【完結】醜い豚公爵様と結婚することになりましたが愛してくれるので幸せです

なか

文字の大きさ
18 / 25

18話

しおりを挟む
レオナード様の誕生会
その主役であるはずの彼はこちらを睨みながら酒を飲み、ただ1人でいる

そして、私とウィリアム様の周りには大勢の貴族達が集まっていた
この会の主役は完全に私達になっていた

「ウィリアム様!お話いいですか?」
「見違えたぞ!ウィリアム!どうしたんだ!」
「素敵になりましたね」「シャーロット…綺麗になりましたね」


話の中心はウィリアム様だった
女性達は彼がどうやって痩せたのか興味津々で、彼女たちもスタイルを維持するために聞きたいことが多いのだろう

男性貴族達は様々だ、彼を素直に称賛する者、幸せそうだなと羨む者
さらに、少し太ってきたと感じている男性貴族は話をメモにとっていた

「ウィリアム様!凄くやせてましたよね………良かったらお腹触らせてくださいよ」

1人の令嬢がウィリアム様に近づき、お腹を触ろうと手を伸ばす
私は咄嗟に手を掴んだ

「ダメ」

「え?」

驚いた令嬢だったが、私はそっとウィリアム様に寄り添う
「ダメです」と言うと彼女も色々察してくれたのか引いてくれた

「しかし、本当にお似合いの2人だな」

「そう、私ね2人が入ってきた時に泣きそうになっちゃったもん」

皆の称賛の声、それはウィリアム様の自信となり
彼が過去の集まりで見せていたぎこちない笑顔は消えて
自然に笑えるようになっていた
私もその姿に安心していると

「お姉様」

聞き覚えのある声、忘れるはずもない
ステラだ
私はウィリアム様に少し外すと声をかけて、少し離れた場所にいたステラの元へ向かう

「ステラ様!」「お姉様!」

嬉しそうな声をあげて駆け寄る彼女を抱きしめる
久々に会ったステラ、少し身長が伸びただろうか?

「大きくなりましたか?ステラ様」

「うん!」

私とステラは甘い果実水を手に話し合う、もちろん私の視界の中にはウィリアム様がいる
他の令嬢が近づけばすぐさま戻る予定だ
けど彼女たちも気を遣ってくれているのか、必要以上には近寄らないようにしてくれているみたいだ

「しかし、お姉様は幸せそうですね」

ステラは私の顔を見て呟く

「そう見えますか?ステラ様」

「うん、この会場に入ってきた時の笑顔はステラも見た事なかったよ?」

私が思うよりも笑っていたみたいだ
彼の姿を見たレオナード様の呆気に取られた顔には思わず吹いてしまいそうになったものだ
少し微笑んでいると、ステラは神妙な顔でこそりと呟く

「でも、お兄様にはお気を付けくださいね?」

「レオナード様に?」

「ええ……最近お父様の体調が悪くなってお兄様に注意できる人が誰もいないの、お姉様と婚約している時はお父様に言われて女遊びを控えていたみたいだけど、最近は女性の出入りが激しくて………」

「な、なるほど」

私と婚約していた時は女遊びを控えていたと………あれでか
つまり、今はもっと酷くなっているのだろう
ちらりと会場でただ一人不貞腐れているレオナード様を見る
視線がギラギラとしていて、確かに何処か危なっかしい雰囲気を感じる

「ありがとうございます、ステラ様………注意しておきます」

「うん…」

ステラ様と話していると、使用人が数人やってきた
夜も遅い、まだ幼いステラ様が寝る時間なのだろう

「ステラ、もっとお姉様と話したい!」

ぐずるステラを何とか説得する、また遊びに行くと約束をするとようやく納得してくれ
使用人達と共に寝室へと向かった
手を振るステラ様を見送っていると



「ふん…見せつけてくれるじゃない」

鼻に刺さるような香水の匂い………
頭の中に彼女の顔が浮かぶ

「ベネット………」

ベネット・デズモンド………
相も変わらず派手な衣服に大きな宝石類、貴族達は自身の力を誇示するために
高価な品を身につけるものだが、彼女はその量や派手さで
せっかくの宝石類が品のない石ころのように成り下がっている

「なにか用ですか?」

「あんたね、せめて目を見て話しなさいよ」

「あら?ごめんなさい…ステラ様を見送っていたので」

そう言って彼女に目を向けると、何故か勝ち誇ったような笑みを見せつけるベネット

「あなたに残念な報告があるわ、あなたの父親……グロウズ伯爵は民衆達の暴動で貴族としての地位を剝奪………あの領土はデズモンド伯爵家が統括することになったのよ」

「そうですか」

果実水を少し飲む
グロウズ伯爵が没落するのは思っていたより早かったみたいだ
ベネットは性格はアレだけど、父親であるデズモンド伯爵様は決して馬鹿ではない
あの領土の貴族への不信感をなくすために、また重税をかけるような愚行はしないだろう
少し安心した

「どうかしら?あなたの物になるはずだった領地は私の家がもらい受けたのよ?悔しいでしょう?」

「いいえ、むしろありがとう…」

「は?」

私のあっさりとした返事におかしな声をあげるベネット
言葉を続ける

「元より、領地は私の物ではありません…民のための土地です、それにあなたのお父様ならきっと良く導いてくれるでしょう…デズモンド伯爵は貴族のためではなく、民のために動いてくれる方です」

