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第245話 ジョゼのお見合い
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ラフドッグのアルカナ号お披露目会後スタフィー号で沖釣り中にロイドから本は余裕で買えたと吉報が届いた。
あの行列は隣の遊具施設の受付並びだと聞き。フィーネと一緒に反省しながら笑った。
しっかり確認しようぜって話。
本鮪を12匹釣り半分の6匹を大狼様へクワンが速達。
北の様子は変わり無く平常。
不死のギンガムがベルさんのアイスキャッスルとゴーレムを越えられる日が来るのだろうか…。
まー俺たちが生きてる間は無いな。
それに大狼様が負ける絵が全く浮かばない。
本鮪の4分の1を使って船上パーティー。
ロイドには夕食の1品に加えた。
夕食は本格エビチリとミートボールが絶賛を浴び。
ラメル君が焼いた河豚白子もまた最高。
酒が止まらんかった。
デザートにレイルが苺を頬張っていたので。
「食べ合わせ悪くない?」
「妾が腹を壊す訳が無かろうが」
「そっすか」
ソプランの報告。
ジョゼはお見合いを楽しみにソワソワ。と思ったら生き別れの兄を心配していたと。
「どーして出発前に私に一言挨拶しないんですか!」
と泣き付かれたそうな。
「単なる出張だろ。東行く話は前にしたし」
「そう言う問題じゃないんです!」
と更に怒られたと。
お兄ちゃんとしてはまだまだ。
うかうかしてると桜が満開になってまうと。翌日お城へ行き潜水艇の大発表。
ヘルメンち大激怒。
「どーして一昨日言わんのだ!」
「ロロシュ氏を差し置いて?陛下は度胸有りますねぇ」
「…済まん。今のは撤回させてくれ」
先生にはめちゃめちゃ弱い事が解った。
急遽視察団が編成され。
主な役職はキャルベとギルマートが城に留守番。
「私たちも…」
「見たいのですが…」
「城を空にする気か!」
俺たちは。
「2回に分ければ良いじゃないですか」
「船内は余り広くはないので」
「「「あ…」」」
更に急遽2部編成に変更。
2部共に大喜び。中でもミラン様が。
「美しい…。あぁ何と美しい!」
青色大好きな王妃様が感動を爆発させていた。
貴女様もお美しいですよ。
ヘルメンちの機嫌が良い内に。
「この船を見付ける切っ掛けを作ってくれたバインカレさんを乗せたいのですが」
「動かせるようになったら海深くまで」
「…良し許す!我らも当然乗るが。まあ冥土の土産だ」
大変寛大な許可を得た。
皆の前で宣言したからには約束は守って頂こう。
その足で海軍本部に向かい婆ちゃんのお散歩範囲を工房まで広げる許可も得た。
折り返し海軍本部長以下数名が船を見て絶句。
1人気絶する人まで居た。
そ、そんなに!?
婆ちゃんには後日連絡が行く。
南東のカカンカで米、小豆を買い。
モメットに予告状を送ってさあ準備万端。
桜は略満開の9分咲き。
お隣からも人数限定で客を呼び。お花見初日はカメノス邸とロロシュ邸限定+ソプランの家族枠でジョゼ。
お花見2日目は城関係+ガードナーデ家と花見も2部構成にした。
会場が狭いので。
いよいよ始まりますジョゼさんとモメットの初対面!
