47 / 105
皇帝陛下の愛し方
79話
しおりを挟む
カルセイン王国。
この国では魔法や魔力の研究に力を注いでいる。
魔力とは、この世のあらゆる事象––天候や災害、植物の成長にまで関係している世界の根幹ともいえる力。
魔力こそ国と人々が豊かになる道があるとカルセイン国は信じ、研究を進めていた。
そんなカルセイン国の中で、誰よりも魔法の研究に熱を上げる人物。
第一王子––シュルクは大量の書類から這い出るように顔を出し、苦笑を漏らした。
「……これは調べ終わらないな」
山のように積もった書類は全て、アイゼン帝国の皇帝ーシルウィオについての報告書の束だ。
魔法により一国の精鋭軍を一人で払ったという信じられない事例をはじめ、過去に行った魔法の数々の調査報告書を見ればカルセイン王族にも劣らぬ力だと分かる。
(いや……カルセイン王家以上か……)
自身の考えを訂正しつつ、シュルクは報告書を再度見つめる。
皇帝シルウィオの研究を開始したのは前世の巻き戻しに介入した可能性があったから。
だが調べていくにつれて、彼の規格外の力に舌を巻いてしまう。
(前世でも皇帝の力は噂として聞いていたけれど。まさかここまでなんて……)
こと破壊的な魔法を扱う事に関しては皇帝の右に出る者は居ないとシュルクは考える。
巻き戻しに干渉した可能性があり、その代償に力を失ったのではないかと推測していたが……今の活躍ぶりに代償など無かったのではないかと猜疑心が生まれてしまう。
その力に今やシュルクは当初の目的を忘れ、皇帝の力の原因を解明すれば、世界を発展させる事が出来ると考える程だった。
それほど、皇帝は魔力量だけでは推し量れない未知の力があった。
圧倒的な力だが、幸いな事があるとすれば。
以前と違い、この力を他国への侵攻のために用いる事は無い事だ。
報告書を見ていれば、全ての出来事は家族のためだと分かる。
(時間を逆行する前のアイゼン帝国は恐れられていたが……今世はむしろ交流を持ちたい国が多いと聞く。これも……全てあの人のおかげだろうな)
快活に笑い、決して悲しい表情を見せぬ皇后の姿を思い出してシュルクは笑う。
(……帝国の未来は安泰だ。カルセインが友好的な立ち位置になれて良かった)
笑いながら、シュルクは自身を救ってくれた帝国の幼き姫君も思い出す。
死ぬはずだった未来を変えてくれ、今も手紙を送ってくれている可愛らしい姫の事を。
(そういえば……手紙を返さないといけないな)
リルレットと初めて会った日から絶えず交わしている文通。
はじめは回復魔法で治った症状の報告だけであったが、今やお互いに日頃の近況を報告するような内容になっていた。
「っ!! あはは」
リルレットから届いている手紙を読み、シュルクは思わず笑ってしまう。
その内容は、ある意味で最も興味が惹かれるものだったからだ。
特に、皇帝を研究し始めたシュルクにとっては垂涎物の内容だった。
「相変わらず、リルレット姫は面白い魔法を生み出してるなぁ……」
手紙に書かれているのは、リルレットが生み出したとある魔法。
その実験内容を、シュルクはゆっくりと読み始めた。
◇◇◇
カーティアside
「コケェェ!」
「コッコちゃん、おいで」
「こーお」
「コッケ!」
「こーおーーかわわー」
「可愛いね、テア」
いつものように庭園でテアと過ごしながら、コッコちゃんと戯れる。
変わらぬ安寧の日々、それが変化したのは突然だった。
「お母様!! お母様!」
「っ? リルレット?」
庭園へと駆けて来たリルレットは、私に抱きつきながらいつもよりもニコニコとしていた。
何やらご機嫌な様子だけど、喜ぶような事でもあったのだろうか。
「どうしたの? リルレット」
「リルね、すごい魔法を考えたの!」
「?」
魔法の才能に長けているリルレットが魔法を生み出すのは、これが最初ではない。
今までにも幾つか、大なり小なり魔法を生み出しているのだけど……何故か今日はかなり上機嫌だ。
「どんな魔法なの?」
「内緒! でもね、新しい魔法を試そうとしてたら。お父様が自分に魔法をかけてもいいって言ってくれたの」
リルレットはニコニコとして、言葉を続けた。
「お父様がいいって言ってくれたから試したらね! 大成功したんだよ!」
答えの見えない娘の言葉。
戸惑う私を見て、リルレットはニヤリと笑いながらテアを抱っこして手を振った。
「ふふ。リルの知らないお父様が見れて嬉しかったなぁ……リルがテアとおるすばんしておくから、お母様もお父様に会いに行ってあげて」
「なに言って……?」
「会いに行ったら分かるよ! おししょーに結果を送りたいから、いっぱいお話して、後で何があったか聞かせてね。お父様は執務室にいるから!」
「うーーねぇねといっしょー?」
「そう! いっぱい遊ぼう! テア」
「わかたー! ねぇね。おにごっこ!」
「うん!」
リルレットは答えをくれず、テアと一緒に庭園を駆けていってしまった。
新魔法が成功したとは、いったい?
