101 / 105
最終章
128話 悲願の悪華・終 ヒルダside
しおりを挟む
私––ヒルダはね。
カーティアに一つだけ偽りを伝えていたの。
娘を助けるために身を犠牲にして、時間逆行を行うと言ったけど……
実際に私がしたのは時間逆行ではなく、時間転移の魔法だ。
私の身をそのまま過去に送る事が出来る、そんな新たな秘術。
アイゼン帝国で囚われていた期間と、牢から出されてから魔法研究施設にて過ごした時間のおかげでこの秘術を編み出せた。
ここまでした目的はただ一つ、本当に生きるべき人を救いたいから。
◇◇◇◇◇◇
瞳を開けば、思い出の中にあった凄惨な光景が見える。
遠く走っていく馬車、そこに乗っている幼い私。
遠ざかっていく姿を見つめながら、私は時間転移の魔法が成功したのだと悟る。
そのまま向かうのは、ある人の元。
「お兄ちゃん」
息も絶え絶えになって倒れている兄を見つける。
かつて幼い私を逃がしてくれて、自らが犠牲になる道を選んだ兄。
うろ覚えだった情景が、今は現実の光景となって見える。
こんなにも傷だらけになって、兄は私を逃がしてくれていたんだ。
「……誰だ」
呟く兄は、警戒しながら顔を上げる。
荒い息の中、降ってきた雨の中で、私はしゃがみ込んだ。
「お兄ちゃん」
「……ヒ、ヒルダ? おまえ、なのか?」
成長した私でも、面影はあったのだろう。
兄は瞳を見開いて、私へと驚きの表情を浮かべる。
「助けにきたの。お兄ちゃんだけでも……私は生きてほしいから」
「ヒルダ、どうして……」
「私は許されない事をした。でもお兄ちゃんは……お兄ちゃんだけは助けたかった」
「なに、言って」
「今から、私のいる時間に帰ろう。私なら……それが出来るから」
兄の手を握って、再び時間転移の準備を始める。
大丈夫……理論は成功している。
このまま、せめて兄だけでもあの平和な世に送ろう。
そのためにカーティア達を騙してまで、時間転移を行ったのだから。
絶対に成功させてみせる。
「やめるんだ、ヒルダ」
「っ!」
なのに兄は、私の手を振り払う。
その光景に目を見開くと、兄は落ち着いた口調のまま話し始めた。
「俺は、死ぬべきだ。禁忌魔法を使う大罪を犯した罪は……死で償う」
「なん……で」
「お前がどうして大人になってここに居るのか、詳しい事は分からない……けどお前が大人になっているなら真実を伝えるよ。ナーディス家が禁忌を犯した理由を」
「っ!」
兄は咳き込みながら、話を続けた。
「ヒルダ、お前は幼い頃に身体が弱くて……倒れていたのを覚えているか」
「え……」
「幼い頃、お前は治らぬ病にて死ぬ運命だった」
もたらされた事実に言葉が出なかった。
土砂降りとなっていく雨の中で、兄の言葉だけがハッキリと聞こえる。
「俺達ナーディス家はお前を救うため、魅了魔法を用いた。王家の人間や貴族を意のままに操り……禁忌の魔法。時間逆行の方法を手に入れるためだ」
「……」
「そして時間逆行にて、お前だけの時間を戻した。病になる前に戻して、その際に世界の理を塗り替え、お前の病の致死性をなくした」
カーティアの娘に講じようとしていた方法。
それはすでに私自身に施されていた事実が、兄によってもたらされる。
驚きと動揺が隠せなかった。
「祖父の命と引き換えに時間逆行を行った。お前に記憶がないのは……お前だけを病が発症する前に戻したからだ」
「なんで、なんで。どうして……私のために、禁忌の魔法まで犯して……」
「はは……理由がいるか? お前は大切な家族だからだよ。俺達の希望だったんだ」
「っ!」
兄が手を伸ばして、私の頭を撫でる。
幼き頃を思い出すその手つきに、自然と涙が流れてしまう。
「お前は、俺達にとって必要だった。愛する妹を救いたい一心だった」
「お、お兄ちゃん……」
どうして忘れていたんだろう、家族と過ごした暖かな日々を。
家族が私のために、禁忌を犯してまで救ってくれた……
なのに、その私が大罪を犯して生きてしまった。
情けなくて、罪悪感に胸が締め付けられる。
「お兄ちゃん……」
兄の手を取って、頬に当てる。
幼い頃と違い、今の私には兄の手は小さくて、か弱い。
だけど誰よりも暖かかった。
「お兄ちゃん。私ね、悪いことばっかりしてきた。多くを不幸にしてきた」
「ヒルダ……」
「ごめんなさい、ごめんなさい……私、皆に、お兄ちゃんたちに助けてもらっていたのに。私」