--------------
誰が予想しただろうか…。
成婚率100%の看板が漸く下ろせる。
俺とフィーネは密かに企んでいた。
看板をぶち破れるのはもうモメットしか居ないと。
男性趣味と解ればジョゼの傷も浅く済むだろうと。
しかし…結果は全くの別物だった。
昼間から酒が振舞われ。
俺たちが作った散らし寿司と本棟で作られたお摘まみの数々が並び。
大変お日柄も良い春らしい宴会日和。
今度はジョゼもソワソワ。
少し遅らせて招待したモメット。
それはモメットがジョゼの前に辿り着く前。
パパに挨拶をして。
「これが桜♡綺麗ですねぇ♡」
と唱えた後。
テーブル席に座ろうとアルシェさんの前を通り過ぎた瞬間に事件は起きた。
見つめ合う2人。それはジョゼとモメットではない。
その組み合わせは。
「モメット…」
「アルシェ…ちゃん」
誰もが息を呑んだ瞬間。
俺たちは知らなかった。カメノス家の誰も知らなかった。
その2人が…知り合いだったなどと。
「メメットさんの…息子さんだったのですね」
「あぁ…言ってなかったね」
「私…。ロルーゼから逃げたの」
「風の噂で。聞いてはいた。
でも帰って来てたのは知らなかった…」
「頭の病気も治ったの。短気な病も制御出来るように成ったの…」
「アルシェ…」
「もう一度…。遣り直せないかな。モメット…」
「逃げ出した俺を…。許して、くれるのかい?」
「ううん違う。私が全部悪いの…」
「君は悪くない。俺が弱かったから」
「ねえ聞かせて。もう一度私と…」
「君が望むなら。何度でも!」
アルシェの手を取り抱き寄せ。
そして熱いキスを交わした。再会を喜び合う口吻を。
「えーーー!!!???」
2人以外の全員の絶叫。レイルも目を剥いてた。
メメットは何度も目を擦り。
カメノス氏は硬直。ペルシェは呆け。
ジョゼは…1人気絶した。
成婚率100%看板の牙城は崩せない。
--------------
新たなカップル誕生に沸く会場の片隅で。
1人膝を抱えて涙する乙女。
「だ、大丈夫だって。また俺が探してやるから」
「うっ…うっ…。目の前に…うぐっ…来てだのに…」
「そうよ。世界の人間の半分は男よ」
「視野を広く、持ちましょう」
フィーネもアローマも今は違うと思う。
「まだ…おはなじも…うっ…じて、ないのに…」
俺も泣きそう。全ての意味で。
「御免ジョゼ。俺が鑑定なんかで喜ばしたのがいけなかったんだ」
ジョゼが俺に腕を差し出し。
「じて…うっ…うっ」
「な、何を?」
「がんでいじで!」
「そんな事したらまた後悔するぞ。普通に出会って普通に恋を見付けた方が絶対いいって」
「いやだっ。じでよ!…うっ。ぜきにん、どって」
責任かぁ。
「出るかどうか解らないぞ。いいのか?」
「うん…うっ。はやぐっ」
涙と鼻水でぐしょぐしょです。
出された手首を優しく持って再鑑定。
特徴:お相手候補(超本命:ティンダー)
超なら先に出せや!!
「……」
「誰か出たの?」
沈黙した俺にフィーネが問う。
「いやその…」
ジョゼが俺の足にしがみ付く。
「誰、ですか」
「いやぁ、ちょっと遠い場所と言うか…」
今あいつ何処ら辺移動してるんだろ。
「誰、なんですか…うぐっ」
「うーーーん。ちょっと探す時間くれるかな」
コンパスで探るか。
その時救世主の門番さんが。
「スターレン様ー。ティンダー隊と名乗る五人冒険者隊がスターレン様とお知り合いだから。お祝いをさせて欲しいと門前に来ているのですが」
来てたーーー。
「良し通そう!本棟の応接室を空けて欲しい!」
「解りましたー」
「さあジョゼ!今直ぐ顔を洗って来い。超本命はその5人の中に居る!何と今日この日。丸で示し合わせたかのように向こうからやって来た。
これを運命と言わずして何とする!」
「…もう来て…」
「会場は応接室に変更だ!超本命は自然派が好みだから化粧は要らない。素のジョゼでぶち当たれ。
誰かは言わない。ちょっと話して気になった人物を俺に教えてくれ。その人と今夜食事のセットをする!
