【完結】カラスとすずらん ~意識低い系冒険者パーティの台所を預かっています~平凡なわたしと、闇を抱えた彼の恋の話~

天草こなつ

文字の大きさ
354 / 385
15章 祈り(後)

39話 こころ弱きもの(2)

しおりを挟む
「な……なんの、……つもりだ」
 
 ――恐怖で声と身体が震える。
 こんな反応はコイツにエサを与えるだけだ――案の定、イリアスは恍惚こうこつとしたような表情で笑っている。
 腹が立つ。けど、ここで"恐怖"を押し隠せるほどオレは強い人間じゃなかった。
 
「君には僕を殺す権利があるよ」
「ふ……、ふざけるな……」
「ふざけてはいないよ。……断言してあげよう。僕が消えれば大多数の人間の頭から僕の存在が消えるが……君の頭には変わらず僕が在り続ける。憎悪の感情も、そのままにね」
「…………」
「だからねえ、ジャミル君。僕の存在が完全に消える前に、君に命を刈り取らせてあげようと言うんだよ――」
「っ……オレは、……オレはお前を……、殺さない……!」
 
 オレの返答が想定外だったのか、イリアスは目を見開いて驚く。
 
「へえ……なぜ? 僕が憎いんだろう? 許せないんだろう? なら……」
「うるせえ……! 憎いから即殺すとか、オレはそんな、ゼロか百かの考えで生きてねえんだよ!」
 
 ――そうだ。それができりゃあ、どれだけ楽か。
 けどここでコイツを憎しみのままに殺したら、今必死で自分の心と戦っている仲間を裏切ることになる。
 
 それに……!
 
「オレの、……オレの手は、命を奪うためにあるんじゃない! "作る"ためにあるんだ!!」
 
 ――あのね……あたし、ジャミル君の手が好きよ。
 あなたの手は、みんなの小さい幸せを作れる手だわ。
 だからあたしはこの手が好き。そういうジャミル君だから、あたしは……好きなの。
 
 敵を斬れない、戦えない――役立たずで情けないこんな貧相な手を握りながら、ベルがそう言ってくれたんだ。
 オレが大事にしたいオレを、一番大事にしたい人が……!
 
「……オレだけじゃない、弟や仲間だってそうだ! みんなみんな、お前を憎む自分と向き合って、苦しんで……それでも前を向いて歩きたいから、折り合いつけようとしてんだ! ……誰の手だって、命を奪い取るためについてんじゃねえ! 明日を作って、未来をつかみ取るためについてんだ!!」
 
 ガラにもない台詞を何ひとつ響かない相手に吐き散らかして、滑稽こっけい極まりない。
 イリアスは無反応だ。こっちの言葉を否定も肯定もせず、無表情でオレを見上げている――ように見える。
 
「ふふ……まるで、魔王と戦う前の勇者のようなことを言うねえ、……弱いくせに」
「…………」
「いいだろう。それなら、"魔王"から"勇者"たる君にひとつ、昔語りをしてあげよう」
「……は?」
「今から40年ほど前の話。ディオールのスラム街に"名無しの少年"が暮らしていた」
「おい、何を……」
「かわいそうに、その子は捨て子でね。うんと小さい頃から盗みで生計を立てていたよ。荒みきった生活を送っていたけど、ある日1人の司祭に出会って拾われて、救われるんだ。司祭は少年に衣食住と、家族としての名前を与えた。少年の名はシモン・フリーデン――後に光の塾の司教、"ロゴス"となる男だ」
「…………」
 
 こっちのリアクションなんてお構いなしに、イリアスが"司教ロゴス"の半生を語り始める。
 生まれと身の上。心優しい司祭――"ニコライ先生"との出会い。友達、家族との思い出、光の塾誕生の経緯、そして教団とニコライの変調――。
 それらをカイル達が言ったようにオーバーな身振り手振り付きで、時に朗々と、時に切なげに……。
 
 ――気持ち悪い。一体何を見せられてるんだ。
 
「……それでね、ニコライ先生はシモンに目線をやりながらこう言ったよ」
 
 ――いつまで喋るつもりだ。
 もしかして自分がロゴスを引き継いだところまで語るつもりか?
 さっきまでのやりとりで情緒がグチャグチャになっているところに、このワケの分からない語り……夜勤明けなこともあって、イライラが止まらない。
 
 ダメだ、冷静になれ。これ以上挑発に乗ったらコイツの思う壺――……。
 
「…………」
 
(……挑発……?)
 