はぐらかされた内容を求めるように、私は言う通りにシルウィオの元へと向かい。執務室の扉をノックする。
「シルウィオ? 入ってもいい?」
「…………入れ」
いつもと変わらぬ声。しかし……何かが違うようにも感じる。
おかしな違和感を感じながら扉を開くが、やはり変わらずシルウィオが座っていた。
「えっと……リルレットから聞いたんだけど、魔法の実験を……」
「リルレットとは、先の子か?」
「……そうだよ? どうしたの、シルウィオ?」
「誰の子だ。お前は何を言っている」
「え?」
予想外の答えに、思わず息が止まる。
そして……違和感の正体を私は知った。
いつも私を見ては自然と微笑む彼が、無表情のまま見つめてきて。
その視線は……かつてを思い出すかのような鋭さを秘めている。
「あ……あの……」
「……」
「シルウィ……オ?」
「……来い」
冷たい無表情のまま、シルウィオは自分の隣の椅子を引く。
まるで、そこに座れというように。
その態度と、声色に……ほのかに感じていた違和感が、懐かしさへと変わった。
「せっかく来たんだ。隣にいろ……話ぐらいできる時間はある」
ぶっきらぼうで、怖いぐらい鋭い視線。
しかし無表情の中にある、柔らかな雰囲気と態度。
これって……まさか。
「……なにをジッと見ている。カーティア座れ」
私にだけ向けてくれていた……彼の不器用な優しさ。
懐かしい呼び方。
これは……記憶が……私と会った頃に戻っている?
後にリルレットから聞くことになる魔法の効果。
それは一時的の間だけ、初めて人に好意を抱いた頃の記憶に戻すものだった。
この国では魔法や魔力の研究に力を注いでいる。
魔力とは、この世のあらゆる事象––天候や災害、植物の成長にまで関係している世界の根幹ともいえる力。
魔力こそ国と人々が豊かになる道があるとカルセイン国は信じ、研究を進めていた。
そんなカルセイン国の中で、誰よりも魔法の研究に熱を上げる人物。
第一王子––シュルクは大量の書類から這い出るように顔を出し、苦笑を漏らした。
「……これは調べ終わらないな」
山のように積もった書類は全て、アイゼン帝国の皇帝ーシルウィオについての報告書の束だ。
魔法により一国の精鋭軍を一人で払ったという信じられない事例をはじめ、過去に行った魔法の数々の調査報告書を見ればカルセイン王族にも劣らぬ力だと分かる。
(いや……カルセイン王家以上か……)
自身の考えを訂正しつつ、シュルクは報告書を再度見つめる。
皇帝シルウィオの研究を開始したのは前世の巻き戻しに介入した可能性があったから。
だが調べていくにつれて、彼の規格外の力に舌を巻いてしまう。
(前世でも皇帝の力は噂として聞いていたけれど。まさかここまでなんて……)
こと破壊的な魔法を扱う事に関しては皇帝の右に出る者は居ないとシュルクは考える。
巻き戻しに干渉した可能性があり、その代償に力を失ったのではないかと推測していたが……今の活躍ぶりに代償など無かったのではないかと猜疑心が生まれてしまう。
その力に今やシュルクは当初の目的を忘れ、皇帝の力の原因を解明すれば、世界を発展させる事が出来ると考える程だった。
それほど、皇帝は魔力量だけでは推し量れない未知の力があった。
圧倒的な力だが、幸いな事があるとすれば。
以前と違い、この力を他国への侵攻のために用いる事は無い事だ。
報告書を見ていれば、全ての出来事は家族のためだと分かる。
(時間を逆行する前のアイゼン帝国は恐れられていたが……今世はむしろ交流を持ちたい国が多いと聞く。これも……全てあの人のおかげだろうな)
快活に笑い、決して悲しい表情を見せぬ皇后の姿を思い出してシュルクは笑う。
(……帝国の未来は安泰だ。カルセインが友好的な立ち位置になれて良かった)
笑いながら、シュルクは自身を救ってくれた帝国の幼き姫君も思い出す。
死ぬはずだった未来を変えてくれ、今も手紙を送ってくれている可愛らしい姫の事を。
(そういえば……手紙を返さないといけないな)
リルレットと初めて会った日から絶えず交わしている文通。