さあ急ぐんだジョゼ君。客はもう来ているぞ」
「は、はい!」
「ちょ、ちょっと待ってジョゼ。服もぐしょぐしょだから私たちの自宅で顔洗って着替えよ。服も貸すから」
「有り難う御座います!」
ソプランとアローマが心配そうに。
「こ、今度は大丈夫なのか」
「運命、なのですか」
「俺にも解りません!取り敢えずロイド来て。顔見知りが居ないと混乱するから」
「仕方が無いですね」
食事途中で引っ張られちょっとムスッとしてる。
でも可愛い。
「ソプラン。5区の個室付きの店を探してくれ。
アローマは5区の10人席が取れる店を探して」
「あいよ」
「畏まりました」
--------------
最初は俺とロイドで対応。
久し振りの4人の若手は逞しく成長。
ティンダーもスリム体型に変化した。
お祝いの酒瓶を頂き。
「何か成長した感じがするね、5人共。偉そうに言えないけど」
ティンダーが笑う。
「旦那に褒められるなら光栄の極みですよ。ここまでの途中で組んだ奴はパッとしなかったんで。初期のこの四人を扱き上げました」
アイールバムが嘆く。
「いやぁ酷いの何の。良く死ななかったなと」
ソアが頷く。
「クワンジアは地元なんで順調だったんですが」
ケイプトロとリトルアン兄弟が溜息。
「アッテンハイムの南ではぐれビッグベアと遭遇して」
「スターレン様は片手で捻ったんだから。五人で充分行けると逃げずに戦って。まあ何とか倒せましたけど」
「凄いじゃん。空刃避けれた?」
「旦那から預かった幸運グッズのお陰です。見当違いなとこに打ってくれたんで。これなら行けると」
役に立って良かった。まあその幸運グッズはティンダーの戦利品だし。
「これから5人はどうする?仕事なら山程有るし。数年後に開ける温泉郷のオリオン。警備が出来る人材が全く足りて無くてさ」
隣のロイド。
「定住して頂けるなら年頃の未婚女性も紹介出来ます。
ご紹介した方を弄んだら…殺しますが」
5人が絶句。
「スターレン隊から紹介受けた子をそんな」
「事は絶対に」
「しません!」
「俺たちは…自分で言うのはあれですが」
「真面目です。…ちょっとだけ娼館は、行きましたが」
何て正直な。
「まあパージェントは娼館一切無いから。頑張って相手見付けて。紹介されるのが嫌なら。
で定住は前向きに考えられそう?
俺たち出張ばっかで早めに答えを聞きたい」
ティンダーが真顔に戻り。
「スターレン様に出会えた…最初こそあれでしたが。モーランゼアの町を出る時からタイラントへ行って。スターレン様の下で働こうと決めてました」
アイールバム。
「英雄様の下で働けるなんて。多分一生分の運使っても二度と無い事です」
ソア。
「ここで断るなんて馬鹿ですよ」
ケイプトロ。
「俺もその積もりで来ました」
リトルアン。
「俺もです」
「良し気に入った!突発だが。お見合いご紹介1人目の登場です!」
「「「「「え!?行き成り!?」」」」」
「だががっつくな。これから連れて来る子はとても繊細な子だ。この部屋で1対1で少し話をしてみて。今回に限りその子にお相手を選んで貰う。
夜の話なんかして泣かしたら内臓が飛ぶまでしばき倒すから注意しろ」
「「「「「はい!」」」」」
「良い返事だ。ではリーダーのティンダーから居残り。
4人と俺たちは別室で待機だ」
ロイドが廊下のフィーネとジョゼを招き入れ。
ジョゼの挨拶の後退出。
部屋の角に柱時計を置き。
「お茶運んで貰うから。1人大体20分位で」
「はい」
「解りました」
--------------
隣の応接室。
俺、フィーネ、ロイド。
対するはティンダー隊の残り4人。
ちょっとだけフィアフォンゼル迷宮の話をしたり世間話。
「所で今日の宿は?」
アイールバムが。
「五区の安宿にそれぞれ」
「おー良かった。今回抽選に残念ながら漏れてしまった4人の為に。今夜突発お見合い第2弾を用意する」
「「「「え!?展開が…」」」」
「なーにを言っている。別に気になる子が居なければ済みませんと言うだけではないか。臆するな。
俺たちには時間が無い。
1人1人に構って遣れる時間がな」
「「「「はい!」」」」
「うむ。ではちょっと席を外してお願いして来よう」
フィーネとロイドに任せお花見会場へ。
「ロロシュさーん。カメノスさーん。タイラントに定住してくれる冒険者隊5人確保出来たんで。
ジョゼが選ぶ1人以外の4人のお見合い相手用意出来ますかー。出来れば今夜。5区の飲食店押さえるんで」
