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「涼、今度」
「涼さま、生徒会のことなんですけど」
最近、涼に話しかけようと思うと彼女がどこからともなくやってきて私たちの邪魔をするようになった。
しかも、2人は来月から生徒会に入るらしく普段でも2人で話している姿をよく見かける。
「ごめんね、桜。鈴華さんとちょっと打ち合わせしてくる」
「うん、分かった」
彼女は勝ち誇った目を私に向けて、涼を連れ去っていった。
べ、別に、いいんだから。私は奏多さんが好きで、涼なんてただの婚約者に過ぎないの。鈴華さんとどうなろうが、それは涼の勝手で私が考えることじゃない。
そうは思っていても、やっぱり気になる存在で彼女のことを考えるともやもやが増大していく。
「最近、鈴華さんと涼くん、いつも一緒にいるわね」
「……うん」
「いいの?」
「別に、関係ないもの。それより、今週の日曜日、お茶会開いてくれてありがとう」
「いいのよ、私も桜とティータイムを過ごしたかったし」
「でも、あいつまで誘わなくても」
「まあ、いいじゃない」
日曜日、天気も晴れということで杏里の家でアフタヌーンティーを開催することになった。
もちろん招待客には私だけじゃなく奏多さんもいて、校外学習以来数回学校で会っただけだったから、久々にゆっくりとお話しに花を咲かせそう。
早くあの癒しオーラで私のこの苛つきを取り払って欲しい。
「あ、あとね、鈴華さんも来るの。どこからから情報が漏れたみたいで……」
「そうなのね…………」
「奏多さんっ」
お茶会当日、涼と共に杏里家へと足を運ぶと、すでに奏多さんの姿があった。長身ということもあって、立ち姿も薔薇のように華やかでかつ美しい。
「私もいるけど」
視界に無理矢理入ってきたのは言うまでもなく鈴華さんで、せっかくの高揚していた気分も一気に下がる。確かに彼女にも目立つオーラがあるけれど……。
「ご機嫌よう」
「ご機嫌よう。あからさまにがっかりしないでちょうだい」
私の機嫌がこうなることを分かっているなら、初めから来なければいいのに。
「2人とも、こっちよ」
ちょうど良いタイミングで杏里の呼び声が聞こえてくる。
テーブルの上に飾られたスコーンやジャム、ケーキ、サンドウィッチ、そして紅茶と、せっかくの御馳走と素晴らしい友人と好きな人がいるのだから、嫌なものに目を向けていたらきっと損。
2人が話している姿なんて、視界に入れなければいい。
「桜。これ、苺のスコーンなのだけれど、どうかしら? 桜のために用意したの」
「わざわざありがとう。…………うんっ、すごく美味しい」
「よかったわ」
「桜さんは、苺が好きなの?」
「はいっ。甘くて、ほんのり酸っぱくて、食べると心がキュンとするんです」
「まるで恋のようね」
「ふふっ、そうですね」
ああ、杏里と奏多さんといるとなんて心が穏やかでいられるのだろう。私にとって2人は、それこそ苺のような存在だ。甘くて、少し酸っぱくて、心を満たしてくれる。
「そうだ、今年もそろそろ桜の誕生パーティーがあるわね」
「ええ、たしかに」
誕生日はこっちの世界でも同じ日みたい。
「プレゼント、考えなくちゃ」
「ありがとう」
「今年は僕も参加していいかな?」
「はいっ、もちろんです」
「涼さま、生徒会のことなんですけど」
最近、涼に話しかけようと思うと彼女がどこからともなくやってきて私たちの邪魔をするようになった。
しかも、2人は来月から生徒会に入るらしく普段でも2人で話している姿をよく見かける。
「ごめんね、桜。鈴華さんとちょっと打ち合わせしてくる」
「うん、分かった」
彼女は勝ち誇った目を私に向けて、涼を連れ去っていった。
べ、別に、いいんだから。私は奏多さんが好きで、涼なんてただの婚約者に過ぎないの。鈴華さんとどうなろうが、それは涼の勝手で私が考えることじゃない。
そうは思っていても、やっぱり気になる存在で彼女のことを考えるともやもやが増大していく。
「最近、鈴華さんと涼くん、いつも一緒にいるわね」
「……うん」
「いいの?」
「別に、関係ないもの。それより、今週の日曜日、お茶会開いてくれてありがとう」
「いいのよ、私も桜とティータイムを過ごしたかったし」
「でも、あいつまで誘わなくても」
「まあ、いいじゃない」
日曜日、天気も晴れということで杏里の家でアフタヌーンティーを開催することになった。
もちろん招待客には私だけじゃなく奏多さんもいて、校外学習以来数回学校で会っただけだったから、久々にゆっくりとお話しに花を咲かせそう。
早くあの癒しオーラで私のこの苛つきを取り払って欲しい。
「あ、あとね、鈴華さんも来るの。どこからから情報が漏れたみたいで……」
「そうなのね…………」
「奏多さんっ」
お茶会当日、涼と共に杏里家へと足を運ぶと、すでに奏多さんの姿があった。長身ということもあって、立ち姿も薔薇のように華やかでかつ美しい。
「私もいるけど」
視界に無理矢理入ってきたのは言うまでもなく鈴華さんで、せっかくの高揚していた気分も一気に下がる。確かに彼女にも目立つオーラがあるけれど……。
「ご機嫌よう」
「ご機嫌よう。あからさまにがっかりしないでちょうだい」
私の機嫌がこうなることを分かっているなら、初めから来なければいいのに。
「2人とも、こっちよ」
ちょうど良いタイミングで杏里の呼び声が聞こえてくる。
テーブルの上に飾られたスコーンやジャム、ケーキ、サンドウィッチ、そして紅茶と、せっかくの御馳走と素晴らしい友人と好きな人がいるのだから、嫌なものに目を向けていたらきっと損。
2人が話している姿なんて、視界に入れなければいい。
「桜。これ、苺のスコーンなのだけれど、どうかしら? 桜のために用意したの」
「わざわざありがとう。…………うんっ、すごく美味しい」
「よかったわ」
「桜さんは、苺が好きなの?」
「はいっ。甘くて、ほんのり酸っぱくて、食べると心がキュンとするんです」
「まるで恋のようね」
「ふふっ、そうですね」
ああ、杏里と奏多さんといるとなんて心が穏やかでいられるのだろう。私にとって2人は、それこそ苺のような存在だ。甘くて、少し酸っぱくて、心を満たしてくれる。
「そうだ、今年もそろそろ桜の誕生パーティーがあるわね」
「ええ、たしかに」
誕生日はこっちの世界でも同じ日みたい。
「プレゼント、考えなくちゃ」
「ありがとう」
「今年は僕も参加していいかな?」
「はいっ、もちろんです」
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