 オレを挑発して何になる?
 カイルやグレンやセルジュ様のように強くて立場がある人間が相手なら、冷静さを失わせて自分が有利に立つ……なんていう狙いがあるだろう。
 対してオレは、闇の使い魔がいるとはいえ一般人も同然。
 そいつを挑発したところで、得るものなんて……。
 
「……こうしてシモンは"真理"を冠する名、"ロゴス"を引き継いだ。そのおかげで、教団の求心力は高まっていき……」
 
 ――ああ、そうか。コイツ単純に遊んでやがるんだ。
 その証拠というかなんというか……さっきから視線が全くかち合わない。
 オレを見ているようで見ていない。……一体、どこを見ている?
 
「ところがその数年後、思わぬことで転機が訪れたよ」
 
 ――そういえば学校の卒業式で答辞を読む係になったとき、担任に「声が震える、大勢の前で発表なんて自分には無理だ」と愚痴っぽく弱音を吐いたことがあった。
 担任はそれに対し「目の前に並ぶのは人間じゃなくて野菜と思えばいいんだ」なんて笑いながら返してきて……。
 そうだ……コイツ今きっと、それをやってる。"野菜"の前で独り芝居をしていやがるんだ。
 
「ある日教団の施設の地下から、石板が見つかったんだ。それはシモンのかつての親友、"パオロ"の物で……」
 
 ――うるせえんだよ、さっきから。どこまで人をバカにすりゃあ気が済むんだ。
 独り芝居にいつまでも付き合ってやる道理はない。どうやったら黙らせられる?
「ふざけるな」「うるさい」「黙れ」――きっとどんな言葉も効きゃあしない。
 何かないのか? 確実にこいつを黙らせる、呪文のような言葉は……。
 
(……呪文……)
 
「友の死について問い詰めるシモンに、教祖ニコライは……」
「イリアス・トロンヘイムッ!!」
「!!」
 
 壁を殴りつけながら大声で"呪文"を叫ぶと、イリアスの語りが止まった。
 こちらの想定以上に効き目があったようで、大きく見開いた目をこちらに向けるだけになってしまう。
 
「さっきからどこに目ぇ向けて喋ってやがる、ふざけやがって! ……何が魔王だ、勇者だ! オレもお前もただの人間だろうが! 人間同士の話をしたいなら、ちゃんとオレの目を見て話しやがれ!!」
 
 言いたいことを言いきると、さっき壁に打ち付けた左手に急激に痛みが走り出した。
 血がにじみ出ている――もしかしたら、どこか折れたかもしれない。
 イリアスの語りは再開されない。驚愕の表情のまま固まっている。
 しばらくの沈黙のあと、イリアスの口から「フッ」という声が漏れた。
 
「フ、フフッ……ははははっ……」
「!」
 
 肩を大きく揺らしながらイリアスが笑う。
 さっきまでの気味悪い笑いとは違う気がする。
 馬鹿にする意図も感じられない。普通の男が、ただ普通に笑っている――そういう感じを受ける。
 ひとしきり笑ったあと、イリアスは目元を指で拭いながら「ごめんね」と言った。
 
「『人間同士の話をしたいなら目を見て話せ』……か。フフッ、そんなことを言われたのは初めてだよ。面白い子だな、君は……」
「…………」
「……僕はねえ、ジャミル君。ここで君に出会ってからずっと、君の"樹"を見ていたよ」
「樹……?」
「仲間から聞いたことはないかな? 紋章使いは、魂の形を視ることが出来るんだ。見え方はその身に宿った属性に応じて変わっていて……僕は"土"だから、その人間の感情がなにがしかの植物になって視えるんだ。今君の足元には"憎悪"の樹が生えているよ」
「…………」
「面白いんだよ。憎悪というのは、他のどの感情よりも育つのが早いんだ。だから、君が言われたくなさそうな言葉をかけて……」
「気持ち悪りぃことすんじゃねえよ! ……もういい! 早くどこかに消えろ! 目障りだ!!」
 