「それは一大事だ。宴会に興じている場合ではない。
カメノス!当家は三人だ」
「そんな無茶な。順当に二人ずつですよ」
「むぅ…。時間も無いし止むも得ん。ゼファー、フギン。
早急に二人用意しろ」
「「ハッ」」
「こちらも負けてられん。帰って準備だ!」
「「「ハッ」」」
付き人護衛3人と共に正門へ駆け抜けて行った。
--------------
ソプランとアローマが戻りお店は確保。
最初の応接室で1次審査を終えたジョゼに問う。
「では聞こう。誰か居たのか居ないのか。
複数居て絞れませんは無しだ。そんな優柔不断な答えを述べたらソプランにビンタして貰う」
「だ、大丈夫です。絞れました。ティンダー様で」
当ったーーー。
「ほ、ほぉ…」
「あいつがその超本命なのか」
「運命の出会いなのですか」
「答えてあげなよ。スタン」
「どうであれ。今後は2人に任せる事」
一呼吸置いて。
「鑑定結果もティンダーだよ。
根は真面目。俺の下で働きたいと志願してモーランゼアの東町から陸路で冒険者依頼を重ねてここまで来た。
定住も希望してくれたし。何よりあいつも散々女性で痛い目を見てる。
ジョゼが嘘を吐かず。正直に接して行けばあいつから裏切る事はしない。
信じてみてもいいんじゃないかな」
「素直に…ですか」
「会って早々に昔話なんてしなくていい。将来的な話で不安に思う事とか。同じ遠方出身でまだタイラントに慣れていないだとか。
ここで見付けた良い点悪い点とかさ。そう言う何でも無い話をして行けば自然体に成れるんじゃない?
ジョゼもティンダーも」
「…はい」
2次会会場までそれぞれを分けて案内。開始を告げてロロシュ邸へ戻った夜。
夜空の星が眩しく溢れる桜の木の下。
小さなランタンを幾つか灯し。
フィーネとロイド。ペッツ&ソプランたちと昼の宴会の残り物を摘まみながら夜桜花見。
「いやぁ~。成婚率10割の看板」
「降りてくれないねぇ」
「モメットがなぁ」
「不思議な物です」
「もういっそ諦めて」
「「嫌です!」」
ロイドの言葉に抗うも。虚しく響く夜桜の舞い。
あの行列は隣の遊具施設の受付並びだと聞き。フィーネと一緒に反省しながら笑った。
しっかり確認しようぜって話。
本鮪を12匹釣り半分の6匹を大狼様へクワンが速達。
北の様子は変わり無く平常。
不死のギンガムがベルさんのアイスキャッスルとゴーレムを越えられる日が来るのだろうか…。
まー俺たちが生きてる間は無いな。
それに大狼様が負ける絵が全く浮かばない。
本鮪の4分の1を使って船上パーティー。
ロイドには夕食の1品に加えた。
夕食は本格エビチリとミートボールが絶賛を浴び。
ラメル君が焼いた河豚白子もまた最高。
酒が止まらんかった。
デザートにレイルが苺を頬張っていたので。
「食べ合わせ悪くない?」
「妾が腹を壊す訳が無かろうが」
「そっすか」
ソプランの報告。
ジョゼはお見合いを楽しみにソワソワ。と思ったら生き別れの兄を心配していたと。
「どーして出発前に私に一言挨拶しないんですか!」
と泣き付かれたそうな。
「単なる出張だろ。東行く話は前にしたし」
「そう言う問題じゃないんです!」
と更に怒られたと。
お兄ちゃんとしてはまだまだ。
うかうかしてると桜が満開になってまうと。翌日お城へ行き潜水艇の大発表。
ヘルメンち大激怒。
「どーして一昨日言わんのだ!」
「ロロシュ氏を差し置いて?陛下は度胸有りますねぇ」
「…済まん。今のは撤回させてくれ」
先生にはめちゃめちゃ弱い事が解った。
急遽視察団が編成され。
主な役職はキャルベとギルマートが城に留守番。
「私たちも…」
「見たいのですが…」
「城を空にする気か!」
俺たちは。
「2回に分ければ良いじゃないですか」
「船内は余り広くはないので」
「「「あ…」」」
更に急遽2部編成に変更。
2部共に大喜び。中でもミラン様が。
「美しい…。あぁ何と美しい!」
青色大好きな王妃様が感動を爆発させていた。
貴女様もお美しいですよ。
ヘルメンちの機嫌が良い内に。
「この船を見付ける切っ掛けを作ってくれたバインカレさんを乗せたいのですが」
「動かせるようになったら海深くまで」
「…良し許す!我らも当然乗るが。まあ冥土の土産だ」
大変寛大な許可を得た。
皆の前で宣言したからには約束は守って頂こう。
その足で海軍本部に向かい婆ちゃんのお散歩範囲を工房まで広げる許可も得た。
折り返し海軍本部長以下数名が船を見て絶句。
1人気絶する人まで居た。
そ、そんなに!?
