14 / 69
3話
3
しおりを挟む
1日の授業も終わり、奏多さんとの約束の場所に来た。
「桜さん、今日もお疲れさま」
「お疲れさまです」
空はいい感じに赤く染まっていて、このリゾート地をロマンのある雰囲気にしている。
海も空の色を反映してオレンジになっており、小さく波打つ音がさあああっと耳に心地よく入ってくる。
「あ、あの。奏多さん、甘いものってお好きですか?」
「うん、好きだよ」
「今日、タルトを作ったんです。よければ……これ」
「僕に? ありがとう」
受け取って、くれた。
それだけでももう私の中の幸福度合いは急激に上がって、口をぎゅっと紡いでもにやけが止まらなくて、ああ、これこそが恋だよねなんて1人納得をしてしまう。
「何個あるの?」
「2つ、です」
「そっか、せっかくなら2人で食べたいし、ディナーの後にどう?」
「は、はいっ。もちろん」
タルトを渡し終えて、ようやく私たちは歩き始めた。
海沿いの小道。波の音の他にも鳥の鳴き声が聞こえてくる。
自分たちの為にあるかのような空間に、うっとりとする。
話しをしながら歩いていると、目の前からレストランにいた美少女が来て、すれ違った。その際に、目が合ったのは気のせい?
というか、睨まれていたような。
「桜さん、明日はなんの授業受ける予定?」
「そうですね、明日も料理をやってみたいな、なんて思ってます。今日、楽しかったから」
「いいね、じゃあ、僕も料理の授業取ろうかな。午後? 午前?」
「午後、です」
「うん、分かった」
だんだんと薄暗くなり、風が涼しさを運んでくる。
空は、オレンジと水色の2色で構成されていてまるでそれは絵画のようだった。
空奇麗だね、と言う奏多さんに、そうですね、と返す。
こんな美しい風景だから写真に撮りたいと思ったけれどカメラはなく脳内にしっかりとこの絵を残す。
「もし僕たちが普通の家に生まれて育って出会ったら、もっと深い関係になれたのかな?」
「それは……きっと、そうだったと思います」
「…………仕方ないよね。この学校に通う皆同じさ。結婚は自分たちの問題だけじゃない」
「でも、それでも私は、好きな人と結婚したいです。やっぱり、難しいんですかね?」
「分からない。もしかしたら、それも可能かもしれないけど、まずは両親が許してくれないとね」
「そうですね」
奏多さんは当たり前だけど、私には一切触れてこようとしなかった。
私は、出来るなら手くらい繋いで、奏多さんの体温を感じたかった。
それでも、奏多さんの目つきから優しさが伝わってきて、それだけで十分だと思う。
「涼くんが羨ましいな。婚約者が桜さんだなんて」
「でも私は、涼よりも」
奏多さんのが初めて私に触れた。でもそれは、この後の私の言葉を言わせないためで、唇に彼の指が触れる。
「ありがとう、でも、ダメだよ。その言葉は心の中にしまおう」
「…………はい」
星がそろそろ出始めようとしている。
「ご飯、食べに行こうか」
「そうですね」
2人きりで嬉しいのに、苦しい。恋は楽しいはずなのに、辛い。そう感じてしまったんだ。
「桜さん、今日もお疲れさま」
「お疲れさまです」
空はいい感じに赤く染まっていて、このリゾート地をロマンのある雰囲気にしている。
海も空の色を反映してオレンジになっており、小さく波打つ音がさあああっと耳に心地よく入ってくる。
「あ、あの。奏多さん、甘いものってお好きですか?」
「うん、好きだよ」
「今日、タルトを作ったんです。よければ……これ」
「僕に? ありがとう」
受け取って、くれた。
それだけでももう私の中の幸福度合いは急激に上がって、口をぎゅっと紡いでもにやけが止まらなくて、ああ、これこそが恋だよねなんて1人納得をしてしまう。
「何個あるの?」
「2つ、です」
「そっか、せっかくなら2人で食べたいし、ディナーの後にどう?」
「は、はいっ。もちろん」
タルトを渡し終えて、ようやく私たちは歩き始めた。
海沿いの小道。波の音の他にも鳥の鳴き声が聞こえてくる。
自分たちの為にあるかのような空間に、うっとりとする。
話しをしながら歩いていると、目の前からレストランにいた美少女が来て、すれ違った。その際に、目が合ったのは気のせい?