はじめは回復魔法で治った症状の報告だけであったが、今やお互いに日頃の近況を報告するような内容になっていた。
「っ!! あはは」
リルレットから届いている手紙を読み、シュルクは思わず笑ってしまう。
その内容は、ある意味で最も興味が惹かれるものだったからだ。
特に、皇帝を研究し始めたシュルクにとっては垂涎物の内容だった。
「相変わらず、リルレット姫は面白い魔法を生み出してるなぁ……」
手紙に書かれているのは、リルレットが生み出したとある魔法。
その実験内容を、シュルクはゆっくりと読み始めた。
◇◇◇
カーティアside
「コケェェ!」
「コッコちゃん、おいで」
「こーお」
「コッケ!」
「こーおーーかわわー」
「可愛いね、テア」
いつものように庭園でテアと過ごしながら、コッコちゃんと戯れる。
変わらぬ安寧の日々、それが変化したのは突然だった。
「お母様!! お母様!」
「っ? リルレット?」
庭園へと駆けて来たリルレットは、私に抱きつきながらいつもよりもニコニコとしていた。
何やらご機嫌な様子だけど、喜ぶような事でもあったのだろうか。
「どうしたの? リルレット」
「リルね、すごい魔法を考えたの!」
「?」
魔法の才能に長けているリルレットが魔法を生み出すのは、これが最初ではない。
今までにも幾つか、大なり小なり魔法を生み出しているのだけど……何故か今日はかなり上機嫌だ。
「どんな魔法なの?」
「内緒! でもね、新しい魔法を試そうとしてたら。お父様が自分に魔法をかけてもいいって言ってくれたの」
リルレットはニコニコとして、言葉を続けた。
「お父様がいいって言ってくれたから試したらね! 大成功したんだよ!」
答えの見えない娘の言葉。
戸惑う私を見て、リルレットはニヤリと笑いながらテアを抱っこして手を振った。
「ふふ。リルの知らないお父様が見れて嬉しかったなぁ……リルがテアとおるすばんしておくから、お母様もお父様に会いに行ってあげて」
「なに言って……?」
「会いに行ったら分かるよ! おししょーに結果を送りたいから、いっぱいお話して、後で何があったか聞かせてね。お父様は執務室にいるから!」
「うーーねぇねといっしょー?」
「そう! いっぱい遊ぼう! テア」
「わかたー! ねぇね。おにごっこ!」
「うん!」
リルレットは答えをくれず、テアと一緒に庭園を駆けていってしまった。
新魔法が成功したとは、いったい?
はぐらかされた内容を求めるように、私は言う通りにシルウィオの元へと向かい。執務室の扉をノックする。
「シルウィオ? 入ってもいい?」
「…………入れ」
いつもと変わらぬ声。しかし……何かが違うようにも感じる。
おかしな違和感を感じながら扉を開くが、やはり変わらずシルウィオが座っていた。
「えっと……リルレットから聞いたんだけど、魔法の実験を……」
「リルレットとは、先の子か?」
「……そうだよ? どうしたの、シルウィオ?」
「誰の子だ。お前は何を言っている」
「え?」
予想外の答えに、思わず息が止まる。
そして……違和感の正体を私は知った。
いつも私を見ては自然と微笑む彼が、無表情のまま見つめてきて。
その視線は……かつてを思い出すかのような鋭さを秘めている。
「あ……あの……」
「……」
「シルウィ……オ?」
「……来い」
冷たい無表情のまま、シルウィオは自分の隣の椅子を引く。
まるで、そこに座れというように。
その態度と、声色に……ほのかに感じていた違和感が、懐かしさへと変わった。
「せっかく来たんだ。隣にいろ……話ぐらいできる時間はある」
ぶっきらぼうで、怖いぐらい鋭い視線。
しかし無表情の中にある、柔らかな雰囲気と態度。
これって……まさか。
「……なにをジッと見ている。カーティア座れ」
私にだけ向けてくれていた……彼の不器用な優しさ。
懐かしい呼び方。
これは……記憶が……私と会った頃に戻っている?
後にリルレットから聞くことになる魔法の効果。
それは一時的の間だけ、初めて人に好意を抱いた頃の記憶に戻すものだった。
1,002
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。