の堤防を決壊させようとしたそうな。

「モーゼスさんにはちょっとした縁があってさ。聞いたからには見過ごせないな」
「そもそもここはタイラントの領内だぞ」

「お許しを」

そうこうしてる間に上空の分厚い雨雲が完成してしまい遂には激しい落雷と豪雨が始まった。

5人が何かを叫んでいたが轟く雷鳴に掻き消されてよく聞こえなかった。

落雷が5人を擦り抜け俺たちの方に…落ちた!

遮蔽物無し。避雷針無し。地面からの伝達を喰らって膝を崩した。

「危ない!落とされる前に上の雨雲何とかしろ!」

「足元!足元のサークルを、壊して下さい!」
雷は尚も降り注ぐ。だがしかし5人にだけは当たらない。

「お前ら雷避けの道具持ってんの?」
問答している間にソプランがサークル内に整然と配置された黒い小型の石碑を蹴り崩した。

「も、持ってます!」

サークルが崩れると同時に嵐は散り消え失せ、上空は徐々に静寂と快晴を取り戻す。

「見逃す代わりにその雷避けの道具頂戴」
「見逃すのかよ」

「それは…」

「殺して奪ってもいいし。ウインケル家にその首送り付けてもいいし。既に計画は破綻して。俺に邪魔されたって伝えるだけで済むんじゃないの?生きて帰りたいでしょ」
「このまま王都に領土侵害、道具の不正使用の罪で罪人として連行する事だって出来るんだぞ!」

「わ、解りました…」

応答しているリーダーが持っていると言うのでそいつだけ降ろし、緑色の宝石が付いたネックレスをソプランが受け取った。

受け取った瞬間に溝内に一撃。悶絶し蹲った男を縄で縛り上げた。見事な早業。
「悪いな。念の為だ」

手渡されたネックレスを確認。

名前:避雷の戒心(古代兵器)
性能:全ての電撃、落雷を回避する
   雷撃類完全無効化
   所有者の周囲半径10m内を保護
特徴:突発の雷雨に持つべきはこの道具
   身に着けなくとも所持しているだけで効果有

バッチリじゃん。フィーネに手土産出来ちゃった。

「本物だな」

武器と道具類を全没収して5人を逃がした。

「ここら一帯警戒域にするから二度と来るなよー」

何度もお辞儀をして去って行く5人を見送る。

「良い物拾っちゃった」
「お前がいいならいいけどよ」

サークル内に置かれた石碑には、それぞれ雷と風属性の上位魔石が埋め込まれていた。頂きます!

