嫌いなあいつの婚約者

みー

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7話

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 目の前に座る奏多さんは、口角を上げてこの場を楽しんでいるように見える。よかった、私との時間をつまらないとは思っていないようで。

 それより、奏多さんの顔を見たいのに、あまりにも私には輝いて見えて直視できない。

 輝きの強いものって、ある程度離れた場所で見るとすごく美しく見えるけど、いざ近寄って見ると眩しくて目を細めてしまう。

 ああ、恥ずかしい。

 今更、奏多さんに自分の顔を見られるのが恥ずかしくなって、森の方に顔を向けてしまう。

 今まで、そんなにまじまじと奏多さんの顔を見ることなんてなかったから、散歩の時だって横に並んでいたし……。

 改めてじっくりと見ると、本当にこちらが緊張するほどの整った顔をしていて、恥ずかしくなる。

「どうしたの?」

「あ、いえ、く、空気がきれいだなあと」

「うん、そうだね。自然の中はやっぱり空気が澄んでる」

「あ、そこに。リスみたいなのが」

「本当だ。可愛いね」

「はい……」

 奏多さんは、目を閉じて深呼吸をしている。そんな姿にさえ、目を奪われる。

 それに、不思議と奏多さんの前ではおしとやかというか、そこまではいかないけれど女の子らしい振る舞いになる。

 涼の前ではいつも通りがさつになってしまうのに。

「お昼を食べたら、街の中にあるオルゴール美術館に行こうと思うんだ」

「いいですね」

 この前涼と散歩したときにはそんなところがあるだなんて教えてくれなかった。

 奏多さんとオルゴール、なんて合うのだろう。

「桜さんは、どんな音楽が好き?」

「ええと……そうですね」

 なんて答えるのが正解なのだろう。

 ここはかっこよく『クラシック音楽』と言いたいところだけどほとんど聞いたことがないし。

「癒される感じの音楽が好きですね」

「いいね、僕も賑やかなものより落ち着いたものが好きだよ」

 






 紅茶をゆっくりと味わい、ランチの時間が訪れる。

「桜さんは、魚と肉どっちがいい?」

「えっと、お魚で」

「うん、分かった」

 そういえば、さっきからレストランには私たちしかいないけれど……。

「あ、ここね。今日は貸切にしたんだ」

「そうだったんですね」

 流石、というか、きっとあの学校に通うほとんどの生徒に共通することなんだろうけれど、いちいち感心してしまう。

 以前の私にはお店を貸し切るなんてことは遠くの遠くの世界の話で、それがこんなにも身近になるなんて。

「こっちの方が、落ち着ける」

「そうですね」

 少し寂しいなと思うけれど、とことん静寂というのも悪くない。

 

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