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9話
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「記憶喪失ですね。一部分の」
「それは……治るんですか?」
私が忘れてしまったであろうあの2人の男の人。私にとって、2人はどんな存在なんだろう。
「そうですね、ふとした時に戻るかもしれないですし……」
戻らないかもしれない。
「……そうですか、分かりました」
「頭を打っていますので、暫くは安静にしてくださいね。また来ます」
「はい、ありがとうございます」
あれから言われた通りにあまり動かずにすごして、数日ぶりにようやく学校に来た。
教室に着くと、杏里が寄ってくる。
「桜。良かった。記憶のこと以外は大丈夫そうね」
「うん、でも、杏里のことは忘れなくて本当によかった」
私が忘れてしまったうちの1人の人は、同じ教室にいた。
姿勢良く、なにかの本を読んでいる。
「ねえ、……涼、くん、だっけ。どんな人なの?」
あれから結局何も思い出せなくて、元婚約者という情報だけが頭の中にあった。
「そうね……。とても素敵な人よ。桜のことをすごく好きで、桜も前までは涼くんのことが好きで。とてもお似合いの2人だったわ。涼くんは今でも桜のことが好きだけどね」
「じゃあ、今は?」
「今は、もう1人の奏多さんっていう人のことを桜が好きになったの。それで、婚約を破棄して2人は恋人同士になったのよ」
「そうなんだ……」
婚約を破棄してまで、私は奏多さんという人が好きなんだ。なのに、あの人はそれでも私のことが好き……。
涼くんのことを見ていると、彼のもとに鈴華さんが来た。だけど、鈴華さんが自分にとってどんな存在だったのかを思い出せない。
鈴華さんっていう存在は覚えているんだけど……。
鈴華さんは私の顔を見ると、特にこっちには来ないでそのまま涼くんと会話を続ける。
こうやって見ると2人は見た目的にとてもお似合いで、2人の周りにはなんだか花が浮いて見える。
「2人が気になるの?」
「気になる……っていうか、お似合いだなあって」
でも、どうしてだろう。2人の姿を見ているとなんだか胸がざわめく。あの涼っていう人の笑顔が、鈴華さんに向けられていることがどうしても気になる。
鈴華さんと涼くんは、少し話した後2人で教室を出て行った。
「あの2人って、仲いいんだね」
「2人とも、生徒会だから一緒に居る時間も長いものね」
「そっか……」
元婚約者という私なんかよりも、親密な時間が多いのかな、なんて思うと胸がちくりとする。
胸の辺りに手を当てて深呼吸をした。
これじゃあまるで、あの人に恋をしているみたい。
「奏多さんにも会いに行ってあげてね。もしかしたら、会って一緒にいれば記憶が戻るかもしれないわ」
「そうだね」
きっと、奏多さんという人はすごく素敵な人なんだろう。だって、涼くんっていう人を振ってまで私が恋人にしたいと思う人なんだから。
「それは……治るんですか?」
私が忘れてしまったであろうあの2人の男の人。私にとって、2人はどんな存在なんだろう。
「そうですね、ふとした時に戻るかもしれないですし……」
戻らないかもしれない。
「……そうですか、分かりました」
「頭を打っていますので、暫くは安静にしてくださいね。また来ます」
「はい、ありがとうございます」
あれから言われた通りにあまり動かずにすごして、数日ぶりにようやく学校に来た。
教室に着くと、杏里が寄ってくる。
「桜。良かった。記憶のこと以外は大丈夫そうね」
「うん、でも、杏里のことは忘れなくて本当によかった」
私が忘れてしまったうちの1人の人は、同じ教室にいた。
姿勢良く、なにかの本を読んでいる。
「ねえ、……涼、くん、だっけ。どんな人なの?」
あれから結局何も思い出せなくて、元婚約者という情報だけが頭の中にあった。
「そうね……。とても素敵な人よ。桜のことをすごく好きで、桜も前までは涼くんのことが好きで。とてもお似合いの2人だったわ。涼くんは今でも桜のことが好きだけどね」
「じゃあ、今は?」
「今は、もう1人の奏多さんっていう人のことを桜が好きになったの。それで、婚約を破棄して2人は恋人同士になったのよ」
「そうなんだ……」
婚約を破棄してまで、私は奏多さんという人が好きなんだ。なのに、あの人はそれでも私のことが好き……。
涼くんのことを見ていると、彼のもとに鈴華さんが来た。だけど、鈴華さんが自分にとってどんな存在だったのかを思い出せない。
鈴華さんっていう存在は覚えているんだけど……。
鈴華さんは私の顔を見ると、特にこっちには来ないでそのまま涼くんと会話を続ける。
こうやって見ると2人は見た目的にとてもお似合いで、2人の周りにはなんだか花が浮いて見える。
「2人が気になるの?」
「気になる……っていうか、お似合いだなあって」
でも、どうしてだろう。2人の姿を見ているとなんだか胸がざわめく。あの涼っていう人の笑顔が、鈴華さんに向けられていることがどうしても気になる。
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元婚約者という私なんかよりも、親密な時間が多いのかな、なんて思うと胸がちくりとする。
胸の辺りに手を当てて深呼吸をした。
これじゃあまるで、あの人に恋をしているみたい。
「奏多さんにも会いに行ってあげてね。もしかしたら、会って一緒にいれば記憶が戻るかもしれないわ」
「そうだね」
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