婆ちゃんには後日連絡が行く。
南東のカカンカで米、小豆を買い。
モメットに予告状を送ってさあ準備万端。
桜は略満開の9分咲き。
お隣からも人数限定で客を呼び。お花見初日はカメノス邸とロロシュ邸限定+ソプランの家族枠でジョゼ。
お花見2日目は城関係+ガードナーデ家と花見も2部構成にした。
会場が狭いので。
いよいよ始まりますジョゼさんとモメットの初対面!
--------------
誰が予想しただろうか…。
成婚率100%の看板が漸く下ろせる。
俺とフィーネは密かに企んでいた。
看板をぶち破れるのはもうモメットしか居ないと。
男性趣味と解ればジョゼの傷も浅く済むだろうと。
しかし…結果は全くの別物だった。
昼間から酒が振舞われ。
俺たちが作った散らし寿司と本棟で作られたお摘まみの数々が並び。
大変お日柄も良い春らしい宴会日和。
今度はジョゼもソワソワ。
少し遅らせて招待したモメット。
それはモメットがジョゼの前に辿り着く前。
パパに挨拶をして。
「これが桜♡綺麗ですねぇ♡」
と唱えた後。
テーブル席に座ろうとアルシェさんの前を通り過ぎた瞬間に事件は起きた。
見つめ合う2人。それはジョゼとモメットではない。
その組み合わせは。
「モメット…」
「アルシェ…ちゃん」
誰もが息を呑んだ瞬間。
俺たちは知らなかった。カメノス家の誰も知らなかった。
その2人が…知り合いだったなどと。
「メメットさんの…息子さんだったのですね」
「あぁ…言ってなかったね」
「私…。ロルーゼから逃げたの」
「風の噂で。聞いてはいた。
でも帰って来てたのは知らなかった…」
「頭の病気も治ったの。短気な病も制御出来るように成ったの…」
「アルシェ…」
「もう一度…。遣り直せないかな。モメット…」
「逃げ出した俺を…。許して、くれるのかい?」
「ううん違う。私が全部悪いの…」
「君は悪くない。俺が弱かったから」
「ねえ聞かせて。もう一度私と…」
「君が望むなら。何度でも!」
アルシェの手を取り抱き寄せ。
そして熱いキスを交わした。再会を喜び合う口吻を。
「えーーー!!!???」
2人以外の全員の絶叫。レイルも目を剥いてた。
メメットは何度も目を擦り。
カメノス氏は硬直。ペルシェは呆け。
ジョゼは…1人気絶した。
成婚率100%看板の牙城は崩せない。
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新たなカップル誕生に沸く会場の片隅で。
1人膝を抱えて涙する乙女。
「だ、大丈夫だって。また俺が探してやるから」
「うっ…うっ…。目の前に…うぐっ…来てだのに…」
「そうよ。世界の人間の半分は男よ」
「視野を広く、持ちましょう」
フィーネもアローマも今は違うと思う。
「まだ…おはなじも…うっ…じて、ないのに…」
俺も泣きそう。全ての意味で。
「御免ジョゼ。俺が鑑定なんかで喜ばしたのがいけなかったんだ」
ジョゼが俺に腕を差し出し。
「じて…うっ…うっ」
「な、何を?」
「がんでいじで!」
「そんな事したらまた後悔するぞ。普通に出会って普通に恋を見付けた方が絶対いいって」
「いやだっ。じでよ!…うっ。ぜきにん、どって」
責任かぁ。
「出るかどうか解らないぞ。いいのか?」
「うん…うっ。はやぐっ」
涙と鼻水でぐしょぐしょです。
出された手首を優しく持って再鑑定。
特徴:お相手候補(超本命:ティンダー)
超なら先に出せや!!