 心を見透かされた上でもてあそばれていたという事実にはらわたが煮えくり返る。
 コイツに怒りは無効だ――今もどうせ、この叫びで育ったかもしれないオレの"樹"を鑑賞して楽しんでいる。けど、どうしても抑えられない。
 
「『消えろ』……か。君が言う台詞ではないね」
「なんだとっ……」
「ねえ、君は"バインド"という魔法を知っている? 影を使って相手の動きを封じる魔法なんだけれど――」
「何の話だ、長えんだよ前置きが!! 結論から先に言え、聞かせる気あんのか!?」
 
 オレの怒鳴り声にイリアスは眉を下げ、肩をすくめて笑う。
 
「百聞は一見にしかず――だね。……ねえジャミル君、後ろを見てごらんよ」
「……」
「大丈夫だよ、その隙をついて君に危害を加えたりはしない――いや、出来ないからね」
「!!」
 
 言葉に引っかかりを覚えつつ後方を振り向くと、そこには何もなかった。
 ……そう、何もない。あるはずの街の景色が消え失せ、"無"としかいいようのない黒の空間に塗り変わっていた――。
 
「な、何だこれ……!? おい、てめえ一体、何を――!」
「ちがうよ。君がやったんだよジャミル君」
「な、何を」
「君が『人殺し』と叫んだ瞬間かな……ずっと見えていた景色が消えてしまったんだ」
「まさか……」
「……さっきの"バインド"という魔法の話の続きをするよ。あの魔法は2種類あってね……1つは相手の影を操るもの、もう1つは相手の影を縫い止めるもの――前者はある程度の魔力を備えていれば簡単に発動できる。一方後者は前者の上位互換とも呼べるもので、発動には相当量の魔力を要する。……今、君の使い魔が僕にそれをやっているよ」
「え……!?」
 
 その言葉に、今地面をついばみ続けているウィルの方に目線をやる。
 よく見るとイリアスの影と思われる部分から黒く細い糸のようなものが飛び出ていて、それをウィルが引っ張り上げていた。
 糸を引っ張っては地面をつつき、また引っ張り上げ……さっき地面に降り立った時から、ずっとイリアスの影を縫い付けていたらしい――。
 
「……そういうわけで、今僕は君の支配下にある。君の許可がなければ立ちあがることすらできないんだ」
「何を……、オレが、そんな――」
「自覚がないのか、恐ろしいね。……さあ、それで、どうするの?」
「え?」
「空間を切り取り、影を縫い付けてまで僕をここに閉じ込め、だけど殺すことはしない。……理解ができないよ。ねえ、君は一体僕に何を望んでいるの?」
「…………」
 
 ――そんなことを言われても分からない。だってオレはウィルに何も命じていないのに。
 イリアスは「何を望むのか」と言ったきり口を開かなくなってしまった。オレからの"処遇"を待っているのか……。
 肩にのしかかるような沈黙――切り離された黒い空間には、何の音も入ってこない。
 ウィルがイリアスの影を縫いつける音だけが、小さく規則正しく響いている――。
しおりを挟む
感想 109

あなたにおすすめの小説

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜

織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。 侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。 学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。

惚れた男は根暗で陰気な同僚でした【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
イベント企画会社に勤める水木 茉穂は今日も彼氏欲しさに合コンに勤しむ、結婚願望が強い女だった。 ある日の週末、合コンのメンツが茉穂に合わず、抜け出そうと考えていたのを、茉穂狙いの男から言い寄られ、困っていた所に助けに入ったのは、まさかの男。 同僚で根暗の印象の男、【暗雨】こと村雨 彬良。その彬良が会社での印象とは全く真逆の風貌で茉穂の前に現れ、茉穂を助けたのである………。 ※♡話はHシーンです ※【Mにされた女はドS上司に翻弄される】のキャラを出してます。 ※ これはシリーズ化してますが、他を読んでなくても分かる様には書いてあると思います。 ※終了したら【プラトニックの恋が突然実ったら】を公開します。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

お姫さんと呼ばないで

秋月朔夕
恋愛
華族の娘として生まれたからにはお家のために結婚しなさい。そう父に言われ続けて、わたしは今日幼馴染と結婚する。けれど洋館で出迎えた男は全く違う人だった。

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

処理中です...