「なぁヒルダ。お前はいつだって、魔法が好きで好きで、楽しんで使っていただろ。魔法で誰かを幸せにしたいって」
思えば、そんな言葉を兄に言っていた。
復讐心で忘れていた記憶の欠片が、兄の言葉で形を取り戻していく。
「なら、今からは……誰かを幸せにするんだ。それが……お前の望む魔法だろ?」
「……」
「なぁ、ヒルダ。ここに来た魔法を使って、元の場所に戻れ……お前の表情を見れば分かる。やる事があるんだろ」
「お兄ちゃん……私。せっかく、会えたのに、離れたくない。もっと……謝りたいの」
私を撫でる兄が、微笑みながら呟いた。
その表情は誰よりも優しくて、涙が止まらない。
「先にいって……待ってるから。また会うときは、最後までお前の後悔に付き合ってやる」
「……」
「それが、お兄ちゃんだからな。ヒルダ」
「………………お兄ちゃん」
「ヒルダ……ごめんな。一人で、ずっと苦労してきたんだな」
謝らないでよ、お兄ちゃん。
かつて別れたあの日のように、また謝罪をする兄の言葉に……流れていく涙が止まらない。
謝るべきは私だ。
家族が託してくれた命を取り返しのつかない罪で穢していた。
私は最低で最悪な妹であり、後悔しかない。
けど。
「お兄ちゃん……またね」
せめて最後だけは、悔いのない選択をしよう。
兄が待ってくれているなら、もう怖くはないから。
その想いと共に。私は再び魔法を行使した。
◇◇◇
「できた……わよ」
再び戻った時間、私は直ぐに時間逆行魔法を行使した。
カーティアの子供達の時間を少しだけ戻し……悪性腫瘍に害はないと世界の理を書き換えたのだ。
「……」
ここに時間転移で戻ってこれたのは、カーティアのおかげだ。
彼女に伝えていた通り、カーティアは運命の中心として指標となっているため、時間転移の目印となった。
「さぁ、もういきなさい。私の役目は終わりだから」
だんだんと力を失っていく感覚。
私は約束していた通り、自らを犠牲に時間逆行を行った。
それゆえに、近づいてくる死を明確に感じ取れる。
怖いな……お兄ちゃんも、同じ気持ちだったのかな。
「おねえちゃん」
「なによ」
ふと、カーティアの娘のリルレットとやらが近づいてくる。
歩いている様子を見れば、どうやら成功して元気になっているようね。
なら、もう関係ない。
「あっち行ってなさい。もう私は関係ないでしょ」
一人で死なせてよ。
兄や家族の想いを無下にして、こんなに罪で穢れてしまった命の最後など、一人きりでいいのだから。
後悔しかない人生だった。
私のやってきた事は間違いだったと理解した今だからこそ、諦めと後悔が胸を刺す。
「あの……」
「なによ……もう、はなしかけな……」
「ありがとう、お姉ちゃん。私ねもう苦しくないよ。家族とこれからも一緒にいられる、幸せだよ」
「……っ」
リルレットに渡されたのは、綺麗なタンポポの花。
私には似合わない純粋で、無垢で、可憐なその花を渡して、この子は微笑んでお礼を伝える。
私には似合わない………けれど、どうしてか。
とても嬉しくて、暖かかった。
「…………さっきの発言、撤回するわ」
リルレットを見つめながら、私はその似合わないタンポポを胸に抱いた。
後悔だらけの人生の中、どす黒く穢れた人生。
しかし、たった一輪の華がもたらしてくれた光が、私の心を照らしてくれた気がした。
「お礼なんかで幸せにならないって言ったけど。違うのね」
「お姉ちゃん、魔力が……なくなって…………」
「ふふ……魔法で人を幸せにする……か。お兄ちゃんに思い出させてもらって…………良かっ……た」
もう力も入らなくて、地面へと倒れる。
意識は薄れてきて、呼吸する力もなくなってきた。
ここで私の人生は終わりだ。
後悔しかなかった人生だった、穢れて、深淵の中にいるような生涯だった。
でもね、お兄ちゃん……
私ね……子供の頃に抱いていた純粋な願い。
『魔法で誰かを幸せにする』
最後だけは悲願を果たせたよ、お兄ちゃん。
一人でずっと寂しかった、怖かった、心細かった。
けど、ようやく。
ようやく、そっちにいけるよ。
「ごめ……なさい…………お、にい……ちゃん」
自らの視界を彩るタンポポが風に揺られ、落ちゆく瞳を閉じていく。
最後に頭に巡る光景は……兄と過ごした日々の中で––––
