【完結】悪役令嬢と魔王の結婚

かのん

文字の大きさ
23 / 24

 リナリーの悪巧み23

しおりを挟む
 
 リナリーはアランを残しバルコニーから出ると、そこにはシバが飲物を持ち待っていた。



「話は終わったか?」

「えぇ。」



 リナリーはにこやかにシバの腕をとると会場に戻った。



「リナリーが話をしている間に何人か貴族と話して知ったのだが、どうやら魔族はそうとう恐れられているようだな。俺も人の姿をしていた事にまず驚いたと言われた。」



 肩をすくめるシバに、リナリーは言った。



「私も最初驚きましたもの。でもそれならば改善していかなければなりませんわね。」



「ん?どう改善するのだ?」



 リナリーは可愛らしくにっこり笑うと、少し照れた口調で言った。



「私達が結婚し、仲睦まじい姿を色々な舞踏会で見せて回れば良いのですわ。」



 シバは片手で顔を抑え、天を仰いだ。



「リナリーが可愛すぎて辛い。」

「もう!シバ様茶化さないで下さいませ。」



 リナリーが怒ったふりをすると、シバは慌てたふりをして謝る。



「すまないリナリー!茶化してなんていない。」



 二人はふっと笑い合うと会場に視線を移した。



「リナリー踊るかい?」



 会場の中央には、アランがクレアの手を引き戻ってきていた。



 きっとアランはこれから頑張っていくだろう。



 ここはもう自分の居場所ではない。



「いいえ。、、、シバ様、魔王城に、家に帰りたいですわ。」



 その言葉に、シバは嬉しげに頷く。



「あぁ、帰ろう。」



 二人は寄り添い、手を取り合うと国王へと帰りの挨拶をすませ、魔王城へと帰る。



 少し冷たい魔王城の空気にリナリーはほっとした。 



「シバ様。こちらにいらして。」



 リナリーはシバの手を引き、魔王城のダンスホールへと促した。



「これは、、、。リナリーこれはどうしたんだ?」



 ダンスホールは美しい花々が飾られ、湯気の立つ、美味しそうなディナーの準備がされていた。


 リナリーは人差し指を立て、悪い笑みを浮かべると言った。

「以前は秘密が秘密ではなかったでしょう?ですから、リベンジとして秘密の悪巧みをしてみましたの!」

「え?」

「シバ様に秘密なんて、なんていけないことがしら。って思いながら、計画を立てアンと一緒に準備しましたの。シバ様のその驚いた顔を見たかったのです!私の悪巧みは成功かしら?」



 シバは驚きながら、にやりと笑みを浮かべるリナリーに尋ねた。



「驚いた。悪巧みかと言われれば違う気がするが、、どうしてこんなことを?」



 会場を見つめ、そしてシバに向き直ると、リナリーは顔を赤らめた。



「最初のダンスは、シバ様とこの魔王城で二人きりで行いたかったのです。その、、、二人の記憶に残るファーストダンスにしたかったのです。駄目、、、でしたか?」



 熱っぽい、潤んだ瞳で、上目遣いでそういうと、シバは顔を赤らめた。



「俺の理性を試すのは止めて欲しい。」

「理性?」



 シバは手にぐっと力をこめるとリナリーを抱き寄せ、そしてそっと手で顎をすくい、目を合わせると、ニコリと微笑みキスをした。



「今はこれで我慢しておく。」

「は、、、、はい。」



 人形のように体を硬直させ、顔が茹で上がったタコのように赤くなる。



「リナリー。俺とダンスを踊ってくれますか?」



 リナリーは、大きく息を吸ってどうにかうるさくなる心臓を抑えると頷いた。



「はい。喜んで。」



 シバがバチンと指を鳴らけばオーケストラが自動で曲を奏で始める。



 リナリーとシバは見つめあい、微笑み合い、優雅にダンスを踊った。



しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています

鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。 けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。 指示を出さない。 判断を奪わない。 必要以上に関わらない。 「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。 それなのに―― いつの間にか屋敷は落ち着き、 使用人たちは迷わなくなり、 人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。 誰かに依存しない。 誰かを支配しない。 それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。 必要とされなくてもいい。 役に立たなくてもいい。 それでも、ここにいていい。 これは、 「何もしない」ことで壊れなかった関係と、 「奪わない」ことで続いていった日常を描く、 静かでやさしい結婚生活の物語。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?

しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。 王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。 恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!! ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。 この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。 孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。 なんちゃって異世界のお話です。 時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。 HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24) 数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。 *国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤

凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。 幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。 でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです! ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?

未来の記憶を手に入れて~婚約破棄された瞬間に未来を知った私は、受け入れて逃げ出したのだが~

キョウキョウ
恋愛
リムピンゼル公爵家の令嬢であるコルネリアはある日突然、ヘルベルト王子から婚約を破棄すると告げられた。 その瞬間にコルネリアは、処刑されてしまった数々の未来を見る。 絶対に死にたくないと思った彼女は、婚約破棄を快く受け入れた。 今後は彼らに目をつけられないよう、田舎に引きこもって地味に暮らすことを決意する。 それなのに、王子の周りに居た人達が次々と私に求婚してきた!? ※カクヨムにも掲載中の作品です。

処理中です...