「……」
「誰か出たの?」
沈黙した俺にフィーネが問う。
「いやその…」
ジョゼが俺の足にしがみ付く。
「誰、ですか」
「いやぁ、ちょっと遠い場所と言うか…」
今あいつ何処ら辺移動してるんだろ。
「誰、なんですか…うぐっ」
「うーーーん。ちょっと探す時間くれるかな」
コンパスで探るか。
その時救世主の門番さんが。
「スターレン様ー。ティンダー隊と名乗る五人冒険者隊がスターレン様とお知り合いだから。お祝いをさせて欲しいと門前に来ているのですが」
来てたーーー。
「良し通そう!本棟の応接室を空けて欲しい!」
「解りましたー」
「さあジョゼ!今直ぐ顔を洗って来い。超本命はその5人の中に居る!何と今日この日。丸で示し合わせたかのように向こうからやって来た。
これを運命と言わずして何とする!」
「…もう来て…」
「会場は応接室に変更だ!超本命は自然派が好みだから化粧は要らない。素のジョゼでぶち当たれ。
誰かは言わない。ちょっと話して気になった人物を俺に教えてくれ。その人と今夜食事のセットをする!
さあ急ぐんだジョゼ君。客はもう来ているぞ」
「は、はい!」
「ちょ、ちょっと待ってジョゼ。服もぐしょぐしょだから私たちの自宅で顔洗って着替えよ。服も貸すから」
「有り難う御座います!」
ソプランとアローマが心配そうに。
「こ、今度は大丈夫なのか」
「運命、なのですか」
「俺にも解りません!取り敢えずロイド来て。顔見知りが居ないと混乱するから」
「仕方が無いですね」
食事途中で引っ張られちょっとムスッとしてる。
でも可愛い。
「ソプラン。5区の個室付きの店を探してくれ。
アローマは5区の10人席が取れる店を探して」
「あいよ」
「畏まりました」
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最初は俺とロイドで対応。
久し振りの4人の若手は逞しく成長。
ティンダーもスリム体型に変化した。
お祝いの酒瓶を頂き。
「何か成長した感じがするね、5人共。偉そうに言えないけど」
ティンダーが笑う。
「旦那に褒められるなら光栄の極みですよ。ここまでの途中で組んだ奴はパッとしなかったんで。初期のこの四人を扱き上げました」
アイールバムが嘆く。
「いやぁ酷いの何の。良く死ななかったなと」
ソアが頷く。
「クワンジアは地元なんで順調だったんですが」
ケイプトロとリトルアン兄弟が溜息。
「アッテンハイムの南ではぐれビッグベアと遭遇して」
「スターレン様は片手で捻ったんだから。五人で充分行けると逃げずに戦って。まあ何とか倒せましたけど」
「凄いじゃん。空刃避けれた?」
「旦那から預かった幸運グッズのお陰です。見当違いなとこに打ってくれたんで。これなら行けると」
役に立って良かった。まあその幸運グッズはティンダーの戦利品だし。
「これから5人はどうする?仕事なら山程有るし。数年後に開ける温泉郷のオリオン。警備が出来る人材が全く足りて無くてさ」
隣のロイド。
「定住して頂けるなら年頃の未婚女性も紹介出来ます。
ご紹介した方を弄んだら…殺しますが」
5人が絶句。
「スターレン隊から紹介受けた子をそんな」
「事は絶対に」
「しません!」
「俺たちは…自分で言うのはあれですが」
「真面目です。…ちょっとだけ娼館は、行きましたが」
何て正直な。
「まあパージェントは娼館一切無いから。頑張って相手見付けて。紹介されるのが嫌なら。
で定住は前向きに考えられそう?