カーティアに一つだけ偽りを伝えていたの。
娘を助けるために身を犠牲にして、時間逆行を行うと言ったけど……
実際に私がしたのは時間逆行ではなく、時間転移の魔法だ。
私の身をそのまま過去に送る事が出来る、そんな新たな秘術。
アイゼン帝国で囚われていた期間と、牢から出されてから魔法研究施設にて過ごした時間のおかげでこの秘術を編み出せた。
ここまでした目的はただ一つ、本当に生きるべき人を救いたいから。
◇◇◇◇◇◇
瞳を開けば、思い出の中にあった凄惨な光景が見える。
遠く走っていく馬車、そこに乗っている幼い私。
遠ざかっていく姿を見つめながら、私は時間転移の魔法が成功したのだと悟る。
そのまま向かうのは、ある人の元。
「お兄ちゃん」
息も絶え絶えになって倒れている兄を見つける。
かつて幼い私を逃がしてくれて、自らが犠牲になる道を選んだ兄。
うろ覚えだった情景が、今は現実の光景となって見える。
こんなにも傷だらけになって、兄は私を逃がしてくれていたんだ。
「……誰だ」
呟く兄は、警戒しながら顔を上げる。
荒い息の中、降ってきた雨の中で、私はしゃがみ込んだ。
「お兄ちゃん」
「……ヒ、ヒルダ? おまえ、なのか?」
成長した私でも、面影はあったのだろう。
兄は瞳を見開いて、私へと驚きの表情を浮かべる。
「助けにきたの。お兄ちゃんだけでも……私は生きてほしいから」
「ヒルダ、どうして……」
「私は許されない事をした。でもお兄ちゃんは……お兄ちゃんだけは助けたかった」
「なに、言って」
「今から、私のいる時間に帰ろう。私なら……それが出来るから」
兄の手を握って、再び時間転移の準備を始める。
大丈夫……理論は成功している。
このまま、せめて兄だけでもあの平和な世に送ろう。
そのためにカーティア達を騙してまで、時間転移を行ったのだから。
絶対に成功させてみせる。
「やめるんだ、ヒルダ」
「っ!」
なのに兄は、私の手を振り払う。
その光景に目を見開くと、兄は落ち着いた口調のまま話し始めた。
「俺は、死ぬべきだ。禁忌魔法を使う大罪を犯した罪は……死で償う」
「なん……で」
「お前がどうして大人になってここに居るのか、詳しい事は分からない……けどお前が大人になっているなら真実を伝えるよ。ナーディス家が禁忌を犯した理由を」
「っ!」
兄は咳き込みながら、話を続けた。
「ヒルダ、お前は幼い頃に身体が弱くて……倒れていたのを覚えているか」
「え……」
「幼い頃、お前は治らぬ病にて死ぬ運命だった」
もたらされた事実に言葉が出なかった。
土砂降りとなっていく雨の中で、兄の言葉だけがハッキリと聞こえる。
「俺達ナーディス家はお前を救うため、魅了魔法を用いた。王家の人間や貴族を意のままに操り……禁忌の魔法。時間逆行の方法を手に入れるためだ」
「……」
「そして時間逆行にて、お前だけの時間を戻した。病になる前に戻して、その際に世界の理を塗り替え、お前の病の致死性をなくした」
カーティアの娘に講じようとしていた方法。
それはすでに私自身に施されていた事実が、兄によってもたらされる。
驚きと動揺が隠せなかった。
「祖父の命と引き換えに時間逆行を行った。お前に記憶がないのは……お前だけを病が発症する前に戻したからだ」
「なんで、なんで。どうして……私のために、禁忌の魔法まで犯して……」
「はは……理由がいるか? お前は大切な家族だからだよ。俺達の希望だったんだ」
「っ!」
兄が手を伸ばして、私の頭を撫でる。
幼き頃を思い出すその手つきに、自然と涙が流れてしまう。
「お前は、俺達にとって必要だった。愛する妹を救いたい一心だった」
「お、お兄ちゃん……」
どうして忘れていたんだろう、家族と過ごした暖かな日々を。
家族が私のために、禁忌を犯してまで救ってくれた……
なのに、その私が大罪を犯して生きてしまった。
情けなくて、罪悪感に胸が締め付けられる。
「お兄ちゃん……」
兄の手を取って、頬に当てる。
幼い頃と違い、今の私には兄の手は小さくて、か弱い。
だけど誰よりも暖かかった。
「お兄ちゃん。私ね、悪いことばっかりしてきた。多くを不幸にしてきた」
「ヒルダ……」
「ごめんなさい、ごめんなさい……私、皆に、お兄ちゃんたちに助けてもらっていたのに。私」
「なぁヒルダ。お前はいつだって、魔法が好きで好きで、楽しんで使っていただろ。魔法で誰かを幸せにしたいって」
