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3話
しおりを挟む「ライアン様が選択なさったのですね?」
父の言葉にライアン様は頷く
「その通りだ、文句があるか?」
「……本当によろしいのですね?」
「?……あぁ」
何処か不思議そうに首をかしげるライアン様だったが
父様も余計な事を聞く……
「ライアン様が決めた事なら……私達は文句はありません」
お母様が凛として表情を崩さずに言うと
隣にいた父も頷く
「その通りです、我々からは何も言いません」
「だ、そうだローザ…文句はあるまいな?」
その言葉に私は黙って頷く
だが、最後に聞いておかなければならない事がある
「私と離縁する…その際に私とあなたの公爵家との関係は切れます…間違いはありませんね」
「あ?当たり前だろう?」
「ライアン様~お話が長いわ~さっさとお姉様と結婚を取り消しましょう」
「わ、わかっている…」
ライアン様は一旦マリアから離れて私の近くに来ると
そっと小さく耳打ちする
「おい、お前が俺を好きで気持ちが残っているのなら…愛人にしてやらんこともないぞ」
「は?」
ぞっと全身に悪寒が走る
何をどう思考すればそんな考えにになれるのか
鈍感で単細胞もここまで来たら救いがない
いや、元より彼には救いがないのだが
頬が緩みそうになりながら彼を突き飛ばす
「あなたが選択したのです、離縁しましょう……」
「ち……まぁいいマリア…やっと結婚できるな」
「マリア嬉しい~ようやくお姉様と関係を絶ってくれて」
微笑むマリアを抱きしめながらライアン様は笑っている
その幸せそうな表情がこれからどう変わるのか
楽しみだ
「それではライアン様……すこしお待ちください」
私は早足で自室へと戻ると
机の引き出しに入れていた用紙とペンを持って部屋へ戻る
「離縁にあたって正式に書類にサインをして頂きたいのです」
用紙をライアン様の近くの机に置いて
丁寧にペンを手渡す
「えらく準備がいいのだな、まぁ…いい心がけだがな」
「ええ……妹と話している様子を見て……そんな気はしておりましたので」
私の言葉に彼は納得してペンを持って書類を見つめる
その姿に私と両親はほほを緩めていた
やっとこの時が来たのだと思う
あぁ…もう少しだ…
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