「後でモーゼスさんに密書送るから。多分どっちかの貴族に捕われて消されるでしょ」
「おぉ、どの道残酷な終わりだな」

罪人として捕まった方が生き延びられたのにそれを選択したのはあの人たちです。

クインケ・シャシャか…。一応ノイちゃんに報告をソプランにお願いした。

ロルーゼ中枢は中立の傍観者でも末端はまた違う。全てが一枚岩で繋がっている訳じゃない。


崖の上から見下ろすと、川の上流が見えた。

「ゴールも近い」
「ここまで来たなら行くしかねえな」

辿り着いた水源。水質調査はするが見た目清らかな清流。
疑うのも違うか。人の手が入らず大気も元世界と比べれば圧倒的に綺麗なんだから。

試しに小さな分流を作り、根付きの良い山葵を距離を離して植えた。

水が、温かい…。

「温泉?」
「どした」

ソプランに温泉あるかもと説明し、対岸の地面をスコップで掘ってみた。じわりと滲む温水。
更に掘ると熱湯レベル。これは間違いなく地表まで到達した温泉水だ。

間欠泉じゃなければ構築も容易。
「これ行ける。ここ一帯買い占めて温泉郷作れるよ」
「…凄えじゃねえか」

夢は尽きない。
位置的にここはラッハマから真東の位置。森を切り開いて道路を整備しさえすれば開発出来る。

「購入可能かどうか調べて。まず自分たちの別荘だけ建てて楽しむべし!」
「俺たちも乗っかってもいいのか」

「駄目なら話してないって」
「楽しくなって来たぜ」

今度は俺たちが小躍りして帰宅した。




---------------

帰宅後早速モーゼスさん宛の報告お手紙を認め、簡易地図に目撃情報を書き込んだ物をソプランに持たせて城のノイちゃんの所へ向かって貰った。

お出掛け中のフィーネに耐電の良い道具拾ったよとメールを入れてと。

分も掛からず超特急で帰るとの返信。

帰って来たフィーネとアローマに雨乞いをしていたロルーゼの一団の説明をして避雷の戒心を渡した。

「凄い!バッチリじゃない。愛してる、スタン」
「なんもしてないけどな。愛してる、フィーネ」

あらあらまあまあとアローマはお茶を淹れにキッチンに向かった。

「後はこれの実証実験して。集積した魔物を一網打尽にする方法を考えるだけね」
「今日もお祝いしちゃう?」
「しちゃいましょう」

お茶を運んで来てくれたアローマが。
「もしお許し頂ければ。本日のお夕食は私共でお作りしたいのですが」

「いいの?」
「無理しなくてもいいのよ」

「無理など有りません。先日スターレン様から叱責を頂いて目が覚めました。私たちも食べているだけではいけないなと猛省を」

「叱責した訳じゃ…」
「ちょっとだけ偶には楽したいなと思っただけで」

「いいえ。お料理も一苦労。その作り手の苦労を失念しておりましたのは事実です。是非作らせて下さい」

決意の表情。お任せするのが吉。

メニューもお任せ。ミランダとプリタを誘って食材を買い出しに行きますと退出した。

「もう1つご報告が有ります」
「なになに」

「川の源流付近に、何と。天然温泉が湧いておりました」
「何と!」
「クワッ!」クワンもすっかりお風呂大好きになったな。


善は急げとムートン氏を訪問すると難無くOK。

「温泉…。それは陛下にご報告せねば」
「俺の買い占めが先。それまで内緒にしてて。ロルーゼにも関わる水源だから。水質調査と浄化設備を整えて俺から報告する」

「…独占するのか」
「まず自分たちで堪能してから温泉郷の立案するって。どの道街道作るのに許可と人手が要るんだし」

「成程な。ならば君に任せよう。本格始動が実に楽しみだ。この件に関しては協力は惜しまない。何でも言ってくれ。
ここに居なければ城の事務室に手紙でも送れよ」
「その時は宜しく」
「私も楽しみ」



夕食として出されたのは。
野菜多目の肉じゃがと豚カツだった。侍女3人の力作。
「漸く直送で鰹節が手に入るようになりましたので。お出汁にはその鰹節を使用しました」
「献立は三人で練り、料理長に助力を願い」
「私は主に味付け担当です!」

本棟でも醤油を取り入れ始めたんだ。
美味しい美味しい。衣は二度揚げカリカリ。下味の塩胡椒の塩梅も丁度良く。肉じゃがもちゃんとした肉じゃがの味をしていた。懐かしい&幸せな味。

お礼を兼ねてマッサラの北部の源流付近で温泉発見の発表をした。

「明日。土地の購入手続き行って来ます。設備が整ったらみんなで行きましょう」
「ロロシュさんには私たちから伝えるから心配しないで」

拍手喝采頂きました。

「建築士探したり。土建屋さんを連れて行ったり。まだ全然先の話だから気長に待ってて」
「それこそロロシュさんに伝えれば、街道まであっと言う間に作っちゃいそう」

「出来れば頼りたくないけど。責めて土地だけは自分たちで購入しないと」
「だねぇ」


ソプランが挙手。
「温泉の件はお前らに連れてって貰わんと行けない場所だから置いといて。ノイツェ様からの報告で。
どうやら今日出会したロルーゼの一団を放った
クインケ・シャシャって貴族は数年前にニーダを襲った幼女趣味の変態らしいぜ」

「それは…余計な事したな。早めに出向いて潰すか」
「お仕事増えちゃった」

「ロルーゼの件は国防案件だからってノイツェ様が。こないだ手伝って貰った礼代わりに全て対処してくれるとさ。
書いた手紙も返却された」

「助かったぁ」感謝しながら返却手紙を受け取った。
「ロルーゼとは東に渡る時まで関わりたくないもんね」
そうそう。

話題をラフドッグに変えて。
「明日は1日オフにして。明後日ラフドッグの視察団と合流する予定だから。ソプランとアローマは準備しといて」

「いよいよかぁ。船の運転できっかなぁ…」
「出来ると信じて臨みましょう」

宿はエリュグンテじゃないよと伝えると。
「何だよ。ちょい期待してたんだけどな」
「今度は国の経費で落とすんだから。滞在だけにそんな贅沢する訳ないだろ」
「ラフドッグの宿泊施設は全体的にお高めで整ってるから。何処を選んでも外れは無いですよ」


タダで泊まれるとあって満足そうな笑みを漏らしていた。



解散した後でお茶をしながら今後の相談。をフィーネとクワンでしているとシュルツから先行メールが配信。

エリュグンテは2週間程、2部屋抑えてあるから何時でもお越し下さいと…。

「あんれまぁ。先手打たれちゃった」
「流石は才女。ロロシュさんかな。中々出し抜けないわね」
完全に読まれてる。

明後日行くと返信して終了。

そこでフィーネから嬉しいご提案が。
「明日さ。土地の購入手続きが済んだら。私たちとクワンティだけで温泉入りに行かない?まだ人が居ない内に」
「いいねぇ。行こ行こ」

身体は自宅で清めればいいやと。


翌日。計画通りに事を進め。穴掘りとリバイブで岩を固めて源泉掛け流しの混浴露天風呂を設営。

水着で入ろうとしたフィーネさんを説得し、昼間から水入らずの温泉を堪能した。

別の堪能も致してしまった後で。
「お外は恥ずかしいから嫌だって言ってるのにぃ。しかも昼間に…」
「偶には雰囲気をガラリと変えてさ」
普段よりも何割増しも燃えてしまいました。
「変わり過ぎよ」
半分照れ隠しで口を尖らせ頬を染める可愛い仕草にマイサンが…再戦を要求。

愛の言葉を囁きながら抱き締めた。
「ちょ…続きは夜って」
「嫌だ。今直ぐ」

クワンが呆れて飛んで行った。
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