思えば、そんな言葉を兄に言っていた。
復讐心で忘れていた記憶の欠片が、兄の言葉で形を取り戻していく。
「なら、今からは……誰かを幸せにするんだ。それが……お前の望む魔法だろ?」
「……」
「なぁ、ヒルダ。ここに来た魔法を使って、元の場所に戻れ……お前の表情を見れば分かる。やる事があるんだろ」
「お兄ちゃん……私。せっかく、会えたのに、離れたくない。もっと……謝りたいの」
私を撫でる兄が、微笑みながら呟いた。
その表情は誰よりも優しくて、涙が止まらない。
「先にいって……待ってるから。また会うときは、最後までお前の後悔に付き合ってやる」
「……」
「それが、お兄ちゃんだからな。ヒルダ」
「………………お兄ちゃん」
「ヒルダ……ごめんな。一人で、ずっと苦労してきたんだな」
謝らないでよ、お兄ちゃん。
かつて別れたあの日のように、また謝罪をする兄の言葉に……流れていく涙が止まらない。
謝るべきは私だ。
家族が託してくれた命を取り返しのつかない罪で穢していた。
私は最低で最悪な妹であり、後悔しかない。
けど。
「お兄ちゃん……またね」
せめて最後だけは、悔いのない選択をしよう。
兄が待ってくれているなら、もう怖くはないから。
その想いと共に。私は再び魔法を行使した。
◇◇◇
「できた……わよ」
再び戻った時間、私は直ぐに時間逆行魔法を行使した。
カーティアの子供達の時間を少しだけ戻し……悪性腫瘍に害はないと世界の理を書き換えたのだ。
「……」
ここに時間転移で戻ってこれたのは、カーティアのおかげだ。
彼女に伝えていた通り、カーティアは運命の中心として指標となっているため、時間転移の目印となった。
「さぁ、もういきなさい。私の役目は終わりだから」
だんだんと力を失っていく感覚。
私は約束していた通り、自らを犠牲に時間逆行を行った。
それゆえに、近づいてくる死を明確に感じ取れる。
怖いな……お兄ちゃんも、同じ気持ちだったのかな。
「おねえちゃん」
「なによ」
ふと、カーティアの娘のリルレットとやらが近づいてくる。
歩いている様子を見れば、どうやら成功して元気になっているようね。
なら、もう関係ない。
「あっち行ってなさい。もう私は関係ないでしょ」
一人で死なせてよ。
兄や家族の想いを無下にして、こんなに罪で穢れてしまった命の最後など、一人きりでいいのだから。
後悔しかない人生だった。
私のやってきた事は間違いだったと理解した今だからこそ、諦めと後悔が胸を刺す。
「あの……」
「なによ……もう、はなしかけな……」
「ありがとう、お姉ちゃん。私ねもう苦しくないよ。家族とこれからも一緒にいられる、幸せだよ」
「……っ」
リルレットに渡されたのは、綺麗なタンポポの花。
私には似合わない純粋で、無垢で、可憐なその花を渡して、この子は微笑んでお礼を伝える。
私には似合わない………けれど、どうしてか。
とても嬉しくて、暖かかった。
「…………さっきの発言、撤回するわ」
リルレットを見つめながら、私はその似合わないタンポポを胸に抱いた。
後悔だらけの人生の中、どす黒く穢れた人生。
しかし、たった一輪の華がもたらしてくれた光が、私の心を照らしてくれた気がした。
「お礼なんかで幸せにならないって言ったけど。違うのね」
「お姉ちゃん、魔力が……なくなって…………」
「ふふ……魔法で人を幸せにする……か。お兄ちゃんに思い出させてもらって…………良かっ……た」
もう力も入らなくて、地面へと倒れる。
意識は薄れてきて、呼吸する力もなくなってきた。
ここで私の人生は終わりだ。
後悔しかなかった人生だった、穢れて、深淵の中にいるような生涯だった。
でもね、お兄ちゃん……
私ね……子供の頃に抱いていた純粋な願い。
『魔法で誰かを幸せにする』
最後だけは悲願を果たせたよ、お兄ちゃん。
一人でずっと寂しかった、怖かった、心細かった。
けど、ようやく。
ようやく、そっちにいけるよ。
「ごめ……なさい…………お、にい……ちゃん」
自らの視界を彩るタンポポが風に揺られ、落ちゆく瞳を閉じていく。
最後に頭に巡る光景は……兄と過ごした日々の中で––––
1,105
あなたにおすすめの小説
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。