「………………」

「ベネット、あなたはデズモンド伯爵の一人娘です、いずれ家督を継ぐことになるかもしれません…しっかりデズモンド伯爵様を見て勉強してください…あの土地の民をお願いします。」

私は頭を下げ、その場を去る
後に残されたベネットはただ立ち尽くし………

「なによ…これじゃあ何も勝てないじゃない」
と小さく呟いていた





ウィリアム様の下に早足で向かう
早く彼の隣に立ちたい、寄り添っていたい
そんな気持ちでいると

突然、腕を掴まれた

「まて」

「…………レオナード様、なんですか?」

レオナード様は私の腕を掴み、強く握る
痛みを感じる力、そこに優しさなんて微塵もなかった

「ついてこい」

「いやです、離してください」

力を入れて彼の手を引きはがそうとするが
彼はさらに掴む力を込めて私を引き寄せて耳元で呟く

「ステラがどうなってもいいのか?」

「っ!?」

「あいつに手をだしてほしくなければ…大人しくついてこい…」

そう言って、私を連れて彼は歩く
私はステラを人質にとられ、ただ歩いてついていくことしかできなかった













「シャーロット………………」

貴族達に囲まれていたウィリアムの瞳に移るのは
レオナードに手を引かれて歩く
シャーロットの姿だった



しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました

天宮有
恋愛
伯爵令嬢のミレナは、双子の妹キサラより劣っていると思われていた。 婚約者のルドノスも同じ考えのようで、ミレナよりキサラと婚約したくなったらしい。 排除しようとルドノスが突き飛ばした時に、ミレナは前世の記憶を思い出し危機を回避した。 今までミレナが支えていたから、妹の方が優秀と思われている。 前世の記憶を思い出したミレナは、キサラのために何かすることはなかった。

【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜

よどら文鳥
恋愛
 伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。  二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。  だがある日。  王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。  ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。  レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。  ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。  もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。  そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。  だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。  それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……? ※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。 ※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)

愛されヒロインの姉と、眼中外の妹のわたし

香月文香
恋愛
わが国の騎士団の精鋭二人が、治癒士の少女マリアンテを中心とする三角関係を作っているというのは、王宮では当然の常識だった。  治癒士、マリアンテ・リリベルは十八歳。容貌可憐な心優しい少女で、いつもにこやかな笑顔で周囲を癒す人気者。  そんな彼女を巡る男はヨシュア・カレンデュラとハル・シオニア。  二人とも騎士団の「双璧」と呼ばれる優秀な騎士で、ヨシュアは堅物、ハルは軽薄と気質は真逆だったが、女の好みは同じだった。  これは見目麗しい男女の三角関係の物語――ではなく。  そのかたわらで、誰の眼中にも入らない妹のわたしの物語だ。 ※他サイトにも投稿しています

婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます

天宮有
恋愛
 婚約者のザオードは「婚約を破棄したい」と言うと、私マリーがどんなことでもすると考えている。  家族も命令に従えとしか言わないから、私は愛することをやめて自由に生きることにした。

妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。

木山楽斗
恋愛
妹のリオーラは、幼い頃は病弱であった。両親はそんな妹を心配して、いつも甘やかしていた。 それはリオーラが健康体になってからも、続いていた。お医者様の言葉も聞かず、リオーラは病弱であると思い込んでいるのだ。 リオーラは、姉である私のことを侮っていた。 彼女は両親にわがままを言い、犠牲になるのはいつも私だった。妹はいつしか、私を苦しめることに重きを置くようになっていたのだ。 ある時私は、妹のわがままによって舞踏会に無理な日程で参加することになった。 そこで私は、クロード殿下と出会う。彼との出会いは、私の現状を変えていくことになるのだった。

【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない

かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、 それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。 しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、 結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。 3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか? 聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか? そもそも、なぜ死に戻ることになったのか? そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか… 色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、 そんなエレナの逆転勝利物語。

悪いのは全て妹なのに、婚約者は私を捨てるようです

天宮有
恋愛
伯爵令嬢シンディの妹デーリカは、様々な人に迷惑をかけていた。 デーリカはシンディが迷惑をかけていると言い出して、婚約者のオリドスはデーリカの発言を信じてしまう。 オリドスはシンディとの婚約を破棄して、デーリカと婚約したいようだ。 婚約破棄を言い渡されたシンディは、家を捨てようとしていた。

他の人を好きになったあなたを、私は愛することができません

天宮有
恋愛
 公爵令嬢の私シーラの婚約者レヴォク第二王子が、伯爵令嬢ソフィーを好きになった。    第三王子ゼロアから聞いていたけど、私はレヴォクを信じてしまった。  その結果レヴォクに協力した国王に冤罪をかけられて、私は婚約破棄と国外追放を言い渡されてしまう。  追放された私は他国に行き、数日後ゼロアと再会する。  ゼロアは私を追放した国王を嫌い、国を捨てたようだ。  私はゼロアと新しい生活を送って――元婚約者レヴォクは、後悔することとなる。

処理中です...