俺たち出張ばっかで早めに答えを聞きたい」
ティンダーが真顔に戻り。
「スターレン様に出会えた…最初こそあれでしたが。モーランゼアの町を出る時からタイラントへ行って。スターレン様の下で働こうと決めてました」
アイールバム。
「英雄様の下で働けるなんて。多分一生分の運使っても二度と無い事です」
ソア。
「ここで断るなんて馬鹿ですよ」
ケイプトロ。
「俺もその積もりで来ました」
リトルアン。
「俺もです」
「良し気に入った!突発だが。お見合いご紹介1人目の登場です!」
「「「「「え!?行き成り!?」」」」」
「だががっつくな。これから連れて来る子はとても繊細な子だ。この部屋で1対1で少し話をしてみて。今回に限りその子にお相手を選んで貰う。
夜の話なんかして泣かしたら内臓が飛ぶまでしばき倒すから注意しろ」
「「「「「はい!」」」」」
「良い返事だ。ではリーダーのティンダーから居残り。
4人と俺たちは別室で待機だ」
ロイドが廊下のフィーネとジョゼを招き入れ。
ジョゼの挨拶の後退出。
部屋の角に柱時計を置き。
「お茶運んで貰うから。1人大体20分位で」
「はい」
「解りました」
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隣の応接室。
俺、フィーネ、ロイド。
対するはティンダー隊の残り4人。
ちょっとだけフィアフォンゼル迷宮の話をしたり世間話。
「所で今日の宿は?」
アイールバムが。
「五区の安宿にそれぞれ」
「おー良かった。今回抽選に残念ながら漏れてしまった4人の為に。今夜突発お見合い第2弾を用意する」
「「「「え!?展開が…」」」」
「なーにを言っている。別に気になる子が居なければ済みませんと言うだけではないか。臆するな。
俺たちには時間が無い。
1人1人に構って遣れる時間がな」
「「「「はい!」」」」
「うむ。ではちょっと席を外してお願いして来よう」
フィーネとロイドに任せお花見会場へ。
「ロロシュさーん。カメノスさーん。タイラントに定住してくれる冒険者隊5人確保出来たんで。
ジョゼが選ぶ1人以外の4人のお見合い相手用意出来ますかー。出来れば今夜。5区の飲食店押さえるんで」
「それは一大事だ。宴会に興じている場合ではない。
カメノス!当家は三人だ」
「そんな無茶な。順当に二人ずつですよ」
「むぅ…。時間も無いし止むも得ん。ゼファー、フギン。
早急に二人用意しろ」
「「ハッ」」
「こちらも負けてられん。帰って準備だ!」
「「「ハッ」」」
付き人護衛3人と共に正門へ駆け抜けて行った。
--------------
ソプランとアローマが戻りお店は確保。
最初の応接室で1次審査を終えたジョゼに問う。
「では聞こう。誰か居たのか居ないのか。
複数居て絞れませんは無しだ。そんな優柔不断な答えを述べたらソプランにビンタして貰う」
「だ、大丈夫です。絞れました。ティンダー様で」
当ったーーー。
「ほ、ほぉ…」
「あいつがその超本命なのか」
「運命の出会いなのですか」
「答えてあげなよ。スタン」
「どうであれ。今後は2人に任せる事」
一呼吸置いて。
「鑑定結果もティンダーだよ。
根は真面目。俺の下で働きたいと志願してモーランゼアの東町から陸路で冒険者依頼を重ねてここまで来た。
定住も希望してくれたし。何よりあいつも散々女性で痛い目を見てる。
ジョゼが嘘を吐かず。正直に接して行けばあいつから裏切る事はしない。
信じてみてもいいんじゃないかな」
「素直に…ですか」
「会って早々に昔話なんてしなくていい。将来的な話で不安に思う事とか。同じ遠方出身でまだタイラントに慣れていないだとか。
ここで見付けた良い点悪い点とかさ。そう言う何でも無い話をして行けば自然体に成れるんじゃない?
ジョゼもティンダーも」
「…はい」
2次会会場までそれぞれを分けて案内。開始を告げてロロシュ邸へ戻った夜。
夜空の星が眩しく溢れる桜の木の下。
小さなランタンを幾つか灯し。
フィーネとロイド。ペッツ&ソプランたちと昼の宴会の残り物を摘まみながら夜桜花見。
「いやぁ~。成婚率10割の看板」
「降りてくれないねぇ」
「モメットがなぁ」
「不思議な物です」
「もういっそ諦めて」
「「嫌です!」」
ロイドの言葉に抗うも。虚しく響く夜桜の舞い。
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