というか、睨まれていたような。
「桜さん、明日はなんの授業受ける予定?」
「そうですね、明日も料理をやってみたいな、なんて思ってます。今日、楽しかったから」
「いいね、じゃあ、僕も料理の授業取ろうかな。午後? 午前?」
「午後、です」
「うん、分かった」
だんだんと薄暗くなり、風が涼しさを運んでくる。
空は、オレンジと水色の2色で構成されていてまるでそれは絵画のようだった。
空奇麗だね、と言う奏多さんに、そうですね、と返す。
こんな美しい風景だから写真に撮りたいと思ったけれどカメラはなく脳内にしっかりとこの絵を残す。
「もし僕たちが普通の家に生まれて育って出会ったら、もっと深い関係になれたのかな?」
「それは……きっと、そうだったと思います」
「…………仕方ないよね。この学校に通う皆同じさ。結婚は自分たちの問題だけじゃない」
「でも、それでも私は、好きな人と結婚したいです。やっぱり、難しいんですかね?」
「分からない。もしかしたら、それも可能かもしれないけど、まずは両親が許してくれないとね」
「そうですね」
奏多さんは当たり前だけど、私には一切触れてこようとしなかった。
私は、出来るなら手くらい繋いで、奏多さんの体温を感じたかった。
それでも、奏多さんの目つきから優しさが伝わってきて、それだけで十分だと思う。
「涼くんが羨ましいな。婚約者が桜さんだなんて」
「でも私は、涼よりも」
奏多さんのが初めて私に触れた。でもそれは、この後の私の言葉を言わせないためで、唇に彼の指が触れる。
「ありがとう、でも、ダメだよ。その言葉は心の中にしまおう」
「…………はい」
星がそろそろ出始めようとしている。
「ご飯、食べに行こうか」
「そうですね」
2人きりで嬉しいのに、苦しい。恋は楽しいはずなのに、辛い。そう感じてしまったんだ。
0
あなたにおすすめの小説
女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る
小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」
政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。
9年前の約束を叶えるために……。
豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。
「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。
人質王女の恋
小ろく
恋愛
先の戦争で傷を負った王女ミシェルは顔に大きな痣が残ってしまい、ベールで隠し人目から隠れて過ごしていた。
数年後、隣国の裏切りで亡国の危機が訪れる。
それを救ったのは、今まで国交のなかった強大国ヒューブレイン。
両国の国交正常化まで、ミシェルを人質としてヒューブレインで預かることになる。
聡明で清楚なミシェルに、国王アスランは惹かれていく。ミシェルも誠実で美しいアスランに惹かれていくが、顔の痣がアスランへの想いを止める。
傷を持つ王女と一途な国王の恋の話。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
セイレーンの家
まへばらよし
恋愛
病気のせいで結婚を諦めていた桐島柊子は、叔母の紹介で建築士の松井卓朗とお見合いをすることになった。卓朗は柊子の憧れの人物であり、柊子は彼に会えると喜ぶも、緊張でお見合いは微妙な雰囲気で終えてしまう。一方で卓朗もまた柊子に惹かれていく。ぎこちなくも順調に交際を重ね、二人は見合いから半年後に結婚をする。しかし、お互いに抱えていた傷と葛藤のせいで、結婚生活は微妙にすれ違っていく。
治療係ですが、公爵令息様がものすごく懐いて困る~私、男装しているだけで、女性です!~
百門一新
恋愛
男装姿で旅をしていたエリザは、長期滞在してしまった異国の王都で【赤い魔法使い(男)】と呼ばれることに。職業は完全に誤解なのだが、そのせいで女性恐怖症の公爵令息の治療係に……!?「待って。私、女なんですけども」しかも公爵令息の騎士様、なぜかものすごい懐いてきて…!?
男装の魔法使い(職業誤解)×女性が大の苦手のはずなのに、ロックオンして攻めに転じたらぐいぐいいく騎士様!?
※小説家になろう様、ベリーズカフェ様、カクヨム様にも掲載しています。
君に何度でも恋をする
明日葉
恋愛
いろいろ訳ありの花音は、大好きな彼から別れを告げられる。別れを告げられた後でわかった現実に、花音は非常識とは思いつつ、かつて一度だけあったことのある翔に依頼をした。
「仕事の依頼です。個人的な依頼を受けるのかは分かりませんが、婚約者を演じてくれませんか」
「ふりなんて言わず、本当に婚約してもいいけど?」
そう答えた翔の真意が分からないまま、婚約者の演技が始まる。騙す相手は、花音の家族。期間は、残り少ない時間を生きている花音の祖父が生きている間。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる